鳥籠姫は夢を見る

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第一章

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    いたわるようなその声音につい言ってしまった。


    「アンリ様………」


    ーしまった!!
    喋るつもりなんてなかったのに。
    まさか起きてたなんて。

    まずい。あの頃の私だってこの人と一言も喋った事が……あ、命を落とす直前に喋ったか。いやでもそこまでは無言を貫いてきたのだ。どうしよう…また未来に誤差が生じてしまうかも……。

    あわあわとする私を心配そうにアンリ様は見守っている。どうしよう。こんな時何て言うのが正解?

    【こんばんは~!近い未来にあなたの国に滅ぼされる予定のグレンドールから来ました!エルフィリア十三歳です☆てへ☆】

    とでも!?
    いやバカ私の大バカ野郎!
    どうする!?帰る!?力尽くで帰る!?
    よしそれだ!

    しかしいきなり転移の呪文を暗唱し始めた私にアンリ様は目を見開き慌てる。

    「待って!何もしないから!お願いだ行かないで!」

    その必死の形相に戸惑ってしまった私は諦めて口を開いた。

    「………本当に何もしない…?」

    もうこの際しょうがない。姿を見られて声も聞かれてしまったのだ。私はこの人と向き合う事にした。

    アンリ様は私の問いを肯定するように首を縦に振る。

    「今日私と出会った事も誰にも……?」

    「言わない。約束する。……名前を聞いても?」

    名前………。どうしよう………。
    貴族の教科書とも言える王族名鑑には私の名前がしっかりと載っている。でも嘘をつく事でまた未来が変わってしまうのは困る。

    「……多分無理だろうけど、できれば私の事を調べたりしないで欲しい……。私の名は……エルフィリア………。」

    アンリ様は真剣な表情をしている。

    ー懐かしいな……その青い瞳。
    暗い時に見ると深海のように美しい。初めて知った。

    「エルフィリアと言うんだね……。私はアンリ。でもこの名前を君は知っていた。どうしてなのか聞いてもいいかい?」

    アンリ様は私の様子を伺うように聞く。
    下手な事を言えばさっきのように私が無理矢理にでも消えると思っての事だろう。

    でもすべてに答える訳にはいかない。
    だってまだ信用できない。

    だからこう答えるしかなかった。

    「それは……言えません………」





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