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六十八話 「大きな収穫」
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長い戦いを経てアッシュ達は遂に第二のダンジョンボス、エルダートレントの討伐を達成した
手を見てみるとそこには新たな紋様が追加で刻まれていた
前回よりも遥かに長い戦闘時間、ダメージこそ軽傷程度だったもののそれ以上に疲労が激しかった
ヴォルフがくれた疲労を軽減してくれるこの靴がなければきっと限界を迎えていただろう
『勝ったー!やったな!』
『うわっ!イズナ!その姿で来られたら・・・!ぐへっ!』
神獣化状態で飛び込んできた瞬間、イズナの神獣化が解けて元の姿へと戻る
イズナがあの花の蕾を二つ破壊してくれて本当に助かった
あの光線が三つ同時にきていたらかなり危なかっただろう
『そういえばイズナ体は大丈夫?あの光線をまともにくらっていたけど』
『素の状態だったらひとたまりもなかったが神狼様の姿を借りたから軽い傷程度で済んだ。本物の神狼様ならかすり傷一つつかないんだろうけどな』
あれをくらってかすり傷すらつかないフェンリルというのは一体どれ程の化け物なのだろうか・・・そんな魔物とはそうそう出くわすことはないだろう
いや、目の前にいるベルもその化け物に入る類だったな
自分の頼みで戦闘を控えるようにしてもらっているだけで、やろうと思えば自分達が苦労して倒したエルダートレントを一撃で終わらせられるとか言っているのだから
『さっ、魔石とドロップアイテムを回収して帰ろう。だからイズナ、そろそろどいてくれないかな?』
『無理だ、神獣化を使用した後は暫く体が動かせない。だからおぶってくれ』
僅か一分とはいえ、あれだけの動きをした分反動もあるようだ
イズナは一旦休ませることにしてアッシュ達は魔石とドロップアイテムの回収を行った
魔石のサイズはあの巨体な割に小さく感じたが、それでも前回のボスよりも大きいものだったのできっと良い値がつくだろう
『ドロップアイテムはっと・・・あれ?おかしいな。ドロップアイテムがないな』
『もしかしてさっきの爆発でドロップアイテムごと・・・?』
『いやそんなはずはないと思う。もしかして・・・スカ?』
ダンジョンボスは基本ドロップアイテムを落としてくれるのだが、稀にこういう事が起こると聞いたことがある
とはいえそれはレアアイテムをドロップするよりも低い確率、まさかそれを引いてしまうとは・・・・
あれだけ頑張って勝ちを手にしたというのにこんな結果になるのは納得がいかないが、駄々をこねたところでドロップアイテムが出てくるわけではないので潔く諦めるしかなかった
『さて、じゃあ帰ろうか』
『腹減った~帰ったら飯だ飯』
『今日は祝宴会だね』
部屋の奥に現れた転移盤を使い地上へ戻ろうとしていると、突然クウの体が光った
エルダートレントの一部で取り込んだことでまた成長することができたかと嬉しく思っていると、クウがこちらに近寄ってきて熱い視線を送ってきた
『ん?どうしたのクウ』
クウに問いかけるもいつものように体で表現しようとせず、ただ体をプルプルを震わせていた
何かあるのかと様子を見守っていると、どこからともなく声が聞こえてきた
『あ・・・ある・・・じ~』
『え?今の声って・・・?』
今のは空耳か?
聞き慣れない声で途切れ途切れだったが確かに主と呼んでいた気がした
まさかと思いクウの方に目を向けるともう一度同じ声が聞こえてきた
『あるじ~』
『もしかして・・・これクウが喋ってるの?』
『そうだよ、クウ喋れるようになったよ』
今度は途切れることなくハッキリと聞こえた
間違いなく声の主は目の前にいるクウのものだった
『本当にクウが・・・クウが喋ってるー!』
声の主がクウだと分かった途端アッシュはクウを抱き上げ、感極まって叫んでしまった
ベルがクウなら喋れるようになるとは言っていたがまさかこんなにも早く話せるようになるとは思いもよらなかった
喜ぶアッシュを見てクウは嬉しそうにしていた
『主とお話できるようになってクウ嬉しいな』
『僕もだよ。これからは沢山お話しようね』
会話が出来るようになったのならきっと今までよりクウの事を知ることができるだろう
疲労困憊でドロップアイテムも落ちずついていないと思ったが、そんな気持ちは全てどこかに飛んでいってしまった
手を見てみるとそこには新たな紋様が追加で刻まれていた
前回よりも遥かに長い戦闘時間、ダメージこそ軽傷程度だったもののそれ以上に疲労が激しかった
ヴォルフがくれた疲労を軽減してくれるこの靴がなければきっと限界を迎えていただろう
『勝ったー!やったな!』
『うわっ!イズナ!その姿で来られたら・・・!ぐへっ!』
神獣化状態で飛び込んできた瞬間、イズナの神獣化が解けて元の姿へと戻る
イズナがあの花の蕾を二つ破壊してくれて本当に助かった
あの光線が三つ同時にきていたらかなり危なかっただろう
『そういえばイズナ体は大丈夫?あの光線をまともにくらっていたけど』
『素の状態だったらひとたまりもなかったが神狼様の姿を借りたから軽い傷程度で済んだ。本物の神狼様ならかすり傷一つつかないんだろうけどな』
あれをくらってかすり傷すらつかないフェンリルというのは一体どれ程の化け物なのだろうか・・・そんな魔物とはそうそう出くわすことはないだろう
いや、目の前にいるベルもその化け物に入る類だったな
自分の頼みで戦闘を控えるようにしてもらっているだけで、やろうと思えば自分達が苦労して倒したエルダートレントを一撃で終わらせられるとか言っているのだから
『さっ、魔石とドロップアイテムを回収して帰ろう。だからイズナ、そろそろどいてくれないかな?』
『無理だ、神獣化を使用した後は暫く体が動かせない。だからおぶってくれ』
僅か一分とはいえ、あれだけの動きをした分反動もあるようだ
イズナは一旦休ませることにしてアッシュ達は魔石とドロップアイテムの回収を行った
魔石のサイズはあの巨体な割に小さく感じたが、それでも前回のボスよりも大きいものだったのできっと良い値がつくだろう
『ドロップアイテムはっと・・・あれ?おかしいな。ドロップアイテムがないな』
『もしかしてさっきの爆発でドロップアイテムごと・・・?』
『いやそんなはずはないと思う。もしかして・・・スカ?』
ダンジョンボスは基本ドロップアイテムを落としてくれるのだが、稀にこういう事が起こると聞いたことがある
とはいえそれはレアアイテムをドロップするよりも低い確率、まさかそれを引いてしまうとは・・・・
あれだけ頑張って勝ちを手にしたというのにこんな結果になるのは納得がいかないが、駄々をこねたところでドロップアイテムが出てくるわけではないので潔く諦めるしかなかった
『さて、じゃあ帰ろうか』
『腹減った~帰ったら飯だ飯』
『今日は祝宴会だね』
部屋の奥に現れた転移盤を使い地上へ戻ろうとしていると、突然クウの体が光った
エルダートレントの一部で取り込んだことでまた成長することができたかと嬉しく思っていると、クウがこちらに近寄ってきて熱い視線を送ってきた
『ん?どうしたのクウ』
クウに問いかけるもいつものように体で表現しようとせず、ただ体をプルプルを震わせていた
何かあるのかと様子を見守っていると、どこからともなく声が聞こえてきた
『あ・・・ある・・・じ~』
『え?今の声って・・・?』
今のは空耳か?
聞き慣れない声で途切れ途切れだったが確かに主と呼んでいた気がした
まさかと思いクウの方に目を向けるともう一度同じ声が聞こえてきた
『あるじ~』
『もしかして・・・これクウが喋ってるの?』
『そうだよ、クウ喋れるようになったよ』
今度は途切れることなくハッキリと聞こえた
間違いなく声の主は目の前にいるクウのものだった
『本当にクウが・・・クウが喋ってるー!』
声の主がクウだと分かった途端アッシュはクウを抱き上げ、感極まって叫んでしまった
ベルがクウなら喋れるようになるとは言っていたがまさかこんなにも早く話せるようになるとは思いもよらなかった
喜ぶアッシュを見てクウは嬉しそうにしていた
『主とお話できるようになってクウ嬉しいな』
『僕もだよ。これからは沢山お話しようね』
会話が出来るようになったのならきっと今までよりクウの事を知ることができるだろう
疲労困憊でドロップアイテムも落ちずついていないと思ったが、そんな気持ちは全てどこかに飛んでいってしまった
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