転生したみたいなので異世界生活を楽しみます

さっちさん

文字の大きさ
66 / 207
ふたたび王都へ

66.

しおりを挟む
王都に帰ってきて5日目、ゆっくり休養もして体力もしっかり回復したので今日は出かける事にした。
まずは薬師ギルドだ。
こないだのマリアント様以来でちょっと緊張する。
結局妖精水はマーサスがお金を持って取りに来た。パーティ用のカードに入金したかったので結局お願いして持って帰ってもらった。
今回は調合の素材を買取してもらうのでマリアント様を呼ばなくてはならない。
ついでに雫草のポーションも見てもらう予定だ。
ギルドに到着したので受付に向かう。アイザックは少し離れたところで待っていた。
「すいません。マリアント様をお願いします」
「えっ、どの様なご用件ですか」
うわ、この男性嫌な感じだ。あからさまに態度に出ている。
「ご本人から呼ぶ様に言われてます」
あえて理由を述べない。私の薬師の証を見て更に嫌そうな顔付きになる。
「どんな用件か知らないが登録一年目の子供をギルドマスターが呼ぶとは思えない。そんなむちゃな話を聞き入れる訳には行かないから摘み出される前にとっとと帰りな」
あっ、ひどい。マリアント様に確認もせずに追い返すつもりだ。
「ご本人に確認してください」
「その必要は無い。さっさと帰らないなら警備を呼ぶぞ」
コイツ無茶苦茶だ。だんだんと腹が立ってきた。
「貴方にどんな権限があってギルマスへの訪問者を勝手に帰らせるの?警備呼ぶなら呼んだら」
「なに、いい加減にしろ」
大声で怒鳴られた。流石にアイザックが近づいてくる。
「ククル、どうした?」
相手を睨みながら聞いてくれるので先程のやりとりを説明する。
男は更に言い放った。
「保護者が居るならちゃんと見とけ。ガキが勝手なことぬかして邪魔なんだよ。さっさと連れて帰ってくれ」
しっしと手で払われた。
「何を騒いでいるのですか」
階段の方から聞き覚えのある声がする。
「マスター、すいません。騒がしくて。なんでもありません」
報告もしないのに腹が立ったので声を出した。
「マリアント様、この人が帰れって言うんです」
「お前、いい加減にしろ」
男が押さえ付けようとするのをかわして声の方を向く。
「あら、ククルちゃん。いらっしゃい。どうしたの?」
「この人にマリアント様を呼んで欲しいって言っても全く聞いてもらえなくてその上帰れって言われたの」
「あら、おかしいわね。貴方どう言う事かしら。数日前から子供の薬師が私を訪ねて来たら必ず声をかける様に通達したはずよ。」
「いや、あの、、、」
先程の勢いはどこへやら真っ青な顔で俯いている。
「貴方、受付には向かないわね。」
マリアント様はそう言って後からついてきた職員になにかを伝え男から視線を外した。
「ククルちゃん、アイザック、上にどうぞ」
執務室に案内されてソファを勧められたのでとりあえず腰をかけようとするが届かない。
アイザックが抱っこで乗せてくれた。
「あら、可愛らしいわね。ごめんなさいね。ウチの職員が」
「いえ、大丈夫です」
「薬師ギルドにしては珍しいタイプですね。」
「彼は薬師学校の生徒で見習いよ。あれはダメだわ。」
はぁと色気たっぷりにため息を吐く。
「で、ククルちゃん今日はどおしたのかしら」
「素材の買取お願いしたいのとポーションを見てもらいたいです」
とりあえず雫草のポーションを出してみた。
「こないだの雫草ね。あら、良い出来よ。悔しいけど私のより品質が優秀だわ。」
「そうなんですか?一回しか調合してないからたまたまだと思いますよ」
なんと答えるのが良いか分からずとりあえず返事する。
「ふふっ、可愛らしいわね。ククルちゃんは。これは買取かしら」
「ポーションはまた卸しにきます。素材は何が要りますか?」
治療薬のポーションは個人的に使用しないなら薬師ギルドに卸すのが普通らしいが今回は3本だけなので片付けた。
そこからはマリアント様に言われた素材をどんどん出していく。
片っ端から鑑定していく姿は仕事の出来る女性で格好いい。
「随分沢山あるのね。助かるわ。ありがとうククルちゃん。」
漸く終わったので一息つく。
不意に扉がノックされた。
真面目そうな雰囲気の男性が入室してきた。
「ククルちゃん、アイザック。紹介するわね。サブマスのオスカーよ」
「はじめまして。オスカーと言います。」
「はじめまして。ククルです」
「アイザックだ」
「ククルちゃん、支払いはカードに入金したら良いかしら?」
「お願いします」
オスカーさんは買取の素材を回収し、私のカードを受け取ると出ていった。
「彼、無口だけど調合オタクだから今頃素材を見てにやけてるわよ」
暫く待つとオスカーさんがカードを返却してくれた。
「今日はありがとう。助かったわ」
「こちらこそありがとうございます。また、調合出来たら持って来ますね」
挨拶をしてギルドを後にする。
お昼ご飯にカフェでパンケーキを食べて帰る事にした。
店に辿り着くとオープンテラスのあるとても感じの良いところだったのですごく気に入った。
小さいサイズがあったので今回はちゃんと食べ切れた。
お腹が膨れて眠気が襲ってきたので早々にお家に帰ったのだった。
しおりを挟む
感想 133

あなたにおすすめの小説

憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

裏の林にダンジョンが出来ました。~異世界からの転生幼女、もふもふペットと共に~

あかる
ファンタジー
私、異世界から転生してきたみたい? とある田舎町にダンジョンが出来、そこに入った美優は、かつて魔法学校で教師をしていた自分を思い出した。 犬と猫、それと鶏のペットと一緒にダンジョンと、世界の謎に挑みます!

10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)

犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。 意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。 彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。 そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。 これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。 ○○○ 旧版を基に再編集しています。 第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。 旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。 この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。

転生したので、今世こそは楽しく生きます!~大好きな家族に囲まれて第2の人生を謳歌する~

結笑-yue-
ファンタジー
『可愛いわね』 『小さいな』 『…やっと…逢えた』 『我らの愛しい姫。パレスの愛し子よ』 『『『『『『『『『『我ら、原初の精霊の祝福を』』』』』』』』』』 地球とは別の世界、異世界“パレス”。 ここに生まれてくるはずだった世界に愛された愛し子。 しかし、神たちによって大切にされていた魂が突然できた輪廻の輪の歪みに吸い込まれてしまった。 神たちや精霊王、神獣や聖獣たちが必死に探したが、終ぞ見つけられず、時間ばかりが過ぎてしまっていた。 その頃その魂は、地球の日本で産声をあげ誕生していた。 しかし異世界とはいえ、神たちに大切にされていた魂、そして魔力などのない地球で生まれたため、体はひどく病弱。 原因不明の病気をいくつも抱え、病院のベッドの上でのみ生活ができる状態だった。 その子の名は、如月結笑《キサラギユエ》ーーー。 生まれた時に余命宣告されながらも、必死に生きてきたが、命の燈が消えそうな時ようやく愛し子の魂を見つけた神たち。 初めての人生が壮絶なものだったことを知り、激怒し、嘆き悲しみ、憂い……。 阿鼻叫喚のパレスの神界。 次の生では、健康で幸せに満ち溢れた暮らしを約束し、愛し子の魂を送り出した。 これはそんな愛し子が、第2の人生を楽しく幸せに暮らしていくお話。 家族に、精霊、聖獣や神獣、神たちに愛され、仲間を、友達をたくさん作り、困難に立ち向かいながらも成長していく姿を乞うご期待! *:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈ 小説家になろう様でも連載中です。 第1章無事に完走したので、アルファポリス様でも連載を始めます! よろしくお願い致します( . .)" *:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

異世界着ぐるみ転生

こまちゃも
ファンタジー
旧題:着ぐるみ転生 どこにでもいる、普通のOLだった。 会社と部屋を往復する毎日。趣味と言えば、十年以上続けているRPGオンラインゲーム。 ある日気が付くと、森の中だった。 誘拐?ちょっと待て、何この全身モフモフ! 自分の姿が、ゲームで使っていたアバター・・・二足歩行の巨大猫になっていた。 幸い、ゲームで培ったスキルや能力はそのまま。使っていたアイテムバッグも中身入り! 冒険者?そんな怖い事はしません! 目指せ、自給自足! *小説家になろう様でも掲載中です

おせっかい転生幼女の異世界すろーらいふ!

はなッぱち
ファンタジー
赤ん坊から始める異世界転生。 目指すはロマンス、立ち塞がるのは現実と常識。 難しく考えるのはやめにしよう。 まずは…………掃除だ。

処理中です...