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第二章 王都アニマ
26.説明を受ける器用貧乏
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「……それで、俺は今この瞬間からBランク冒険者ってことでいいのか?」
「ちっちっち、甘いよユーリくん。確かに『推薦する』とは言ったけど、それだけでBランクに飛び級できるわけじゃない。ある条件をクリアしてもらう必要があるのさ」
「……条件?」
……さすがにすんなりとBランクへ飛び級できると思っていなかったが、やはり何かあるようだ。
条件があると言っていたが、おそらくその条件とやらがギルドマスターの真の狙いだった可能性が高いな。厄介なことでなければいいが。
「そう。いくらボクが超絶やり手ギルドマスターだとはいえ、いきなり新人をBランクにするのは周囲の不興を買ってしまう」
「……まあ、そうだろうな」
やり手かどうかはさておき、さっきアイシャさんが心配してくれていたように、新人がでかい顔をすれば他の冒険者から不興を買う。
そしてその不興の対象は俺だけではなく、推薦者のギルドマスターにも及んでしまうだろう。
「そのため、ユーリくんにはひとつ依頼をこなしてもらいたい。なあに、簡単な仕事だからあまり緊張しないでくれたまえ」
「……内容は?」
「これは国からの依頼なんだが、騎士団が異変のあった地域の原因調査を行うようでね。しかし、魔物が活発化しているこの状況で、騎士団側も人手が足りてないらしい。
それで冒険者ギルドに支援要請が来たってわけだ。それなりの危険が予測されるので推奨難度はCランク以上……こいつを問題なくこなせれば、ユーリくんは少なくともCランク以上の実力がある証明になるだろう。
そうすればBランクに推薦されても不思議じゃない。ある程度は周りも納得してくれるだろうさ」
調査任務か……まあ、それぐらいだったら引き受けても問題ないだろう。
「……わかった、それだけで済むのなら引き受けよう」
「おお、助かるよ! いやあ、商売敵の騎士団を毛嫌いする冒険者も少なくなくてね。それに国からの依頼って報酬が最低限だから、この依頼不人気でさ。
もしこのまま参加人数のノルマを達成できなかったら、王様から小言を言われるところだったよ」
ギルドマスターは心底ほっとした表情を浮かべている。どうやら俺をBランクに推薦する目的は不人気な依頼の消化だったようだ。
もっと深い企みでもあるのかと疑っていたが、意外と小さい悩みだったな。
「それじゃ、ボクは行かせてもらうよ。詳しいことはアイシャくんに聞いてくれたまえ! アデュー!」
ギルドマスターはそう言いながらマントを翻し、颯爽と走り去っていく。
一方、丸投げされたアイシャさんは大きな溜め息をついていた。いつもギルドマスターに振り回されているのだと思うと、同情してしまうな。
俺も師匠に散々振り回されてきたから気持ちがわかる。
「……ごめんなさいねユーリさん。それでは落ち着ける場所へ行きましょうか。詳しく説明えたします」
「ああ、わかった」
こうして俺はアイシャさんに連れられて、演習場の近くにあった施設の一室で調査任務についての説明を受けた。
要約すると、とある山岳地帯周辺で魔物が異常発生したらしく、その原因の調査をするのが今回の仕事だ。
出発は二日後。移動時間も含め、任務は最低でも丸二日はかかるらしい。
金を前払いした挙げ句、二日間もパグラムの飯が食べられなくなるのはかなりキツイ。キツイが、一度引き受けてしまった以上、今更辞退するわけにもいかない。
……うん。支度するものはいろいろあるだろうが、銀の魔女亭謹製の弁当を作ってもらえないか交渉するのが最優先だな。
そう思い、俺は宿へと戻るのだった。
「ちっちっち、甘いよユーリくん。確かに『推薦する』とは言ったけど、それだけでBランクに飛び級できるわけじゃない。ある条件をクリアしてもらう必要があるのさ」
「……条件?」
……さすがにすんなりとBランクへ飛び級できると思っていなかったが、やはり何かあるようだ。
条件があると言っていたが、おそらくその条件とやらがギルドマスターの真の狙いだった可能性が高いな。厄介なことでなければいいが。
「そう。いくらボクが超絶やり手ギルドマスターだとはいえ、いきなり新人をBランクにするのは周囲の不興を買ってしまう」
「……まあ、そうだろうな」
やり手かどうかはさておき、さっきアイシャさんが心配してくれていたように、新人がでかい顔をすれば他の冒険者から不興を買う。
そしてその不興の対象は俺だけではなく、推薦者のギルドマスターにも及んでしまうだろう。
「そのため、ユーリくんにはひとつ依頼をこなしてもらいたい。なあに、簡単な仕事だからあまり緊張しないでくれたまえ」
「……内容は?」
「これは国からの依頼なんだが、騎士団が異変のあった地域の原因調査を行うようでね。しかし、魔物が活発化しているこの状況で、騎士団側も人手が足りてないらしい。
それで冒険者ギルドに支援要請が来たってわけだ。それなりの危険が予測されるので推奨難度はCランク以上……こいつを問題なくこなせれば、ユーリくんは少なくともCランク以上の実力がある証明になるだろう。
そうすればBランクに推薦されても不思議じゃない。ある程度は周りも納得してくれるだろうさ」
調査任務か……まあ、それぐらいだったら引き受けても問題ないだろう。
「……わかった、それだけで済むのなら引き受けよう」
「おお、助かるよ! いやあ、商売敵の騎士団を毛嫌いする冒険者も少なくなくてね。それに国からの依頼って報酬が最低限だから、この依頼不人気でさ。
もしこのまま参加人数のノルマを達成できなかったら、王様から小言を言われるところだったよ」
ギルドマスターは心底ほっとした表情を浮かべている。どうやら俺をBランクに推薦する目的は不人気な依頼の消化だったようだ。
もっと深い企みでもあるのかと疑っていたが、意外と小さい悩みだったな。
「それじゃ、ボクは行かせてもらうよ。詳しいことはアイシャくんに聞いてくれたまえ! アデュー!」
ギルドマスターはそう言いながらマントを翻し、颯爽と走り去っていく。
一方、丸投げされたアイシャさんは大きな溜め息をついていた。いつもギルドマスターに振り回されているのだと思うと、同情してしまうな。
俺も師匠に散々振り回されてきたから気持ちがわかる。
「……ごめんなさいねユーリさん。それでは落ち着ける場所へ行きましょうか。詳しく説明えたします」
「ああ、わかった」
こうして俺はアイシャさんに連れられて、演習場の近くにあった施設の一室で調査任務についての説明を受けた。
要約すると、とある山岳地帯周辺で魔物が異常発生したらしく、その原因の調査をするのが今回の仕事だ。
出発は二日後。移動時間も含め、任務は最低でも丸二日はかかるらしい。
金を前払いした挙げ句、二日間もパグラムの飯が食べられなくなるのはかなりキツイ。キツイが、一度引き受けてしまった以上、今更辞退するわけにもいかない。
……うん。支度するものはいろいろあるだろうが、銀の魔女亭謹製の弁当を作ってもらえないか交渉するのが最優先だな。
そう思い、俺は宿へと戻るのだった。
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