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本編

逆ーハーなんてまっぴらごめん!

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サロモン様とサーティース様が私にロックオンしてきているのは、ゆゆしい事態ですわ!

わたくしが好きなのはあくまでアリステア様なのに!

わたくしの目の前で書簡を読んでいらっしゃるアリステア様を見つめながら、溜息をついてしまいましたわ。

もちろん、気づかれないようにそっとですけれども。

「レティー?」

わたくしが見つめていたのを気づいて、アリステア様を目が合う。

ああ、やはり好みですわ!

その優しげな瞳も、静かな微笑みも!

「ごっ、ごめんなさい、アリステア様、どうぞ、お続けくださいませ?」

「いや、もう目を通したから。浮かない顔だね?」

やはり、アリステア様にはわたくしの淑女の仮面は通じないのですわ、なぜかわからないけれど、気持ちを読み取られてしまう。それが、嬉しくもあり、恥ずかしくもあるのですけれど。

「いえ、大したことではありませんのよ?」

「それならいいけれど、君には笑顔が似合うから、何か悩みがあるのなら力になるよ?」

わたくしの悩みは「あなたと両思いになりたいこと」ですわ!

なんてとてもいえませんわ。

「………」

「レティー?」

「本当に大丈夫ですのよ?お気遣いありがとうございます。アリステア様。それよりも、マリアンヌ様とフィリップ様のことどう思われますか?」

「その件については君の方が困っているだろう?」

「わたくしは、あくまでフィリップ様の幸せを願う立場ですわ。マリアンヌ様をお選びになられるのなら、心から祝福いたしますわ」

「私が君の立場ならそんなふうに微笑んで祝福できるかどうかわからない」

「そう、ですの?」

「好きな相手ならどんなことをしても手に入れたいと思うものではないかな?」

「わたくし達はそういう立場ではありませんわ。選ぶのは殿方の方ですもの」

そう、わたくしの未来はフィリップ様の選択次第なのですわ。

「レティーは、フィリップをどう思っている?」

フィリップ様、臣下としてお慕いしておりますが、それ以上の感情はございませんわ。お会いしたのはすごい昔ですし、覚えてもおりませんもの。

「次期国王として立派に国を動かしていける方だと思っておりますわ。臣下として王家を支えて行けるのは光栄だと考えております」

わたくしの言葉にアリステア様が沈黙される。

「レティシアは王家を大切に思っているのだな」

ええ。でも男の方で大切にしたいのはあなただけですわ。

「最近、リチャードと出かけているという噂を聞いたのだが…」

「えっ、ああ、たまたまそういうことになって、子供達にも懐かれてしまいましたので」

長い沈黙の中、アリステア様が再び口を開かれた。

「そうか」

「ええ。マリアンヌ様のことで落ち込んでおられましたわ」

「フィリップが相手では引き下がるしかないからな」

「ええ」

「あの、アリステア様は…」

わたくしは思わず本音をいいかけて言葉をつぐんだ。

「なんでもありませんわ」

アリステア様も引き下がるのですか?なんていえませんわ。

「いい気候になってきましたわね?」

「ええ」

「遠乗りにはいい気候だ」

「そうですわね」

「今度、一緒に行かないか?」

「!!!!!!!」

アリステア様の突然のお誘いにびっくりしてしまいましたわ。

「ええ、喜んで」

こうしてなんだかわかりませんけれど、突然デートすることになりましたの。

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