めぐる風の星唄

風結

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炎の凪唄

ラクン

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 ーー悪くない。
 燃え立つような、ベルニナの炎が、色彩いろはそのままに、凪いでいく。
 燎原の火しゅうまく
 焼き尽くしたからこそ、生まれた、花々がかのじょの咲き乱れるほんとうのえがお

   優しい形になりたかった
   そこから始めてみたかった
   理想がそのまま 手のひらに
   踏み締める大地は 衝動に溢れて
   空の彼方まで 心を奮わせる
   出逢いを形にしたかった
   それが本当の幸せだと気づいた
   振り返った その先に
   見詰め返した 風の後先
   絡まって結ぶ 炎の庭で
   優しい形になった その場所から
   もう一度
   初めてみようと決めたのだった

 ーーたまに。
 意味を成さない、言葉が溢れてくることがある。
 それは。
 そのままで良いのだ。
 それが、ベルニナを通した、俺のーー。
「伯爵っ!」
 足音と、声。
 どちらも、騒がしかったーー。
「っ!」
 微温湯ぬるまゆに浸かっていたような、穏やかな心地が、乱された瞬間。
 剥ぎ取るように、緩んだ精神を打擲ちょうちゃくする。
 外にいたはずの、護衛の一人が駆け込んでくる。
 足音と声だけでなく、表情も、穏やかならざる事態だと告げていた。
「どうした?」
 伯が、短く問うと、護衛も、的確に答える。
「こちらに向かってくる、正規兵らしからぬ、武装した者が、およそ百。使用人二人は、ヌーシャと共に、逃がしました」
 周囲には、洞穴以外に、めぼしい物はない。
 相手の目的に依るが、本命は、この洞穴ーーイオアニスだろう。
 そう、洞穴であり、一行おれたちであるとは限らない。
 そうなると、逃げた三人は、無事。
 俺たちは、自身の安全を図る必要がある。
 護衛の報告に、頷いた伯は、イオアニスに尋ねる。
「この洞穴に、抜け道のようなものはあるか?」
 ワーグナーさんが前から、ビアンカが後ろから、全力で斬り掛いあつかる態勢する
 二人が、只者ではないことは、イオアニスも感じ取ったようで、不貞腐れながら答えた。
「そんなものはない」
「伯。イオアニスは、嘘は言っていない」
「そのよう、だな」
 伯は頷き、すべてを語れと、双眸に殺意を乗せる。
 アルの、容赦のない完成品ちょうぜつ攻撃で、旋毛を曲げるかと思ったが、老魔法使いは、案外、現実アルのじつりょくをすんなり受け入れたようだった。
「嘘など、言う必要もない。ここに来る者など限られている。大方、ベンズ伯でもやってきたのだろう。出資者ではあるが、ーー色々と面倒な御仁だ」
 これまで聞いてきた、ベンズ伯の、話や噂。
 イオアニスの言うように、やはり、面倒な手合いのようだ。
 ーー通路から入ってくる、大勢の足音。
 時間はない。
 伯が譲ってくれたので、最後に、俺が聞く。
「ベンズ伯の望みは、不老不死か?」
「そうだ」
 あっさりと、肯定。
 これが、この場を切り抜ける、鍵となるかもしれない。
「何だ? 敵か?」
 二十人ほど、ぞろぞろと洞穴に。
 統一性のない、区々まちまちな武具。
 風体も、あまり良いとは言えない。
 俺たちに気づき、半分ほどが武器を構える。
「ふぅー」
 何度経験しても、命が懸かった場面で、冷静になり切ることはできない。
 ーー恐怖を忘れるな。
 物語の中では、そう語られているが、本当にそれが最適なのか、俺にはわからない。
 上手く集中できたのか、心臓の音が聞こえなくなったので、俺は、周囲を見澄ます。
 ーーボルネアとオルタンスは、魔力切れ。
 二人は、アルが護るので、問題ない。
 また、それだけでなく、獣種であるという事実が、彼女たちを守る盾にもなる。
「ベルニナ。こんな密閉空間で、『業火インフェルノ』とか放ってくれるなよ」
「え、あっ、はい!」
 思い切り、戦意を昂らせていた、火神ペレのような女性のてきいに、水を掛けておく。
 ーーすでに五十人ほど。
 相手の数が多すぎる。
 こちらから仕掛けるわけにはいかない。
 可能性は低いが、このまま俺たちは、何事もなく解放されるかもしれないのだ。
「旦那」
 護衛を代表し、ビアンカが、最終確認を行う。
「すまんな。私たちだけなら、特攻もありだが、ーー抵抗は、無しで頼む」
 ーー奥方と、人猫セドゥヌム犬人ウンターを連れて逃げるのは、不可能。
 伯は、相手との交渉を、選んだ。
「大丈夫っす。旦那に命、預けてますんで」
 ワーグナーさんと、もう一人の護衛が頷きーー最後に、渋々ながら、家令が溜め息を吐いた。
 それらの視線が、何故か、俺に向けられる。
「ーーーー」
 熱視線こうげきから逃れ、私兵を見渡す。
 ーー野盗以上、冒険者以下。
 一言で言うと、そんな感じの、零れ落ちる寸前の、者たち。
 扱い方によっては、あっさりと、統制を失うだろう。
 もうそろそろ、百人近くいるらしい、私兵が勢揃いするので、俺は、打てる手を打っておく。
「イオアニス。わかっているな? アルあれに手を出させるようなことは、絶対にするなよ」
「……そう、だな」
 おかしなものだ。
 先程まで闘っていた相手だというのに、心が通じ合う、人種アオスタの二人の男。
 アルは、ボルネアとオルタンスの許に、歩いていった。
 それから、俺を見る。
 ーー頑張って下さいね。
 晴れやかな笑顔を向けてきた。
「あー」
 失敗し、アルが出張るなどという事態になったら、きっと、様々なものが台無しになってしまうだろう。
 魔雄の適切な使いどころなど、世界の危機、くらいしかないのだから。
 それ以外のときに使ったら、下手すれば、国が幾つか吹っ飛ぶ。
「なぁ、伯。私兵が、全員、入ってきているようだが、何で半分くらい、外に待機させておかないんだ?」
 大きな容器などがある、研究施設だけあり、洞穴は、そこそこの広さがあるが、百人は多すぎる。
 洞穴の、半分くらいが人で埋まってしまった。
「伯の好きな言葉がな、『全軍突撃』ーーなのだ」
「……そうか」
 何故か、その言葉で、酷く納得できてしまった。
「ベンズ伯で、間違いない」
 伯が、忌々いまいまし気に、口にする。
 ーー悪役は、最後に登場する。
 そんな、物語の台詞が、頭に浮かんできた。
 大物ーーではある、一応。
 ミセル王の叔父で、継承順位は、二位。
「えー?」
 ーー尊大で、口ひげを生やし、派手な衣装の、長髪の中肉中背。
 そんな御仁を想像していたのだが、俺の頭の中から迷い出てきたような、伯より若干年上の老人が、私兵の最前まで歩み出てきた。
犬鬼コボルドは、余に恐れをなして、討伐は、空振りだったぞ。どこの誰かは知らんが、余の代わりに倒すとは、まったく、余計なことをしてくれるものだ。お陰で、余の武威を満天下に示せなかったではないか」
 伯が剣を抜こうとしたところで、ワーグナーさんが、ベンズ伯に気づかれないように、手捷てばしこく手をつかむ。
 ーー突っ込みどころ満載の、彼の発言。
 伯の気持ちも、わからなくはない。
 性格のほうも、俺が想像していた、駄目てんけいてきな貴族と、あまり変わらないようだ。
「おおっ、イオアニスよ! そうそう、本命は、こっちだ! 完成したと聞いて、駆けつけてきたのだぞ!」
「ーーぬ?」
 戸惑う、というより、純粋に驚いているらしい、イオアニスに。
 俺は、小声で献言けんげんする。
、しているんだから、話を合わせたほうが良いと思うぞ」
 ああいう人種じんしゅは、機嫌を損ねると、厄介だ。
 それにしても。
 ベンズ伯の、勘違いか思い込みなのかは、わからないが、彼はどうも、イオアニスの研究が完成したと、完全に信じ込んでいるようだ。
 まさか、妄想癖まであるとなると、会話自体が成立しない可能性もある。
「ああ、完成は、した。だが、調整は、これからだ」
「なんだ? すぐに不老不死になれるのではないのか?」
 ーーこいつは。
 駄目貴族ではなくーー。
 ーー駄目だ。
 あまりに愚かすぎ、適切な言葉が思い浮かばない。
 私兵たちが、ざわつき始める。
 イオアニスは、「不老不死」という言葉の影響を考慮し、口にするのを避けていたというのに、このベンズ伯バカは。
「……はぁ」
 このベンズ伯アホだけではない。
 下手をすれば、俺たちまで、口封じに、私兵たちに殺されてしまう。
 ーー失うものがない者ほど、怖いものはない。
 使い古された言葉だが、当然、使い古されるだけの、証明をしてきた。
「伯よ。そなたは、本当に、不老不死を得るということが、どういうことか、わかっているのか?」
 さすがは、伯。
 私兵の、幾人かの目が、怪しく輝いたところで、出鼻を挫く。
「はっ、目障りな者がいるかと思ったら、ビュジエ伯か。下流の出身である、そのみすぼらしい顔は、忘れておらんぞ」
 どうやら、自身が嫉妬をしているという事実にすら、気づいていないらしい。
 精悍な伯と、平均的なとくちょうのないベンズ伯。
 出身どうにもならないことで、相手を貶す以外に、他に何もないのだと、証明しているようなものだ。
 奥方の口を、正しく塞いでくれる、家令の老紳士。
 愛する夫が侮辱され、黙っていられるような女性ひとではない。
「ラクンよ。この物知らずに、教えてやれ」
 ーー何の、話だ?
 ぎりぎり、口に出さずに、済んだ。
 ーー危なかった。
 それにつけても。
 酷い。
 ここで他人おれに振るなど、アルの半分くらいの、意地悪だ。
 てっきり、奥方を牽制するために、発言したのかと思っていたら。
 丸投げしてきた。
 しかも、何故だか、伯は、得意気な顔をしている。
 ベルニナや奥方、他の面々も、どういうわけか、心得顔。
 当然。
 眉を、ぴくぴくと痙攣させた、ベンズ伯の機嫌が、底なし沼の底の下まで、落っこちていく。
「ほほう? ビュジエ伯の護衛か何かか? ふんっ、余は寛大であるから、聞いてやらなくもないぞ?」
 大物らしく振る舞おうとし、中途半端に失敗していた。
 正直、こんな人物を説得するなどという、損な役回りは、御免被りたい。
 しかし、彼を通し、私兵たちにも語り掛けることができる、この機会を、逃すわけにはいかない。
「そうだな。まず、知っておかなくてはならないことは、不老不死を得たところで、能力は上がらないということだ」
「む? どういうことだ?」
 ーー少しは自分で考えてくれ。
 そう言いたくなったが、五兎と一緒にこころをしずめて、我慢我慢。
 落第点のベンズ伯だが、きびしさではなく、お菓子やさしさを上げなければいけないようだ。
「単純に、歳を取らず、死ななくなるだけだ。例えばだ、次の継承戦争で、ベンズ伯が破れたとする。そして、幽閉されてしまった。ーーそうなると。当然、能力が上がるわけではないから、抜け出すことはできない。死なないわけだから、水も飯も、与えられないかもしれない。娯楽も何もなく、ただ、腹を空かせ、喉の渇きに苦しみながら、永遠に生きるーーそんな生を、お望みか?」
「ん? んー?」
 まだ呑み込めていないようなので、飴と香辛料も追加そうぞうりょくをで差し出すしげきする
「それに、地位や財は、永遠ではない。仮に、それがあったとしても、狙われるぞ? 不老不死なんて存在がいたら、当然、捕まえて研究する。想像するまでもない。口にするのもはばかられるくらいの、おぞましい目に遭わされるだろうな」
「…………」
 あと、もう一つ。
 ベンズ伯が思い留まるかは、未知数だが、正論を語ってみるおくすりをしょほう
「要は、環境が整っていないーー早過ぎるんだ。きちんと段階を踏んで、魔法から、魔法陣へ。それから、魔法陣の先の、現在の世界には、存在しない概念である、魔法と技術を融合させたものへとーー。少なくとも、千年くらい経たないと、その土台すら、出来上がらないだろうな」
 以前、アルが語った、魔法の、先の先の、展望を交えて話す。
「ふん? まぁ、そなたの言い分もわからなくはないが、そのようなものは、身分の低い、愚か者が陥る、罠のようなものだ。余のような、高貴なものが、失敗するはずがないではないか」
 何を根拠に言っているのかは、さっぱりだが、ベンズ伯は、偉そうに踏ん反り返る。
 ーーやっぱり。
 効き目は薄かった。
 そうではないかと思っていたが、正面から納得させるのは、無理筋だった。
 こうなったからには、少しだけ、きついことを言ってみる。
「そうは言うが、ベンズ伯爵。伯は、継承戦争で、二度も失敗していると、俺は、記憶しているんだが?」
「何を言っている? あれは失敗などではない。戦略的撤退と言うのだ」
 困った。
 ベンズ伯は、本気で言っている。
 それから、どこか遠くを見るような表情で、伯が、述懐した。
「ラクンよ。継承戦争だけではない。ベンズ伯は、致命的なものだけで、五度も失敗しておるのだ」
 悪材料が、また一つ、追加される。
 ーー自分の正しさを、信じて疑わない、手合い。
 ーー都合の悪いことは、聞こえない。
 ーー失敗から学ばないから、同じ失敗をする。
 そういった傾向を持つ者を、これまで幾人か見てきたが、ーーここまで拗らせてしまった者は、初めてだ。
 そういう相手は。
 相手に迎合しつつ、誘導していくーーというのが、常道なのだが、残念ながら、そんな猶予は残されていないようだ。
「ベンズ伯と夫人、あと娘は、面倒だから、一旦、幽閉しておけ。あとはーー」
「ベンズ伯。あちらの獣種二人と青年は、私の研究の、協力者だ。彼ら無しでは、装置は、正しく機能しない」
 俺が、打っておいた、布石。 
 イオアニスは、俺の願い通りにしてくれる。
 どうやら、最悪のアルがうごくような事態じょうきょうは、避けられたようだ。
「獣種と揉めるのは、面倒だな。ふむ、相分かった。では、そちらの男と、獣種の女ーー」
 不意に、言葉を切った、ベンズ伯の視線が、ボルネアに注がれる。
 ーー不味い。
 美貌の人猫セドゥヌムに、一目惚れ、なんてことになったら。
 問答無用でアルがーー。
「そなたーー、『美少女魔女』の、ルネか?」
 ーーは?
「人違いよ」
 速攻で否定する、煤けた表情の、人猫ボルネア
「そうか? 獣種は、見分け難くて敵わん。猫国ベルナルディーノの者と、何度も会っているが、覚えきれん。ーーではなかった、さっさと捕縛しろ」
 ベンズ伯の命令に、私兵の、十人ほどが動く。
 十人の後ろに、九十人ーー多勢に無勢。
 ベンズ伯を人質に取ったとしても、効果はないだろう。
 それどころか、私兵に、余計な機会を与えてしまうことになり兼ねない。
 申し合わせていた通りに、俺たちは、抵抗せず、武器を捨てる。
「ーーーー」
 変に抵抗しても、手荒く扱われるだけなので、俺は、自分から床に腹這いになる。
「ーー?」
 と、何故か、俺が最初に、抑え込まれる。
 ーーこれは、逃げられない。
 私兵の、誰かはわからないが、悪目立ちした俺が、気に入らないとか、そんな理由だろう。
 或いは、一行の中で、一番の危険人物だと判断されたのかもしれない。
 アル以外での、本当の意味での、危険人物つわものーービアンカは、四人掛かりで厳重に抑え込まれる。
「『万年のーきん』のビアンカか。最近、見掛けないと思ってたら、護衛なんかやってたのか」
 ビアンカの両手剣を検分しながら、彼と同年代の私兵が、侮蔑の言葉を投げつける。
「どうだ、羨ましいか? 俺は、生涯を懸けて尽くせる、主を見つけることができたんだ。お前は、今、俺を見下ろしているけどよ、ーー本当に見下ろされてるのは、どっちなんだかな」
「てめぇっ!」
 事実は、人を傷つける、鋭利な刃でもある。
 私兵を、深々と抉る。
「貴様っ……」
 激高し掛けた、伯。
 声一つ、漏らすことがなかった、ビアンカが、伯に顔を向けることで、彼の行動を制止する。
 伯と同様に、炎を猛らせた、ベルニナは。
 家令の代わりに、奥方かっかざん止めていたちんかちゅう
 ーー圧迫感。
 俺も、ビアンカと同じように、蹴られるのかと思ったが、ーー違った。
「ラクン。ーー俺だ。あとで逃がしてやるから、大人しくしてろ」
「…………」
 俺を抑え込んでいる、私兵が、耳打ちしてきた。
 ーー俺は、薄情なのかもしれない。
 声を聞き、嘗て、冒険者の団に所属していた、唯一、友人になれたかもしれない、男の姿を、頭に描き出すことができたのに。
 ーー名前が思い出せない。
 凹んだ。
 相手は、俺の名前を覚えていてくれたのに、俺はーー。
「そのときは、頼む」
 と、凹んでばかりもいられない。
 最低限、やることはやっておかないと。
「ーーベンズ伯。俺が最初の、実験体になる」
「む? 実験体とは、どういうことだ?」
「完成したからと、いきなり、自分の身で試すわけではないだろう? 問題点や、安全性の確認など、今ここに、丁度良い人数が、いるんじゃないか?」
 これで乗ってきてくれれば、不幸が先延ばしにされる。
 完成まで、まだ時間が掛かるとなれば、ベンズ伯は、一度、領都に帰還するかもしれない。
 そうなれば、見張りの数も、少なくなる。
「じゃあ、俺が、二番目ってことだな」
「いえいえ、年齢からして、私のほうを先にしていただかなくてはなりません」
 ビアンカと家令が、乗ってきてくれる。
 乗り遅れた、ワーグナーさんが、凹んでいた。
 ーー良かった。
 皆、まだ余裕があるようだ。
「ふーん? 気に入らんな。余はな、出しゃばりは、大嫌いなのだ。どうせ、良からぬことでも考えているのだろうから、面倒だ、ここで殺してしまえ」
 蟻を踏み潰すように。
 何気なく、足を下ろすめいれいする
 ーー読み間違えた。
 誘導に、失敗した。
 もっと、ベンズ伯を持ち上げ、卑屈になるべきだった。
 或いは、彼が言ったように、策を講じでしゃばりすぎたのかもしれない。
 とはいえ、ネーラが大笑いあとのまつり
 ーーアルなら、上手くやった。
 気紛れな、それでいて妙なところだけ、勘が鋭いーーベンズ伯。
 認識を改める。
 ーー俺の責任だ。
 わかっているのなら、最期まで考え続けるのが、俺の、やるべきことだ。
 ベルニナと奥方が抵抗しようとしたところで、伯が止める。
 どうやら、伯は、こんな事態になっても、まだ俺のことを、信じてくれているらしい。
「あー、駄目だな、こりゃ。苦しまないように、ってやるから、恨まないでくれよ」
「心配するな。見ず知らずの奴に殺されるよりは、増しだ」
 ーーすまん。
 未だ、名前が思い出せないので、心の中で謝っておく。
 考える。
 考え続けながら、俺は、まったく関係のない、別のことを考えている。
 二つの内、どちらにするかで、迷っている。
 最期に、アルを見るか、見ないのかーーそんな、重要ではないたいせつなことを。
 きっと、俺の予想通りの、顔をしているはず。
「ーーーー」
 ここまで、負けが積み重なっている。
 勝ちは、ーーいつになったら、片手の指の本数を、超えるのだろう。
 この手段を採ったら、もう、その機会は、永遠になくなる。
 この場面では、それはアルを許容されないげんめつさせる
 それでも。
 俺の命だけなら、構わない。
 だが、懸かっているのは、俺の命だけではない。
 天秤に掛けること自体が、間違っている。
「…………」
 どうしてこんなにもーー。
 空に手を伸ばし、ーー届かないことなど、当たり前のことだったのに。
 ーーたった、一回。
 加わることが、こんなにも、痛い。
 全身が、引き攣れるようだ。
 俺の中心にある、何かが、罅割れ、壊れ、ーー元には戻らないだろう。
 もう、俺は、幻想アルにーー。
「とっとと、殺ってしまえ」
 ーー最後の手段。
 俺は、魔石のカードをーー。
「ま……」
「待たれよ!!」
 ーー耳が痛い。
 突然、発せられた、洞穴の中での、馬鹿デカい声に、俺の敗北の言葉は、風の女神ラカに攫われてしまった。
「いでっ」
 ビアンカの両手剣を扱い切れなかった、私兵が、剣を止めきれず、彼の首を、ざくっとやってしまう。
「余のめいを妨げるとは、何者か!」
 ベンズ伯が背を向けたので、かさず、ベルニナが治癒魔法を行使する。
 海が割れるかのように、私兵の集団に、道が作られる。
「ーー騎士団?」
 獣国との国境には、騎士団が駐留していると、聞いている。
 慥か、ベンズ伯と仲が悪いと、黒牙団の団長ベッリが言っていた。
「そう、だがーー違う。あれは、近衛騎士団。……しかも、団長の、マルティニー卿が。ブレニーノ様の御傍を離れてまで……?」
 伯が、戸惑っている。
 全身鎧フルプレートの騎士たちの先頭を歩いている、偉丈夫。
 ーーあれは、やばい。
 あの騎士ーーマルティニー卿は、黒猫とも正面から遣り合えるだろう、強烈な気配を発している。
「なん…だと!? マルティニーが、何故ここに!? ……と、そうだった! 双剣のツォーナ! 出番だぞ!!」
 取り乱した、ベンズ伯が、絶叫しながら、きょろきょろと見回す。
 ーー双剣のツォーナ?
 S級のーーそんな切り札まで、用意していたとは。
 俺は、ベンズ伯を、侮っていたのかもしれない。
「あのー、伯爵様。ツォーナさんは、ここに入ってきたときに、なんか凄い驚いて、脱兎の勢いで、逃げていきましたよ?」
「……ほ?」
 私兵の一人が、のんびり報告すると。
 間抜け面を晒していた、ベンズ伯に、俺は、同情した。
 ーー同情、というのは。
 俺や、冒険者組合ギルドの組合総長だけでなく、双剣のツォーナさんも、アルの玩具おもちゃだったらしい。
 きっと、ツォーナさんは、諸悪の根源アルを見た瞬間、世界崩壊と同規模の危機感に苛まれたことだろう。
 ーー騎士は、三十人というところ。
 戦えば、彼らが勝つとは思うが、私兵百人を、圧倒できる数ではない。
 洞穴は狭く、ベンズ伯が有能であれば、私兵側に勝ち目もある。
 一触即発とまではいかないが、すでに両者の間には、険悪な空気が漂っている。
「ベンズ伯。この度のーー」
 不意に、言葉を切った、マルティニー卿の視線が、オルタンスに注がれる。
 ーー何というか、既視感のある光景だ。
 恐らく、今回も、一目惚れとか、色気のある話ではないだろう。
「貴女はーー、『美女魔剣士』の、ルタン嬢でしょうか?」
「他人の空似」
 速攻で否定する、煤けた表情の、犬人オルタンス
「そうですか。恥ずかしながら、獣種の見分けに、長けておりません。間違えたのでしたら、申し訳ない」
 誠実に、頭を下げる、マルティニー卿。
 ーーこれで、二人目。
 「美少女魔女」ーーボ「ルネ」ア。
 「美女魔剣士」ーーオ「ルタン」ス。
 犯人は、一人しかいない。
 じろり、と睨みつけると、アルは、涼しい顔をしていた。
 ーー追及は、あとだ。
 今は、ベンズ伯とマルティニー卿の対面に、注意を払わなくてはならない。
 伯と、ベンズ伯の反応からすると、近衛騎士団の団長が、王の傍を離れるのは、異例のことのようだ。
 マルティニー卿のーー延いては、ミセル王の真意が那辺にあるのか、それ次第で、俺たちの命運も大きく変化してくる。
「ベンズ伯。この度の一件、ブレニーノ様は、不問に付されるお積もりでしたが、そうもいかなくなりました」
「はっ、余の行動を誰かが掣肘できるとでも、思っているのか?」
 ーーこれは。
 ベンズ伯は、まったく意に介していないが、マルティニー卿の言葉には、忽せにはできない内容が含まれている。
 伯によると、ベンズ伯は、五回、致命的な失態を演じたらしい。
 国王は、叛乱の芽でありながら、管理が容易なベンズ伯を、これまでと同様に、許そうとした。
 だが、それが敵わないということは。
 一国の王の意に介在、或いは、翻意させることができるだけの存在が、絡んでいる可能性があるのだ。
 ーーだが、俺の考えは、まだ甘かった。
 マルティニー卿の言葉で、洞穴の空気が、一気に、氷点下まで冷えた。
「よって反抗の意志ある者は、この場に於いて、斬り捨てる」
「ほ……?」
 理由すらわからない、説明なしの、最後通牒。
 ベンズ伯が、兎が魔雄を見とぼつけたようなけた顔をしたとしても、むべなるかな。
「おいおい」
 ーー不味い。
 血気に逸った、少なくない数の私兵が、武器を構え、明確に敵意を示す。
 騎士の側も、マルティニー卿の命令一下、遅疑逡巡など一切なく、乱戦に突入するだろう。
「こりゃ、やべえな」
 俺より二つか三つ、年上の元冒険者が、俺の腕を放し、周囲に視線を走らせる。
 どうやら、行動を決め兼ねているようだ。
「ーーーー」
 それは、俺たちも同じこと。
 そもそも、近衛兵たちが、敵か味方かもわからない。
 目線で、伯に確認するが、彼は、小さく首を振った。
「はぁ」
 内心で、溜め息を吐こうとしたら、うっかり、本当に溜め息を吐いてしまった。
 俺の背中の上から、狼狽した空気が伝わってくる。
 序でに、伯やベルニナ、取り押さえられている護衛に、近くの私兵まで、俺に視線を集めてくる。
 ーー非常に、嫌な想像をしてしまった。
 妄想であったなら、どれだけ良かったか、ーー心地好い、月明かりのような光に満たされた、洞穴を見渡す。
 まず、ベンズ伯。
 全軍突撃、という言葉が好きらしいが、自身の命が懸かっていると、正面から告げられると。
 優柔不断さを発揮し、挙動不審に、わたわたしている、彼は、何も決められずにいる。
 ベンズ伯は、放置で構わない。
 問題は。
 マルティニー卿と、近衛兵だ。
 明らかに、悪手。
 全員が、洞穴に入ってきてしまっている。
 本来なら、洞穴の外で、通路を封鎖ーーのちに、投降を呼びかけるのが、常道。
 マルティニー卿の人となりは覚束ないが、これまで見てきた範囲で、そんな手落ちをするような人物だとは、とてもではないが思えない。
 ーーこんな考えは、馬鹿げている。
 そう思っていても、考えてしまう。
 俺は、どうしようもない、意地悪を、知っているからだ。
「…………」
 もし、マルティニー卿が、態と洞穴に入ってきたのだとしたら。
 当然、そこには、何らかの意図がある。
 ーー嫌だ、嫌だ。
「ラクン……?」
 ーー本当に、嫌だ。
 俺が立ち上がろうとすると、背中から、どいてくれる。
 洞穴の中心に向かい、歩いていくと。
 全員の視線が集まってくる。
 ーー時機タイミングは、悪くない。
 通路の付近で、小競り合いが始まったようだが、道化おれの登場で、一旦、沈静化する。
 覚悟ーーそんなものを決める間もなく、俺は、私兵たちに、提案した。
「ベンズ伯の、私兵百人ーー全員だ、俺の団に入れ」
 静かだった。
 俺の提案に、誰一人、反応しない。
 ーー滑稽な、状況に。
 何だか、少し楽しくなってきた。
「はぁ? 何を言ってーー」
「冒険者の団で、名は、幻魔団だ」
 ビアンカの首を傷つけた、両手剣を持つ男が反応したので、言葉を被せる。
「もちろん、強制じゃない。入りたい奴だけで良い」
「お前、この状況がわかって言ってやがるのか?」
「当然だ。お前こそ、この状況がわかっているのか?」
 問いに、問いで返す。
 すぐに答えられないようなので、選択を迫る。
「それで、お前は、俺の団に入るのか、入らないのか、どちらなんだ?」
「……今更、冒険者に、戻れるはずがねぇだろうが!」
 苛立った男が、自覚なく、傷を曝す。
 俺は、その傷口に、塩を塗り込む。
「そうか。それなら、問題ない。俺の、団に入れ」
「っ、だからーー」
「俺たちの活動範囲は、人種の国だけじゃない。獣国も含んだ、この大陸ルツェルンの、すべてだ」
 これまで、男に向かい、話し掛けていたが、演技をする必要もなく、俺は、すべての私兵に、視線を巡らせていた。
「何だ、お前たち? もしかして、獣種が怖いのか? 私兵になれるくらいだ、後戻りは、まだできるんだろう? 言い訳なんて、しなくて良い。怖いなら、怖いと言って良いぞ」
 若造の、生意気な挑発に、我慢ならなかったのか、別の男が、俺に聞いてくる。
「獣種なんて、怖くねぇ。だがよ、威勢のいいこと言ってんが、ほんとによ、獣国で依頼を受けたんかよ?」
「ああ、幻魔団は、これまで、二件の依頼を受けた。最初の依頼者は、『絶対の主』ーー絶雄カステル・グランデだ」
「ぜっ……」
 絶句したのは、彼だけでなく、大半の者が、息を呑んだ。
 マルティニー卿でさえ、その双眸に、驚きの色を宿している。
「そして、次の依頼が、ビュジエ伯だ」
 洞穴が、水を打ったように、静寂に傅く。
 ーー仕舞った。
 伯の、じと~とした視線が、突き刺さってくる。
 順番を、逆にすれば良かった。
 絶雄の後に、挙げられれば、こうなるのも当然。
 多少、白けた空気を暖めようとしたところで、別の男が、期待を込めた眼差しを向け、尋ねてくる。
「それが本当なら、俺は、幻魔団に入りたい。諦めていた……、やり直せるんなら、俺は、何だってやる。ーーだから、本当だって、証拠を見せてくれ」
「証拠ーーか」
 俺は、ゆっくりと、視線を向ける。
 どこまでが、意図したものなのかは、想像もつかない。
 それでも、手探りで掻き集め、一つの、結果に辿り着いた。
 確信なんてない。
 足元で、這いずっているだけ。
 それでも。
 間違いではないと信じ、俺は、名前を呼ぶ。
「アル」
 魔雄ーー「アル」と「ハビヒ」。
 俺を気に入ったという、魔法使い。
 俺の知らない、俺の内側を、知っている、男。
 ーーまったく。
 俺が、どれだけの想いを籠めて呼んだのか、知ってか知らずか、表情一つ変えずに、魔雄アルは、懐から取り出す。
「御覧の通り、僕は、S級です。噂の、三人目の、S級ーー謎Sです。組合総長には、僕から話を通しておきます。あなた方が、収監されるのかどうかは、知りませんが、そのあとに、ラクンさんが責任を持って、受け容れるそうです」
 ーー今回は、引き分けですね。
 そんな顔で、意地悪が、見てくる。
「この獣種の女たちも、団員なのか?」
 絶雄に、S級。
 驚きが過ぎ、倒れそうになっている者もいる中、ボルネアとオルタンスの近くにいた私兵が、若干、頬を染めながら、聞いてくる。
 すっと、人猫と犬人ぜつゆうのむすめが立ち上がったので、俺は、彼女たちを紹介する。
「彼女たちの名は、ボルネアとオルタンス。ーー四英雄の、系譜だ」
 血統、ではなく、系譜。
 すべてを言っていないだけで、嘘は、言っていないーーはず。
 礼儀は仕込まれているらしく、意外にも、王女らしい振る舞いが様になっている。
 二人が、美猫と美犬であることに気づいた内の、何人かが、特殊な趣味に目覚めようとしていた。
 どうしたものかと、迷っていたら。
 ビアンカの、両手剣を投げ捨てた男が、挑むように問い掛けてくる。
「お前は、何者だ」
「俺か、俺はーー」
 見上げると。
 そっと、心に、落ちてきた。
 反発は、一切なく、浮かび上がってくる。

   ーーラクン・ノウ。
   ーー幻想伯、名誉伯の息子。
   ーーネーラ、兎人そだてのおやの息子。
   ーー顔も知らない、母親うみのおやの息子。
   ーー会ったことのない、弟妹の兄。
   ーー幻想団の、団員になれなかった、男。
   ーー冒険者の、見習い。
   ーー偽魔雄。
   ーー幻魔団の、団長。
   ーー絶雄の称号、幻魔大公。
   ーー「アル」と「ハビヒ」のーー

「俺はーー」
 ーー俺が、何者なのかなんて、そんなこと、決まっている。
 ふわりと、心に入り込んできたから。
 俺は、そのままを、形にする。
「ラクンだ」
 俺は、「アル」に、「ハビヒ」に、宣言したのだった。
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