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「え?なんで、こんな……こんな高いもの貰えないよタイセー」
「就職祝いってやつだよ。だけどそれ俺のお古だからさ。そんな使い古した中古品を就職祝いってのもどーかと思ったんだけどよー。急だったからこんな物になっちゃったけど受け取れよ」
「タイセー……お前」
「ちょうど俺新機種で欲しいのがあって買い替えた所だったんだよ。だからちょうどいいと思ってさ」
そんなのでまかせだとわかっていた。タイセーはわざわざ俺の為にスマホを買い換えたんだ。おれが遠慮して受け取るのを拒否しないように。
そんなタイセーの優しい気持ちが身に染みてきた。
ずびずびと鼻が鳴るのを止められなかった。でも泣くのは堪え切った。
「あ、ありがとう゛っ……たいせー……っ!」
「いいってことよ」
ポンポンと肩を叩かれてにかにかと笑うタイセーは本当に友達思いのいい奴だ。タイセーの為にも与えられた仕事をこなそうとまた一人意気込んだ。
「コーラでよかったか?」
キッチンからラッセルが戻ってきた。ずずっと鼻を啜って体勢を整えた。
「ああラッセル、ありがと……う?」
ズドンッ!と俺の前に置かれたのニリットルペットボトルのコーラであった。コップはない。
そしてラッセルはもう二本同じ物を腕に抱えていた。その反対には業務用?なのか超巨大なポテトチップスの袋が二袋。
それらをテーブルの上に置き、ごりゅっとコーラの蓋を開けたと思ったらゴクゴクゴクと喉を鳴らしながら、一気に飲み干した。二リットルを一気だ。ぷはっと息を吐く。
俺は呆然とその光景を見ていた。
止める間もなくポテチの袋を豪快にパァンと大きく開けて、むしゃむしゃ、バリバリと食べ始めた。
呆然とその様子を見ながら固まってしまった俺。そんな俺の様子を見て何を思ったのかラッセルは俺の前に置いたコーラの蓋を開け、もう一袋のポテチを豪快に開けた。
「気が利かなくてすまなかった」
すすっと俺の前にその二つを差し出す。
――いやいや!そういうことじゃない!全然違う!
空いた口は塞がらず、出かかった声は声にならなかった。
隣のタイセーはそれを見て大爆笑していた。
「おいおいラッセル!それはやべーよ」
「だめか?」
「それは太るわ。お前それしか食ってないのかよ?」
しゅんとしてタイセーに確認する様子は子どもみたいだった。ポリポリと食べ進むスピードが落ちたが食べることはやめない。
「な?言ったろ?ほっとくととんでもないことになるんだよな。食えっていうとこれだし、食べ過ぎるなよって言うと食べずに飢えるし。このままだと健康面が心配なんだよ。タイセー、お前が頼りだ」
またポンポンと肩を叩かれる。
こんな極端なやつ初めて出会った。誰かが見ててやらないと、このままではコーラとポテチだけ食べ続けてぶくぶくと太り続けてしまうだろう。
俺が、ちゃんと面倒を見てやらないと。無心で食べ続ける子どものようなラッセルに、俺はなんとかしなくちゃ、という気持ちを掻き立てられた。ラッセルがちゃんと健康的に快適に過ごせるように力を尽くそうと、俺はそう決心した。
俺たちに見られているラッセルはどうしたんだ?と頭にクエスチョンマークが乗っかっている。
「就職祝いってやつだよ。だけどそれ俺のお古だからさ。そんな使い古した中古品を就職祝いってのもどーかと思ったんだけどよー。急だったからこんな物になっちゃったけど受け取れよ」
「タイセー……お前」
「ちょうど俺新機種で欲しいのがあって買い替えた所だったんだよ。だからちょうどいいと思ってさ」
そんなのでまかせだとわかっていた。タイセーはわざわざ俺の為にスマホを買い換えたんだ。おれが遠慮して受け取るのを拒否しないように。
そんなタイセーの優しい気持ちが身に染みてきた。
ずびずびと鼻が鳴るのを止められなかった。でも泣くのは堪え切った。
「あ、ありがとう゛っ……たいせー……っ!」
「いいってことよ」
ポンポンと肩を叩かれてにかにかと笑うタイセーは本当に友達思いのいい奴だ。タイセーの為にも与えられた仕事をこなそうとまた一人意気込んだ。
「コーラでよかったか?」
キッチンからラッセルが戻ってきた。ずずっと鼻を啜って体勢を整えた。
「ああラッセル、ありがと……う?」
ズドンッ!と俺の前に置かれたのニリットルペットボトルのコーラであった。コップはない。
そしてラッセルはもう二本同じ物を腕に抱えていた。その反対には業務用?なのか超巨大なポテトチップスの袋が二袋。
それらをテーブルの上に置き、ごりゅっとコーラの蓋を開けたと思ったらゴクゴクゴクと喉を鳴らしながら、一気に飲み干した。二リットルを一気だ。ぷはっと息を吐く。
俺は呆然とその光景を見ていた。
止める間もなくポテチの袋を豪快にパァンと大きく開けて、むしゃむしゃ、バリバリと食べ始めた。
呆然とその様子を見ながら固まってしまった俺。そんな俺の様子を見て何を思ったのかラッセルは俺の前に置いたコーラの蓋を開け、もう一袋のポテチを豪快に開けた。
「気が利かなくてすまなかった」
すすっと俺の前にその二つを差し出す。
――いやいや!そういうことじゃない!全然違う!
空いた口は塞がらず、出かかった声は声にならなかった。
隣のタイセーはそれを見て大爆笑していた。
「おいおいラッセル!それはやべーよ」
「だめか?」
「それは太るわ。お前それしか食ってないのかよ?」
しゅんとしてタイセーに確認する様子は子どもみたいだった。ポリポリと食べ進むスピードが落ちたが食べることはやめない。
「な?言ったろ?ほっとくととんでもないことになるんだよな。食えっていうとこれだし、食べ過ぎるなよって言うと食べずに飢えるし。このままだと健康面が心配なんだよ。タイセー、お前が頼りだ」
またポンポンと肩を叩かれる。
こんな極端なやつ初めて出会った。誰かが見ててやらないと、このままではコーラとポテチだけ食べ続けてぶくぶくと太り続けてしまうだろう。
俺が、ちゃんと面倒を見てやらないと。無心で食べ続ける子どものようなラッセルに、俺はなんとかしなくちゃ、という気持ちを掻き立てられた。ラッセルがちゃんと健康的に快適に過ごせるように力を尽くそうと、俺はそう決心した。
俺たちに見られているラッセルはどうしたんだ?と頭にクエスチョンマークが乗っかっている。
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