(第2章連載中)だれか溺愛見せてください。ちなみに、溺愛を見たいだけで、溺愛してもらいたいわけではありません。

水無月あん

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第一章

打ち合わせ

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応接間にとおされて、ラルフと明日のパーティーについて打ち合わせする。

と言っても、婚約者でもないから、お互いの衣装がちぐはぐにならないことや、迎えにきてくれる時間など、ごく簡単なことだけで終了。

別に伝言でもすむんだけど、エルザおばさまに本も渡したかったしね。

「じゃあ、明日よろしく~。エルザおばさまのところに寄ってくわね!」

と、すぐに帰ろうとした私に、
「こら、待て」
ラルフが、ひきとめた。

「なに?」

「今、来たのに、もう帰るのか?」

「だって、エルザおばさまが、お菓子用意してるって言ってたじゃない? きっと、私のだーいすきなルシアンのパウンドケーキでしょ! ムフ、楽しみ~」

ラルフが、はーっとため息をついた。
「なに、菓子につられてんだ? 庶民的な店のケーキだし、いつでも買えるだろ」

「いやいや、自分で買うくらいなら作るから」

「あいかわらず、けちくさいな」

「フフ、ほめてくれてありがとう」

「ほめてない。いいか、ちょっと待ってろ」
そう言うと、部屋をでていった。

そして、ラルフが戻ってきたと思ったら、公爵家のできるメイドさんたちによって、あっという間に、お茶の準備が整えられた。
ルシアンのパウンドケーキもたんまりある!

「エルザおばさまが用意してたケーキ?」

「奪ってきたから、ここで食べてけ」

「やったー! ありがとう!」

久々のケーキを堪能しながら、

フフフ

思わず、笑いがこぼれた。

ラルフは、眉間にしわをよせ、
「気持ち悪いな。なんだ?」

「ラルフって、私とお茶したかったんだ? ひねくれてるけど、かわいいよねえ。そういうところ、小さい頃からかわらないよね」
私は、にまにましながら言った。

すると、無言のまま、両手をのばしてきたと思ったら、私のほっぺたをつまんで、びよーんとひっぱったのだ!

「なにひゅるのよ! いひゃい、いひゃい!」

ラルフは、無言のまま、両手をぱっと離した。

そして、
「悪い。その顔見てると、無性に腹が立ったわ」

「はあ?! ちょっと、この無邪気な顔のどこがよ?」

「全部?」

なんですって! 言い返さないとと思って、ラルフの顔を見る。

…が、悲しいことに、顔はほんとに麗しいんだよね。言い返せない。ずるい…。

漆黒の髪に、すっきりと整った顔立ち。
特に、エメラルドみたいな切れ長の目がきれいなんだよね。

冷たく見える美貌も、私的にはポイントが高い。
これで、寡黙で、ヒロインだけを溺愛していたら…。
まさに、私の好みドンピシャ。

私は、フーッっとため息をついた。

「もったいないよね、ラルフ。その顔面を生かせば、リアルヒーローになれるのに。そして、私にすごい溺愛を見せてくれたらいいのに。ほんと、いろいろ言動が残念すぎる」

「おい、だれが残念なんだ?! 失礼な奴だな。しかし、子どもの頃から、溺愛、溺愛って、よく飽きないな? 俺も数えきれないくらい聞かされたけど、いまだ、その良さが理解できん」

「ええ、あんなに説明したのに、まだ理解できないの? かわいそう!!」

「あ?」
ラルフが、冷え冷えとした声をだした。

あ?じゃないよ。ほんと、もったいない。
その口の悪さじゃ、溺愛ヒーローにはなれないわ。やっぱり残念!





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