8 / 120
【一章】異世界でプラモデル
7.街へとご案内
しおりを挟む
一晩明けて朝が来た。
最後クロードさんに凄まれたので寝れないかと思っていたけど、疲れてたのだろう。案外サクッと眠りにつけた。
「ふぁーあ」
あくびをしながら体を伸ばす。特に体調に問題はなさそうだ。
そして寝て起きたことで、やっぱり今の状況が夢ではなかっかたのだなと改めて感じた。
「いっそ夢だったら今頃家でプラモデル作ってたんたろうなぁ……」
異世界生活に憧れもあったが、やはり長年続けてきた趣味が無くなるのも辛い。謎スキル一つだけで先行き不安だし、いっそ夢だったらと願うのも無理はないと思う。
「あー! マジでこれからどうしよう!」
ずっとシルヴィアの家に居続けるわけにもいかないだろうし、 今後の身の振り方を考えなければならない。
俺が悩みで頭を抱えていると、部屋の扉がノックされた。
「あ、はーい。どうぞ」
「失礼します」
扉を開けて部屋に来たのはシルヴィアだった。
こんな朝早くに何か用だろうか……と思ったらその手にはパンやらスープやらが乗ったトレーを持っていた。
「ケイタさん、朝食をお持ちしました」
「ありがとうシルヴィア」
どうやら朝食を運んでくれたみたいだ。……でも、わざわざシルヴィアが持ってこなくてもよかったんじゃないかな。
あれだけ使用人がいるのにも関わらず、令嬢自らがメイドさんみたいなことをする必要は無いと思うんだけど。
まあシルヴィアがなにやら楽しそうだからいいんだけどね。俺も朝から美少女が見れて悪い気はしない。眼福、眼福。
だが何故か俺が朝食を食べている間もシルヴィアは部屋に居続けた。見られながらの食事はさすがに恥ずかしい。
「あの……シルヴィアは食べないの?」
「はい。私はもう朝食は済ませてますので大丈夫ですよ」
さいでか。しかし運ばれてきた食事は明らかに3人前ぐらいある。てっきり一緒に食べるのかと思っていたのだが、違ったらしい。
あれか。昨晩の俺のドカ食いを見て普段からめちゃめちゃ食べる人だと思われてるのかな。まあ出されたものは食べるけども。
ニコニコと笑いながら俺の食事を見ているシルヴィア。
見られている気恥ずかしさもあり、早く食べ終わろうと残った食事を掻き込んだ。
「……ごちそうさま。美味しかったよ」
「はい。それでは参りましょうか」
「え……? どこに?」
シルヴィアが待っていたのは、俺をどこかへと連れていくためだったようだ。しかしこんな朝イチに何処に向かうのだろうか。
「もう……ひどいですよケイタさん。街を案内するって約束したじゃありませんか」
頬を膨らませ拗ねた素振りを見せるシルヴィア。怒っているのかもしれないが、ハムスターみたいでとても愛らしい。
しかし、昨日なんとなくで交わした口約束を律儀に守ってくれるだなんて、真面目な性格なんだな。
「そ、そうだったね。じゃあお願いしようかな」
と言ったのはいいが、ふと一つの疑問が浮かんだ。
「あ……でも出歩いて大丈夫なの? 何か大変な事情があるみたいだけど」
そういえばシルヴィアは先日誘拐されたばかりのはずでは。そんな中、街へと出歩くなど両親が許すはずもない。
するとシルヴィアはそこは盲点であったらしく、しばらく考えに耽っていた。
「――――だ、大丈夫です! 変装していきますから!」
考えた結果が変装か。
まあ昨日の今日だし、変装すれば大丈夫かな?
俺も街は見てみたいし、黙ってればバレないでしょ。
変装の準備のため一度自室に戻ったシルヴィアを見送り、
玄関口でぼーっとしてること約一時間。まだかなあと思っていたら俺のそばへメイドさんがやってきた。
「……? なんだろう」
「お待たせしました、ケイタさん」
「シルヴィア!? どうしたのその格好は!?」
「ふふーん、もちろん変装です!」
そこに現れたのはメイド服を身に纏うシルヴィアだった。
変装がバッチリ決まっていると自負してるのか、自信満々にドヤ顔を決めていた。
だが服装と髪型が変わっただけで、特に顔を隠したりはしていない。正直モロバレである。
ただでさえ端整な顔立ちで目立つので、そこを隠さないのは変装としては下の下だろう。
いや、と言うか街中にメイドさんがいたら逆に目立たないか?
この世界ではそれが普通なのかもわからんけども。
まあ今更着替え直しを要求するのも忍びない。格好に関して特に物言いはせずに、俺とシルヴィアは街へと繰り出したのだった。
最後クロードさんに凄まれたので寝れないかと思っていたけど、疲れてたのだろう。案外サクッと眠りにつけた。
「ふぁーあ」
あくびをしながら体を伸ばす。特に体調に問題はなさそうだ。
そして寝て起きたことで、やっぱり今の状況が夢ではなかっかたのだなと改めて感じた。
「いっそ夢だったら今頃家でプラモデル作ってたんたろうなぁ……」
異世界生活に憧れもあったが、やはり長年続けてきた趣味が無くなるのも辛い。謎スキル一つだけで先行き不安だし、いっそ夢だったらと願うのも無理はないと思う。
「あー! マジでこれからどうしよう!」
ずっとシルヴィアの家に居続けるわけにもいかないだろうし、 今後の身の振り方を考えなければならない。
俺が悩みで頭を抱えていると、部屋の扉がノックされた。
「あ、はーい。どうぞ」
「失礼します」
扉を開けて部屋に来たのはシルヴィアだった。
こんな朝早くに何か用だろうか……と思ったらその手にはパンやらスープやらが乗ったトレーを持っていた。
「ケイタさん、朝食をお持ちしました」
「ありがとうシルヴィア」
どうやら朝食を運んでくれたみたいだ。……でも、わざわざシルヴィアが持ってこなくてもよかったんじゃないかな。
あれだけ使用人がいるのにも関わらず、令嬢自らがメイドさんみたいなことをする必要は無いと思うんだけど。
まあシルヴィアがなにやら楽しそうだからいいんだけどね。俺も朝から美少女が見れて悪い気はしない。眼福、眼福。
だが何故か俺が朝食を食べている間もシルヴィアは部屋に居続けた。見られながらの食事はさすがに恥ずかしい。
「あの……シルヴィアは食べないの?」
「はい。私はもう朝食は済ませてますので大丈夫ですよ」
さいでか。しかし運ばれてきた食事は明らかに3人前ぐらいある。てっきり一緒に食べるのかと思っていたのだが、違ったらしい。
あれか。昨晩の俺のドカ食いを見て普段からめちゃめちゃ食べる人だと思われてるのかな。まあ出されたものは食べるけども。
ニコニコと笑いながら俺の食事を見ているシルヴィア。
見られている気恥ずかしさもあり、早く食べ終わろうと残った食事を掻き込んだ。
「……ごちそうさま。美味しかったよ」
「はい。それでは参りましょうか」
「え……? どこに?」
シルヴィアが待っていたのは、俺をどこかへと連れていくためだったようだ。しかしこんな朝イチに何処に向かうのだろうか。
「もう……ひどいですよケイタさん。街を案内するって約束したじゃありませんか」
頬を膨らませ拗ねた素振りを見せるシルヴィア。怒っているのかもしれないが、ハムスターみたいでとても愛らしい。
しかし、昨日なんとなくで交わした口約束を律儀に守ってくれるだなんて、真面目な性格なんだな。
「そ、そうだったね。じゃあお願いしようかな」
と言ったのはいいが、ふと一つの疑問が浮かんだ。
「あ……でも出歩いて大丈夫なの? 何か大変な事情があるみたいだけど」
そういえばシルヴィアは先日誘拐されたばかりのはずでは。そんな中、街へと出歩くなど両親が許すはずもない。
するとシルヴィアはそこは盲点であったらしく、しばらく考えに耽っていた。
「――――だ、大丈夫です! 変装していきますから!」
考えた結果が変装か。
まあ昨日の今日だし、変装すれば大丈夫かな?
俺も街は見てみたいし、黙ってればバレないでしょ。
変装の準備のため一度自室に戻ったシルヴィアを見送り、
玄関口でぼーっとしてること約一時間。まだかなあと思っていたら俺のそばへメイドさんがやってきた。
「……? なんだろう」
「お待たせしました、ケイタさん」
「シルヴィア!? どうしたのその格好は!?」
「ふふーん、もちろん変装です!」
そこに現れたのはメイド服を身に纏うシルヴィアだった。
変装がバッチリ決まっていると自負してるのか、自信満々にドヤ顔を決めていた。
だが服装と髪型が変わっただけで、特に顔を隠したりはしていない。正直モロバレである。
ただでさえ端整な顔立ちで目立つので、そこを隠さないのは変装としては下の下だろう。
いや、と言うか街中にメイドさんがいたら逆に目立たないか?
この世界ではそれが普通なのかもわからんけども。
まあ今更着替え直しを要求するのも忍びない。格好に関して特に物言いはせずに、俺とシルヴィアは街へと繰り出したのだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
29
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる