【完結】スーツ男子の歩き方

SAI

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サイドストーリー2

亨の場合 3 ☆

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 くらくらする、ふわふわする。このままどこまでも歩いていけそうなくらい足が軽い。酔っぱらっている自覚があるくらいご機嫌だった。少なくともアイツが僕をベッドに押し倒す前までは。

「長野、これどういうつもり?」

ふらついていて危ないからと長野に家に送ってもらい、更にベッドまで運んでもらった。普通ならこれでバイバイってところなのに、何故か長野が僕の上に乗っている。

「……好きです」
「え?」

長野の唇が僕の唇に触れる。冗談で掠っただけなんじゃないかという程の優しいキスをして直ぐに離れた長野は、追い詰められたような切ない顔をしていた。

「亨さん、すみません。でも、もう無理」

そんな言葉を吐いてお酒で力の入らない僕の両手を縛る。長野に乗られたまま両手を縛られた僕は顔を引きつらせた。

「どういうつもりだよ」

「どう、しましょうか……。亨さん、めちゃくちゃに気持ち良くなりたい気分なんですよね?」

長野が眼鏡を外してベッドの脇に置いた。その行動を見て心が萎えるどころか下半身が熱くなる。相手が長野か。好みのタイプではないが、まぁ、俺のチンコを入れさせてくれるのなら長野でも良いのかもしれない。

好きだと言われたような気もするが、長野が僕を好きなんてあり得ないだろう。
短い間に僕の頭はそんなことを考え、そして「あぁ、そうだな」と返事をした。


長野の手が僕のジャケットのボタンを外しTシャツを捲り上げる。僕の体に貪りつこうとする長野を不思議な気分で眺めていた。

コイツのこんな表情も、切羽詰まった感じも初めてだ。いつもはもっと冷たいクールな表情をして、余裕綽々なのに。それに長野ってゲイだったっけ?

「ここ、ピンクで可愛い」

長野が僕の乳首の周りをクルクルと指で触れ、それからチョンと先端に優しく触れた。思いがけない行動に乳首からゾワゾワッとした瞬間的な何かが上がり、体が微かに反応した。

「感じる? 俺の手で感じるんだ」

乳首に長野の唇が迫ってきて僕は声を上げた。

「ちょっと待てよ。そんなに溜まってるなら抱いてやるからこの拘束外せよ。やられっぱなしってちょっと、さ」

「ダメです。拘束を外したら亨さんは逃げちゃうから。亨さんが誰かに触れられるのはもう耐えられない」

「ふぁっ」

長野の唇が乳首に触れ、その熱さに確かに快楽が頭を出した。ぴちゃぴちゃと音を立てられれば甘い痺れが体全体に広がり、自然と足をモジモジとさせてしまう。

「あぁ、窮屈ですよね。脱ぎましょうか。亨さんの全部が見たい」

長野がGパンを引き抜いて僕はジャケット、長T、ボクサーパンツの姿になった。すると長野は俺の部屋の中をぐるりと見渡す。

「今でも文房具はあの辺ですか?」

そう言いながら長野は僕から離れると姿を消し、直ぐに戻ってきた時には手に鋏が握られていた。

「な……何?」

手を拘束されお酒のせいでまだふわふわしているというのに目の前の男は鋏を持っている。この状況で恐怖を感じない方がおかしい。

「大丈夫。亨さんを傷つけたりしませんから。亨さんの全部が見たいのにこれが邪魔だから」

「え、お前何やっ……げぇっ」

チョキン、と音がして僕の長Tシャツの裾の真ん中に鋏が入った。

「それRショットのTシャツ、高いんだぞ!」

「知ってます。3万円でしたっけ? 買ってあげますよ」

「そういうことじゃあっ……」

鋏の冷たい刃が肌に触れるとゾクッと体が震えた。

「感じますか?」

チョキン、チョキンと布を切る音、危険な刃が時折体に触れることの恐怖、だが恐怖の奥に違う何かがある。思わず声が漏れてしまうのを堪える為に唇を噛んだ。鋏は襟元まで進み、長Tの前がはだけると長野は袖にも鋏を入れた。

「あっ……」
「ここ、敏感なんですね」
「やめ……あっ」

袖を切ったことで覗いた二の腕の内側を舐められて声が一段高くなる。

「いい顔。鋏が気に入ったようなんでこっちも切りましょうか」

次に長野の手が伸びたのはボクサーパンツだ。

「やめろっ、ばかっ」

「動かないで。動くと大事なところも切れちゃいますよ。ただでさえ大きくなってパンパンになってるんですから」

長野言葉に思わず顔を背けた。長野の言うとおりだ。手を拘束されて洋服を切られる、どう考えても変態的なこの行為に僕の中心はかつてないほどの興奮を訴えていた。

ボクサーパンツの裾に鋏が挿入されると太ももを這う鋏の冷たさに甘い声が漏れた。ヤバイ、脳が痺れていく。恐怖と快楽、この組み合わせは正常な判断を鈍らせどんどん思考が本能に寄っていった。

「下着、ぐっしょりと濡れてますね。亨さんがこういうのが好きなんて知らなかった」

チョキン、チョキン、鋏が進む。鉄の無機質さがペニスに迫ると亀頭を撫でられるような鋭い刺激が脳に伝わる。

やだ、まさか、こんなことでイクなんて。

心とは裏腹にビクン、ビクンと熱は昂り鋏が亀頭を掠めた瞬間に僕は「あぁっ」と情けない声を出した。

「イク程気持ち良かったですか?」
「ハァ、ばか、溜まってただけだ……」

「どうだか。でもこれでローションが要らなくなりましたね」

とうとうボクサーパンツもはぎ取られて僕は真っ裸にジャケットだけ着ている奇妙な格好になった。そんな僕を長野が眩しそうに見つめる。

「ずっとこうして触れたかった……」

僕の片足の膝を立てて足を開かせると精液塗れのソコを長野が口に含む。快楽を与えるというよりは舌で、口で、僕のペニスの形を確かめるような動きだ。決して上手いわけではないが丁寧に舐められれば自然にソコは大きさを取り戻す。

「そろそろ準備しましょうか」

いつになく優しい声色でほほ笑まれて、僕もいつになく優しい気持ちになっていた。

「長野は男と経験あるの?」
「……一度だけ」
「へぇ、あるんだ」

意外だった。僕の勉強を見ていた時の長野と言えばイケメンの癖に堅物まっしぐらといった感じで勉強以外の話をすることもなかったし、必要最低限のことしか話さなくてつまらない男だと思っていた。

その長野に性欲というものがあることにも驚いているのに、ましてや男とヤったことがあるなんて。

「一度だけじゃまだ慣れてないだろうし、僕が解してあげるよ。自分でするよりきっといいよ」

「違うんです、亨さん。俺が亨さんの中に入りたい」

「はっ、えっ、あっ、やめろっ、あっ……」

驚きのあまりに頭が真っ白になり慌てて脳を再起動している間にアナルに指が挿入された。

「くっ……うそ、抜けっ、だめだって」

「こっちは初めてなんですね。こんなにキツくて…嬉しい」

ゆっくり優しくなんて余裕は長野には無いらしい。強引に壺を押し開かれ、指を二本に増やされ前立腺を押される。

「あっ……くそっ……あっ」

痛い思いをしたくなければ受け入れるしかなくて、長野が下手なぶん自分で呼吸を整えて力を抜くしかない。僕だって男だ。どんなに抵抗してもこんな目をした長野が止まるはずはないと分かっている。

「もっと……や、さ……しく、しろよ」
「善処します」

何が善処しますだ、このやろう。

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