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2章
19ー4
しおりを挟む手紙を読み終わる頃、俺の目からは静かに涙が流れていた。
「………っばかやろう!!」
俺はフランシスの枕元で怒りをぶちまけた。
「俺に悪いと思ってるなら死ぬ気で生きて幸せにしろよ!お前じゃなきゃ駄目なんだ…彼女はお前じゃなきゃ駄目なんだよ!!」
涙で視界がぼやける。
フランシスは困ったような泣きたいような顔で俺を見ている。
「フランシス……俺はお前だから諦めたんだ…何よりも大切なお前だから諦めたんだよ!!だから頼むからお前は諦めるな!」
フランシスの手を再び握るとその頬を涙が伝う。
「………だ…めだ……に……さん…たのむ……」
どんなに握ってもフランシスの手は動かない。
「ジュリアン様。今リュシエンヌさまが王都に入られたとの連絡が………。」
フランシスの顔が歪む。
「………に…さん……」
「フランシス、全て元通りとは行かないとは思う。人の手を借りるとは思うが日常生活を送れるくらいにはきっと………!」
「…にぃ……さんっ……!!!」
フランシスの目が大きく見開く。
「……た…のむ…よ……」
フランシスは力を振り絞るように言葉を放った
この姿を彼女に見せないでくれ
しっかりと俺を見据えてそう言うと、フランシスは震えながら泣き出した。
**************
「……シモン」
「ここにおります。」
「三日だ。三日以内にフランシスを王宮から出せ。………頼む。」
「承知致しました。フランシス様のお命は必ずやお守り致します。殿下はどうされるのですか?」
「俺はリュシエンヌを止める。王宮内に箝口令を敷け。」
「……ジュリアン様………。」
「……恨まれるのは覚悟の上だ……。」
本当にこれがフランシスにしてやれる最後の事なのか………?
そうだとしたら俺は最低な兄だな。
きっと息を切らせて来るのだろう。一刻も早くと。
可哀想に。
これから君はどれほど傷付くだろう。
でももう逃がしてやれない。
そして、小さな足音が早く早くとでも言うように近付いて来る。
あぁ、 来てしまった。
「ジュリアン様! あの、私フランシスのところへ急がないと!失礼致します!」
すれ違いざまに彼女の細く白い手首を掴むと信じられないものを見るような目をして身構える。
「お放し下さい!!何を………!!!」
逃れようと抵抗する彼女を無理矢理担ぎ上げ、そのまま自分の宮へと向かう。
「お止め下さいジュリアン様!!誰か!!誰か助けて!!!フランシス!!フランシス!!」
どんなに叫ぼうとも助けの手が差し出される事はない。
彼女の呼ぶ声は弟に届いてしまっただろうか
************
「………いや、いやぁっ!…許して……お願いもう許して……」
暴れる手を頭の上で押さえ付け、ゆっくり、ゆっくりと、熱く滾る先端から根元までを何度も何度も埋め込んで行く。
あれほど焦がれた色が目の前にある。シーツの上に広がる美しい髪に指を差し入れて梳かすと、リュシエンヌは子供のような表情で泣く。
「……フランシス……フランシス……」
揺さぶられながらフランシスを呼び続ける姿さえも愛おしい。
てらてらと光るいやらしい繋ぎ目の上にある赤い蕾を指で擦るとリュシエンヌが小さく悲鳴を上げる。
羞恥心と…罪悪感でいっぱいだという顔だ。
押さえていた手を放してやり、両手でリュシエンヌの膝裏を持ち上げる。
「…やだ……ジュリアン様………っあぁぁん!!」
激しく激しく奥を抉るようにするとリュシエンヌはすがるように俺の首すじへ手を伸ばす。
暗く静かな部屋にぱちゅん、ぱちゅんとぬめる肉がぶつかる音が響く。
「あぁん!…いやぁ………やぁぁぁん!!」
終わらない責めに我を忘れたように啼き続けるリュシエンヌの首すじに顔を埋める。火照った身体から彼女の甘い匂いが香る。
……気が狂いそうだ…………。
腕の中で愛する人が啼いてる。
俺自身を蜜の滴る愛らしい口で受け入れて、嫌がりながらもきゅうきゅうと締め付けて。
君は悪くない……悪いのは全部俺だ……。
「ひぅん!……あっ!………んぅ…………。」
激しく腰を打ち付けながら、初めて彼女に口づけた。
舌を噛み切られてもいい。それでもその唇に触れたかった。
愛してる そう告げられない想いが口の中で溶けた。
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