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本編
サロモン様は女嫌い
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まさか、こんな事になるなんて思ってもおりませんでしたわ!
わたくしは今サロモン様と密室の中に閉じ込められている状況に愕然としていました。
令嬢が男子と同じ部屋、それも密室にいるなんて、何かあってもおかしくないと噂を立てられてもおかしくない世界が、貴族社会でございますのよ?
事実かどうかなんて関係ありませんわ。そういう状況になり、噂がたてばわたくしだけでなく、家名にも傷がつくのですから。
マリアンヌ様に「仲直りをしよう」という事で、このお部屋に呼び出されて、行ってみると、すでにそこにはサロモン様がいらっしゃって、ドアに鍵がかけられてしまったというわけです。
この部屋は学園の離れで、あまり人が近づかないところにあるので「密会」に使われているという噂も聞きましたわ。
「少しは落ち着いたらどうです?」
相変わらず冷静なままのサロモン様。
「でも!」
「うっとおしい令嬢とは違ってあなたは少しはまともだと思っていたのですが…」
「いつここから出られるかわからないのに冷静でいられませんわ!」
この密室に閉じ込められてから数時間は立っていると思いますわ。外が薄暗くなっていますもの。
「そのようにウロウロしても何の解決にもならないでしょう?」
「……」
サロモン様のいう事はもっともですわ、だけど、不安になるのが女の子というものでしょう?
これがアリステア様ならドキドキランデブータイムでしたのに!それにわたくしと結婚する(予定)のあの方なら、噂を立てられても、それを逆手に取って婚約にこぎつけることもできますのに!
「わたくしが、愚かでしたわ。マリアンヌ様のことをうっかり信じてしまいました」
「いくらフィリップの婚約者候補にあの女が指名されたからといって迂闊でしたね。これでは王太子妃は務まりませんね」
「わたくしには恐れ多い事だと思っておりますわ。それにフィリップ様がお好きなのはマリアンヌ様でしょう?」
「あの女に騙されているだけですよ。フィリップは女のずる賢い裏の顔を見ずに幻想を抱いているから、ああいう女を経験するのもいい薬になるでしょう」
「サロモン様は女の方に対してあまりいい感情をお持ちでないようですのね?」
「私の地位と容姿に群がる女達に嫌気がさしたのでね。王位継承権も辞退したし、ただの王宮魔術師になった今、やっと平穏な生活が戻ってきてホッとしているところですよ」
サロモン様が王族であったことに驚きを隠しきれないわたくしを、ブルーの瞳が射抜く。
「女が皆あなたのようにわかりやすく、冷静なら嫌気もささなかったのですがね」
「サロモン様は女の方がお嫌いですの?」
「ほとんどの女は空っぽの頭に虚栄心や物欲を埋め込んで、着飾るだけの存在です」
「いろいろ大変でしたのね?」
「あなたもそうでしょう?」
「わたくしは王族ではありませんから、サロモン様程の重圧は経験しておりませんわ」
わたくしの言葉にサロモン様の表情が和らいだ。
「そういう女ばかりが周りにいた。だから女は性欲処理に以外に必要ないと思っていたのですがね」
「!」
冷たいぐらいの美形が「性欲処理」なんていう生々しい言葉を口にしたから、わたくしはびっくりしすぎて、言葉を紡げなくなってしまう。
「私も将来それなりの相手と結婚するでしょうから、少なくともまともな会話のできる相手なら好ましいと思っていますがね、だけど、私に合う地位にいて、美しく懸命な令嬢は稀だ」
「……」
固まってしまったわたくしを見て、サロモン様が楽しそうに笑い声を上げた。
「そんなに怖がらなくても、今ここで取って食おうとするわけじゃありませんよ」
「ご、ごめんなさいっ!そ、そうですわね」
ほとんど無表情のサロモン様が微笑むと、かなり美形度がアップして危険ですわ!
「密室で男の前でそういう顔をしない方がいいい…」
「えっ…?」
サロモン様の言葉を追求しようとした瞬間ドアが開いて、アリステア様がいた。綺麗な青い瞳が曇っているけれど、やはり、わたくしを助けにきてくれた王子様だわ!
「レティー、無事か?」
「アリステア様!」
「無事に決まっているでしょう?ご令嬢に無粋な真似はいたしませんよ?」
「サロモン、お前のことだから、心配してないが…」
アリステア様はわたくしに近づくと、ほっぺに手を当てて、
「少し、冷えているな、温かい飲み物でも入れさせよう。さあ、行こう」
と、わたくしの手を引っ張ってアリステア様のお部屋に連行されてしまいましたの。
嬉しすぎて、それを見つめるサロモン様の瞳が’険しいものになっていたことに気づく事はありませんでしたわ。
まさかこの密室での出来事が、サロモン様の冷たいハートに火をつけたなんてあの時は思ってもいませんでしたの。
わたくしは今サロモン様と密室の中に閉じ込められている状況に愕然としていました。
令嬢が男子と同じ部屋、それも密室にいるなんて、何かあってもおかしくないと噂を立てられてもおかしくない世界が、貴族社会でございますのよ?
事実かどうかなんて関係ありませんわ。そういう状況になり、噂がたてばわたくしだけでなく、家名にも傷がつくのですから。
マリアンヌ様に「仲直りをしよう」という事で、このお部屋に呼び出されて、行ってみると、すでにそこにはサロモン様がいらっしゃって、ドアに鍵がかけられてしまったというわけです。
この部屋は学園の離れで、あまり人が近づかないところにあるので「密会」に使われているという噂も聞きましたわ。
「少しは落ち着いたらどうです?」
相変わらず冷静なままのサロモン様。
「でも!」
「うっとおしい令嬢とは違ってあなたは少しはまともだと思っていたのですが…」
「いつここから出られるかわからないのに冷静でいられませんわ!」
この密室に閉じ込められてから数時間は立っていると思いますわ。外が薄暗くなっていますもの。
「そのようにウロウロしても何の解決にもならないでしょう?」
「……」
サロモン様のいう事はもっともですわ、だけど、不安になるのが女の子というものでしょう?
これがアリステア様ならドキドキランデブータイムでしたのに!それにわたくしと結婚する(予定)のあの方なら、噂を立てられても、それを逆手に取って婚約にこぎつけることもできますのに!
「わたくしが、愚かでしたわ。マリアンヌ様のことをうっかり信じてしまいました」
「いくらフィリップの婚約者候補にあの女が指名されたからといって迂闊でしたね。これでは王太子妃は務まりませんね」
「わたくしには恐れ多い事だと思っておりますわ。それにフィリップ様がお好きなのはマリアンヌ様でしょう?」
「あの女に騙されているだけですよ。フィリップは女のずる賢い裏の顔を見ずに幻想を抱いているから、ああいう女を経験するのもいい薬になるでしょう」
「サロモン様は女の方に対してあまりいい感情をお持ちでないようですのね?」
「私の地位と容姿に群がる女達に嫌気がさしたのでね。王位継承権も辞退したし、ただの王宮魔術師になった今、やっと平穏な生活が戻ってきてホッとしているところですよ」
サロモン様が王族であったことに驚きを隠しきれないわたくしを、ブルーの瞳が射抜く。
「女が皆あなたのようにわかりやすく、冷静なら嫌気もささなかったのですがね」
「サロモン様は女の方がお嫌いですの?」
「ほとんどの女は空っぽの頭に虚栄心や物欲を埋め込んで、着飾るだけの存在です」
「いろいろ大変でしたのね?」
「あなたもそうでしょう?」
「わたくしは王族ではありませんから、サロモン様程の重圧は経験しておりませんわ」
わたくしの言葉にサロモン様の表情が和らいだ。
「そういう女ばかりが周りにいた。だから女は性欲処理に以外に必要ないと思っていたのですがね」
「!」
冷たいぐらいの美形が「性欲処理」なんていう生々しい言葉を口にしたから、わたくしはびっくりしすぎて、言葉を紡げなくなってしまう。
「私も将来それなりの相手と結婚するでしょうから、少なくともまともな会話のできる相手なら好ましいと思っていますがね、だけど、私に合う地位にいて、美しく懸命な令嬢は稀だ」
「……」
固まってしまったわたくしを見て、サロモン様が楽しそうに笑い声を上げた。
「そんなに怖がらなくても、今ここで取って食おうとするわけじゃありませんよ」
「ご、ごめんなさいっ!そ、そうですわね」
ほとんど無表情のサロモン様が微笑むと、かなり美形度がアップして危険ですわ!
「密室で男の前でそういう顔をしない方がいいい…」
「えっ…?」
サロモン様の言葉を追求しようとした瞬間ドアが開いて、アリステア様がいた。綺麗な青い瞳が曇っているけれど、やはり、わたくしを助けにきてくれた王子様だわ!
「レティー、無事か?」
「アリステア様!」
「無事に決まっているでしょう?ご令嬢に無粋な真似はいたしませんよ?」
「サロモン、お前のことだから、心配してないが…」
アリステア様はわたくしに近づくと、ほっぺに手を当てて、
「少し、冷えているな、温かい飲み物でも入れさせよう。さあ、行こう」
と、わたくしの手を引っ張ってアリステア様のお部屋に連行されてしまいましたの。
嬉しすぎて、それを見つめるサロモン様の瞳が’険しいものになっていたことに気づく事はありませんでしたわ。
まさかこの密室での出来事が、サロモン様の冷たいハートに火をつけたなんてあの時は思ってもいませんでしたの。
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