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しおりを挟むユーインは少し前に目が覚めていたそうで、どうやらパティが覗きに来たらしいことも教えてくれた。
「朝の支度のためでしょうか、外で控えていた侍女たちに向かって『リーリア様は疲れて眠ってらっしゃるから、皆下がっていいわ』と、まるで部屋の中の私たちに聞かせるような声量で喋っていましたよ」
「……きっと気を遣ってくれたんです。パティは私の気持ちを知っていて、ずっと応援してくれていたから」
きっと、ほんの僅かな時間でもユーインと過ごせるように、心を砕いてくれたのだ。
パティの優しさに鼻の奥がツンとする。
「お陰で私も捕まらずにすみました。婚約前に王女殿下に手を出したとあれば、さすがにただでは済まないでしょうから」
「そんなことはさせません!父上からはもう結婚のお許しだっていただいているんです。だから……その……」
──今夜も、明日の夜も、その先もずっと、私のところに帰ってきて欲しい
そう言えたらどんなにいいか。
けれど、彼には立場があって、今はとても忙しい時期だ。無理を言って困らせたくはない。
すると、ユーインは言いよどむリーリアの上に身体を重ね、こつんと額を合わせた。
「……今夜もここにきて……あなたを抱いてもいいのですか?」
その瞳の中に、昨夜リーリアを貫いていた時の彼と同じ熱を感じ、下腹部が重く疼いた。
「……待ってます。ユーイン様が来てくれるなら、いつまでもずっと」
自分を見つめる美しい顔を両手で包むと、羽根のように優しいキスが降ってきた。
「……必ず来ます。だからリーリアは、それまでにいっぱいお昼寝をしておいてください」
「お昼寝?でもユーイン様、もうお昼ですよ。それにその……ユーイン様がいてくれたお陰でたくさん眠れましたから……」
夜会に閨でのアレコレで、確かに身体は疲れているが、昼寝をするほどではない。
するとユーインはいたずらっぽい顔をして、リーリアの耳元で囁いた。
「今夜は昨日のように、すぐには終われませんよ」
「えっ!?」
ユーインは一体何を言っているのだ。
昨夜だって全然“すぐ”なんかじゃなかった。
終わったのが何時だったのかは定かではないし、一般的な営みの時間がどれくらいなのかは知らないが、少なくとも夜会よりずっと長かった気がする。
それなのにユーインは拗ねたような顔をする。
「全然足りません。それに、大人の我慢は身体によくないのですよ……リーリアと私はただでさえ年が離れていますし……長く共に在るためには、私が健康でいることが大事だと思いませんか?」
「た、たくさんすればユーイン様はずっと健康でいられるのですか!?」
まさか、それが大人の健康の秘訣だなんて。
そんなことアカデミーでも教えてくれなかった。
「ええ。これからも私がたくさん教えて差し上げます……だから、リーリアは素直に受け入れてくれるだけでいい……」
「はい……ん……」
耳朶を親指の腹で優しく擦られ、深く舌を絡め取られる。
自然と下腹部に力が入ってしまい、足の間になにかとろりとしたものが伝う。
──え……何?
驚いて脚をすり合わせるリーリアの様子に、ユーインが何か気付いたようだ。
「ふふ……昨夜の私の愛の証が溢れてきてしまったようですね」
「ユーイン様の……愛の証…………っ!!」
さすがに初なリーリアでもその意味はわかる。
「私も一度戻らなければならないので、リーリアはその間ゆっくりと身を清めてください」
“まあ、すぐにまた元通りになるのですが”
ユーインはそう言うと、今夜の来訪を約束し、リーリアの宮を後にしたのだった。
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