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13.翻弄される 1 ☆
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微かに水の音がする。
喉、乾いた・・・。
食堂まで水を取りに行くのは面倒だと思いながら体を起こす。
「え?」
見慣れない空間に思わず声が漏れた。喉の渇きも気だるさも一気に吹き飛んだ気がした。幸い近くにあった自分のリュックを探り、携帯電話を出す。時間は午前2時を指していた。
カチャリ、と空いたドアに思わずビクッとする。
「あれ、もう起きたの?」
「あ、はい。あの、僕・・・」
「私の店で酔いつぶれたんだよ。起こしても起きないから、住所も分からないし私の家に連れてきた」
お風呂上りの濡れた髪の毛を掻き上げた姿を見て、僕は目を丸くした。
「バーテンダーさん?」
「そう。こんな時間に追い出すわけにもいかないし今日は泊めてあげる。お風呂、入っておいで」
そう言われて汗とお酒の匂いの入り混じった自分の体臭に気が付いた。
こんな体でソファに寝かせて貰っていたなんて。
「すみません。お風呂、お借りします!」
「どうぞ。お風呂はあっちね。タオルはこれとこれ、下着はこれあげるよ。お客さんに貰ったやつだから気にしないで。石鹸類は勝手に使っていいからね。それと、はい」
バ、バスローブ!?
僕は全部を抱えると逃げるように風呂場に向かった。
バスローブに驚きはしたが、こうしてよく見るとインテリアのあちこちに高級そうな匂いがするし、オフホワイトを基調とした部屋も素敵だ。
立派な観葉植物まである。
こんな立派な家に泊めてもらうのだ。失礼が無いようにといつもより念入りに体を洗ってお風呂を出た。
「お風呂、ありがとうございます」
「いえいえ。君も飲む?」
バーテンダーさんは自分が飲んでいるグラスを軽く上げた。
「いえ、大丈夫です。あの、ご迷惑をおかけしてすみませんでした」
「迷惑ねぇ。確かにそうだね」
「すみません」
「そんなことよりさ、君、うちの店がどんなお店か知ってる?」
「美味しいカクテルが飲めるBARですよね?」
「そうだね。そうなんだけど、うちの店、同性愛者がパートナーを求めて出入りすることも多いんだよ」
「え?そうなんですか!?」
「やっぱり知らなかったか。私も目を光らせているんだけど、強引にパートナーを手に入れる人もたまにいてね。君と一緒に来た人は知り合い?」
「いえ、今日お店の前で会っただけです」
「だよね。君がトイレに行った隙に君のグラスに薬を入れていたから、私が追い出したんだ」
「まさか・・・」
「うちみたいな店じゃ、君はかっこうの獲物だろうね。不安定で危なっかしくて」
バーテンダーさんは立ち上がって僕に近づいた。
「なんか悩み事でもあるの?話でも聞こうか?」
耳元で囁くように言う。その囁きが佐倉の姿と重なり僕の体がほんの少し跳ねた。
「話すこと、ないです」
「へぇ、君、ノンケってわけでもないんだね」
「ノンケ?」
「同性愛のケ(気)が無い人のこと」
「それは・・・」
「ノンケならそのまま帰そうと思ってたけど気が変わっちゃったなぁ。私は全然興味が無い子にこんなに親切にはしないよ。宿代くらい払ってもらおうかな。こんなに反応してるし」
バーテンダーさんの手がバスローブの上から僕の中心を撫でる。先ほど耳元で囁かれた時から僕の中心は恥ずかしげもなく立ち上がっていた。
「ちょ、ちょっと待ってください。それはっ」
押しのけようとするも細身のわりにバーテンダーの力は強い。
「バーテンダーさんっ」
「その呼び方も背徳感があっていやらしいけど。アキトって呼んでみて」
「アキトさんっ」
「良く出来ました」
そんな会話をしている間に先ほど僕が寝ていたソファに押し倒された。間近に整った顔が迫る。
「やっ、まって、さくらっ」
僕に近づけた顔を離してアキトさんがきょとん、とした表情をした。でも自分の口から零れた言葉に一番驚いたのは僕自身だった。
佐倉だと?なんでこんな時に佐倉の名前なんか・・・。
「へぇ、君、好きな人がいるの?男?女?」
「・・・男・・・です。でも好きとかそういうわけじゃ」
「こんなタイミングで叫んでおきながら?君は君自身に優しくないんだね」
「優しく・・・ない?」
「まぁ、悪いようにはしないからさ気持ちよくなろうよ。宿代ね。楽しませて」
再び近づいてくる唇を僕は甘んじて受け入れた。
「いつもどんな風にしてるの?」
アキトさんは僕のバスローブをはだけさせて乳首をあの奇麗な指の腹で撫でた。
「あっ・・・」
これ以上声を漏らさない様に両手で口を塞ぐと、くすくすと笑い声が聞こえた。
「可愛いけど、顔が隠れちゃうからダメ」
僕の手を顔から優しく剥がすと、僕を抱きしめるようにして僕の両手を背中で固定した。
「これでもう隠せないね」
両手を拘束されてしまえばもう僕の体はアキトさんの思いのまま、だ。
「これも脱いでしまおうか」
アキトさんの手によって僕のトランクスは見事に足から引き抜かれた。バスローブをはだけさせ両手の自由を奪われた僕は足をクロスさせてなんとか性器を隠そうとする。アキトさんは僕に見せつけるようにローションを手に垂らした。
「足、広げて。聞いてる?ソファに足を乗せてⅯの字にするんだよ」
「・・・できません」
「出来ないはずはないでしょ。ほら、こうして」
アキトさんが僕の足を持ち上げ片足ずつソファに置く。
「動かしちゃだめだよ」
僕の体を良いように弄び、淫らな姿勢を取らせながらアキトさんの着衣は少しも乱れておらず、自分だけが乱れていく様はひどく羞恥心を刺激される。言葉に逆らえないような気になるから不思議だ。
「ココ、使ったことある?」
ローションにまみれたアキトさんの指が僕の蕾をクルクルと撫でた。口を開くと淫らな声が漏れそうで、必死に首をふる。
「そう。じゃあ、ここは彼の為にとっておいてあげようね」
言葉とは裏腹、優しく微笑んだまま指が僕の体に埋め込まれていく。
「やっ、どうして・・・」
入れないんじゃなかったの?
強烈な異物感に言葉が続かず目をぎゅっと瞑ると瞼に唇の感触があった。
「大丈夫。今よりもっと気持ちよくなるための準備だから。僕のペニスを入れたりしないから安心して力を抜いて」
アキトさんの手が僕の性器に触れ優しく揉むように愛撫を始めた。異物感の合間に体のマッサージに近い気持ちよさがチラチラ見え隠れする。恐る恐る目を開けると優しく微笑まれ唇が重なった。
お店にいるときからずっとそうだ。こんな風にほほ笑まれるとつい安心してしまう。
「そう、良い感じ」
心地よさに隠れて指がどんどん奥へと侵入を試み、僕の体も易々と指を飲み込み始めた。
「あン、あ、あ、アキトさん・・・深い・・・あっ、あぁっ」
「気持ちいいでしょ?ほら、ペニスもこんなに濡れ始めた」
性器の先端を親指でギュッと押され、あっ、とため息の様な声が漏れる。
「ほら、こっちもだいぶスムーズに動く様になったよ。指だって二本入ってる。どんな感じ?」
お尻に埋め込まれた指が二本であることを主張するようにバラバラに動きだす。粘膜の内側をクルクルとかき混ぜ、抜き差しするたびに、ヌチュ、ヌチュ、と音が響いた。
「あっ・・・ん、変な、かんじ・・・んんっ」
「変な感じ?結構気持ちが良さそうだけどね。そろそろいいかな」
不思議な言葉と共に引き抜かれた指。アキトさんの体が離れていくのを肩で息をしながら見ていた。
「これ、何かわかる?」
アキトさんの手にあるのはピンク色した3センチ×5センチの楕円形の物体だ。コードが付いていてその先にはスイッチのようなものがある。
「ローター?」
「正解」
「まさか・・・」
「そのまさか、だよ」
喉、乾いた・・・。
食堂まで水を取りに行くのは面倒だと思いながら体を起こす。
「え?」
見慣れない空間に思わず声が漏れた。喉の渇きも気だるさも一気に吹き飛んだ気がした。幸い近くにあった自分のリュックを探り、携帯電話を出す。時間は午前2時を指していた。
カチャリ、と空いたドアに思わずビクッとする。
「あれ、もう起きたの?」
「あ、はい。あの、僕・・・」
「私の店で酔いつぶれたんだよ。起こしても起きないから、住所も分からないし私の家に連れてきた」
お風呂上りの濡れた髪の毛を掻き上げた姿を見て、僕は目を丸くした。
「バーテンダーさん?」
「そう。こんな時間に追い出すわけにもいかないし今日は泊めてあげる。お風呂、入っておいで」
そう言われて汗とお酒の匂いの入り混じった自分の体臭に気が付いた。
こんな体でソファに寝かせて貰っていたなんて。
「すみません。お風呂、お借りします!」
「どうぞ。お風呂はあっちね。タオルはこれとこれ、下着はこれあげるよ。お客さんに貰ったやつだから気にしないで。石鹸類は勝手に使っていいからね。それと、はい」
バ、バスローブ!?
僕は全部を抱えると逃げるように風呂場に向かった。
バスローブに驚きはしたが、こうしてよく見るとインテリアのあちこちに高級そうな匂いがするし、オフホワイトを基調とした部屋も素敵だ。
立派な観葉植物まである。
こんな立派な家に泊めてもらうのだ。失礼が無いようにといつもより念入りに体を洗ってお風呂を出た。
「お風呂、ありがとうございます」
「いえいえ。君も飲む?」
バーテンダーさんは自分が飲んでいるグラスを軽く上げた。
「いえ、大丈夫です。あの、ご迷惑をおかけしてすみませんでした」
「迷惑ねぇ。確かにそうだね」
「すみません」
「そんなことよりさ、君、うちの店がどんなお店か知ってる?」
「美味しいカクテルが飲めるBARですよね?」
「そうだね。そうなんだけど、うちの店、同性愛者がパートナーを求めて出入りすることも多いんだよ」
「え?そうなんですか!?」
「やっぱり知らなかったか。私も目を光らせているんだけど、強引にパートナーを手に入れる人もたまにいてね。君と一緒に来た人は知り合い?」
「いえ、今日お店の前で会っただけです」
「だよね。君がトイレに行った隙に君のグラスに薬を入れていたから、私が追い出したんだ」
「まさか・・・」
「うちみたいな店じゃ、君はかっこうの獲物だろうね。不安定で危なっかしくて」
バーテンダーさんは立ち上がって僕に近づいた。
「なんか悩み事でもあるの?話でも聞こうか?」
耳元で囁くように言う。その囁きが佐倉の姿と重なり僕の体がほんの少し跳ねた。
「話すこと、ないです」
「へぇ、君、ノンケってわけでもないんだね」
「ノンケ?」
「同性愛のケ(気)が無い人のこと」
「それは・・・」
「ノンケならそのまま帰そうと思ってたけど気が変わっちゃったなぁ。私は全然興味が無い子にこんなに親切にはしないよ。宿代くらい払ってもらおうかな。こんなに反応してるし」
バーテンダーさんの手がバスローブの上から僕の中心を撫でる。先ほど耳元で囁かれた時から僕の中心は恥ずかしげもなく立ち上がっていた。
「ちょ、ちょっと待ってください。それはっ」
押しのけようとするも細身のわりにバーテンダーの力は強い。
「バーテンダーさんっ」
「その呼び方も背徳感があっていやらしいけど。アキトって呼んでみて」
「アキトさんっ」
「良く出来ました」
そんな会話をしている間に先ほど僕が寝ていたソファに押し倒された。間近に整った顔が迫る。
「やっ、まって、さくらっ」
僕に近づけた顔を離してアキトさんがきょとん、とした表情をした。でも自分の口から零れた言葉に一番驚いたのは僕自身だった。
佐倉だと?なんでこんな時に佐倉の名前なんか・・・。
「へぇ、君、好きな人がいるの?男?女?」
「・・・男・・・です。でも好きとかそういうわけじゃ」
「こんなタイミングで叫んでおきながら?君は君自身に優しくないんだね」
「優しく・・・ない?」
「まぁ、悪いようにはしないからさ気持ちよくなろうよ。宿代ね。楽しませて」
再び近づいてくる唇を僕は甘んじて受け入れた。
「いつもどんな風にしてるの?」
アキトさんは僕のバスローブをはだけさせて乳首をあの奇麗な指の腹で撫でた。
「あっ・・・」
これ以上声を漏らさない様に両手で口を塞ぐと、くすくすと笑い声が聞こえた。
「可愛いけど、顔が隠れちゃうからダメ」
僕の手を顔から優しく剥がすと、僕を抱きしめるようにして僕の両手を背中で固定した。
「これでもう隠せないね」
両手を拘束されてしまえばもう僕の体はアキトさんの思いのまま、だ。
「これも脱いでしまおうか」
アキトさんの手によって僕のトランクスは見事に足から引き抜かれた。バスローブをはだけさせ両手の自由を奪われた僕は足をクロスさせてなんとか性器を隠そうとする。アキトさんは僕に見せつけるようにローションを手に垂らした。
「足、広げて。聞いてる?ソファに足を乗せてⅯの字にするんだよ」
「・・・できません」
「出来ないはずはないでしょ。ほら、こうして」
アキトさんが僕の足を持ち上げ片足ずつソファに置く。
「動かしちゃだめだよ」
僕の体を良いように弄び、淫らな姿勢を取らせながらアキトさんの着衣は少しも乱れておらず、自分だけが乱れていく様はひどく羞恥心を刺激される。言葉に逆らえないような気になるから不思議だ。
「ココ、使ったことある?」
ローションにまみれたアキトさんの指が僕の蕾をクルクルと撫でた。口を開くと淫らな声が漏れそうで、必死に首をふる。
「そう。じゃあ、ここは彼の為にとっておいてあげようね」
言葉とは裏腹、優しく微笑んだまま指が僕の体に埋め込まれていく。
「やっ、どうして・・・」
入れないんじゃなかったの?
強烈な異物感に言葉が続かず目をぎゅっと瞑ると瞼に唇の感触があった。
「大丈夫。今よりもっと気持ちよくなるための準備だから。僕のペニスを入れたりしないから安心して力を抜いて」
アキトさんの手が僕の性器に触れ優しく揉むように愛撫を始めた。異物感の合間に体のマッサージに近い気持ちよさがチラチラ見え隠れする。恐る恐る目を開けると優しく微笑まれ唇が重なった。
お店にいるときからずっとそうだ。こんな風にほほ笑まれるとつい安心してしまう。
「そう、良い感じ」
心地よさに隠れて指がどんどん奥へと侵入を試み、僕の体も易々と指を飲み込み始めた。
「あン、あ、あ、アキトさん・・・深い・・・あっ、あぁっ」
「気持ちいいでしょ?ほら、ペニスもこんなに濡れ始めた」
性器の先端を親指でギュッと押され、あっ、とため息の様な声が漏れる。
「ほら、こっちもだいぶスムーズに動く様になったよ。指だって二本入ってる。どんな感じ?」
お尻に埋め込まれた指が二本であることを主張するようにバラバラに動きだす。粘膜の内側をクルクルとかき混ぜ、抜き差しするたびに、ヌチュ、ヌチュ、と音が響いた。
「あっ・・・ん、変な、かんじ・・・んんっ」
「変な感じ?結構気持ちが良さそうだけどね。そろそろいいかな」
不思議な言葉と共に引き抜かれた指。アキトさんの体が離れていくのを肩で息をしながら見ていた。
「これ、何かわかる?」
アキトさんの手にあるのはピンク色した3センチ×5センチの楕円形の物体だ。コードが付いていてその先にはスイッチのようなものがある。
「ローター?」
「正解」
「まさか・・・」
「そのまさか、だよ」
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