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 歓迎パーティは私が想像していたものよりも大規模だった。
 なんと精霊界の全ての精霊が集まっていたのだ。

「すごいわね。これはお祭りのようなものになってるわね」

「まぁ露天は出てへんし祭りとは少し違うけどなー」

「それでも私達のためにこんな大規模なパーティ開いてくれるなんて。ありがとねフルミニス」

「まぁ礼はイデリッサに言ってくれや」

 なるほどイデリッサが企画してくれたのね。
 彼女には感謝しかないわね。

「まぁ今日は飲みなはれ!」

「それじゃあありがたく」

「じゃあ私もー」

『マヤハマダ未成年デス。飲ンデハイケマセン』

「ヴァルカンのケチー」

 そう言えばマヤはまだ14歳だったわ。
 帝国は15歳で成人だけどヒカラムはいつからなのかしら?

「私は成人済みだからもらうわね」

「どうぞ」

「シャンパンなのね」

「せやで、チョコレートやショートケーキもあるさかいどんどん食べや」

「チヨコレエト!?」

 私は机の方に向かって少しだけ駆けていく。
 そして予想通りそこにはチョコレエトが置いてあった。

「チヨコレエトだわ!私のお菓子ちゃん達!」

「そんな血相掻いて狙いはチョコかいな」

「えぇ!チヨコレエトは至福の食べ物だもの」

「なんか微妙に発音がおかしいがまぁ美味しいなら何よりや」

 私は机にあるチヨコレエトを一つずつ食べていると、向こうから赤い髪に白い紳士服を着てる美丈夫が歩いてくる。
 グレンが正装してるなんて珍しいわね。
 
「グレン久しぶりね!身体の調子は大丈夫?」

「・・・」

 グレンが口を開けたまま返事もせずこちらをみている。
 あー、私の衣装が普段と違うから驚いてるのね。

「あらー?見惚れてるの?ねぇどうかしら?」

 クルリとその場で回ってみせる。

「あぁ綺麗だ」

「あ、え、その、ありがとつ」

 なんか思っていた反応と違う。
 なんだか少し恥ずかしい。

「初々しいねぇ!グレ坊、初めましてやな。ウチはフルミニス、雷の精霊王や」

「あ、これはどうもご丁寧に。俺はグレン・イガラシだ。ここまでの案内とルルを弟子に取ってくれて感謝する」

「ほぅこれは好青年やな!まぁウチは師匠ぽいことできてるからは微妙やけどな」

「そうね、私魔力の制御以外ほとんど自分でやっちゃったものね」

「まぁ出来のいい弟子ゆーこっちゃ!」

 もう、ほんとにこの人の弟子になって日が経つに連れてこの人の元で学んで何か得られるのか心配になってくるわ。

「全く、フルミニスにも困ったものですね」

「イデリッサ様」

「なんやイデリッサ、自分のとこのグレ坊はうちのルルより強いちゅーんか?」

「えぇ、もちろんですよ。この一週間でグレンは別人の様に仕上がりました」

 グレンがどれだけ成長したのか、それは少しだけみてみたいわ。
 でも今はパーティの真っ最中だもの。

「じゃあグレン、今度模擬戦しましょ?」

「あぁ望むところだ!」

「でも今は」

 私はそっと手を差し出す。
 そしてグレンは私と同じ方を向き、左手を腰に当てた。
 私はグレンの腕にそっと手を置く。

「エスコート、お願いできるかしら?」

「喜んで」

「妬けちゃいますね。私もあと300歳若ければときめいたのに」

「お前、流石に歳下を食べる気じゃないやろな!?」

「本気で心配するとこですか!?」

 そしてしばらく歩いていると、ガウリ様とマーラがシャンパンを持ってこっちに歩いてきた。

「ガウリ様、マーラ」

「ルルシア、マヤ、それにグレン。久しぶりだな」

「お久しぶりです皆様」

「久しいな!ガウリ、お前強くなったな!魔力の質が前とは比べ物になんないぜ」

「ははっ、だが俺は攻撃魔法はあまり極めてはいない。お前達はそれなりに戦闘能力は向上したのだろう?」

「まぁな!今度ルルと模擬戦するんだ!お前も観にこいよ!」

「ほぅ、それは興味深い。だが今は我々の歓迎会だ、存分に楽しませてもらおう」

「あぁ!」

「眠い・・・」

 ネテブラは相変わらずみたいね。
 この子ほんとにガウリ様に何か教えられるのかしら?

「ルルシア、失礼なこと考えてる」

「考えてないわよ?そうね、お詫びにこれあげるわ」

 私は微弱な雷の魔力を彼女に流して、疲れを癒してみせる。
 これが超音波療法って奴。
 まぁ魔法ではないから名前がないだけだけど。

「ッ!?これは何!?身体の怠みが消えた」

「すごいよなー、ウチもこれで肩凝りとか治してもらったんや。どうしてウチよりも雷を自在に使いこなしてんやろなー」

「ルル、すげぇな!俺にもやってくんね?」

「グレンにも?いいけどー」

 どうせなら肩を揉んであげたかったわ。
 まぁ私は魔力操ったほうが早いからいいけど。

「すげぇ!イデリッサのしごきが嘘の様に軽いぜ!」

「余裕ですね!明日からメニューは倍ですからね?」

「じょ、冗談だって」

 久しぶりに会ったみんなは何も変わってなかった。
 そのことがすごく嬉しかった。
 そしてこの歓迎会は明け方になるまで続いた。
 その日私は人生で初めて二日酔いというものを経験した。
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