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第四章 魔人襲撃
46.試される器用貧乏
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「……それじゃ、俺の相手は誰だ?」
わざわざ訓練場まで連れてきたんだ、さすがに『指定の魔物を倒してこい』だなんて、回りくどいことは言わないだろう。
おそらくは魔人と戦うことを想定して、対人戦闘になるはずだ。それも、ここにいる誰かと。
そう考え、俺は王の後ろにいる騎士団連中へと目配りをする。
すると、大半の奴が好戦的な目で見返してくる。……それでいい、どうせ戦うなら強い奴と戦いたい。
アニエスは俺を呼んだ張本人だから手加減を疑われる可能性が高いので除外するとして……この中でもパッと見二人、かなり腕の立つ奴がいるな。
さっき俺に詰め寄ってきた黒鎧の大男と……常に笑顔を保っている白鎧の優男。この二人はここにいる連中……例えばアニエスと比較しても頭ひとつ抜けている。おそらく彼らが各騎士団の団長なのだろう。
いや、油断ならない相手がもうひとりいるか……遠くから魔法を使ってこちらを見ている何者かが。
俺は視線の主がいる方角……具体的には、上空を旋回している鳥の使い魔をじっと見詰めた。
敵意は感じないし、使い魔と視覚を共有する魔法はそう離れた場所で発動しているものではない。まあ、放置していても問題ないだろう。
「陛下、アリューゼ団長。こいつの相手はこの我に任せてはもらえぬだろうか」
俺が視線を騎士団員たちへ戻したタイミングで、ひとりの男が前に出てきていた。
「エドガーか……ふん、いいだろう」
「団長、その名は捨てたと前にも言ったでしょう……今の我の名は漆黒の邪眼使い、ダークネス・イビルアイ・レクイエムだと!」
「う……む、そうだったな」
うわぁ……なんか凄いのが出てきた。
あの堅物そうな団長が若干引いているぞ。
「さあ、貴様が魔に抗う牙を持つのか……はたまたただの迷える子羊なのか……この我が見極めてやろう」
そう言いながら俺へと歩み寄ってきた男は、青みがかった黒髪が顔の右半分を隠し、真っ黒な外套が膝下まで身体を隠した真っ黒人間だ。
黒鎧の大男……アリューゼとか言ってたか。そいつを団長と呼んでいたし、黒牙騎士団の所属だな。ってことは、あの外套の下も黒い鎧なのか……どんだけ黒が好きなんだよ。
……まあいい、せっかくだらあの大男とやってみたかったが、この場を任せられるからには相応の実力があるんだろう。
多少キャラが濃いのは気にしないでおこう。
「あー、えと、よろしくな。漆黒の……魔眼……使いさん?」
「漆黒の邪眼使い、ダークネス・イビルアイ・レクイエムだっ!」
「ああ、それそれ」
「くっ、我をバカにしているのか!?」
どうやら俺の態度が気に障ったようで、顔面を紅潮させながら、わなわなと拳を握り締めている漆黒の人。
そんなに怒られても一回じゃ覚えられないって。まあ、さすがに二回聞いたら覚えたけど、かといって長すぎて言う気にならないのだが。
「落ち着け、お前は第五部隊の隊長だろう。その怒りは剣に乗せればいい」
「団長……フッ、そうだな。この身を焼く漆黒の焔、制御してこそ漆黒の邪眼使いを名乗れるというもの」
いやこいつ隊長なのかよ。
なんか一気にこの国の未来が不安になってきたぞ……。
わざわざ訓練場まで連れてきたんだ、さすがに『指定の魔物を倒してこい』だなんて、回りくどいことは言わないだろう。
おそらくは魔人と戦うことを想定して、対人戦闘になるはずだ。それも、ここにいる誰かと。
そう考え、俺は王の後ろにいる騎士団連中へと目配りをする。
すると、大半の奴が好戦的な目で見返してくる。……それでいい、どうせ戦うなら強い奴と戦いたい。
アニエスは俺を呼んだ張本人だから手加減を疑われる可能性が高いので除外するとして……この中でもパッと見二人、かなり腕の立つ奴がいるな。
さっき俺に詰め寄ってきた黒鎧の大男と……常に笑顔を保っている白鎧の優男。この二人はここにいる連中……例えばアニエスと比較しても頭ひとつ抜けている。おそらく彼らが各騎士団の団長なのだろう。
いや、油断ならない相手がもうひとりいるか……遠くから魔法を使ってこちらを見ている何者かが。
俺は視線の主がいる方角……具体的には、上空を旋回している鳥の使い魔をじっと見詰めた。
敵意は感じないし、使い魔と視覚を共有する魔法はそう離れた場所で発動しているものではない。まあ、放置していても問題ないだろう。
「陛下、アリューゼ団長。こいつの相手はこの我に任せてはもらえぬだろうか」
俺が視線を騎士団員たちへ戻したタイミングで、ひとりの男が前に出てきていた。
「エドガーか……ふん、いいだろう」
「団長、その名は捨てたと前にも言ったでしょう……今の我の名は漆黒の邪眼使い、ダークネス・イビルアイ・レクイエムだと!」
「う……む、そうだったな」
うわぁ……なんか凄いのが出てきた。
あの堅物そうな団長が若干引いているぞ。
「さあ、貴様が魔に抗う牙を持つのか……はたまたただの迷える子羊なのか……この我が見極めてやろう」
そう言いながら俺へと歩み寄ってきた男は、青みがかった黒髪が顔の右半分を隠し、真っ黒な外套が膝下まで身体を隠した真っ黒人間だ。
黒鎧の大男……アリューゼとか言ってたか。そいつを団長と呼んでいたし、黒牙騎士団の所属だな。ってことは、あの外套の下も黒い鎧なのか……どんだけ黒が好きなんだよ。
……まあいい、せっかくだらあの大男とやってみたかったが、この場を任せられるからには相応の実力があるんだろう。
多少キャラが濃いのは気にしないでおこう。
「あー、えと、よろしくな。漆黒の……魔眼……使いさん?」
「漆黒の邪眼使い、ダークネス・イビルアイ・レクイエムだっ!」
「ああ、それそれ」
「くっ、我をバカにしているのか!?」
どうやら俺の態度が気に障ったようで、顔面を紅潮させながら、わなわなと拳を握り締めている漆黒の人。
そんなに怒られても一回じゃ覚えられないって。まあ、さすがに二回聞いたら覚えたけど、かといって長すぎて言う気にならないのだが。
「落ち着け、お前は第五部隊の隊長だろう。その怒りは剣に乗せればいい」
「団長……フッ、そうだな。この身を焼く漆黒の焔、制御してこそ漆黒の邪眼使いを名乗れるというもの」
いやこいつ隊長なのかよ。
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