ヒロインモニタリング(一般作)

ヒロイン小説研究所

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 悪童役と着ぐるみの妖魔が配置に付いて、いよいよモニタリング開始だ。
 昼間とはいえ、ここに関係者以外が来ることはない山間の丘、なぜなら、広い借地で大声を出してもだれにも聞こえない場所だからだ。
 悪童や着ぐるみの大人の目には、コンタクトレンズが入っている。しかも、特殊で撮影機能が付いているから、記録として残せるだけでなく、遠く離れた事務所で見ている鈴木と山ちゃんに伝えられるのだ。逆に俳優達の耳に付いている受信機で鈴木と山ちゃんが指令も送れる。
 リアルに見せるために、本物の電撃棒を使うが、棒を着けるふりをして着ぐるみの妖魔に押し当てると、着ぐるみの妖魔は苦しい真似をして、魔法美少女戦士フローラに助けを呼ぶ計画だ。
「 た、助けてくれ、魔法美少女戦士フローラ~~」
「うるさいぞ、妖魔は人間の敵だ、いくら人間を助けてもやっつけらっれるうんめいなのさ、それ~~」
「ぎゃぁあああ~~、魔法美少女戦士フローラ助けて!」
 その時だ、小高い山に光の粒子が明るく照らされて、そこに人影があらわれた。
 エレガントで上品なたたずまい、それでいて、強いオーラを出している。
「愛ある限り戦いましょう、魔法美少女戦士フローラル! 女神様から与えられたこの力、お覚悟を!」
  体の全身がオーラ―のごとく輝きやきらめきで纏っている。魔法のステッキを持ってポーズをとっている正義のヒロインだ。
 ミニの白いワンピースに飾りの付いた短い白のボレロを着ている。腰のベルトのバックルは花模様、赤いアイマスクの中央のブルーの宝石とエメラルドグリーンでひし形のイヤリングはキラキラと輝いている。
 白いベレー帽の右上に赤いリボンを付けて髪の毛は奇麗な黒のストレートで腰まできれいに伸びている。肩からのロングマントは、外は白だが内側は赤くて上品だ。パンストの下を見ると光沢のある赤いハイヒールピンシールのロングブーツで上は金色の縁取りがある。腕をも包み込むロング手袋は光沢のある白だ。赤いアイマスクで顔を隠しているが、だれもが振り向きそうなほどの美人でかわいらしいことは想像がつく。

「山ちゃん、出た! い、いた、いたんだ、妖魔や悪を狩る正義のヒロイン! 都市伝説の本物の魔法美少女戦士フローラルだ!」
 鈴木は興奮して山ちゃんに訴えるも、山ちゃんは驚愕の思いで魔法美少女戦士フローラルを見ていた。
「全員の記憶を消して去って行く正義のヒロイン、魔法美少女戦士フローラル、ついにカメラで正体を捉えたぞ。録画は・・・正常だ」

  魔法美少女戦士フローラルは、魔法のステッキを持って跳び上がり、悪童とぬいぐるみの妖魔の目の前にやってきた。
 優しい微笑みだが、目は戒めているようだ。
「どうしてですか、あなたたち、ご説明してください」
「人を助けたけど妖魔だから捕まえてやっつけているんだよ、お姉ちゃんこそ、ハロウィンでないのにコスプレして、変だよ、なあ、みんな」
「あっははは~」
 悪童達はバカにするように笑って、さらに、着ぐるみの妖魔を電気棒でやっつける演技をした。
「いつまで、そのような愚かなことをなさるのですか、そこにいるのは妖魔ではございません。人間入っております、どうして、私を呼び寄せたのか、さあ、ご説明なさい!」
  妖魔のいる所に魔法美少女戦士フローラルが現れるように、なんと本物の妖魔軍が出現した。
「魔法美少女戦士フローラル、積年の恨み、思い知れ! 今日、ここでおまえを消し去ってやる!」
「こ、これはまずいですわ、私がいるから、本物の妖魔が・・。さあ、ここはわたくしに任せて、皆様、お逃げください」
「わぁああ~怖いよ~助けて~~~」
「おいおい、俺を連れて行ってくれよ」
 着ぐるみの偽の妖魔も悪童の後を追いかける。
「妖魔、男の幹部お二人と女幹部お一人、そして、戦闘員のみなさん、愛ある限り戦いましょう、魔法美少女戦士フローラル! 女神様から与えられたこの力、お覚悟を!」  魔法美少女戦士フローラルが妖魔軍の中に入って蹴散らしていく。
「タァア~、ハァ! やっ、エイ!・・」
 魔法のステッキを左右に振り、左手で防いで左右の足で、ハイキックをする。ミニのワンピースが捲れて白のアンダースコートが敵に見られても戦いの時は気にせず、攻撃をする。

「山ちゃん、魔法美少女戦士フローラル、つぇえよ、すごいぜ! それにしても、身長は普通ぐらいで華奢なスマートな体、でも胸が大きいぞ、腰まで伸びている髪の毛が靡いていて素敵な戦いだよな」
「ああ~、相当な美人だぜ、ありゃあ、正体は有名女優かお嬢様学校の生徒だな」

「さあ、後は数人の後ろに隠れていた戦闘員さんと幹部ですわ、お覚悟を」
「おまえさえ倒せば、妖魔は人間界を征服できる、でも、今日は、ここまで、次に会った時が、魔法美少女戦士フローラル、おまえの最後だ!」
「お待ちなさい、正々堂々とお戦いなさい!」
 幹部が消えていく中で焦っているのが後ろで戦闘に加わらずに隠れていた戦闘員達だ。
「あい、あの人間どもを人質にとって、魔法美少女戦士フローラルから逃げようぜ!」 鈴木と山ちゃんに配役として集められていた、悪童と着ぐるみ妖魔を戦闘員がナイフを持って襲ってきた。
「動くなよ、動くと切れるぞ! 魔法美少女戦士フローラル、今すぐ消えろ、さもないと、この人質がどうなるか、わかっているな、まずは、数人、傷つけて犠牲者をだして本気だと魔法美少女戦士フローラル、分からせてやる」
「ぃやぁあああ~~~、怖いよ~~~、助けて~~~~~」
「お待ちなさい!」
 今、魔法美少女戦士フローラルが跳んでたすけようとしてもナイフの方が早いだろう。悪童も魔法美少女戦士フローラルも目を大きく開けて体が動かない。
「待て、戦闘員、子どもたちに手を出すことは許さん!」
 消えたはずの三人の中の一人の女幹部、魔法美少女戦士フローラルより若く見える少女、だが、間違いなく暗黒の女幹部、頭に二本の黒い角、黒いアイマスクをして吊り目、目頭から目尻を一直線で結んだ時に、目尻側が上がっていてクール美人、髪の毛は黒いショート、漆黒の厚めのレオタード、膝上の黒いロングブーツ、肘までの黒いロング手袋、手には乗馬用の鞭らしきものを持っていた。
「パレス様、お許しを」
 
 ビシッ バシッ ビシバシッ~~

 パレス様と呼ばれている妖魔の女幹部が戦闘員を鞭で、次から次へとなぎ倒していくと、戦闘員は奇声をあげて消えていった。
 戦闘員を倒した時の怖い顔から、やさしい目となり、戦闘員に倒された悪童達の所へ行って無言で起こしてあげる。
 魔法美少女戦士フローラルは、ほっと安心した。
「ぎゃぁあああああああ~~~~~~」
 突然の大声に振り向くと、悪童達が自分たちを助けてくれた女幹部に電気棒を当てて苦しめていた。
「な、何をなさっているのです・・あなたたちを助けえくれた命の恩人ですのに・・」
   
 鈴木が悪童の配役に指令を出したのだ。
「いいぞ、リアルに成功だ、その人も撮影の女優だ、電気棒のスイッチを入れても電気は出ない、でも、苦しがってくれて演技を続行してくれるから、着ぐるみの妖魔から女幹部に変更しただけだ、撮影を続行する、台本通りに、魔法美少女戦士フローラルが人間に味方するか、人を助けた妖魔に味方するか、もし、妖魔を助けるなら条件を出して、魔法美少女戦士フローラルの愛とやらを、どこまでしてくれるのか、モニタリングする、始めろ!」

 本物の助けてくれた妖魔とも知らずに、電気棒で苦しめて、魔法美少女戦士フローラルを予定通りにモニタリングするのだった。
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