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本編
女子会は癒しですわ
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わたくしの寮のお部屋のサロンで、週末リーシア様とエルメリア様を招待してお茶会を開くことにいたしましたの。
入学してから、ランチと魔法基礎学のクラスでご一緒してたのですけれど、昔のように集まって女子会を開くのはこれが初めてで、わたくしウキウキして金曜の夜は眠れませんでしたわ。
サテラが焼き菓子だけでなく、色とりどりケーキや、ミニサンド、マカロンとクッキーも用意してくれたおかげで、3人では多すぎる量になりましたけれど。紅茶も各種のブレンドを取り揃えましたわ。
そして、リーシア様とエルメリア様がいらっしゃいましたの。
「レティシア様、この度はお招きありがとうございます」
「こんな素敵なお茶会にご招待してくださって光栄ですわ」
リーシア様は茶色の髪に似合うピンクのドレス、エルメリア様は黒髪とは対象的なブルーのドレスで可愛らしく着飾って来られて、可愛らしくてキュンとしましたわ。
やはり、可愛いは正義ですわね!
わたくしもお気に入りの若草色のドレスとアリステア様からいただいた髪留めで精一杯着飾ってお出迎えしましたわ。
「リーシア様、エルメリア様、わたくしのお茶会に来てくださってありがとう。今日は思いっきり楽しみましょうね?」
わたくしの言葉で、席についたご令嬢たちにサテラが好みの紅茶を淹れる。リーシア様はアッサム、エルメリア様はダージリン、わたくしはアールグレイという風に決まりました。
前世はわたくし紅茶よりもコーヒー派でしたので、あまり嗜んでいなかったのですけれど、日本で知っていた紅茶の名前と同じブレンドがあることを知って取り寄せてみましたの。味が同じかどうかは不明ですけれど。
「レティシア様、その髪ざりいつもしていらっしゃいますけれど、可愛らしいですわね?」
「これは、アリステア様にいただきましたの」
わたくしが顔を赤らめて答えると、
「まあ、それではレティシア様はアリステア様と…」
「いえ、違いますのよ?妹様のお誕生日のプレゼントを選ぶのをお手伝いしたお礼にいただきましたの」
「でも、レティシア様はアリステア様がお好きでしょう?」
「運命の恋ですものねー」
「ええ。そうですけれど、あくまで現在のわたくしの立場は王家の婚約者候補でフィリップ様をさしおいて、そういう関係になるわけにはいきませんわ」
「そうなの?」
グラード男爵家の令嬢であるエリメリア様はこういう細かい王家のしきたりのことはご存知ないからびっくりしておられるわ。
「それって、継承権関係のアレよね?」
リーシア様がわたくしにいわれた。
「そうですわ。わたくしはフィリップ様の婚約者候補ではなく、王家の婚約者候補ですけれど、優先権は王位継承権1位のフィリップ様にありますの。フィリップ様のお心が決まっていないのに、わたくしがアリステア様にわたくしの気持ちを告白するなんてことはありませんし、お付き合いなんて、夢のまた夢ですわ」
言葉にするとその現実が重くのしかかってくる。
「でもこのあいだのお話を聞いていたら、アリステア様にも権利はある、ということよね?」
「ええ。アリステア様は第3位だから、実質的には2位なのですけれど」
「ああ、そういうことね。わかったわ。だったらレティシア様、かなりいい感じではないかしら?」
「ええ!それにアリステア様があそこでサーティス様の暴走を止めたことも、そのプレゼントだって、レティシア様がお好きだからではないかしら?」
「アリステア様は次期公爵家のご当主になる方だわ。ご本人は軍事バカとおっしゃるけれど、紳士教育もしっかり受けてらっしゃるし、お優しいから、あの時わたくしを守ってくださったのは騎士道精神からよ」
「そうかしら?」
「うーん、本人の口から好きだとか聞くまではグレーゾーンよねえ」
「でしょう?」
「無理に明るい方に解釈して一人走りしても恥ずかしいし、取り返しがつかなくなるわ」
「それはいえてますわね」
「とりあえず、サーティス様の件がうやむやになってありがたいと思うしかないですわね。他国とはいえ、求婚を受けて、それをいきなり拒否することもできませんし、外交問題にも影響しますから、白紙に戻って良かったですわ」
「レティシア様はあんなにかっこいいサーティス様よりやはりアリステア様なの?」
「ええ」
「フィリップ様よりも?」
「フィリップ様はお優しくて素敵な方ですけれど、わたくしに王太子妃が務まるとは思いませんの。ああいうポジションは腹芸もうまくないといけませんでしょう?」
「あー、そうよねえ」
「同感。そういう性格ならあのマリアンヌ様がぴったりよねえ?」
「ランチの間中毎回レティシア様を睨んでらっしゃいますものねえ」
隣にいるフィリップ様とリチャード様にはわからないけれど、わたくしの隣にいるリーシア様とエルメリア様はその視線が目に入る。サロモン様もわたくしたちの席に着かれることが多いから気づかれているのではないかしら?
「ええ、この間もアリステア様とサーティス様に手を出すな!と怒られましたわ」
「あら?あの方はフィリップ様と親しいのでは?」
「ええ。なんだがわかりませんけれど、フィリップ様だけでなく、あそこの殿方たちは全てマリアンヌ様のもの、ということらしいですわ」
わたくしの言葉に二人は唖然としてお菓子を食べる手も止まっている。
「はっ?」
「あの方、男爵家のご令嬢でしたわよね?」
「ええ」
「平民ではなく?」
「元平民で庶子として引き取られたと聞いておりますわ」
「ああ、なるほど」
「自由恋愛だと思ってらっしゃるのね?」
「そのようですわ。平民間では奔放な恋愛も自由ですものね」
「貴族の常識としてそのような行為は異端ですのにねえ」
「ええ。フィリップ様とお親しいなら特にそのようなことは、ねえ」
「ええ。王太子に対してのそのような振る舞いは不敬にあたりますわよねえ」
「大丈夫なのかしら?」
わたくしたちの心配をよそにマリアンヌ様が新しい婚約者候補にフィリップ様直々に選ばれたことを知ったのはそれから数日後のことでしたわ。
入学してから、ランチと魔法基礎学のクラスでご一緒してたのですけれど、昔のように集まって女子会を開くのはこれが初めてで、わたくしウキウキして金曜の夜は眠れませんでしたわ。
サテラが焼き菓子だけでなく、色とりどりケーキや、ミニサンド、マカロンとクッキーも用意してくれたおかげで、3人では多すぎる量になりましたけれど。紅茶も各種のブレンドを取り揃えましたわ。
そして、リーシア様とエルメリア様がいらっしゃいましたの。
「レティシア様、この度はお招きありがとうございます」
「こんな素敵なお茶会にご招待してくださって光栄ですわ」
リーシア様は茶色の髪に似合うピンクのドレス、エルメリア様は黒髪とは対象的なブルーのドレスで可愛らしく着飾って来られて、可愛らしくてキュンとしましたわ。
やはり、可愛いは正義ですわね!
わたくしもお気に入りの若草色のドレスとアリステア様からいただいた髪留めで精一杯着飾ってお出迎えしましたわ。
「リーシア様、エルメリア様、わたくしのお茶会に来てくださってありがとう。今日は思いっきり楽しみましょうね?」
わたくしの言葉で、席についたご令嬢たちにサテラが好みの紅茶を淹れる。リーシア様はアッサム、エルメリア様はダージリン、わたくしはアールグレイという風に決まりました。
前世はわたくし紅茶よりもコーヒー派でしたので、あまり嗜んでいなかったのですけれど、日本で知っていた紅茶の名前と同じブレンドがあることを知って取り寄せてみましたの。味が同じかどうかは不明ですけれど。
「レティシア様、その髪ざりいつもしていらっしゃいますけれど、可愛らしいですわね?」
「これは、アリステア様にいただきましたの」
わたくしが顔を赤らめて答えると、
「まあ、それではレティシア様はアリステア様と…」
「いえ、違いますのよ?妹様のお誕生日のプレゼントを選ぶのをお手伝いしたお礼にいただきましたの」
「でも、レティシア様はアリステア様がお好きでしょう?」
「運命の恋ですものねー」
「ええ。そうですけれど、あくまで現在のわたくしの立場は王家の婚約者候補でフィリップ様をさしおいて、そういう関係になるわけにはいきませんわ」
「そうなの?」
グラード男爵家の令嬢であるエリメリア様はこういう細かい王家のしきたりのことはご存知ないからびっくりしておられるわ。
「それって、継承権関係のアレよね?」
リーシア様がわたくしにいわれた。
「そうですわ。わたくしはフィリップ様の婚約者候補ではなく、王家の婚約者候補ですけれど、優先権は王位継承権1位のフィリップ様にありますの。フィリップ様のお心が決まっていないのに、わたくしがアリステア様にわたくしの気持ちを告白するなんてことはありませんし、お付き合いなんて、夢のまた夢ですわ」
言葉にするとその現実が重くのしかかってくる。
「でもこのあいだのお話を聞いていたら、アリステア様にも権利はある、ということよね?」
「ええ。アリステア様は第3位だから、実質的には2位なのですけれど」
「ああ、そういうことね。わかったわ。だったらレティシア様、かなりいい感じではないかしら?」
「ええ!それにアリステア様があそこでサーティス様の暴走を止めたことも、そのプレゼントだって、レティシア様がお好きだからではないかしら?」
「アリステア様は次期公爵家のご当主になる方だわ。ご本人は軍事バカとおっしゃるけれど、紳士教育もしっかり受けてらっしゃるし、お優しいから、あの時わたくしを守ってくださったのは騎士道精神からよ」
「そうかしら?」
「うーん、本人の口から好きだとか聞くまではグレーゾーンよねえ」
「でしょう?」
「無理に明るい方に解釈して一人走りしても恥ずかしいし、取り返しがつかなくなるわ」
「それはいえてますわね」
「とりあえず、サーティス様の件がうやむやになってありがたいと思うしかないですわね。他国とはいえ、求婚を受けて、それをいきなり拒否することもできませんし、外交問題にも影響しますから、白紙に戻って良かったですわ」
「レティシア様はあんなにかっこいいサーティス様よりやはりアリステア様なの?」
「ええ」
「フィリップ様よりも?」
「フィリップ様はお優しくて素敵な方ですけれど、わたくしに王太子妃が務まるとは思いませんの。ああいうポジションは腹芸もうまくないといけませんでしょう?」
「あー、そうよねえ」
「同感。そういう性格ならあのマリアンヌ様がぴったりよねえ?」
「ランチの間中毎回レティシア様を睨んでらっしゃいますものねえ」
隣にいるフィリップ様とリチャード様にはわからないけれど、わたくしの隣にいるリーシア様とエルメリア様はその視線が目に入る。サロモン様もわたくしたちの席に着かれることが多いから気づかれているのではないかしら?
「ええ、この間もアリステア様とサーティス様に手を出すな!と怒られましたわ」
「あら?あの方はフィリップ様と親しいのでは?」
「ええ。なんだがわかりませんけれど、フィリップ様だけでなく、あそこの殿方たちは全てマリアンヌ様のもの、ということらしいですわ」
わたくしの言葉に二人は唖然としてお菓子を食べる手も止まっている。
「はっ?」
「あの方、男爵家のご令嬢でしたわよね?」
「ええ」
「平民ではなく?」
「元平民で庶子として引き取られたと聞いておりますわ」
「ああ、なるほど」
「自由恋愛だと思ってらっしゃるのね?」
「そのようですわ。平民間では奔放な恋愛も自由ですものね」
「貴族の常識としてそのような行為は異端ですのにねえ」
「ええ。フィリップ様とお親しいなら特にそのようなことは、ねえ」
「ええ。王太子に対してのそのような振る舞いは不敬にあたりますわよねえ」
「大丈夫なのかしら?」
わたくしたちの心配をよそにマリアンヌ様が新しい婚約者候補にフィリップ様直々に選ばれたことを知ったのはそれから数日後のことでしたわ。
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