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67話 サレスティの本当の目的
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サレスティとともに古谷書店に戻ってくる。
僕にとっては友人……というよりはただの腐れ縁だが、このお店にとっては重要な顧客なのだ。
フルヤさんが小声で「大丈夫だったか?」と聞いてきたので
「なんとかなりました」
とだけ返答を返した。
サレスティは魔法関係の本がおいてあるコーナーを探していたが、おそらく探しものはそこにはないような気がする。
「シュン、ここにワープとかについて書かれている本はないのか?」
「上流貴族が秘密で代々伝えてある魔法がこんな所に置かれてあったら問題だと思うんだ」
「言われてみれば確かに……」
こういうところが素直なので言いくるめることは割と簡単だが一度決めたことは意地でもやりきる人間であるサレスティは少しのことじゃ諦めない。
「なら、国設ミトラス図書館ならあるかもしれない、ってことか」
確かにそこにならあるかもしれない。しかし、できればそこには寄りたくない。
何を隠そう国設ミトラス図書館は僕の父親が経営している。
当然父は表に姿を出すことはほとんどしないが、職員のほとんどが僕のことを知っている。
「勝手に見てきてくださいよ」
「え、昔はあそこに居ることが多かったのに?」
驚かれた。
魔法が使えず、貴族文字が読める僕は毎日のように国設ミトラス図書館に入り浸っていた。
それくらいしかやることがなかったからだ。でも、今は状況が違う。
「サレスティはさ、僕が上流貴族じゃなくなったって聞いてないのか?」
「そりゃ聞いたさ。でも、シュンは上流貴族のリストからは外されていないよ」
な、なんだって!?
まだ貴族位になれるかもしれない、ということになる。
貴族位から除名するのには親の同意が必要だ。
逆に言えば親の同意だけでも除名は出来る。
つまるところ、僕が家から逃げた時点で当然その手続きを親はすると考えていたわけだ。
「トリオス公がだいぶ頑張ったらしい、状況はよく知らないけど」
今更になってトリオスがどれだけの思いをしたかを考えることになる。
あんなふうに逃げたままで良いのだろうか。
もう一度こちらから会いに行ったほうが良いのではないか。
「サレスティ、もしかして今回の目的は?」
「トリオス公と仲直りしてもらうことだ」
サレスティならうまくやってくれると見込んだのだろう。
というか、振り返ってみるとうまーく乗せられた気はしなくもない。
当人にそんな気はないのかもしれないが。
「そうか。じゃあ今から兄に会いに行く、ということか?」
「ああ、ワープ地点はすでに登録してある。あとは行くだけだ。来なよ」
彼は僕の手を強引に握って引き込む。
次の瞬間に着いていたのは、トリオスの家の前だった。
僕にとっては友人……というよりはただの腐れ縁だが、このお店にとっては重要な顧客なのだ。
フルヤさんが小声で「大丈夫だったか?」と聞いてきたので
「なんとかなりました」
とだけ返答を返した。
サレスティは魔法関係の本がおいてあるコーナーを探していたが、おそらく探しものはそこにはないような気がする。
「シュン、ここにワープとかについて書かれている本はないのか?」
「上流貴族が秘密で代々伝えてある魔法がこんな所に置かれてあったら問題だと思うんだ」
「言われてみれば確かに……」
こういうところが素直なので言いくるめることは割と簡単だが一度決めたことは意地でもやりきる人間であるサレスティは少しのことじゃ諦めない。
「なら、国設ミトラス図書館ならあるかもしれない、ってことか」
確かにそこにならあるかもしれない。しかし、できればそこには寄りたくない。
何を隠そう国設ミトラス図書館は僕の父親が経営している。
当然父は表に姿を出すことはほとんどしないが、職員のほとんどが僕のことを知っている。
「勝手に見てきてくださいよ」
「え、昔はあそこに居ることが多かったのに?」
驚かれた。
魔法が使えず、貴族文字が読める僕は毎日のように国設ミトラス図書館に入り浸っていた。
それくらいしかやることがなかったからだ。でも、今は状況が違う。
「サレスティはさ、僕が上流貴族じゃなくなったって聞いてないのか?」
「そりゃ聞いたさ。でも、シュンは上流貴族のリストからは外されていないよ」
な、なんだって!?
まだ貴族位になれるかもしれない、ということになる。
貴族位から除名するのには親の同意が必要だ。
逆に言えば親の同意だけでも除名は出来る。
つまるところ、僕が家から逃げた時点で当然その手続きを親はすると考えていたわけだ。
「トリオス公がだいぶ頑張ったらしい、状況はよく知らないけど」
今更になってトリオスがどれだけの思いをしたかを考えることになる。
あんなふうに逃げたままで良いのだろうか。
もう一度こちらから会いに行ったほうが良いのではないか。
「サレスティ、もしかして今回の目的は?」
「トリオス公と仲直りしてもらうことだ」
サレスティならうまくやってくれると見込んだのだろう。
というか、振り返ってみるとうまーく乗せられた気はしなくもない。
当人にそんな気はないのかもしれないが。
「そうか。じゃあ今から兄に会いに行く、ということか?」
「ああ、ワープ地点はすでに登録してある。あとは行くだけだ。来なよ」
彼は僕の手を強引に握って引き込む。
次の瞬間に着いていたのは、トリオスの家の前だった。
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