ヒロインモニタリング（一般作）

Ⅰ 魔法美少女戦士の愛をモニタリング １－１

２　魔法美少女戦士の愛をモニタリング

①
「愛ある限り戦いましょう、魔法美少女戦士フローラル！」
　鈴木は山ちゃんに映像を見せた。
「これ、本物なのか？」
  魔法美少女戦士フローラルは人々に認知されていない。
　なぜなら、怪人や妖魔と戦い、消滅させた後に、見ていた人々の記憶を魔法で消しているからだ。ある意味、都市伝説のように語られている。
　消えた記憶を催眠術で思い出させて語らせたり、偶然にも防犯カメラに映っていたことから知られているのだ。どうやら、魔法で防犯カメラなどの映像類さえも消し去ってしまう力をもっている。
　魔法美少女戦士フローラルは、まるで有名女優がコスプレをしているかのような体系と、白いマスクで目元は隠れて見えないが美少女であることは見て分かる。
　ミニの白いワンピースに飾りの付いた短い白のボレロを着ている。腰のベルトのバックルは花模様、赤いアイマスクの中央のブルーの宝石とエメラルドグリーンでひし形の耳飾りはキラキラと輝いている。白いベレー帽の右上に赤いリボンを付けて髪の毛はストレートで腰まできれいに伸びている。肩からのロングマントは、外は白だが内側は赤くて上品だ。パンストの下を見ると光沢のある赤いハイヒールピンシールのロングブーツで上は金色の縁取りがある。腕をも包み込むロング手袋は光沢のある白だ。アイマスクで顔を隠しているが、されもが振り向きそうなほどの美人でかわいらしいことは想像がつく。
　だからこそ、その存在を信じる者と疑う者がいるのだ。

　鈴木は山ちゃんに計画書を見せた。
「魔族や悪人をやっつけて、赤いアイマスクで顔を隠す謎の正義のヒロインがいるのか、いるならば魔法美少女戦士フローラルの愛をモニタリングすることは、高視聴率につながるぞ！」
「でも、バレたらどうする、俺たちだけでなく、他にも迷惑がかかるぞ、良く考えようぜ」　
　鈴木には考えがあった。悪者はすべてスカウトする俳優達、映像は偶然とらえたこととして、出演者の目に黒いまくをつけて放送する。
「もし、存在するとして、撮影もばれてしまうんじゃないか、無理だよ」
　鈴木は、特殊な技法が得意だった。
「目の中に撮影危機を入れる、絶対にばれないと思う」
　山ちゃんは、鈴木の熱意を信用することにした。
「それで、作戦は？」
　計画書をパワーポイントで映しだした。
「悪童に電気棒で人間を守った優しい妖魔を攻撃させる。正義のヒロイン、魔法美少女戦士フローラルをおびき出して、人間である悪童に味方するのか、弱い立場の人間を守った魔族に味方するのかモニタリング、さらに、許す変わりに魔法美少女戦士フローラルに条件を付けて、愛の力でどこまで自己犠牲をはらえるのかをモニタリングする、もし、正体もばらせたら最高だぜ！」
　鈴木と山ちゃんは、計画通りに配役を探し、決行の日と場所を決めた。