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2章
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しおりを挟む正門をくぐり馬車が停まる直前にロジェさんが小さく【あっ!】と声を上げた。
何かあったのかと思ったが、馬車を降りてわかった。
「ユリシス様…シャルル様も。」
エントランスホールに立つ二人は、放心したような目で私を見ている。
な、何か変だったかしら…。もしかしたらドレスと宝石が似合ってないとか……。
「マリー………。信じられないくらい綺麗だ。」
表情を無くしたままユリシス様が呟く。
「ホントに……信じられないくらい綺麗だよマリー!!」
続いてシャルル様も。
気恥ずかしいけど、褒めてもらえて良かった。朝から頑張ったかいがあるし、何よりおふたりがせっかく選んで下さった物だ。
「ユリシス様、シャルル様。素敵な贈り物を本当にありがとうございます。マリーは今日、お二人の想いに包まれているようでとても心強いです。」
私の言葉に最近仲の微妙なお二人は珍しくニッコリと頷きあってくれた。
「ユリシス様、シャルル様。娘のためにご尽力いただきました事、誠に感謝いたします。この日を迎えられたのもお二人のおかげです。」
泣き虫お父様が深く頭を下げる。その姿にこれまでどんなに親不孝だったかが思い出され胸がチクリと痛む。
「本日はお招きありがとうございます。先日は失礼を承知で無理なお願いをさせていただきました事お詫び申し上げます。でもまぁ特訓中にお二人ともラッキースケベも多々あったみたいですし、お互い結果オーライって事でよろしいですわよね?」
ニタッと微笑むオデットにお二人の顔がひきつっている。見せてくれなかったが一体姉はお二人への手紙に何と書いたのだろう。
「シモンとオデット嬢はシャルルが部屋まで案内するよ。マリーは私と母上の宮へ。シモン、オデット嬢。また後でね。」
まだ表情のひきつるユリシス様に連れられて、私は王妃様の待つ宮へ向かった。
*************
「マリー本当によく似合ってる。私の選んだものを君が身に付けてくれて嬉しいよ。ありがとう。」
そう言うユリシス様こそとても素敵だ。
夜会用の少し華やかな正装は白を基調としていて、ユリシス様の髪と目の色にとてもよく似合っていてドキドキしてしまう。
「……マリー、今日は私の送った下着を着けてくれているの?」
耳元でそう囁かれて身体が熱くなる。
「……はい……身に付けさせていただいております……。」
最高級の絹糸で織られた生地に柔らかで繊細なレースが重なる下着。いつも身に付けるものよりずっと大人っぽくて少し気恥ずかしかったが、ユリシス様の気持ちだと思い身に付けてきた。
「嬉しい……。後で私にも見せてね。」
ユリシス様は小さな声でそう言ってウインクをくれた。
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