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サイドストーリー
カイの場合 7 ☆
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指を一本、根元までアナルに埋め込まれゆっくりと内部をこすられる。
「ほら、耳を澄まして。ぬちゅって音がしてる。ナカがきれいになる音だよ」
耳元で優しく響くヒデさんの声に腰が砕けそうだ。
「もう少し、我慢してね」
「あっ」
二本目の指を挿入された時には思わず声が出た。気持ちいいわけではないことは確かで、どうして声が出たのか自分でも良く分からない。二本の指が内部を押し広げるように動く。
「前立腺」
「え? あっ、あぁっ」
奥の上の方を二本の指で押された時、ガクっと膝が折れてヒデさんに支えられた。
「びっくりした? あそこが前立腺なんだよ」
ヒデさんはほほ笑んで、それ以上その部分を刺激することはなかった。
ベッドに移動しヒデさんを押し倒す。こうなることを想定していたのかヒデさんのベッドからは洗剤のいい香りがした。ヒデさんの髪の毛を撫でてキスをする。ヒデさんの手が俺の首に回って、ヒデさんの舌が俺の口の中に入ってきた。
ぴちゃ、ぴちゃ、濡れた音が室内に響く。がっつきぎみの俺の体をヒデさんが押して俺を見上げたまま乳首を口に含んだ。
「ひゃんっ」
「くす、ひゃんって。舐められるの、初めて?」
「今まで、こんなことされたこともなかったから」
「気持ちいい?」
「んー、どっちかっていうとくすぐったい」
「くすぐったいなら上等。これを超えると気持ち良くなるんだよ」
ヒデさんが俺の体の下に潜り込むようにして、お臍を甘噛みし俺の中心へと下がる。
「ちょっと、待って。俺、ヒデさんの中に入りたい」
「いいよ、おいで」
ヒデさんに微笑まれてゾクっとした。なんて魅惑的に笑うんだろう。ヒデさんの足を押し広げてローションをアナルに向けて垂らす。
「ん……」
冷たかったのかヒデさんが腰をくねらせた。まるで俺を誘うかのような動き。今すぐにでも突っ込んでしまいたい衝動を必死に抑えているのにヒデさんは「直ぐに来ていい」という。
「でも、このままじゃ痛くしてしまうんじゃ……」
「カイが来る前に準備はしたから大丈夫。だから、今すぐ欲しい」
「もう、ヒデさんの過去の全てに嫉妬しそうだ」
衝動を隠しもせずに一気に貫いた。あぁっ……とヒデさんが体をのけぞらせる。首筋を見せつけ胸を張り、窓から侵入する蛍光灯の灯りが乳首に影を作る。夢中になって腰を振りながらその体に口づけた。
「あぁっ……あぁっ」
「いい声」
いつもクールな顔をしてお酒を作っていた。通い始めた頃は恋愛感情なんか持てないほど遠くて、お酒を作るあの指先に見とれていた。その人が今、俺のペニスを飲み込んで喘いでいる。
「ヒデさん、キレイ」
快楽に顔を歪める姿でさえ綺麗だ。ヒデさんの手を取ると、その指を大切に口に含んだ。親指と人差し指の間、人差し指と薬指の間もきれいに舐め上げる。
「な……んで、そんな……とこっ」
「ヒデさんはどこもかしこもキレイだから」
「ば……か」
ぬちゅ、ぬちゅと水音が大きくなり、腰の動きがスムーズになる。体を倒してキスをしながら腰を深く叩きつけると、内部がヒクヒクと収縮するのが分かった。俺の精液を絞る取るような動き。
「ヒデさん、一回イってもいい?」
「ん……あぁっ、あっ、カイ、あぁっ」
ん、と返事をもらったと同時に激しさを増す。もう限界だった。ヒデさんが俺の名前を何度も呼ぶ。それが愛おしくて何度も貫いた。
「イクっ……」
ビクンビクンと動く振動のまま2、3回打ち付ける。より奥へ、より奥へとマーキングするみたいに。
「はぁ……ヒデさん、大丈夫?」
「ん……大丈夫。ハァ」
抱きしめ合ってもう一度キスをした。
ヒデさんが空気で笑う。
「元気だよね?」
そう、その通りだ。ヒデさんの中に埋まっている俺は萎えることを知らず、まだまだ立派にそそり立っている。
「……もう一回いいですかね?」
「それなんだけど、さ」
ヒデさんは体を起こすと中に埋まっている俺のペニスを抜きながら俺を押し倒した。
「今度は俺がカイの中に入りたい」
「へっ……」
「今日、店にカイの初めての男が来ただろ?相手のお酒の好みまでまだ覚えてる」
「え、あ、うん」
「だから、俺もカイの初めての男になりたい」
「え、えぇーっ」
「だめ?」
「だ、だだだめでしょ!!」
「どうして?俺じゃ物足りない? カイを満足させられない?」
「いや、そういうことじゃなくって、だって、俺、その、初めてだし」
「優しくする」
「カイのことが好きなんだ」
ワタワタしていた俺の心がその一言で黙った。ヒデさんに好きと言われたのは初めてだ。それからは言葉が水を飲むかのように体に沁み込んできた。
「今日、カイの初めての男だって人が来た時、正直、嫉妬した。あの体にカイが入ったのだと思うと……。自分のことも棚に上げて子供みたいでしょ?」
ヒデさんが呆れたように笑う。
「塗り替えたいんだ。カイの体全部、どこもかしこも俺のモノにしたい」
「ヒデさん……」
最初に感じたのは喜びだ。俺もヒデさんの過去に嫉妬はしたけれど、体全部どこもかしこも欲しいなんて考えには行きつかなかった。
ヒデさんって、俺が思っている以上に俺のこと好きなんじゃねぇの?
こんなにも俺のことが欲しいって言ってくれた人、今までいただろうか。不意にタチとかネコとかそんなことはどうでもいいような気がした。全部丸ごと欲しい、全部丸ごとくれてやる、そんな思いの行き着く先がリバなら、それでも、いいか。
「わかった。でも、マジで、本当に、優しくして」
ヒデさんは嬉しそうにほほ笑んで「ありがとう」と言った。そして、俺の手を掴んで指に口づけた。
「トロけるくらい優しくしてやる」
その表情が雄そのもので、先ほどまで俺の下で喘いでいた人物と同じとは思えなかった。
キスをして、首筋を舐められる。先ほどまでとは全然違う感覚に自分でも緊張しているのが分かる。
「くす、緊張してる?」
「うん……そうかも」
「可愛い」
体をうつ伏せにされ首の後ろを音を立てて吸われた。
「ちょ、なんか、くすぐったくて。ぷっ、もうっ」
いやらしいとは正反対の本気のくすぐったいだ。
「あっ、だから、くすぐった、ぷぷっ」
ヒデさんは尚もくすぐりに似た行為をやめず、俺は身もだえて笑った。俺の体をくすぐっていた手の動きがだんだん艶めかしく、ゆっくりになっていき乳首の周りをくるくると回り始めた。嫌でもそこに意識がいき、乳首にいくであろうという心づもりはしているのになかなかヒデさんの指はそこを目指さない。
やがてじれったさの中に落ち着かない衝動のようなものが生まれ始めた。
「……っ、ヒデっ……さん」
名前を呼べば与えられる。あんっ、と甘い声が上がり恥ずかしさで顔をベッドに埋めた。
「恥ずかしがらないで、こうして感じてくれるの、俺は嬉しい」
ヒデさんが俺の背中にキスを落としていく。乳首を愛撫しながら背中に何度もキスされ、ヌルッとした指がアナルに触れた。
いよいよか。
「ほら、また緊張してる」
ヒデさんの体が俺の下に潜ると、半立ちになっているペニスを口に含んだ。
「あ……」
「気持ち良くしてあげる」
言葉を話すたびに呼吸がペニスにかかる。ヒデさんの口がそこにあると思うだけで俺のペニスは硬さを取り戻した。
俺の腰に片手を回し、ペニスをしゃぶりながらアナルに指が一本挿入される。先ほど風呂で洗浄したおかげで案外すんなりと入った。痛みを伴わなかったことに安心して力が抜ける。
「上手。カイ、好きだよ」
すぐに二本目が挿入され、内部をかき回した。二本目の圧迫感を感じた時、思いがけずにゾクリと体が震えた。脳が思い出したのはさっき前立腺を押されたあの感覚だ。もう一度あれを味わいたくて、確かめたい欲求が沸き上がる。
「腰、揺れているけど、気持ちいいの?」
「ちがっ……そゆん、じゃ、なくて」
「あ、ペニスの味が変わった。気持ちいいんじゃないとしたら、期待?」
そうだ。期待だ。
「やっ、どうしよう。ヒデさ……体、おかし」
前立腺を刺激されてるわけじゃないのに、ゾクゾクする。
「俺のが欲しいの?」
違う、多分、そういうのじゃない。心はそう言っているのに。感覚が、感覚が叫ぶ。
「欲しい。ヒデさんっ……ヒデさんが、ほしいっ」
「ったく、優しくしてって言っておいて煽ってるのはどっちだよ」
ヒデさんの指の三本目がアナルに挿入される。入り口を押し広げて、さっきより少し乱暴なのはきっとヒデさんも余裕がなくなっているからだ。
俺の中に早く入りたい?
あぁ、もう。
「入れ……て。痛く……ても、い、い、から」
「ばかっ」
ヒデさんが少し強引に俺の中に入ってくる。アナルが避けまいとしてキチキチとその体を開いているようだ。
「くっ……」
「ごめん、痛い?」
「痛く……な、んか……ない」
痛いのはそれだけヒデさんの余裕がないということだ。いつも余裕綽々の人が俺に余裕を無くしている。それだけで痛みなんか無と同じだ。
「カイ、好きだ」
「俺……も……あぁっ!!」
一番太いところを抜け、ヒデさんと深くつながる。
「カイ」
ヒデさんが背中から俺を抱きしめる。
「そっち、向いて……いい?顔、見たい」
「うん、いいよ」
顔をベッドに埋め、腰を下ろしてつながったまま体を回転させると、優しく笑うヒデさんの顔があった。手を伸ばして俺の頭を撫でてくれる。
「カイ、ありがとう。ほら、俺のがカイの中に全部入ってるよ」
うん、うん、と頷く。
「動いていい?カイを気持ち良くしたい」
「ん、頼む」
「くす、頼まれた」
ゆっくり腰を引き、ゆっくり入ってくる。入り口をならすかのように浅い挿入を繰り返し、ヒデさんの手が俺のペニスに触れた。
「んはぁっ」
親指と人差し指、人差し指と中指、それぞれの指の間を使いながら巧みに愛撫する。アナルの違和感からペニスの気持ち良さに意識が奪われ始めると、アナルを犯すペニスの動きも深いスイングになった。内臓に振動が届く。
「ん……はっ、はっ、あ……ん、あ……やぁっん!なっ……に、あんっ……あ」
ピリピリとした電気が走るような快楽がアナルの奥から生まれる。脳内を犯して、俺に卑猥な
声を上げさせる。
「やっ……ヒデ……さ、あんっ……カラダ……あぁ、おかし」
「うん、そうだね。カイがずっと突いて欲しがっていた前立腺だよ。大丈夫、恐くないからそのまま気持ち良くなって」
「あんっ、んんっ」
ヒデさんの唇が重なる。口内をかき混ぜられ、前立腺を突かれ、声を上げることもままならないまま快楽に飲み込まれる。
「カイ、可愛い。本当に可愛い過ぎて、どうしようか。このままずっと繋がってる?」
「そ、んあん、死ぬ」
「ぷぷぷぷ、まだ、そんなこと言う余裕あるんだ。じゃ、もっといいよね」
「あぁっ、激し、っ……やっ、気持ちい、い、あぁっ、ヒデさんっ」
ベッドの軋む音が激しさを増す。ヒデさんの息づかいも荒くなってパンパンと肉のぶつかる音が響いた。執拗に感じるところを突かれ、閉じられなくなった口から唾液が零れる。
「あっ……あぁっ、イクっ」
「俺もっ」
同時に体を震わせて絡まったままベッドに倒れ込んだ。目が合ってどちらからともなく唇を重ねる。
「なんか抜きたくないなぁ」
「いや、そこは抜いて下さいよ」
「終わった途端つれない」
「そ、そういうんじゃないです。あの、ちゃんと好きです」
「くす、知ってるよ。今日、いっぱい教えてもらった」
トロンとした表情のヒデさんに見惚れていると、不意にアナルの中のモノが存在を主張し始めた。
「ちょっと、何大きくしてるんですか!」
「ん?だって、カイが可愛いこと言うから。もう一回いい?」
「なっ……もしかして絶倫ですか?」
「分からない。カイ相手にならそうなれるかも」
「勘弁してください」
「でも、ほら、後ろだけでイケたの気付いてる?俺はもっとカイの体のこと知りたいな」
ひぃぃいぃぃぃ。
俺はこうして新しい扉を開けた。ヒデさん限定で。
Fin.
「ほら、耳を澄まして。ぬちゅって音がしてる。ナカがきれいになる音だよ」
耳元で優しく響くヒデさんの声に腰が砕けそうだ。
「もう少し、我慢してね」
「あっ」
二本目の指を挿入された時には思わず声が出た。気持ちいいわけではないことは確かで、どうして声が出たのか自分でも良く分からない。二本の指が内部を押し広げるように動く。
「前立腺」
「え? あっ、あぁっ」
奥の上の方を二本の指で押された時、ガクっと膝が折れてヒデさんに支えられた。
「びっくりした? あそこが前立腺なんだよ」
ヒデさんはほほ笑んで、それ以上その部分を刺激することはなかった。
ベッドに移動しヒデさんを押し倒す。こうなることを想定していたのかヒデさんのベッドからは洗剤のいい香りがした。ヒデさんの髪の毛を撫でてキスをする。ヒデさんの手が俺の首に回って、ヒデさんの舌が俺の口の中に入ってきた。
ぴちゃ、ぴちゃ、濡れた音が室内に響く。がっつきぎみの俺の体をヒデさんが押して俺を見上げたまま乳首を口に含んだ。
「ひゃんっ」
「くす、ひゃんって。舐められるの、初めて?」
「今まで、こんなことされたこともなかったから」
「気持ちいい?」
「んー、どっちかっていうとくすぐったい」
「くすぐったいなら上等。これを超えると気持ち良くなるんだよ」
ヒデさんが俺の体の下に潜り込むようにして、お臍を甘噛みし俺の中心へと下がる。
「ちょっと、待って。俺、ヒデさんの中に入りたい」
「いいよ、おいで」
ヒデさんに微笑まれてゾクっとした。なんて魅惑的に笑うんだろう。ヒデさんの足を押し広げてローションをアナルに向けて垂らす。
「ん……」
冷たかったのかヒデさんが腰をくねらせた。まるで俺を誘うかのような動き。今すぐにでも突っ込んでしまいたい衝動を必死に抑えているのにヒデさんは「直ぐに来ていい」という。
「でも、このままじゃ痛くしてしまうんじゃ……」
「カイが来る前に準備はしたから大丈夫。だから、今すぐ欲しい」
「もう、ヒデさんの過去の全てに嫉妬しそうだ」
衝動を隠しもせずに一気に貫いた。あぁっ……とヒデさんが体をのけぞらせる。首筋を見せつけ胸を張り、窓から侵入する蛍光灯の灯りが乳首に影を作る。夢中になって腰を振りながらその体に口づけた。
「あぁっ……あぁっ」
「いい声」
いつもクールな顔をしてお酒を作っていた。通い始めた頃は恋愛感情なんか持てないほど遠くて、お酒を作るあの指先に見とれていた。その人が今、俺のペニスを飲み込んで喘いでいる。
「ヒデさん、キレイ」
快楽に顔を歪める姿でさえ綺麗だ。ヒデさんの手を取ると、その指を大切に口に含んだ。親指と人差し指の間、人差し指と薬指の間もきれいに舐め上げる。
「な……んで、そんな……とこっ」
「ヒデさんはどこもかしこもキレイだから」
「ば……か」
ぬちゅ、ぬちゅと水音が大きくなり、腰の動きがスムーズになる。体を倒してキスをしながら腰を深く叩きつけると、内部がヒクヒクと収縮するのが分かった。俺の精液を絞る取るような動き。
「ヒデさん、一回イってもいい?」
「ん……あぁっ、あっ、カイ、あぁっ」
ん、と返事をもらったと同時に激しさを増す。もう限界だった。ヒデさんが俺の名前を何度も呼ぶ。それが愛おしくて何度も貫いた。
「イクっ……」
ビクンビクンと動く振動のまま2、3回打ち付ける。より奥へ、より奥へとマーキングするみたいに。
「はぁ……ヒデさん、大丈夫?」
「ん……大丈夫。ハァ」
抱きしめ合ってもう一度キスをした。
ヒデさんが空気で笑う。
「元気だよね?」
そう、その通りだ。ヒデさんの中に埋まっている俺は萎えることを知らず、まだまだ立派にそそり立っている。
「……もう一回いいですかね?」
「それなんだけど、さ」
ヒデさんは体を起こすと中に埋まっている俺のペニスを抜きながら俺を押し倒した。
「今度は俺がカイの中に入りたい」
「へっ……」
「今日、店にカイの初めての男が来ただろ?相手のお酒の好みまでまだ覚えてる」
「え、あ、うん」
「だから、俺もカイの初めての男になりたい」
「え、えぇーっ」
「だめ?」
「だ、だだだめでしょ!!」
「どうして?俺じゃ物足りない? カイを満足させられない?」
「いや、そういうことじゃなくって、だって、俺、その、初めてだし」
「優しくする」
「カイのことが好きなんだ」
ワタワタしていた俺の心がその一言で黙った。ヒデさんに好きと言われたのは初めてだ。それからは言葉が水を飲むかのように体に沁み込んできた。
「今日、カイの初めての男だって人が来た時、正直、嫉妬した。あの体にカイが入ったのだと思うと……。自分のことも棚に上げて子供みたいでしょ?」
ヒデさんが呆れたように笑う。
「塗り替えたいんだ。カイの体全部、どこもかしこも俺のモノにしたい」
「ヒデさん……」
最初に感じたのは喜びだ。俺もヒデさんの過去に嫉妬はしたけれど、体全部どこもかしこも欲しいなんて考えには行きつかなかった。
ヒデさんって、俺が思っている以上に俺のこと好きなんじゃねぇの?
こんなにも俺のことが欲しいって言ってくれた人、今までいただろうか。不意にタチとかネコとかそんなことはどうでもいいような気がした。全部丸ごと欲しい、全部丸ごとくれてやる、そんな思いの行き着く先がリバなら、それでも、いいか。
「わかった。でも、マジで、本当に、優しくして」
ヒデさんは嬉しそうにほほ笑んで「ありがとう」と言った。そして、俺の手を掴んで指に口づけた。
「トロけるくらい優しくしてやる」
その表情が雄そのもので、先ほどまで俺の下で喘いでいた人物と同じとは思えなかった。
キスをして、首筋を舐められる。先ほどまでとは全然違う感覚に自分でも緊張しているのが分かる。
「くす、緊張してる?」
「うん……そうかも」
「可愛い」
体をうつ伏せにされ首の後ろを音を立てて吸われた。
「ちょ、なんか、くすぐったくて。ぷっ、もうっ」
いやらしいとは正反対の本気のくすぐったいだ。
「あっ、だから、くすぐった、ぷぷっ」
ヒデさんは尚もくすぐりに似た行為をやめず、俺は身もだえて笑った。俺の体をくすぐっていた手の動きがだんだん艶めかしく、ゆっくりになっていき乳首の周りをくるくると回り始めた。嫌でもそこに意識がいき、乳首にいくであろうという心づもりはしているのになかなかヒデさんの指はそこを目指さない。
やがてじれったさの中に落ち着かない衝動のようなものが生まれ始めた。
「……っ、ヒデっ……さん」
名前を呼べば与えられる。あんっ、と甘い声が上がり恥ずかしさで顔をベッドに埋めた。
「恥ずかしがらないで、こうして感じてくれるの、俺は嬉しい」
ヒデさんが俺の背中にキスを落としていく。乳首を愛撫しながら背中に何度もキスされ、ヌルッとした指がアナルに触れた。
いよいよか。
「ほら、また緊張してる」
ヒデさんの体が俺の下に潜ると、半立ちになっているペニスを口に含んだ。
「あ……」
「気持ち良くしてあげる」
言葉を話すたびに呼吸がペニスにかかる。ヒデさんの口がそこにあると思うだけで俺のペニスは硬さを取り戻した。
俺の腰に片手を回し、ペニスをしゃぶりながらアナルに指が一本挿入される。先ほど風呂で洗浄したおかげで案外すんなりと入った。痛みを伴わなかったことに安心して力が抜ける。
「上手。カイ、好きだよ」
すぐに二本目が挿入され、内部をかき回した。二本目の圧迫感を感じた時、思いがけずにゾクリと体が震えた。脳が思い出したのはさっき前立腺を押されたあの感覚だ。もう一度あれを味わいたくて、確かめたい欲求が沸き上がる。
「腰、揺れているけど、気持ちいいの?」
「ちがっ……そゆん、じゃ、なくて」
「あ、ペニスの味が変わった。気持ちいいんじゃないとしたら、期待?」
そうだ。期待だ。
「やっ、どうしよう。ヒデさ……体、おかし」
前立腺を刺激されてるわけじゃないのに、ゾクゾクする。
「俺のが欲しいの?」
違う、多分、そういうのじゃない。心はそう言っているのに。感覚が、感覚が叫ぶ。
「欲しい。ヒデさんっ……ヒデさんが、ほしいっ」
「ったく、優しくしてって言っておいて煽ってるのはどっちだよ」
ヒデさんの指の三本目がアナルに挿入される。入り口を押し広げて、さっきより少し乱暴なのはきっとヒデさんも余裕がなくなっているからだ。
俺の中に早く入りたい?
あぁ、もう。
「入れ……て。痛く……ても、い、い、から」
「ばかっ」
ヒデさんが少し強引に俺の中に入ってくる。アナルが避けまいとしてキチキチとその体を開いているようだ。
「くっ……」
「ごめん、痛い?」
「痛く……な、んか……ない」
痛いのはそれだけヒデさんの余裕がないということだ。いつも余裕綽々の人が俺に余裕を無くしている。それだけで痛みなんか無と同じだ。
「カイ、好きだ」
「俺……も……あぁっ!!」
一番太いところを抜け、ヒデさんと深くつながる。
「カイ」
ヒデさんが背中から俺を抱きしめる。
「そっち、向いて……いい?顔、見たい」
「うん、いいよ」
顔をベッドに埋め、腰を下ろしてつながったまま体を回転させると、優しく笑うヒデさんの顔があった。手を伸ばして俺の頭を撫でてくれる。
「カイ、ありがとう。ほら、俺のがカイの中に全部入ってるよ」
うん、うん、と頷く。
「動いていい?カイを気持ち良くしたい」
「ん、頼む」
「くす、頼まれた」
ゆっくり腰を引き、ゆっくり入ってくる。入り口をならすかのように浅い挿入を繰り返し、ヒデさんの手が俺のペニスに触れた。
「んはぁっ」
親指と人差し指、人差し指と中指、それぞれの指の間を使いながら巧みに愛撫する。アナルの違和感からペニスの気持ち良さに意識が奪われ始めると、アナルを犯すペニスの動きも深いスイングになった。内臓に振動が届く。
「ん……はっ、はっ、あ……ん、あ……やぁっん!なっ……に、あんっ……あ」
ピリピリとした電気が走るような快楽がアナルの奥から生まれる。脳内を犯して、俺に卑猥な
声を上げさせる。
「やっ……ヒデ……さ、あんっ……カラダ……あぁ、おかし」
「うん、そうだね。カイがずっと突いて欲しがっていた前立腺だよ。大丈夫、恐くないからそのまま気持ち良くなって」
「あんっ、んんっ」
ヒデさんの唇が重なる。口内をかき混ぜられ、前立腺を突かれ、声を上げることもままならないまま快楽に飲み込まれる。
「カイ、可愛い。本当に可愛い過ぎて、どうしようか。このままずっと繋がってる?」
「そ、んあん、死ぬ」
「ぷぷぷぷ、まだ、そんなこと言う余裕あるんだ。じゃ、もっといいよね」
「あぁっ、激し、っ……やっ、気持ちい、い、あぁっ、ヒデさんっ」
ベッドの軋む音が激しさを増す。ヒデさんの息づかいも荒くなってパンパンと肉のぶつかる音が響いた。執拗に感じるところを突かれ、閉じられなくなった口から唾液が零れる。
「あっ……あぁっ、イクっ」
「俺もっ」
同時に体を震わせて絡まったままベッドに倒れ込んだ。目が合ってどちらからともなく唇を重ねる。
「なんか抜きたくないなぁ」
「いや、そこは抜いて下さいよ」
「終わった途端つれない」
「そ、そういうんじゃないです。あの、ちゃんと好きです」
「くす、知ってるよ。今日、いっぱい教えてもらった」
トロンとした表情のヒデさんに見惚れていると、不意にアナルの中のモノが存在を主張し始めた。
「ちょっと、何大きくしてるんですか!」
「ん?だって、カイが可愛いこと言うから。もう一回いい?」
「なっ……もしかして絶倫ですか?」
「分からない。カイ相手にならそうなれるかも」
「勘弁してください」
「でも、ほら、後ろだけでイケたの気付いてる?俺はもっとカイの体のこと知りたいな」
ひぃぃいぃぃぃ。
俺はこうして新しい扉を開けた。ヒデさん限定で。
Fin.
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僕は、普通の高校2年生。そんな僕にある日恋人ができた!それは超イケメンのモテモテ男子、あまりにもモテるため女の子に嫌気をさして、偽者の恋人同士になってほしいとお願いされる。最初は、嘘から始まった恋人ごっこがだんだん本気になっていく。お互いに本気になっていくが・・・二人とも、どうすれば良いのかわからない。この後、僕たちはどうなって行くのかな?
Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。
完結|好きから一番遠いはずだった
七角@書籍化進行中!
BL
大学生の石田陽は、石ころみたいな自分に自信がない。酒の力を借りて恋愛のきっかけをつかもうと意気込む。
しかしサークル歴代最高イケメン・星川叶斗が邪魔してくる。恋愛なんて簡単そうなこの後輩、ずるいし、好きじゃない。
なのにあれこれ世話を焼かれる。いや利用されてるだけだ。恋愛相手として最も遠い後輩に、勘違いしない。
…はずだった。
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