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27. 真実
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「祐也、ねぇ、彼とちゃんと別れて俺とやり直そうよ。俺、今度こそ分かったよ。俺には祐也しかいないって。だからさ」
羽山が薫さんの言葉を無視して僕に話し掛ける。
「羽山さん、最近、態度がおかしかったのも、今、そんな顔してるのも俺のせい? 俺、今も変わらず羽山さんが好きです。ちゃんと説明するからこっちに来てもらえますか?」
まるで初めて会った動物を撫でる時みたいにして高見が僕に手を差し出した。僕が手を重ねるのを待っているのだ。こんな風にされて今の僕にその手を掴まないという選択肢があるだろうか。僕はヒデさんのシャツから手を離すと、そのまま高見の手に重ねた。
「よかった。ありがとうございます」
ホッとしたように息をつきながら高見が僕を抱きしめる。高見は僕を抱きしめたまま、薫さんに向き合った。
「薫、何度も言ったけど俺はもう薫と付き合うことはないよ。大切な人とようやくこうして触れ合えるようになったんだ。俺はむしろ薫に捨てられて良かったとさえ思ってる。ごめん」
「そ、そんなこと言ったって、きっとまた俺が恋しくなるよ。分かった、俺が浮気ばっかりするから怒ってるんだろ?もう、浮気はしないって。ちゃんと約束する」
「怒ってないよ。薫に対する怒りも消えちゃうほど俺、この人しかいないから。薫は薫で他の誰かと幸せになって欲しい。」
薫さんは立ち上がるとバッグからお札を出して叩きつけるようにカウンターに置いた。
「あとからやり直そうって言ったって遅いんだからね! 俺、すげぇ人気なんだよ。俺と付き合いたいって人、たくさんいるんだからね」
「うん、分かってるよ。十分過ぎるくらい」
高見の言葉に薫さん唇をギュッと噛んでお店を出ていった。薫さんが高見を振り向くことはなく、高見が薫さんの背中を見つめることもなかった。
高見は五郎さんを見てそれから皆を見た。
「お騒がせしてすみませんでした。今日はもう帰ります」
高見に腕を掴まれたまま店を出て、店から近い方という理由で高見の家に連れて来られた。初めて入った高見の部屋は1LDKの間取になっていて僕の部屋よりも広い。あまり物がなくシンプルで、色彩も合わせてありインテリアが好きそうな人の部屋だ。
「高見の部屋、凄く綺麗だね。知らなかった」
知らない高見が見えて、僕はなんだかまた泣きそうになった。
「羽山さん、すみません。ちゃんと話すからそんな顔しないで」
高見が僕を慰めるように抱きしめて目尻にキスをする。
「僕のこと、好きじゃなくなったわけじゃないんだよね?」
声が掠れて小さくなる。
「そんなことあるわけないじゃないですか。やっと思いが叶ったのに、嫌いになるわけ無いですよ」
高見は僕を抱えたままソファに座った。高見の足の間に僕がいる体勢だ。
「薫とは大学で知り合ったんです。当時から薫はモデルの仕事をしていて、その仕事に誘われたのがきっかけでした。俺はそういうのが苦手なんで断ったんですけど、身バレしないようにするからって頼まれて少しだけ仕事をしたことがあったんです」
「うん」
「仕事をするうちに仲良くなって、付き合うようになったんですけど薫は俺だけじゃ満足できなくて浮気をして。他にも好きな人がいるっていうから別れるじゃないですか。そうして半年くらいするとあいつ戻ってくるんですよ。やっぱり祐也がいいって」
なんとなく高見が辛そうな気がして高見の手を握った。
「もう過去のことなんで平気ですよ」
高見がほほ笑む。
「初めの頃は辛かったし、薫が戻ってくると嬉しかった。でも何回もそういうことがあると元に戻っても「どうせまた他の人のところにいくんだろうな」って心が冷めていくんです。羽山さんに出会って、あなたに惹かれたままよりを戻したこともあります。羽山さんとどうこうなれるって思ってなかったし、薫にお願いって言われると断れないっていうのもあって。そういうのは良くないって分かってるんですけどね」
高見が僕の頭を撫でる。
「1か月くらい前に薫から電話があってよりを戻したいって言われたんです。付き合ってる人がいるから薫とは付き合えないって何度も断ったんですけど、なかなか分かって貰えなくて。付き合いが長い分、突き放す事も出来なくてこんなことに」
「……なんでキスしたの?」
「あれは薫が突然してきて。でもなんか、なんとも思わなかったんですよ。嫌悪もなければ喜びとかそういう感情も湧かなくて。そんな自分に気が付いて自分でも驚きました」
「だからキスが終わっても何の反応もしなかったの?嫌がるそぶりもなく……」
「そういえば、どうして知ってるんですか?」
「あの日、偶然近くで接待をしていて見たんだ。高見が薫さんとキスするところ、そして店に入っていくところも」
「だからあの店に?」
「うん。僕、他に好きな人が出来たって言われて高見に捨てられるのかと思った……。」
「捨てたりなんかしませんよ。余計な心配かけさせたくなくて話さなかったのに、こんなに不安にさせてしまって……すみません」
「本当?」
「本当です」
「じゃ、どうして抱かなくなったの? 僕に飽きた?」
高見が驚いた顔で僕を見た。
「抱いてもいいんですか? この間までセックスしたくなさそうだったから、羽山さんは性に淡泊なのだとばかり思ってました」
「あれはっ! 高見が会うたびにセックスばかりだったから、たまにはそういうこともしないで過ごしたいと思っただけで、こんなにしないと不安になる」
恥ずかしさに高見から顔を背けた。
「あまり羽山さんを求めても、重くなるんじゃないかと思って我慢してたんですけど」
良かった。他に好きな人ができたわけでも、僕に飽きたわけでもないんだ。ほっとするとまた涙が滲んでくる。
「高見……抱いてほしい」
呟いた瞬間、押し倒された。
「あの店でそんな顔してないですよね?」
「してないと思うけど。そんなことより、今は」
高見の首に片手を回して体を起こし、空いている手で自分のジャケットのボタンを外した。高見の唇に自分の唇を重ねながらもシャツのボタンを外し、自分のベルトに手をかける。服を脱ぐのがもどかしい。
今すぐ繋がりたい。
奥まで高見を感じたい。
「……煽ったのは羽山さんですからね」
高見が噛みつくようなキスをして繋がりが深くなる。このまま溶けてドロドロになっても構わないと思った。
羽山が薫さんの言葉を無視して僕に話し掛ける。
「羽山さん、最近、態度がおかしかったのも、今、そんな顔してるのも俺のせい? 俺、今も変わらず羽山さんが好きです。ちゃんと説明するからこっちに来てもらえますか?」
まるで初めて会った動物を撫でる時みたいにして高見が僕に手を差し出した。僕が手を重ねるのを待っているのだ。こんな風にされて今の僕にその手を掴まないという選択肢があるだろうか。僕はヒデさんのシャツから手を離すと、そのまま高見の手に重ねた。
「よかった。ありがとうございます」
ホッとしたように息をつきながら高見が僕を抱きしめる。高見は僕を抱きしめたまま、薫さんに向き合った。
「薫、何度も言ったけど俺はもう薫と付き合うことはないよ。大切な人とようやくこうして触れ合えるようになったんだ。俺はむしろ薫に捨てられて良かったとさえ思ってる。ごめん」
「そ、そんなこと言ったって、きっとまた俺が恋しくなるよ。分かった、俺が浮気ばっかりするから怒ってるんだろ?もう、浮気はしないって。ちゃんと約束する」
「怒ってないよ。薫に対する怒りも消えちゃうほど俺、この人しかいないから。薫は薫で他の誰かと幸せになって欲しい。」
薫さんは立ち上がるとバッグからお札を出して叩きつけるようにカウンターに置いた。
「あとからやり直そうって言ったって遅いんだからね! 俺、すげぇ人気なんだよ。俺と付き合いたいって人、たくさんいるんだからね」
「うん、分かってるよ。十分過ぎるくらい」
高見の言葉に薫さん唇をギュッと噛んでお店を出ていった。薫さんが高見を振り向くことはなく、高見が薫さんの背中を見つめることもなかった。
高見は五郎さんを見てそれから皆を見た。
「お騒がせしてすみませんでした。今日はもう帰ります」
高見に腕を掴まれたまま店を出て、店から近い方という理由で高見の家に連れて来られた。初めて入った高見の部屋は1LDKの間取になっていて僕の部屋よりも広い。あまり物がなくシンプルで、色彩も合わせてありインテリアが好きそうな人の部屋だ。
「高見の部屋、凄く綺麗だね。知らなかった」
知らない高見が見えて、僕はなんだかまた泣きそうになった。
「羽山さん、すみません。ちゃんと話すからそんな顔しないで」
高見が僕を慰めるように抱きしめて目尻にキスをする。
「僕のこと、好きじゃなくなったわけじゃないんだよね?」
声が掠れて小さくなる。
「そんなことあるわけないじゃないですか。やっと思いが叶ったのに、嫌いになるわけ無いですよ」
高見は僕を抱えたままソファに座った。高見の足の間に僕がいる体勢だ。
「薫とは大学で知り合ったんです。当時から薫はモデルの仕事をしていて、その仕事に誘われたのがきっかけでした。俺はそういうのが苦手なんで断ったんですけど、身バレしないようにするからって頼まれて少しだけ仕事をしたことがあったんです」
「うん」
「仕事をするうちに仲良くなって、付き合うようになったんですけど薫は俺だけじゃ満足できなくて浮気をして。他にも好きな人がいるっていうから別れるじゃないですか。そうして半年くらいするとあいつ戻ってくるんですよ。やっぱり祐也がいいって」
なんとなく高見が辛そうな気がして高見の手を握った。
「もう過去のことなんで平気ですよ」
高見がほほ笑む。
「初めの頃は辛かったし、薫が戻ってくると嬉しかった。でも何回もそういうことがあると元に戻っても「どうせまた他の人のところにいくんだろうな」って心が冷めていくんです。羽山さんに出会って、あなたに惹かれたままよりを戻したこともあります。羽山さんとどうこうなれるって思ってなかったし、薫にお願いって言われると断れないっていうのもあって。そういうのは良くないって分かってるんですけどね」
高見が僕の頭を撫でる。
「1か月くらい前に薫から電話があってよりを戻したいって言われたんです。付き合ってる人がいるから薫とは付き合えないって何度も断ったんですけど、なかなか分かって貰えなくて。付き合いが長い分、突き放す事も出来なくてこんなことに」
「……なんでキスしたの?」
「あれは薫が突然してきて。でもなんか、なんとも思わなかったんですよ。嫌悪もなければ喜びとかそういう感情も湧かなくて。そんな自分に気が付いて自分でも驚きました」
「だからキスが終わっても何の反応もしなかったの?嫌がるそぶりもなく……」
「そういえば、どうして知ってるんですか?」
「あの日、偶然近くで接待をしていて見たんだ。高見が薫さんとキスするところ、そして店に入っていくところも」
「だからあの店に?」
「うん。僕、他に好きな人が出来たって言われて高見に捨てられるのかと思った……。」
「捨てたりなんかしませんよ。余計な心配かけさせたくなくて話さなかったのに、こんなに不安にさせてしまって……すみません」
「本当?」
「本当です」
「じゃ、どうして抱かなくなったの? 僕に飽きた?」
高見が驚いた顔で僕を見た。
「抱いてもいいんですか? この間までセックスしたくなさそうだったから、羽山さんは性に淡泊なのだとばかり思ってました」
「あれはっ! 高見が会うたびにセックスばかりだったから、たまにはそういうこともしないで過ごしたいと思っただけで、こんなにしないと不安になる」
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「あまり羽山さんを求めても、重くなるんじゃないかと思って我慢してたんですけど」
良かった。他に好きな人ができたわけでも、僕に飽きたわけでもないんだ。ほっとするとまた涙が滲んでくる。
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呟いた瞬間、押し倒された。
「あの店でそんな顔してないですよね?」
「してないと思うけど。そんなことより、今は」
高見の首に片手を回して体を起こし、空いている手で自分のジャケットのボタンを外した。高見の唇に自分の唇を重ねながらもシャツのボタンを外し、自分のベルトに手をかける。服を脱ぐのがもどかしい。
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