始発バスは異世界行き

10.実った初恋

3.焦らさないで※

｢元の世界には魔法がなかった、とのことですが…男同士の営みの際はどのように…？｣
そう、物理的に洗浄して、ローションを使って、事後の処理をして…。精神的に愛し合う、それだけのことすら簡単ではなかった世界で、肉体的に愛し合うにはいくつもの手順を要した。それすら受け入れてくれていたはずの相手を失って……そして俺はバスに乗った。


乱れることを恥じらうミアをなだめながら、教わった魔法をかける。この魔法は受け入れる側の体を元の世界の小説にあったオメガのように変える魔法だ。こんなに簡単にできれば、と舌打ちしながら読んだこともあったな、ふと優貴の思考が頭を掠める。あの時の女の子が俺のパートナーになるなんて。俺のものになることを、望んでくれているなんて。


｢大丈夫、俺に任せて……抱かれて感じるミアを、もっと見せてくれよ｣

魔法のおかげか、差し込んだ指が湿りを帯びる。んくっ、と一瞬強ばったミアの意識を反らすように、首筋を舐めあげる。
｢っはぁっ…んぅ｣
｢痛いか？｣
｢…んん…痛くない…けど…アァンッ！｣
ここか、ミアのいいとこ。増やした指でそこに触れながら、もう片方の手で元気を取り戻したミアを扱く。
｢アッ、や、ヒァッ、むり、だめ、どっちもなんてだめ、イッ…ちゃ…ァンっ！｣
｢いいよ、何度でもイケよ。ミア、愛してる｣

耳元で囁いたとたん、ミアの体が俺の指をしめつけた。覆い被さる俺の体にしがみついて、震えながら俺の腹を濡らす。上手にイケたな、と頬の涙を吸い取る。
荒い息がおさまって、ミアが俺の目を見て言った。
｢……焦らさないで……エデルのものにしてよ｣

｢……煽ったのはミアだからな｣
夜はまだこれから。ミアの全てを俺のものに。