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私達姉妹とアルベルトは幼馴染みだった。
お姉様と私は2歳離れており、アルベルトと私は同い歳。
伯爵家である我が家には、去年まで男の子がいなかった。
私を産んでから、少し体調を崩したお母様を思い、お父様は、少し期間を開けてからと決めた。
しかし、その後は、なかなか授からる事はなく、お母様の身体の事も考えて、お姉様を次期当主にすると決め、伯爵家の三男と婚約させた。
私と子爵家嫡男のアルベルトは、お姉様の婚約の翌年に婚約が決まった。
私は、アルベルトがお姉様に恋心を抱いていたのに気が付いていたが、お姉様には婚約者も居るし、お互いが次期当主となる身。
アルベルトも、私との婚約式の時には、「アイリス、婚約者が君で良かった。幸せになろうね!」と言ってくれた。
そんな中、2人の娘の婚約も無事に決まり喜んでいる時に、お母様の懐妊が分かったのだ。
そして産まれた子は跡取りとなる男の子。
お父様は、慌ててお姉様の婚約者である伯爵家に示談金を払い、お姉様の婚約を白紙に戻した。
お姉様は「お父様達のせいでこうなったのだから高位貴族の嫡男を探してよ!それ以外の人とは私は絶対に結婚しないからっ!!」と泣き叫んだ。
だが、お姉様の歳に見合う高位貴族の跡取りで残っている子息は、それなりに訳あり物件。
中位貴族でも、なかなか条件に合う子息は居なかった。
お父様は、頭を抱えた。
下位貴族も視野に入れようか悩んでいた、そんな時だった。
ザイザル辺境伯が、婚約解消されたと社交界でニュースになったのだ。
ザイザル辺境伯は、お姉様より12歳も歳上だが、年齢以外は問題ない。
最近は隣国と和平条約も結ばれており、戦もない。お父様は駄目元で辺境伯へと縁談の打診の手紙を送った。
意外な事に辺境伯は、お姉様との婚姻を結ぶと返事が来たのだ。
「喜べカトリーヌ!お前の結婚者が決まったぞ。なんとザイザル辺境伯だ!!」
「はぁぁ!?ザイザル辺境伯ですってぇー!?嫌よ、絶対に嫌っ!!お父様は、私をそんな何もない田舎に追いやるつもりなの?それにザイザル辺境伯は、私よりも12歳も歳上じゃなかったかしら?酷い…酷いわ…お父様…」
泣き出すお姉様を私は慰めようと声を掛けた。
「お姉様、ザイザル辺境伯様の領地は、今は、とても緑が多く豊かだと聞きます。きっと良い所ですわよ」
「はぁぁ!?アイリス、貴女までそんな事を言うの?貴女はアルベルトが婚約者だから、そんな事を私に平気で言えるのよ!そうだわ!私にアルベルトを頂戴よ。アイリスは、私の代わりにザイザル辺境伯へ嫁げば問題解決じゃない。貴女は緑豊かな田舎で暮らせるわよ」
「カトリーヌ!いい加減にしろ!!お前は何を馬鹿な事を言っているのだ。お前はザイザル辺境伯の元に嫁ぐ。決定事項だ!!反論は許さんぞっ」
お姉様は、私とお父様を睨むと「嫌よっ!!私は絶対に嫁がないし、辺境伯領地なんか行かないからっ!!」と言って部屋を飛び出して行ってしまった。
お姉様と私は2歳離れており、アルベルトと私は同い歳。
伯爵家である我が家には、去年まで男の子がいなかった。
私を産んでから、少し体調を崩したお母様を思い、お父様は、少し期間を開けてからと決めた。
しかし、その後は、なかなか授からる事はなく、お母様の身体の事も考えて、お姉様を次期当主にすると決め、伯爵家の三男と婚約させた。
私と子爵家嫡男のアルベルトは、お姉様の婚約の翌年に婚約が決まった。
私は、アルベルトがお姉様に恋心を抱いていたのに気が付いていたが、お姉様には婚約者も居るし、お互いが次期当主となる身。
アルベルトも、私との婚約式の時には、「アイリス、婚約者が君で良かった。幸せになろうね!」と言ってくれた。
そんな中、2人の娘の婚約も無事に決まり喜んでいる時に、お母様の懐妊が分かったのだ。
そして産まれた子は跡取りとなる男の子。
お父様は、慌ててお姉様の婚約者である伯爵家に示談金を払い、お姉様の婚約を白紙に戻した。
お姉様は「お父様達のせいでこうなったのだから高位貴族の嫡男を探してよ!それ以外の人とは私は絶対に結婚しないからっ!!」と泣き叫んだ。
だが、お姉様の歳に見合う高位貴族の跡取りで残っている子息は、それなりに訳あり物件。
中位貴族でも、なかなか条件に合う子息は居なかった。
お父様は、頭を抱えた。
下位貴族も視野に入れようか悩んでいた、そんな時だった。
ザイザル辺境伯が、婚約解消されたと社交界でニュースになったのだ。
ザイザル辺境伯は、お姉様より12歳も歳上だが、年齢以外は問題ない。
最近は隣国と和平条約も結ばれており、戦もない。お父様は駄目元で辺境伯へと縁談の打診の手紙を送った。
意外な事に辺境伯は、お姉様との婚姻を結ぶと返事が来たのだ。
「喜べカトリーヌ!お前の結婚者が決まったぞ。なんとザイザル辺境伯だ!!」
「はぁぁ!?ザイザル辺境伯ですってぇー!?嫌よ、絶対に嫌っ!!お父様は、私をそんな何もない田舎に追いやるつもりなの?それにザイザル辺境伯は、私よりも12歳も歳上じゃなかったかしら?酷い…酷いわ…お父様…」
泣き出すお姉様を私は慰めようと声を掛けた。
「お姉様、ザイザル辺境伯様の領地は、今は、とても緑が多く豊かだと聞きます。きっと良い所ですわよ」
「はぁぁ!?アイリス、貴女までそんな事を言うの?貴女はアルベルトが婚約者だから、そんな事を私に平気で言えるのよ!そうだわ!私にアルベルトを頂戴よ。アイリスは、私の代わりにザイザル辺境伯へ嫁げば問題解決じゃない。貴女は緑豊かな田舎で暮らせるわよ」
「カトリーヌ!いい加減にしろ!!お前は何を馬鹿な事を言っているのだ。お前はザイザル辺境伯の元に嫁ぐ。決定事項だ!!反論は許さんぞっ」
お姉様は、私とお父様を睨むと「嫌よっ!!私は絶対に嫁がないし、辺境伯領地なんか行かないからっ!!」と言って部屋を飛び出して行ってしまった。
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