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72話 そのお茶会は会議であった
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朝日が昇るとともに起床。
軽くベッドメイキングをしてリビングへ行く。
リビングには誰も居なかったので軽く朝食を作る。
そのうちにフルヤさんが起きてきて着替えて新聞を取りに行く。
フルヤさんが新聞を持ってきて、僕が朝食を用意し終えた頃にユナが起きる。
「おはよー」
最近このような流れが出来てきている。
一番に起きた人が朝食を、二番目に起きた人が新聞を、三番目の人が挨拶を。
大体全員が起きる時間が同じだからこそなせるワザ。
「シュンくんは今日早く起きたみたいだけど、何か予定があるの?」
ユナがまだ少し眠そうな目をしながら聞いてくる。
「ちょっと用事があってね」
「最近、よく休日に出かけるけど何か特定の誰かと会ったりしてるの?」
「いや、色々」
ユナも眠そうだったしこちらも深く話さない予定だったのだが。
いつもはあまり話さないユナが今日は色々と聞いてくる。
「じゃあ、今日は何の用事なの?」
「セイさんと少し用事があってね」
「セイさんって誰?だし用事って何?って感じだよ」
「セイさんは、元生徒会長の人で、用事っていうのは……」
踏みとどまった。
上流貴族のことに探りを入れたりアドバイスを貰っているとかは出来れば言いたくない。
しかし、ここまで言ってしまったのがすでに引き返しても意味のないラインを過ぎていたようで
「やっぱり、なんか後ろめたいことでもやってる?」
と聞かれてしまった。
「後ろめたいとかじゃなくて、少し相談しに行くだけ」
僕がそういったところ、ユナもこれ以上詮索しないほうが良いと思ったのか黙ってしまう。
なんだか少し気まずい雰囲気になりその後は食器にスプーンやフォークがあたる軽い音だけになってしまった。
食事も終わり、出かける準備をしているとまたもユナに話しかけられる。
「ねえ、今度の休日は空いてたら一緒に出かけようよ」
「じゃあ、考えてみるよ。行ってきます」
別に断ったわけじゃない。けれど、ユナは少し悲しそうな顔にも見えた。
「すまんな、遅くなって」
商店街の中心ほどにある時計台の時計では十時少し前ほどなので、カフェの開店時間としては早いくらいだった。
十時開店のカフェであったが、少し前から「オープン」の看板がかけてあったので少し早めから開店しているのだろう。
「いらっしゃいませ、何名様ですか?」
二人で、とセイさんが言うと店員さんは奥の方の席に案内してくれた。
「んで、とりあえず成果はあったのかな。問題も少々増えたみたいだけど」
「彼が貴族と何らかの接点があったことは分かったのですが……」
「とりあえず裏とりが出来ただけでも十分かな、こっちも少し調べてきた」
セイさんは現在貴族位を持っている人をまとめたプリントを見せてくれた。
トリオスと同年代、十七歳が各家に一人いる。
「上流貴族五家本家全てに一人づつ十七歳がいますね」
「何百年周期で稀に起こるらしい。過去の統計ではこういう時は何らかの争いが起きるとかなんとか」
少し驚いたが、すぐにセイさんが付け足す。
「まあ、争いって言っても規模の大小もそもそも関係があるのかは謎だし、小さいものなら割と見えないところでも起きているみたいだけどね」
でも、言われてみればレイシェル姫も十七歳だったし花嫁争いだった、みたいなオチかもしれない。
と、心のどこかで考えている自分がいた。
自分がさらに大きな争いの火種になっていることなど、その時はまだ知らなかったのだ。
見えないところでその火が徐々に大きくなっていることも。
軽くベッドメイキングをしてリビングへ行く。
リビングには誰も居なかったので軽く朝食を作る。
そのうちにフルヤさんが起きてきて着替えて新聞を取りに行く。
フルヤさんが新聞を持ってきて、僕が朝食を用意し終えた頃にユナが起きる。
「おはよー」
最近このような流れが出来てきている。
一番に起きた人が朝食を、二番目に起きた人が新聞を、三番目の人が挨拶を。
大体全員が起きる時間が同じだからこそなせるワザ。
「シュンくんは今日早く起きたみたいだけど、何か予定があるの?」
ユナがまだ少し眠そうな目をしながら聞いてくる。
「ちょっと用事があってね」
「最近、よく休日に出かけるけど何か特定の誰かと会ったりしてるの?」
「いや、色々」
ユナも眠そうだったしこちらも深く話さない予定だったのだが。
いつもはあまり話さないユナが今日は色々と聞いてくる。
「じゃあ、今日は何の用事なの?」
「セイさんと少し用事があってね」
「セイさんって誰?だし用事って何?って感じだよ」
「セイさんは、元生徒会長の人で、用事っていうのは……」
踏みとどまった。
上流貴族のことに探りを入れたりアドバイスを貰っているとかは出来れば言いたくない。
しかし、ここまで言ってしまったのがすでに引き返しても意味のないラインを過ぎていたようで
「やっぱり、なんか後ろめたいことでもやってる?」
と聞かれてしまった。
「後ろめたいとかじゃなくて、少し相談しに行くだけ」
僕がそういったところ、ユナもこれ以上詮索しないほうが良いと思ったのか黙ってしまう。
なんだか少し気まずい雰囲気になりその後は食器にスプーンやフォークがあたる軽い音だけになってしまった。
食事も終わり、出かける準備をしているとまたもユナに話しかけられる。
「ねえ、今度の休日は空いてたら一緒に出かけようよ」
「じゃあ、考えてみるよ。行ってきます」
別に断ったわけじゃない。けれど、ユナは少し悲しそうな顔にも見えた。
「すまんな、遅くなって」
商店街の中心ほどにある時計台の時計では十時少し前ほどなので、カフェの開店時間としては早いくらいだった。
十時開店のカフェであったが、少し前から「オープン」の看板がかけてあったので少し早めから開店しているのだろう。
「いらっしゃいませ、何名様ですか?」
二人で、とセイさんが言うと店員さんは奥の方の席に案内してくれた。
「んで、とりあえず成果はあったのかな。問題も少々増えたみたいだけど」
「彼が貴族と何らかの接点があったことは分かったのですが……」
「とりあえず裏とりが出来ただけでも十分かな、こっちも少し調べてきた」
セイさんは現在貴族位を持っている人をまとめたプリントを見せてくれた。
トリオスと同年代、十七歳が各家に一人いる。
「上流貴族五家本家全てに一人づつ十七歳がいますね」
「何百年周期で稀に起こるらしい。過去の統計ではこういう時は何らかの争いが起きるとかなんとか」
少し驚いたが、すぐにセイさんが付け足す。
「まあ、争いって言っても規模の大小もそもそも関係があるのかは謎だし、小さいものなら割と見えないところでも起きているみたいだけどね」
でも、言われてみればレイシェル姫も十七歳だったし花嫁争いだった、みたいなオチかもしれない。
と、心のどこかで考えている自分がいた。
自分がさらに大きな争いの火種になっていることなど、その時はまだ知らなかったのだ。
見えないところでその火が徐々に大きくなっていることも。
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