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突然、カイルから離縁して欲しいと言われ私は戸惑った。
「何故ですの?私に何か問題でも…?」
「リリアナが悪いんではないんだ。俺が真実の愛を見付けてしまった。マリアこそ俺の運命の相手!すまない…離縁してくれ」
「真実の愛ですか?」
カイルと私は、男爵の家に産まれた。
カイルは、三男であった為、一人娘であった私の家に婿養子となった。
親の決めた結婚ではあったが、カイルとは気が合い好き合って結婚した。と思っていた…。
私達の間には3歳になる息子のアスベスが居る。
カイルも、とても可愛がっていた。
私達の間に愛は無かったの?
貴方は、アスベスより真実の愛を選ぶの?
声に出してカイルに問おうかと思ったが、答えを聞くのが怖くて止めた。
「分かりましたわ…」
「慰謝料は、勿論払う。養育費もアスベスが成人するまで払うつもりだ。本当に、すまない…」
「そうですか…それで、マリアさんは今どこに?」
「何故そんな事を?」
「勿論、彼女からも慰謝料を貰いませんと…」
「彼女の分も俺が払う!」
「そんなに警戒しなくても彼女に危害など加えませんわ!彼女の前で離婚届にサインを致します。呼ばなければサインはしませんよ」
カイルは、立ち上がり、連れに行って来ると出掛けた。
その間に、私は執事と2人で書類を作成する。
彼は自分の立場を分かっていないのだろう。
ならば運命の相手だというマリアの前で教えてあげなければ…。
1時間程して、カイルがマリアと共に戻ってきた。
あら?マリアと言うから誰かと思えば、確か隣の領地に住むダイソン男爵の娘…噂では没落寸前との事だけれど…。
歳もカイルより10歳下だったはず…。
「マリアさん、初めまして。カイルが、貴女との真実の愛に目覚めてしまったと言うのだけれど、貴女も、そうなのかしら?」
「奥様には大変申し訳ないのですが、私とカイルは、運命の糸で結ばれているのです。どうか、どうかカイルと離縁して下さい!」
マリアの肩を愛おしそうに抱き、微笑むカイル。
はぁー気持ち悪い!
「そう。マリアさんもカイルと同じ気持ちなら私は何も言う事はないわ。離縁するから、書類を頂戴」
カイルに差し出された離婚届にサインをする。
カイルは、直ぐに受け取ろうとしたが、私は渡さずに書類を執事から、受け取り差し出す。
「先に、この書類にサインをして下さい」
「これは?」
「慰謝料と養育費、それと今後一切、私達親子に関わらないという書類よ」
「アスベスに会わせて貰えないのか?」
「マリアさんは若いのだから子供は直ぐにでも授かるでしょう?一緒に住んでいる子の方が可愛くなってアスベスを蔑ろにするわ。父親が一緒に住まなくなった上に、その仕打ちなんてアスベスが可哀想ですもの…」
「分かった…本当に、すまない…」
カイルと、マリアは、書類に目を通す事なくサインをした。
読まずにサインをするなんて、あり得ないわ…。
それ程、マリアと結婚したいのね。
「あぁそうそう、運命の相手だと言われたので、直ぐにでも結婚したいと思い、婚姻届を用意致しましたわ。こちらにもサインをどうぞ♪」
「「えっ!?」」
「さぁどうぞ♪」
2人は訳が分からないという顔をしながらも、サインをした。
「さぁこれで役所に届ければ私とカイルは、赤の他人。カイルとマリアさんは夫婦ですわね!どうか幸せになって下さいね♪」
2枚の内の1枚の書類をカイルに渡し、離婚届と婚姻届を使用人に役所に届ける様に指示をする。
執事より、使用人が出掛けた合図を貰い、リリアナは、カイルに告げた。
「私とアスベスは、明日より1週間、旅行に行って来ます。カイルは、あら、ごめんなさい、カイルさんは、その間に荷物を纏めて出て行って下さいね♪」
「何故ですの?私に何か問題でも…?」
「リリアナが悪いんではないんだ。俺が真実の愛を見付けてしまった。マリアこそ俺の運命の相手!すまない…離縁してくれ」
「真実の愛ですか?」
カイルと私は、男爵の家に産まれた。
カイルは、三男であった為、一人娘であった私の家に婿養子となった。
親の決めた結婚ではあったが、カイルとは気が合い好き合って結婚した。と思っていた…。
私達の間には3歳になる息子のアスベスが居る。
カイルも、とても可愛がっていた。
私達の間に愛は無かったの?
貴方は、アスベスより真実の愛を選ぶの?
声に出してカイルに問おうかと思ったが、答えを聞くのが怖くて止めた。
「分かりましたわ…」
「慰謝料は、勿論払う。養育費もアスベスが成人するまで払うつもりだ。本当に、すまない…」
「そうですか…それで、マリアさんは今どこに?」
「何故そんな事を?」
「勿論、彼女からも慰謝料を貰いませんと…」
「彼女の分も俺が払う!」
「そんなに警戒しなくても彼女に危害など加えませんわ!彼女の前で離婚届にサインを致します。呼ばなければサインはしませんよ」
カイルは、立ち上がり、連れに行って来ると出掛けた。
その間に、私は執事と2人で書類を作成する。
彼は自分の立場を分かっていないのだろう。
ならば運命の相手だというマリアの前で教えてあげなければ…。
1時間程して、カイルがマリアと共に戻ってきた。
あら?マリアと言うから誰かと思えば、確か隣の領地に住むダイソン男爵の娘…噂では没落寸前との事だけれど…。
歳もカイルより10歳下だったはず…。
「マリアさん、初めまして。カイルが、貴女との真実の愛に目覚めてしまったと言うのだけれど、貴女も、そうなのかしら?」
「奥様には大変申し訳ないのですが、私とカイルは、運命の糸で結ばれているのです。どうか、どうかカイルと離縁して下さい!」
マリアの肩を愛おしそうに抱き、微笑むカイル。
はぁー気持ち悪い!
「そう。マリアさんもカイルと同じ気持ちなら私は何も言う事はないわ。離縁するから、書類を頂戴」
カイルに差し出された離婚届にサインをする。
カイルは、直ぐに受け取ろうとしたが、私は渡さずに書類を執事から、受け取り差し出す。
「先に、この書類にサインをして下さい」
「これは?」
「慰謝料と養育費、それと今後一切、私達親子に関わらないという書類よ」
「アスベスに会わせて貰えないのか?」
「マリアさんは若いのだから子供は直ぐにでも授かるでしょう?一緒に住んでいる子の方が可愛くなってアスベスを蔑ろにするわ。父親が一緒に住まなくなった上に、その仕打ちなんてアスベスが可哀想ですもの…」
「分かった…本当に、すまない…」
カイルと、マリアは、書類に目を通す事なくサインをした。
読まずにサインをするなんて、あり得ないわ…。
それ程、マリアと結婚したいのね。
「あぁそうそう、運命の相手だと言われたので、直ぐにでも結婚したいと思い、婚姻届を用意致しましたわ。こちらにもサインをどうぞ♪」
「「えっ!?」」
「さぁどうぞ♪」
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「さぁこれで役所に届ければ私とカイルは、赤の他人。カイルとマリアさんは夫婦ですわね!どうか幸せになって下さいね♪」
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執事より、使用人が出掛けた合図を貰い、リリアナは、カイルに告げた。
「私とアスベスは、明日より1週間、旅行に行って来ます。カイルは、あら、ごめんなさい、カイルさんは、その間に荷物を纏めて出て行って下さいね♪」
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