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イブリンの場合
思いがけない奇跡
友人の結婚式の夜にずっと憧れていた男性と一夜を共にしてからひと月後。
私、イブリン=ロズウェル(22)は信じられない面持ちでとある物を凝視していた。
少量の魔力を流し込んで検査するタイプの妊娠検査魔道具を持つ手をふるわせながら。
「う、嘘でしょう……?」
検査魔道具は(+)を示している。
つまりは妊娠しているという事を私に教えてくれているのだ。
「……この魔道具って、欠陥品?」
なんて言ったらこの医療魔道具のメーカーに怒られるだろうけど、私にはそう思わずにはいられない理由があるのだ。
私には子が出来ない。
十年以上前にそう診断されている。
子ども時代に罹患した魔力障害の後遺症で妊娠出来ない体質になったと告知されたのだ。
私の体内に入った異物全てが私の有する魔力により相殺されてしまう。
ウィルスも細菌も、そして子種…精子も何もかも消し去ってしまうのだ。
おかげで風邪を引かないという利点はあるけれど、妊娠ができないというのは私にとっては喜ばしい事ではなかった。
なので私は早々に女としての人並みの幸せは諦めた。
いや、諦めざるを得なかったと言ってもいいだろう。
子どもが出来なくてもいいと言ってくれる男性との出会いを夢見た時期もあったけど、可能性はゼロではないにせよそんな人と出会える確率は低い事に気付いてからは将来を見越して勉強に専念してきた。
女一人でも、自分で自分を養っていけるような職につく為に。
だから魔術学園に進学し、学歴を手に入れたのだ。
そこで初恋を経験し、その人に引っ張られるように生涯の仕事も決まるとは思いもしなかったけど。
そして……まさかその初恋の人の子を授かるなんて……!
ここ数日微熱っぽく酷い倦怠感と眠気に苛まれていた。
加えて毎月きっちりきっかり28日周期の私の月のものが止まった。
まさか、いやそんなはずはない。
だって私は。
でも医師に私以上に強い魔力を持つ男性の子種なら或は妊娠出来るかもしれないとも言われていたのだ。
まぁ一応ね、ただの風邪で、たまたま月のものも遅れているだけだろうけど一応調べておいて損はないわよね☆と思って妊娠検査魔道具を購入し調べたところ、陽性反応が出たという訳なのだった。
鼓動が高鳴る。
でも喜びに逸る気持ちを落ち着かせ、私は産院を受診した。
だってぬか喜びをしたくはなかったから。
そしてその結果、私はやはり妊娠していた!
妊娠六週目。予定日は来年の初夏との事だった。
「え……いるの……?こ、ここに?私の子宮に?赤ちゃんが……」
私は自分の下腹部に手を当てた。
少し前まで空っぽだった私の胎内に、一つの命が誕生したなんて。
こんな奇跡が私の身に起こるなんて。
この子の遺伝子上の父親である先輩……
ブライト=オースティン氏(25)には申し訳ないけど、産ませて頂こう。
彼には決して告げるつもりもないし、迷惑をかけるつもりは一切ない。
知らないうちに血を分けた子どもが生まれていたなんて気持ちが悪いと思われるかもしれないけど、知らなければ生まれてないのも同義だ。(横暴)
私は私の宝石を、宝ものを守る!
大丈夫よ私の宝石ちゃん。
(胎児ネーム即決)
ママには産休育休が保証された安定した仕事がある!
シングルでもキミを守り育ててゆく気概もある!
(両親は既に他界してるけど)
キミのパパには会わせてあげる訳にはいかないけど、ママがパパの分まで愛してあげるからね!!
と、思っていたのに。
なぜ?なぜ彼が今、私の目の前にいるの?
私の目の前に、あの夜肌を合わせたあの人が居る。
呆然とする私に上官である法務部の次長が私に告げた。
「ロズウェル君。キミには二ヶ月間だけ、本省から出向して来たブライト=オースティン君の補佐に就いて貰う」
「………え?」
「彼の補佐を全面的に任せたよ」
満面の笑みの中に有無を言わせない圧を感じる。
きっと難しい案件なのだろう。
拒否権は………無さそうだ……。
「は、拝命しま、す……」
そして思わず変な吃り方をした私に向かってジュエルちゃんの遺伝子上の父親がこう言った。
「よろしく」と。
私、イブリン=ロズウェル(22)は信じられない面持ちでとある物を凝視していた。
少量の魔力を流し込んで検査するタイプの妊娠検査魔道具を持つ手をふるわせながら。
「う、嘘でしょう……?」
検査魔道具は(+)を示している。
つまりは妊娠しているという事を私に教えてくれているのだ。
「……この魔道具って、欠陥品?」
なんて言ったらこの医療魔道具のメーカーに怒られるだろうけど、私にはそう思わずにはいられない理由があるのだ。
私には子が出来ない。
十年以上前にそう診断されている。
子ども時代に罹患した魔力障害の後遺症で妊娠出来ない体質になったと告知されたのだ。
私の体内に入った異物全てが私の有する魔力により相殺されてしまう。
ウィルスも細菌も、そして子種…精子も何もかも消し去ってしまうのだ。
おかげで風邪を引かないという利点はあるけれど、妊娠ができないというのは私にとっては喜ばしい事ではなかった。
なので私は早々に女としての人並みの幸せは諦めた。
いや、諦めざるを得なかったと言ってもいいだろう。
子どもが出来なくてもいいと言ってくれる男性との出会いを夢見た時期もあったけど、可能性はゼロではないにせよそんな人と出会える確率は低い事に気付いてからは将来を見越して勉強に専念してきた。
女一人でも、自分で自分を養っていけるような職につく為に。
だから魔術学園に進学し、学歴を手に入れたのだ。
そこで初恋を経験し、その人に引っ張られるように生涯の仕事も決まるとは思いもしなかったけど。
そして……まさかその初恋の人の子を授かるなんて……!
ここ数日微熱っぽく酷い倦怠感と眠気に苛まれていた。
加えて毎月きっちりきっかり28日周期の私の月のものが止まった。
まさか、いやそんなはずはない。
だって私は。
でも医師に私以上に強い魔力を持つ男性の子種なら或は妊娠出来るかもしれないとも言われていたのだ。
まぁ一応ね、ただの風邪で、たまたま月のものも遅れているだけだろうけど一応調べておいて損はないわよね☆と思って妊娠検査魔道具を購入し調べたところ、陽性反応が出たという訳なのだった。
鼓動が高鳴る。
でも喜びに逸る気持ちを落ち着かせ、私は産院を受診した。
だってぬか喜びをしたくはなかったから。
そしてその結果、私はやはり妊娠していた!
妊娠六週目。予定日は来年の初夏との事だった。
「え……いるの……?こ、ここに?私の子宮に?赤ちゃんが……」
私は自分の下腹部に手を当てた。
少し前まで空っぽだった私の胎内に、一つの命が誕生したなんて。
こんな奇跡が私の身に起こるなんて。
この子の遺伝子上の父親である先輩……
ブライト=オースティン氏(25)には申し訳ないけど、産ませて頂こう。
彼には決して告げるつもりもないし、迷惑をかけるつもりは一切ない。
知らないうちに血を分けた子どもが生まれていたなんて気持ちが悪いと思われるかもしれないけど、知らなければ生まれてないのも同義だ。(横暴)
私は私の宝石を、宝ものを守る!
大丈夫よ私の宝石ちゃん。
(胎児ネーム即決)
ママには産休育休が保証された安定した仕事がある!
シングルでもキミを守り育ててゆく気概もある!
(両親は既に他界してるけど)
キミのパパには会わせてあげる訳にはいかないけど、ママがパパの分まで愛してあげるからね!!
と、思っていたのに。
なぜ?なぜ彼が今、私の目の前にいるの?
私の目の前に、あの夜肌を合わせたあの人が居る。
呆然とする私に上官である法務部の次長が私に告げた。
「ロズウェル君。キミには二ヶ月間だけ、本省から出向して来たブライト=オースティン君の補佐に就いて貰う」
「………え?」
「彼の補佐を全面的に任せたよ」
満面の笑みの中に有無を言わせない圧を感じる。
きっと難しい案件なのだろう。
拒否権は………無さそうだ……。
「は、拝命しま、す……」
そして思わず変な吃り方をした私に向かってジュエルちゃんの遺伝子上の父親がこう言った。
「よろしく」と。
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