13 / 59
シーズン1
第十三話
しおりを挟む
凡子は、スマートフォンを取り出した。
メッセージアプリを立ち上げて、QRコードを表示させた。
泉堂もアプリを立ち上げ、凡子を登録した。すぐに、泉堂から『よろしく』とメッセージが来た。
「連絡先を教えたので、受付では話しかけないでください」
「了解」
泉堂は頷きながら笑った。もう、いつも通りの表情だ。
さっき、冷たく感じたのは、凡子の考えすぎだったのかもしれない。
「じゃあ、僕は、一階から入るから」
泉堂が階段を上がっていく。凡子は、制服を取りに更衣室へ向かった。
仕事が終わり、凡子は急いで家に帰った。
月曜日のランチ写真を、まだSNSに投稿できていなかった。火曜日に合気道の稽古を頑張りすぎたせいだ。
考えれば、それも泉堂のせいだった。
泉堂のおかげで良い写真がたくさん手に入った代わりに、振り回されている。結構な時間をくわれている。
凡子は、早くペースを取り戻さなければと思った。
木曜日は、泉堂から連絡も来ず、平和に過ごせた。
金曜日の朝、無事『五十嵐室長はテクニシャン』の更新もあった。五十嵐室長は、今回も愛について悩んでいる。女性を恋愛対象にしながら、女性に体が反応しない。男性にとって大きな悩みなのもわかる。
それでも、凡子は体の結びつきよりも、心の結びつきの方が大切だと思っていた。
凡子は、五十嵐室長が、コンプレックスを克服するのではなく、ありのまま愛されるのを望んでいる。
五十嵐室長には、とにかく、幸せになって欲しかった。
お風呂をすませ、ソファでくつろぎながら、最新話の再読をする。スマートフォンを手に取ると、通知があった。泉堂からメッセージが来ていた。
メッセージアプリを立ち上げ、泉堂とのチャットルームを開く。蓮水監査部長の写真が送られてきていた。
凡子は思わずソファから立ち上がった。まさか、蓮水監査部長の写真が手に入るとは思っていなかった。
「え! 嬉しい。やばい。泉堂さん好き」
凡子は立ち上がったままで、画像を保存した。それから、拡大表示させて、蓮水監査部長の顔を拝んだ。
「頬がほんのり赤い……」
画像を元のサイズに戻して確認すると、手にグラスを持っている。ウイスキーをロックで飲んでいるようだ。
『お二人で飲みに行ってるんですか?』
週末なので、遊びに出かけているのかと思ったが、泉堂からすぐに『蓮水のお別れ会』と返信が来た。
凡子はつい「お別れ会!?」と、大きな声を出した。
今年は、年度替わりが土日に当たっている。
急に、三月末に本社で重大発表があると噂されていたことを思い出した。
『蓮水監査部長、転勤ですか?』
お別れ会ということは、退職もあり得る。凡子は、わけもなく焦っていた。
『転勤じゃなく、部署異動』
部署異動なら時々は会えるはずだ。安心したので、もう一度、もらった画像を見た。
グラスを持つ蓮水監査部長の姿は、貴重だ。泉堂から連絡先の交換を迫られた時は少し怖かったが、こんなメリットがあるなら、渋らずに教えれば良かったと思った。
凡子は、もともとの予定に戻ることにした。『五十嵐室長はテクニシャン』の最新話の再読だ。
泉堂とのやりとりを終わらせるために『飲み会、楽しんでください』と送った。
メッセージアプリを閉じ、投稿サイトを開く。
凡子は、火曜日の夜に投稿された作者のコメントを読んでから、今現在、作者が体調を崩していないか心配になっていた。ストックがあるから今まで通りの更新ができると書いてあったので、今日の分は少し前に書いてあったことになる。サイトには予約投稿機能があるから、今朝も、自動で更新されたはずだ。
「近くに住んでいれば、何かお手伝いできるのに」
自分の発想がかなり痛々しいのもわかっている。それでも凡子は心から、作者のために自分にできることがあるのなら、したいと思っていた。
目下、そのできることが、コメントで感想を伝えることと、SNSでの作品宣伝だった。
再読の余韻に浸っていると、泉堂からのメッセージ通知が来た。仕方なく読みにいく。
『どうして、僕に辞令が出たかどうか、訊いてくれないの?』
凡子は「興味がないから」と、画面のこちら側で悪態をつきながら、『泉堂さんも異動なんですか?』と、送信した。
泉堂から『内緒』と返ってきた。凡子はムッとした。教える気がないなら、質問させないでほしい。
『いつか教えてくださいね』
凡子は、返信してすぐに、通知を切って、画面を閉じた。きっと、蓮水監査部長と同じ部署に異動するのだろう。本人が教えてくれなくても、そのうち、瑠璃から情報が入ってくる。
泉堂が言っていたように、凡子にとって、泉堂は蓮水監査部長の『おまけ』でしかない。
そう考えて、凡子は気づいた。
「部署が変わるってことは、蓮水監査部長が、蓮水なんちゃら部長に変わるってこと!」
それは一大事だった。蓮水監査部長の呼び方を変えなければならない。五十嵐室長が役職付きで呼ばれているから、やはり、イメージにピッタリな蓮水監査部長のことも役職付きで呼ぶべきなのだ。
凡子は、泉堂に『蓮水監査部長はどちらの部署へ異動されるんですか?』と訊いた。
即、『どうして、僕でなく蓮水の異動先を訊くわけ?』と返ってきた。
凡子はため息をついた。泉堂はきっと酔っている。
『泉堂さんは、さっき、内緒って言ったじゃないですか』
そこで、泉堂が返信してこなくなった。
「肝心なことなのに」
凡子はしばらく泉堂とのチャットルームを開いたままにしてメッセージを待っていた。そのうち待つのにも疲れてきた。通知をオンに戻して画面を閉じた。
凡子を揶揄うのに、もう飽きたのだろう。
凡子はモヤモヤした気分を吹き飛ばすために、蓮水監査部長の写真を表示させた。
酔って、少し気が緩んでそうな蓮水監査部長の表情がたまらない。泉堂からの多少の意地悪は許せる気になった。あまりに良い写真なので、待ち受けにしたいが、そうすると、誰かに見られてしまうリスクもある。写真を見ているうちに、五十嵐室長がバーでお酒を飲んでいたシーンを読み返したくなった。
先週更新分の、バーのシーンから読み返しをはじめる。何度読んでも『五十嵐室長はテクニシャン』は面白くて、気がつけば、最新話まで読み返していた。
いつの間にか十一時を過ぎている。この時間なら『お別れ会』もお開きになった後だろう。凡子は明日、朝から出かけるつもりなので、布団に入った。
うとうとしていると、スマートフォンが短く震えた。手を伸ばしてスマートフォンを取った。顔の上で画面を開く。眩しくて片目を閉じた。
『明日、予定あるの?』
凡子は、メッセージを読んで、「明日? なんかあったかな……」と、呟いた。買い物へ行くことを思い出して素直に答えた。
『誰と?』
凡子はなぜそんなことを訊かれるのかわからなかった。
『一人です』
『何を買うの?』
凡子は寝ぼけていて、まともに頭が回っていない。泉堂に無理やり連絡先を交換させられたから、夢を見ているのだと勘違いした。
『泉堂さんのつけてる香水を探しにいくんです』
『どうして、僕の使っている香水を探すの?』
『とても良い香りなので』
凡子は、そのメッセージを送ったあと、完全に、眠りに落ちた。
メッセージアプリを立ち上げて、QRコードを表示させた。
泉堂もアプリを立ち上げ、凡子を登録した。すぐに、泉堂から『よろしく』とメッセージが来た。
「連絡先を教えたので、受付では話しかけないでください」
「了解」
泉堂は頷きながら笑った。もう、いつも通りの表情だ。
さっき、冷たく感じたのは、凡子の考えすぎだったのかもしれない。
「じゃあ、僕は、一階から入るから」
泉堂が階段を上がっていく。凡子は、制服を取りに更衣室へ向かった。
仕事が終わり、凡子は急いで家に帰った。
月曜日のランチ写真を、まだSNSに投稿できていなかった。火曜日に合気道の稽古を頑張りすぎたせいだ。
考えれば、それも泉堂のせいだった。
泉堂のおかげで良い写真がたくさん手に入った代わりに、振り回されている。結構な時間をくわれている。
凡子は、早くペースを取り戻さなければと思った。
木曜日は、泉堂から連絡も来ず、平和に過ごせた。
金曜日の朝、無事『五十嵐室長はテクニシャン』の更新もあった。五十嵐室長は、今回も愛について悩んでいる。女性を恋愛対象にしながら、女性に体が反応しない。男性にとって大きな悩みなのもわかる。
それでも、凡子は体の結びつきよりも、心の結びつきの方が大切だと思っていた。
凡子は、五十嵐室長が、コンプレックスを克服するのではなく、ありのまま愛されるのを望んでいる。
五十嵐室長には、とにかく、幸せになって欲しかった。
お風呂をすませ、ソファでくつろぎながら、最新話の再読をする。スマートフォンを手に取ると、通知があった。泉堂からメッセージが来ていた。
メッセージアプリを立ち上げ、泉堂とのチャットルームを開く。蓮水監査部長の写真が送られてきていた。
凡子は思わずソファから立ち上がった。まさか、蓮水監査部長の写真が手に入るとは思っていなかった。
「え! 嬉しい。やばい。泉堂さん好き」
凡子は立ち上がったままで、画像を保存した。それから、拡大表示させて、蓮水監査部長の顔を拝んだ。
「頬がほんのり赤い……」
画像を元のサイズに戻して確認すると、手にグラスを持っている。ウイスキーをロックで飲んでいるようだ。
『お二人で飲みに行ってるんですか?』
週末なので、遊びに出かけているのかと思ったが、泉堂からすぐに『蓮水のお別れ会』と返信が来た。
凡子はつい「お別れ会!?」と、大きな声を出した。
今年は、年度替わりが土日に当たっている。
急に、三月末に本社で重大発表があると噂されていたことを思い出した。
『蓮水監査部長、転勤ですか?』
お別れ会ということは、退職もあり得る。凡子は、わけもなく焦っていた。
『転勤じゃなく、部署異動』
部署異動なら時々は会えるはずだ。安心したので、もう一度、もらった画像を見た。
グラスを持つ蓮水監査部長の姿は、貴重だ。泉堂から連絡先の交換を迫られた時は少し怖かったが、こんなメリットがあるなら、渋らずに教えれば良かったと思った。
凡子は、もともとの予定に戻ることにした。『五十嵐室長はテクニシャン』の最新話の再読だ。
泉堂とのやりとりを終わらせるために『飲み会、楽しんでください』と送った。
メッセージアプリを閉じ、投稿サイトを開く。
凡子は、火曜日の夜に投稿された作者のコメントを読んでから、今現在、作者が体調を崩していないか心配になっていた。ストックがあるから今まで通りの更新ができると書いてあったので、今日の分は少し前に書いてあったことになる。サイトには予約投稿機能があるから、今朝も、自動で更新されたはずだ。
「近くに住んでいれば、何かお手伝いできるのに」
自分の発想がかなり痛々しいのもわかっている。それでも凡子は心から、作者のために自分にできることがあるのなら、したいと思っていた。
目下、そのできることが、コメントで感想を伝えることと、SNSでの作品宣伝だった。
再読の余韻に浸っていると、泉堂からのメッセージ通知が来た。仕方なく読みにいく。
『どうして、僕に辞令が出たかどうか、訊いてくれないの?』
凡子は「興味がないから」と、画面のこちら側で悪態をつきながら、『泉堂さんも異動なんですか?』と、送信した。
泉堂から『内緒』と返ってきた。凡子はムッとした。教える気がないなら、質問させないでほしい。
『いつか教えてくださいね』
凡子は、返信してすぐに、通知を切って、画面を閉じた。きっと、蓮水監査部長と同じ部署に異動するのだろう。本人が教えてくれなくても、そのうち、瑠璃から情報が入ってくる。
泉堂が言っていたように、凡子にとって、泉堂は蓮水監査部長の『おまけ』でしかない。
そう考えて、凡子は気づいた。
「部署が変わるってことは、蓮水監査部長が、蓮水なんちゃら部長に変わるってこと!」
それは一大事だった。蓮水監査部長の呼び方を変えなければならない。五十嵐室長が役職付きで呼ばれているから、やはり、イメージにピッタリな蓮水監査部長のことも役職付きで呼ぶべきなのだ。
凡子は、泉堂に『蓮水監査部長はどちらの部署へ異動されるんですか?』と訊いた。
即、『どうして、僕でなく蓮水の異動先を訊くわけ?』と返ってきた。
凡子はため息をついた。泉堂はきっと酔っている。
『泉堂さんは、さっき、内緒って言ったじゃないですか』
そこで、泉堂が返信してこなくなった。
「肝心なことなのに」
凡子はしばらく泉堂とのチャットルームを開いたままにしてメッセージを待っていた。そのうち待つのにも疲れてきた。通知をオンに戻して画面を閉じた。
凡子を揶揄うのに、もう飽きたのだろう。
凡子はモヤモヤした気分を吹き飛ばすために、蓮水監査部長の写真を表示させた。
酔って、少し気が緩んでそうな蓮水監査部長の表情がたまらない。泉堂からの多少の意地悪は許せる気になった。あまりに良い写真なので、待ち受けにしたいが、そうすると、誰かに見られてしまうリスクもある。写真を見ているうちに、五十嵐室長がバーでお酒を飲んでいたシーンを読み返したくなった。
先週更新分の、バーのシーンから読み返しをはじめる。何度読んでも『五十嵐室長はテクニシャン』は面白くて、気がつけば、最新話まで読み返していた。
いつの間にか十一時を過ぎている。この時間なら『お別れ会』もお開きになった後だろう。凡子は明日、朝から出かけるつもりなので、布団に入った。
うとうとしていると、スマートフォンが短く震えた。手を伸ばしてスマートフォンを取った。顔の上で画面を開く。眩しくて片目を閉じた。
『明日、予定あるの?』
凡子は、メッセージを読んで、「明日? なんかあったかな……」と、呟いた。買い物へ行くことを思い出して素直に答えた。
『誰と?』
凡子はなぜそんなことを訊かれるのかわからなかった。
『一人です』
『何を買うの?』
凡子は寝ぼけていて、まともに頭が回っていない。泉堂に無理やり連絡先を交換させられたから、夢を見ているのだと勘違いした。
『泉堂さんのつけてる香水を探しにいくんです』
『どうして、僕の使っている香水を探すの?』
『とても良い香りなので』
凡子は、そのメッセージを送ったあと、完全に、眠りに落ちた。
1
あなたにおすすめの小説
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
侯爵様の懺悔
宇野 肇
恋愛
女好きの侯爵様は一年ごとにうら若き貴族の女性を妻に迎えている。
そのどれもが困窮した家へ援助する条件で迫るという手法で、実際に縁づいてから領地経営も上手く回っていくため誰も苦言を呈せない。
侯爵様は一年ごとにとっかえひっかえするだけで、侯爵様は決して貴族法に違反する行為はしていないからだ。
その上、離縁をする際にも夫人となった女性の希望を可能な限り聞いたうえで、新たな縁を取り持ったり、寄付金とともに修道院へ出家させたりするそうなのだ。
おかげで不気味がっているのは娘を差し出さねばならない困窮した貴族の家々ばかりで、平民たちは呑気にも次に来る奥さんは何を希望して次の場所へ行くのか賭けるほどだった。
――では、侯爵様の次の奥様は一体誰になるのだろうか。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる