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本編
懲りないマリアンヌ様(後)
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甘いお菓子を楽しむ暇もないぐらい、マリアンヌ様の怒涛のトークは続きましたわ。
「このところフローレンス語ばかりでまともな会話ができなくてストレスが溜まっていたのよね!たまに招待されるお茶会も王妃様の許可が出ないと行けないし。王太子妃の教育が終わるまでは、公の場に出て欲しくないってはっきりいわれたし。まあ、王妃様は私たちの結婚に反対はしてないんだけれど、これ以上敵を作りたくないから、聞いているんだけどね」
「まあ、そうでしたの」
「だから、私と同じ立場だったあなたと話がしたくてしょうがなかったの。あなたなら私の気持ちをわかってくれると思って。フィリップ様の婚約者候補だったしね!」
わたくし、こういわれて少し返す言葉に困りましたわ。だってわたくしは公爵家の令嬢として、そしてフィリップ様の婚約者候補として小さな頃から躾られて、王太子妃になっても恥ずかしくないような教育を受けてきましたのよ?
「も、誰でもいいから話したくて!」
平民とそれほど変わらない立場の男爵令嬢とは年季が違うのですけれど、マリアンヌ様から見れば、わたくしが彼女と同じ立場にいたと考えてらっしゃるようで、言葉に詰まりましたわ。
わたくしは微笑みは絶やさずに聞き役に徹することに決めましたの。
「で、今はどのような教育をなさっているの?」
「この国の歴史と王族の歴史、その他諸々のマナーかな。それと外国語。フローレンス語だけ。これ以上はもう頭に入らなくて、あと2ヶ国語増やされる予定だったんだけど、他のレッスンがおろそかになるから。唯一楽しいのはダンスのレッスンだけどね」
「まあ、そうですの。フィリップ様の婚約者となるまではあまり馴染みのないものばかりだったのではないですか?」
「そう!そうなのよ!だからもうついて行くのが大変で、朝から晩までよ!フィリップ様が忙しいから、こんだけ詰め込まれてもいいんだけどね」
「婚約者の務めですからね」
「ゲームでは簡単そうだったのに実際となると大変だわ!」
「フィリップ様の妻として、将来の王妃として色々詰め込まれるのはお約束ですわ」
「だから、黙ってこなしてるわ。だけど、こういう憂さ晴らしの場でもないと!」
「まあ、ではその為には今回のお茶会を?」
「そう!お互い色々発散できるでしょう?」
発散できるのはマリアンヌ様だけで、わたくしはこの場にいるのが苦痛でしかありませんが、それをおくびにも出さないのが高位貴族ですわ。
わたくしは微笑みかけました。
「色々あったけど、もう過ぎたことだし、これからは家族になるんだから親交を深めるのもいいしね!」
色々あった、というかそれの被害を受けたのは主にわたくしで、わたくしの方がそのセリフをいうのはわかるんですけれど、マリアンヌ様がそれをいわれて、勝手に友好宣言をなさいましたわ。
わたくしとしては悪巧みされるより、友好的に接してくれる方がいいのだけれど、親交を深めるほど、深くお付き合いしたいとは思っておりませんのよ。
「これからは王太子妃としてマリアンヌ様も様々な方とご交流を深められると思いますわ。わたくしよりもずっと位の高い方たちと。お忙しくなられるので、あまりご一緒する時間はないと思いますわ」
「そうよねえー。だから、慣れとして初めはあなたと話すぐらいがやっぱりちょうどよかったのかも!」
この返答自体大変失礼で、高位貴族らしくない、男爵令嬢ぽいところなのですけれど。
「とりあえず、色々聞いてもらうことにするわ!」
私の嫌な予感は当たりましたわ。それから2時間にわたって、お菓子をつまみながらマリアンヌ様の愚痴に付き合う羽目になりましたの。
これも愛するアリステア様の為。将来の公爵夫人として、嫌いな王太子妃様にも当たり障りなく、接しておいて、色々情報を得ることも大切ですしね。フローレンス公国のご令嬢達はマリアンヌ様も無視して、楽しい会話に明け暮れておらわましたわ。時々、面白そうな弱みの情報が話された時には会話を止めて聞いておられましたけれどね。
そうして、悪夢のお茶会は終わりましたの。
「このところフローレンス語ばかりでまともな会話ができなくてストレスが溜まっていたのよね!たまに招待されるお茶会も王妃様の許可が出ないと行けないし。王太子妃の教育が終わるまでは、公の場に出て欲しくないってはっきりいわれたし。まあ、王妃様は私たちの結婚に反対はしてないんだけれど、これ以上敵を作りたくないから、聞いているんだけどね」
「まあ、そうでしたの」
「だから、私と同じ立場だったあなたと話がしたくてしょうがなかったの。あなたなら私の気持ちをわかってくれると思って。フィリップ様の婚約者候補だったしね!」
わたくし、こういわれて少し返す言葉に困りましたわ。だってわたくしは公爵家の令嬢として、そしてフィリップ様の婚約者候補として小さな頃から躾られて、王太子妃になっても恥ずかしくないような教育を受けてきましたのよ?
「も、誰でもいいから話したくて!」
平民とそれほど変わらない立場の男爵令嬢とは年季が違うのですけれど、マリアンヌ様から見れば、わたくしが彼女と同じ立場にいたと考えてらっしゃるようで、言葉に詰まりましたわ。
わたくしは微笑みは絶やさずに聞き役に徹することに決めましたの。
「で、今はどのような教育をなさっているの?」
「この国の歴史と王族の歴史、その他諸々のマナーかな。それと外国語。フローレンス語だけ。これ以上はもう頭に入らなくて、あと2ヶ国語増やされる予定だったんだけど、他のレッスンがおろそかになるから。唯一楽しいのはダンスのレッスンだけどね」
「まあ、そうですの。フィリップ様の婚約者となるまではあまり馴染みのないものばかりだったのではないですか?」
「そう!そうなのよ!だからもうついて行くのが大変で、朝から晩までよ!フィリップ様が忙しいから、こんだけ詰め込まれてもいいんだけどね」
「婚約者の務めですからね」
「ゲームでは簡単そうだったのに実際となると大変だわ!」
「フィリップ様の妻として、将来の王妃として色々詰め込まれるのはお約束ですわ」
「だから、黙ってこなしてるわ。だけど、こういう憂さ晴らしの場でもないと!」
「まあ、ではその為には今回のお茶会を?」
「そう!お互い色々発散できるでしょう?」
発散できるのはマリアンヌ様だけで、わたくしはこの場にいるのが苦痛でしかありませんが、それをおくびにも出さないのが高位貴族ですわ。
わたくしは微笑みかけました。
「色々あったけど、もう過ぎたことだし、これからは家族になるんだから親交を深めるのもいいしね!」
色々あった、というかそれの被害を受けたのは主にわたくしで、わたくしの方がそのセリフをいうのはわかるんですけれど、マリアンヌ様がそれをいわれて、勝手に友好宣言をなさいましたわ。
わたくしとしては悪巧みされるより、友好的に接してくれる方がいいのだけれど、親交を深めるほど、深くお付き合いしたいとは思っておりませんのよ。
「これからは王太子妃としてマリアンヌ様も様々な方とご交流を深められると思いますわ。わたくしよりもずっと位の高い方たちと。お忙しくなられるので、あまりご一緒する時間はないと思いますわ」
「そうよねえー。だから、慣れとして初めはあなたと話すぐらいがやっぱりちょうどよかったのかも!」
この返答自体大変失礼で、高位貴族らしくない、男爵令嬢ぽいところなのですけれど。
「とりあえず、色々聞いてもらうことにするわ!」
私の嫌な予感は当たりましたわ。それから2時間にわたって、お菓子をつまみながらマリアンヌ様の愚痴に付き合う羽目になりましたの。
これも愛するアリステア様の為。将来の公爵夫人として、嫌いな王太子妃様にも当たり障りなく、接しておいて、色々情報を得ることも大切ですしね。フローレンス公国のご令嬢達はマリアンヌ様も無視して、楽しい会話に明け暮れておらわましたわ。時々、面白そうな弱みの情報が話された時には会話を止めて聞いておられましたけれどね。
そうして、悪夢のお茶会は終わりましたの。
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