後輩が『奴隷でもいいから付き合ってっ!』とグイグイ来るようになってから、モテ期がまとめてやってきたのだが

火野 あかり

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第一話 いい加減私と付き合ってくださいよっ!?

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「いい加減私と付き合ってくださいよっ! この際、奴隷でもなんでもいいですよっ!?」
「はっ!? え!? ――嫌だ! 後輩を奴隷にするとか、人格疑われるにも程がある!」
「なんで!? 意味がわからないんですけどっ!? だってこんな美少女、しかも後輩ですよっ!? 先輩も奴隷にしたいんでしょっ!」
「後輩は全く関係なくないか……?」
「――え、え、えっちな小説とかでも奴隷は大人気でしたっ! ノクタなんとかっていうサイトでっ! 自分のものだってわかる首輪つけてご主人様、とか呼ばれたいんでしょ、先輩もっ! 変態っ!」
「勝手な妄想で変態呼ばわりすんな! 俺はあんまり興味ない!」
「あんまりってことは興味津々じゃないですか!」
「誤解!」

 小笠原日向は、放課後、人気のない学校の廊下で、壁に緑川春樹を押し付けながら言う。
 告白、というにはいささか乱暴な光景だ。
 いわゆる壁ドン。しかし男女が逆だ。
 だが日向の顔は、廊下に差し込む夕焼けよりもずっと赤く、赤く、必死に勇気を振り絞って言ったのだということは春樹にも伝わっていた。

「とにかく、私と付き合ってくださいっ! 美少女にこんな恥ずかしいことを何回言わせるんですかっ!」
「何回フればいいんだ、俺は……何回も言ってるだろ? 俺は百合川先輩が好きなの。優しいし美人だし。な、なんかエロい雰囲気だし……」
「はーっ!? 私のほうがおっぱいありますけどっ!? 触ってみますか!? しかも奴隷にすればもっともっとやりたい放題ですよっ!?」

 ずい、と胸を前に押し出し、日向はさっきよりもずっと顔を赤くし、少しだけ顔を背けた。
 壁に押し付けられた春樹は、目だけを下に向けて、明らかに柔らかい膨らみを見つめた。

 確かに……小さい身長の割にはある……。
 というかデカいほうだな、これ。百合川先輩よりは絶対ある。
 巨乳だ、と大騒ぎするレベルでもないけど、決して貧乳ではない……。
 触ってもいいのだろうか。

 奴隷。ダメだろ、それは。
 いやいや、興味がないわけじゃないけど、俺はもっと対等な感じの恋愛がいい。
 というか奴隷はもう恋愛じゃない……よな?

 だが、春樹は無意識にも近い動きで手を伸ばしかける。
 本能が理性をほんの少し上回ってしまったのだ。
 しかし、日向は胸を両腕で覆い隠した。

「ちょっ、先輩っ!? 本気で触る気……?」
「あ、だめなのか。良いって言ったからつい……」
「そんなわけないでしょ! そ、そういうのは付き合って、手をつないだりとかキ、キスとかして、しばらく経って結婚とかするときにするもの……じゃなくて! 付き合ってもない子の胸触るとか最低じゃないですかっ!」
「お、お前から言ったのに……俺だって勘違いするんだぞ」
「本気にするなっ! で、でもまぁ付き合ってくれるなら考えないでもない、かも……」

 ごにょごにょと何かを言いながら、指と指を絡める動作をする日向を見て、春樹は思う。

 コイツはコイツで可愛いんだよな。顔は間違いなく可愛い。
 だがしかし、好きは好きでも、妹っぽい好きだ。

 第一、俺なんか好きにならなくても、いくらでもいい男はいるのに……。
 だいたい奴隷って、どんな発想の飛躍だ。
 発想の飛躍グセは素直にダメなところだな。

 もったいないことだ、と思いながら、春樹は口を尖らせて顔を赤らめる可愛い後輩を見つめる。



 ――数ヶ月前。

 小笠原日向は緑川春樹の一つ下、高校一年生。
 春樹とは図書委員で同じ、というだけのつながりだった。

 初めて会ったのは、図書委員の放課後当番のとき。
 貸出や返却のため、カウンターで仕事をする日だ。
 春樹の学校では二人一組で対応し、ペアは学年違いとされている。
 
 何度か一緒に図書委員の仕事をして、日向という人間にすっかり慣れた春樹は、カウンターで新しく入った本を読み、日向はカウンターに突っ伏してだらだらとしていた。
 これがふたりの基本スタイルだ。

 二人きりの沈黙は、日向にとっても春樹にとっても苦痛でも嫌でもない。
 家族と過ごしているような不思議な落ち着きがあった。
 
 日向は時々、横に居る春樹の顔を見る。
 やせ型で、頼りなく見える白い肌。
 本を見つめる目は真剣そのもの。

 先輩、結構まつげ長いんだなぁ、といつも日向は思う。
 
「緑川先輩、そんな難しい本ばっかり面白いです?」
「小笠原は読まないの? 図書委員なのに」
「楽そうだから入っただけですよ。図書室涼しいし。――だったのに結構やること多いんですよねぇ、図書委員って」

 日向はカウンターの上で転がるように悪態をつく。
 図書室の中には春樹と日向以外誰もいないため、注意はしない。
 面倒な気持ちそのものはわかるからだ。

「新しい本のチェックとかもあるし、意外と利用者が多いからな。俺は二年目だから慣れてる。小笠原は別に帰ってもいいぞ。俺一人でも大丈夫。あと残ってるのは返却本の棚入れとか、力仕事ばっかりだし」
「それは嫌ですよ。高校入ったばっかりでサボりとか、絶対先生の印象悪くなる」
「結構計算高いんだな……馬鹿なのかと思ってた」
「はぁ? そんなわけないでしょ。私がどれだけ受験勉強頑張ってこの高校に入ったのか、一から説明しましょうか?」
「いや、いい。ま、入学おめでと。頑張るのはいいことだよ」

 本から全く目を離さずに、日向に賛辞を送る春樹を見ながら、日向は目を細めた。

 なんでこの人、こんなに私に興味ないわけ?
 ――私結構モテるんですけどっ? 
 もう三人に告白されてるくらいなのに。

 黒髪を首元くらいまで伸ばし、高校に入ってからはあまり膨らまない程度のボブカット。
 小動物のような雰囲気でありながら、出るところはそれなりに出ている。
 顔の作りがよく性格が明るいために、元から人気だった日向はより一層モテるようになっていた。

 入学から三ヶ月、たったそれだけの間に同級生、先輩から呼び出され、告白もされている。もっとも、告白自体は全て断った。知らない人間と付き合う気にならなかったからだ。
 単純に意味がわからなかった。
 日向にとって、恋愛は好きなもの同士でするもの。付き合ってから好きになる、は理解できない。
 要するに、日向は自分の容姿にそれなりの自信があったのだ。それなのに、春樹は微動だにしない。

 日向は高校一年生だが、未だに恋というものをしたことがない。
 人を好きになる感覚というのがどうにも希薄で、異性相手だと興味が薄いのだ。

 それでも恋愛ものの漫画や映画は好きだ。
 いつか自分も熱い恋愛をしてみたいという願望はある。というよりも、恋愛の基準がそこなせいで現実の恋愛ができないと言える。
 
 な、なんかムカつく!
 絶対好きにさせてやるっ!

「先輩って彼女いるんですか?」

 そう、自分になびかないのはきっとそのせいだ。
 そうでないのならありえない。
 こんな地味で冴えない男が自分に興味がないなど、ありえてはいけない。

「いないけど? どうかしたのか」
「え、いないんだ、先輩なのに」
「年齢がどう関係あるんだよ。小笠原はもう何人かできたのか?」
「なんで複数前提!?」
「モテそうだから。そんな見た目なら何人かには告白されたりしてるだろ? 可愛いから」
「か、かわっ……!?」
「川? 俺は小笠原が可愛いって言ったんだ」

 な、な、何この人!?
 いきなり何言っちゃってんの!?

 日向は動揺する。これ以上ないほど動揺し、狼狽した。
 
 か、顔熱っ!
 告白する人でさえ、面と向かってそんなこと言わなかったのに!

 平然とした顔で言い、真顔のまま春樹は日向を見つめ続ける。
 にらめっこにも近い状況で、先に顔を背けたのは日向だ。
 
 見つめ合い続けるというのが恥ずかしかった。
 負けた腹いせと言わんばかりに、日向は質問する。

「な、なんでいきなりそんなこと言うんですか……」
「? 思ったからだけど。別に普通だろ。テレビで芸能人見て可愛いとか言うだろ? それと同じ。そっちこそどうした。こんなの言われ慣れてるだろうに」

 慣れてない!
 可愛いっていうのはお父さんくらい! あとおじいちゃん!

 春樹は再び本に目線を落とそうとした。日向はそれを止める為に質問する。
 少しは恥ずかしがってもらわないと割に合わないと日向は思う。

「せ、先輩はモテないんですか?」
「俺か? 俺はモテないなぁ。本ばっかり読んでるし、面白味がない以上は仕方ない。女の子はスポーツできるやつとか好きだろ。足速いやつとか」
「しょ、小学生かっ! もっと顔がかっこいいとか、――あ、あとスポーツできるとか」
「ほら。今の理屈だと小笠原は小学生だな」

 本から完全に目を離し、日向を笑顔で見つめる春樹の目は輝いているように見えた。

 どきん、と日向の心臓が大きく高鳴る。
 全身が震えるような衝撃だった。
 
 え、なにこれ。
 え、こんな冴えない先輩に?
 え、嘘、嘘。

 ――もしかして、これが初恋?

 理屈ではない心の昂ぶりに、日向は自分が恋に落ちていたことを自覚した。

 そして、重要な事を聞く。
 この結果次第で、日向の初恋は終わるかもしれなかった。

「せ、先輩は好きな人っているんですか……?」
「ああ、いるぞ。同じ図書委員の百合川葵先輩。知ってるだろ? 一年の頃からずっと憧れてた。あんまり話したこともないけどさ」
「百合川先輩……」

 日向は恋のライバルが想像以上の大物であったことを知り、落胆と少しの高揚を得る。

 百合川葵。
 
 春樹の一つ上の三年生だ。
 長い黒髪をたなびかせ、悠然と廊下を歩く姿を日向も何度か見たことがある。
 その時の光景は、息を呑む、というのがまさにふさわしい表現だった。

 すれ違う誰も彼もが振り向いて姿を確認せざるを得ない。
 同性である日向でさえ、初めて見たときはこんな綺麗な人が現実にいるのだとほうけてしまったくらいだ。

 大企業の資産家令嬢であり、動く人形のように美しい容姿。
 成績は学年トップ、必然学校内トップであり、在学中の身でありながら小説の賞を取ったこともあるらしい。
 住む世界がちがうと文句なく言える人物だ。
 図書委員長でもある。

 無理に決まってるじゃん。
 あんな人、釣り合う人なんてほとんどいないよ。
 私が勝てるのは……胸くらいかな。百合川先輩はすらっとしてるし。

 好きな人がいるということには素直に落胆したが、相手が百合川葵ならば話は違う。
 はっきり言って春樹の恋が実る目はないと思われた。
 それもそのはず、百合川葵の人気度は圧倒的で、冴えない春樹が選ばれる理由など皆目見当もつかない。
 強いてあげるならば意外性。
 一般的な男なら恥ずかしく思うことでさえ、春樹は平然と口にする性格だ。

「無理じゃないですか……? 百合川先輩ってモテるとかってレベルじゃないですよ」
「だろうな。でもまぁ、いいんだ。俺が思ってる分には自由だろ? 『フランケンシュタイン』のメアリー・シェリーだって、『恋愛の真の本質は、自由なの』って言ってたからな」
「そうじゃなくて……もっと身近な人じゃダメなんですか? こう、……お手軽みたいな」
「そういうのじゃないんだ。あの人はさ、知性と包容力があって、そうだな、聖母みたいな感じだ。ダメな俺でも受け入れてくれそうっていうか、あんな人に好かれたら、自分を好きになれる気がする。だから好きなんだ」

 言っていることはわからないでもない気がすると日向は思う。
 条件で諦めるというのは、きっと本質的には恋愛じゃないし、自分を認めてくれる、大事にしてくれるというのは重要な要素だ。

 日向の憧れていた恋愛というのは、もっと精神的なつながりを重視したもの。
 そういう意味で、春樹の恋愛観は日向と似ていた。

 日向は少しだけ迷い、すぐに決めた。
 ――人生で初めての告白。
 日向は思い立ったら即行動を起こす性格だった。
 やらない後悔よりやる後悔。父が昔そんな事を言っていたことを思い出す。

 でも、本気で言ってフラれたらショックを受けてしまう。
 だから日向は軽い言い方で誤魔化しつつ言う。
 冗談の一環。そんな逃げ道を作った言い方だ。

「――ねぇ先輩。私たちお試しで付き合ってみません? 友達以上恋人寄りみたいな。意外と相性いいかも知れないし、百合川先輩と先輩がうまくいきそうなら私は身を引きますから」
「なんだそれ。恋人未満じゃないのか。それだと小笠原が都合のいい女みたいだぞ。いくら俺がモテないと言っても、その手の冗談には乗らない」
「冗談ではなくてですね……私、先輩が好きかもしれません。ちょっとドキドキするというか、そんな感じで」
「あれじゃないか、疲れてるんじゃないか? 最近は夏前の割に暑い日も続いてたしな。体調悪いなら帰ってもいいんだぞ」
「あれぇっ!? 結構勇気を振り絞ったんですけどっ!? 熱中症みたいな感じで流しちゃうのっ!?」
「と、図書室ではお静かに!」
「静かでいられるわけないでしょっ! ――わ、私、多分初恋なんですからねっ!? キズモノにした責任はとってもらいますからっ!」
「理不尽!」

 この日から春樹の生活は一変した。
 可愛い後輩から毎日のようにラブコールを受ける日々が始まったのだ。

 押せ押せ。押してダメならもっと押せ。
 一点突破で突き進め。
 見るからに押しに弱そうな春樹ならば、こっちのほうがいいと日向は考える。
 自分の武器は元気さと容姿だと日向は理解していた。

「先輩がそういうの好きなら、奴隷とかでもいいですよっ!?」
「お前の中で俺はどういう人間に見えてんの!?」
「思わせぶりドS」
「どういうこと!?」

 隣の芝生は青く見える。
 その言葉が真実であるということを春樹は痛感していく。
 ――モテる男というのは、不思議と急にモテるようになるもので……。
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