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ソニー・ビーン人肉食一族
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ソニー・ビーン一家は大量殺人犯というよりはもはや伝説の領域である。
しかし1500年代のスコットランドで多少の誇張はあっても実際に起きた事件であることは間違いない。
ソニー・ビーンはスコットランドの片田舎で生まれた。
本名はアレクサンダー・ビーンであり、ソニーはアレクサンダーの愛称である。
父は庭造りや廃棄物処理等に従事し、ビーンも若い頃はそれを手伝っていたが怠惰で粗暴な性格であり、退屈な労働を嫌ってそうそうに家を飛び出した。
そこでソニーは自分によく似た気性の女性と出会う。
妻の名は伝えられていない。
意気投合した二人は互いを生涯の伴侶と定め一緒に暮らし始めた。
しかし暮らし始めたといっても、まともな家に住んでいたわけではなかった。
なんと二人が住処として選んだのは奥行きが1.6kmもある巨大な洞窟だったのである。
その洞窟の入口はギャロウェイ海岸に面しており干潮時には細長い海岸線が現れて前庭になった。
二日に一度の高潮時には洞窟は入口から数百ヤードに渡って水没し一切の出入りが不可能になるため、好んで洞窟に入ろうとする物好きは誰もいなかった。
あちこちに曲がりくねった暗い横道のある洞窟は不気味に静まりかえり、湿った空気がひんやりとした澱みを湛えていた。
しかし二人にとっては居心地のよいねぐらとなったようだ。
そうして所帯をもったもののソニーは当然のように働く気など全くない。
それは同じ気性を持つ妻も同様であった。
そのためソニーは旅人を襲い金品を強奪して生活することを思い立つ。
もともと人通りの少ない狭い道を通りかかった不幸な旅人はソニーに襲われ1人の例外もなく殺された。
生かしておいては足がつくためソニーは冷酷に旅人にとどめをさすのを忘れなかった。
そんな暮らしを始めてまもなくソニーは再び困窮にあえぐことになる。
それというのもソニーは旅人から現金は奪ったが宝石や時計、衣類などの貴重品は売るときに足がつくと思い洞窟に放り投げておいた。
少ない獲物から奪う現金だけでは妻とソニーを養うには不十分すぎた。
怠け者の二人は娯楽品や嗜好品がなくとも別に構わなかったが、食糧だけは確保しなければ生きていくことそのものが危うかったのである。
どうにか食糧だけでも調達できないか?
そんなことを考えていたある日ソニーの脳裏に天啓がひらめく。
いや、天啓というよりはむしろ悪魔の囁きといったほうが正しいだろう。
ソニーは殺した旅人の死体を食糧として保存することを思いついたのである。
ソニーとその妻はすぐさまそのアイデアを実行に移した。
いつものように旅人を襲って殺しては自分たちの洞窟まで死体をひきずっていき、魚のように犠牲者の内臓を取り去り、バラバラに切断した四肢を干して塩漬けにした。
そして洞窟の壁に備え付けたフックにかけて保存し、骨は洞窟の別の場所に積んでいった。彼らは以後、20年間にわたってこの方法を続けることになる。
連続して起こる誘拐とも失踪とも知れない謎の事件を警戒した人々は、気味悪がって田舎道のひとり歩きを避けはじめた。
噂をききつけた地方政府が犠牲者と犯人を幾度も捜索したが、ソニーたちの洞窟は誰にも発見されなかった。
二日に一度は入り口が水没する洞窟で生活している夫婦がいて、人を殺して食べているなど捜索隊の想像を完全に逸脱していたのである。
食糧問題が解決されたソニー夫妻の生活は順調そものだった。
そして妻は次々とソニーの子供を産み落とす。
ソニーと妻は性欲が旺盛であったらしく実に男8人、女6人の子供を設けた。
しかも子供たちは近親相姦を繰り返し男18人、女14人を生んだという。
最終的にソニー一家は48人という大家族を構成するにいたった。
何ら教育を受けていなかったため、原始的な話し方しかできなかったというビーン一族の子供たちの知識といえば、殺人と食肉の解体、それを保存する加工技術だけだった。
また子供たちは家族以外の人間が食糧として殺されても疑問に思ったことはなかった。
道徳や倫理を教育する人間がいない以上彼らが殺人をごく当たり前の作業として受け入れていくのはやむを得ないことであっただろう。
殺人や誘拐を繰り返すなかで彼らの技術は長年の経験の中で洗練され、素早くスムーズに肉を加工する術を次々に体得していった。
おかげで、40人もの食いぶちがいるにも関わらず、一族が飢えることはなかった。それどころか塩漬けにして保存した人肉が食べ切れずに腐らせてしまうこともあったため、腐った部分を捨てることもあったという。
いくらなんでもこれほどの大家族が洞窟のまわりをうろうろして誰も気づかぬはずはないが、不幸にも彼らの存在に気づいたものは決して生きて帰ることはなかった。
いつまでたっても無くならぬ失踪と捕まらぬ犯人に業を煮やした役人によって幾人もの罪もない人々が冤罪によって処刑されるという悲劇が生まれていたがソニーたち一家は
そんなことを知るはずもなく黙々と食糧を獲得するための狩りを続けていた。
ソニー一家の狩りの方法は徹底していた。
決して獲物を逃さぬように道の両脇に部隊を置き退路を塞いで殲滅する手法はまるで軍隊を彷彿とさせるほどであった。
人数も増え大胆になったソニー一家は不文律として5人以上の旅人には手を出さなかったがやがて6人以上の旅人まで標的にするようになっていく。
しかしついに一家の悪運も尽きる時が来た。
ソニーと妻が洞窟で暮らし始めて25年目のある晩、ソニー一家は、近隣の町フェアから馬で帰ろうとしていたある夫婦を襲った。
攻撃部隊が最初に女を捕らえ、次に男を馬から引きずり下ろそうともみ合っている間に、別の部隊が先に捕らえた女を慣れた手つきで裸にしその場で内臓を引きずり出し、洞窟へ持ち帰る準備を整える。
愛する妻が生きたまま解体されるという残虐きわまる所業を目の当たりにした夫はパニックに襲われ、半狂乱になって無我夢中で暴れた。
すると火事場のなんとかというが、彼のすさまじい抵抗で一家の何人かが彼を抑えつけることが出来ずに転倒した。
まさにその時、同じフェアから帰る20人以上の集団が偶然に通りかかったのである。
思わぬ大人数の集団に出会ったソニー一家は、自分たちが不利なのを悟ると攻撃を中断し、切断した女の死体をその場に残したまま、慌てて洞窟に戻った。
これがソニー一家にとって、最初で最後の、そして最大の失敗になった。
ソニー一家から逃げ伸びることに成功した男はグラスゴーの最高行政官のもとに連れていかれ自らの体験を供述した。
その供述に行政官は驚愕した。
彼の話が真実であれば犯人はギャロウェイ地区付近に集団で生活しており、被害者の妻の内臓を抜いたうえで持ち帰ろうとした事実は彼らが死体を食糧として認識していることを示していたからである。
この異常な事態を重視した最高行政官は事の次第をスコットランド王に直接報告した。
たちまち400名の軍隊と追跡犬がギャロウェイに差し向けられる。
そしてスコットランド史上でも空前の捜索部隊がギャロウェイ地区をくまなく捜索し始めた。
そんなスケールの捜査にも関わらず当初捜索隊はソニー一家を発見出来なかった。
しかし捜索から幾日目かのある日、海岸を追跡犬とともに歩いていた1人の兵士が、浸水した洞窟の入り口にむかって犬がうなり声をあげたことに気づく。
やがて犬は入口にむかって激しく吠えはじめた。
間違いない。
そう確信した兵士は急いで仲間を呼んだ。
洞窟の前に集められた捜索隊はたいまつの明かりを頼りに曲がりくねった洞窟の通路を用心深く進んでいく。
そして彼らはついにソニー一家の住む洞窟の居住区へとたどり着いた。
そこには想像を絶する恐ろしい光景が広がっていた。
洞窟の壁には、保存のために切断された人間の手足や胴体、男性や女性の肉片がまるで肉屋のように掛けられており、少し離れた別の場所には死体からはぎ取った時計や指輪、宝石などの貴金属と
一緒に衣類などが無造作に積みあげられていた。
そしてすぐ脇の穴の中には、25年にわたって溜め込まれた無数の人骨が投げ捨てられたように散らばっていた。
兵士たちの一部はあまりの光景に吐き気を催して口を押えたという。
このときソニー一家は1人も欠けることなく洞窟に潜んでいた。
はじめソニー一家は逃げる隙をうかがって抵抗していたが、400人の軍隊を相手に敵うはずもなく所詮は素人である彼らは時をおかずに一網打尽に捕えられることとなった。
言い逃れようない長年の罪の証を洞窟に山ほど残していたソニー一家に弁明の機会は残されていなかった。
恐怖と怨差をこめて人々は報復を求めた。
この25年の間に彼らが殺した旅人の数は千人を超えようとしており、残された家族や血族は復讐の憎悪に燃えていたのである。
しかし捕まえられたソニーの子供たちは生まれた時から人肉を食べ、強盗と殺人を生活習慣として暮らしてきたために、彼らがなぜ怒り狂っているのか全く理解できずにいたという。
呪われた人食い一族を弁護しようなどという酔狂なものはなく、正当な裁判にかける必要すらないと判断された彼らは略式の独断的な裁判のすえ死刑を宣告された。
幼児も赤ん坊も死刑の対象からはずされることはなかった。
この呪われた一族の血は一滴も残さずここで根絶やしにしなくてはならなかった。
翌日全員の死刑が執行される。
ソニー一家の男たちは両手両足を切断されたうえ、失血死するまで殺さずに放置された。
女たちは男たちの死ぬ様子を見届けさせられたうえ生きたまま火あぶりにされた。
しかし死の間際になってもソニー一家の人間は死を恐怖することはあっても、罪を犯したことを後悔する様子はなかったという。
彼らは自らが殺した旅人たちと同様、自分たちがなぜ殺されるか理解せぬままに永遠にこの地上から姿を消した。
洞窟の前に立つソニー・ビーン。奥に人間の足を抱えた妻らしき人物が描かれている。
もともと人肉食は古代においては珍しいことではなかったが、メインの食糧として狩りの対象としたのはこのソニー・ビーンが空前にして絶後であろう。
しかし1500年代のスコットランドで多少の誇張はあっても実際に起きた事件であることは間違いない。
ソニー・ビーンはスコットランドの片田舎で生まれた。
本名はアレクサンダー・ビーンであり、ソニーはアレクサンダーの愛称である。
父は庭造りや廃棄物処理等に従事し、ビーンも若い頃はそれを手伝っていたが怠惰で粗暴な性格であり、退屈な労働を嫌ってそうそうに家を飛び出した。
そこでソニーは自分によく似た気性の女性と出会う。
妻の名は伝えられていない。
意気投合した二人は互いを生涯の伴侶と定め一緒に暮らし始めた。
しかし暮らし始めたといっても、まともな家に住んでいたわけではなかった。
なんと二人が住処として選んだのは奥行きが1.6kmもある巨大な洞窟だったのである。
その洞窟の入口はギャロウェイ海岸に面しており干潮時には細長い海岸線が現れて前庭になった。
二日に一度の高潮時には洞窟は入口から数百ヤードに渡って水没し一切の出入りが不可能になるため、好んで洞窟に入ろうとする物好きは誰もいなかった。
あちこちに曲がりくねった暗い横道のある洞窟は不気味に静まりかえり、湿った空気がひんやりとした澱みを湛えていた。
しかし二人にとっては居心地のよいねぐらとなったようだ。
そうして所帯をもったもののソニーは当然のように働く気など全くない。
それは同じ気性を持つ妻も同様であった。
そのためソニーは旅人を襲い金品を強奪して生活することを思い立つ。
もともと人通りの少ない狭い道を通りかかった不幸な旅人はソニーに襲われ1人の例外もなく殺された。
生かしておいては足がつくためソニーは冷酷に旅人にとどめをさすのを忘れなかった。
そんな暮らしを始めてまもなくソニーは再び困窮にあえぐことになる。
それというのもソニーは旅人から現金は奪ったが宝石や時計、衣類などの貴重品は売るときに足がつくと思い洞窟に放り投げておいた。
少ない獲物から奪う現金だけでは妻とソニーを養うには不十分すぎた。
怠け者の二人は娯楽品や嗜好品がなくとも別に構わなかったが、食糧だけは確保しなければ生きていくことそのものが危うかったのである。
どうにか食糧だけでも調達できないか?
そんなことを考えていたある日ソニーの脳裏に天啓がひらめく。
いや、天啓というよりはむしろ悪魔の囁きといったほうが正しいだろう。
ソニーは殺した旅人の死体を食糧として保存することを思いついたのである。
ソニーとその妻はすぐさまそのアイデアを実行に移した。
いつものように旅人を襲って殺しては自分たちの洞窟まで死体をひきずっていき、魚のように犠牲者の内臓を取り去り、バラバラに切断した四肢を干して塩漬けにした。
そして洞窟の壁に備え付けたフックにかけて保存し、骨は洞窟の別の場所に積んでいった。彼らは以後、20年間にわたってこの方法を続けることになる。
連続して起こる誘拐とも失踪とも知れない謎の事件を警戒した人々は、気味悪がって田舎道のひとり歩きを避けはじめた。
噂をききつけた地方政府が犠牲者と犯人を幾度も捜索したが、ソニーたちの洞窟は誰にも発見されなかった。
二日に一度は入り口が水没する洞窟で生活している夫婦がいて、人を殺して食べているなど捜索隊の想像を完全に逸脱していたのである。
食糧問題が解決されたソニー夫妻の生活は順調そものだった。
そして妻は次々とソニーの子供を産み落とす。
ソニーと妻は性欲が旺盛であったらしく実に男8人、女6人の子供を設けた。
しかも子供たちは近親相姦を繰り返し男18人、女14人を生んだという。
最終的にソニー一家は48人という大家族を構成するにいたった。
何ら教育を受けていなかったため、原始的な話し方しかできなかったというビーン一族の子供たちの知識といえば、殺人と食肉の解体、それを保存する加工技術だけだった。
また子供たちは家族以外の人間が食糧として殺されても疑問に思ったことはなかった。
道徳や倫理を教育する人間がいない以上彼らが殺人をごく当たり前の作業として受け入れていくのはやむを得ないことであっただろう。
殺人や誘拐を繰り返すなかで彼らの技術は長年の経験の中で洗練され、素早くスムーズに肉を加工する術を次々に体得していった。
おかげで、40人もの食いぶちがいるにも関わらず、一族が飢えることはなかった。それどころか塩漬けにして保存した人肉が食べ切れずに腐らせてしまうこともあったため、腐った部分を捨てることもあったという。
いくらなんでもこれほどの大家族が洞窟のまわりをうろうろして誰も気づかぬはずはないが、不幸にも彼らの存在に気づいたものは決して生きて帰ることはなかった。
いつまでたっても無くならぬ失踪と捕まらぬ犯人に業を煮やした役人によって幾人もの罪もない人々が冤罪によって処刑されるという悲劇が生まれていたがソニーたち一家は
そんなことを知るはずもなく黙々と食糧を獲得するための狩りを続けていた。
ソニー一家の狩りの方法は徹底していた。
決して獲物を逃さぬように道の両脇に部隊を置き退路を塞いで殲滅する手法はまるで軍隊を彷彿とさせるほどであった。
人数も増え大胆になったソニー一家は不文律として5人以上の旅人には手を出さなかったがやがて6人以上の旅人まで標的にするようになっていく。
しかしついに一家の悪運も尽きる時が来た。
ソニーと妻が洞窟で暮らし始めて25年目のある晩、ソニー一家は、近隣の町フェアから馬で帰ろうとしていたある夫婦を襲った。
攻撃部隊が最初に女を捕らえ、次に男を馬から引きずり下ろそうともみ合っている間に、別の部隊が先に捕らえた女を慣れた手つきで裸にしその場で内臓を引きずり出し、洞窟へ持ち帰る準備を整える。
愛する妻が生きたまま解体されるという残虐きわまる所業を目の当たりにした夫はパニックに襲われ、半狂乱になって無我夢中で暴れた。
すると火事場のなんとかというが、彼のすさまじい抵抗で一家の何人かが彼を抑えつけることが出来ずに転倒した。
まさにその時、同じフェアから帰る20人以上の集団が偶然に通りかかったのである。
思わぬ大人数の集団に出会ったソニー一家は、自分たちが不利なのを悟ると攻撃を中断し、切断した女の死体をその場に残したまま、慌てて洞窟に戻った。
これがソニー一家にとって、最初で最後の、そして最大の失敗になった。
ソニー一家から逃げ伸びることに成功した男はグラスゴーの最高行政官のもとに連れていかれ自らの体験を供述した。
その供述に行政官は驚愕した。
彼の話が真実であれば犯人はギャロウェイ地区付近に集団で生活しており、被害者の妻の内臓を抜いたうえで持ち帰ろうとした事実は彼らが死体を食糧として認識していることを示していたからである。
この異常な事態を重視した最高行政官は事の次第をスコットランド王に直接報告した。
たちまち400名の軍隊と追跡犬がギャロウェイに差し向けられる。
そしてスコットランド史上でも空前の捜索部隊がギャロウェイ地区をくまなく捜索し始めた。
そんなスケールの捜査にも関わらず当初捜索隊はソニー一家を発見出来なかった。
しかし捜索から幾日目かのある日、海岸を追跡犬とともに歩いていた1人の兵士が、浸水した洞窟の入り口にむかって犬がうなり声をあげたことに気づく。
やがて犬は入口にむかって激しく吠えはじめた。
間違いない。
そう確信した兵士は急いで仲間を呼んだ。
洞窟の前に集められた捜索隊はたいまつの明かりを頼りに曲がりくねった洞窟の通路を用心深く進んでいく。
そして彼らはついにソニー一家の住む洞窟の居住区へとたどり着いた。
そこには想像を絶する恐ろしい光景が広がっていた。
洞窟の壁には、保存のために切断された人間の手足や胴体、男性や女性の肉片がまるで肉屋のように掛けられており、少し離れた別の場所には死体からはぎ取った時計や指輪、宝石などの貴金属と
一緒に衣類などが無造作に積みあげられていた。
そしてすぐ脇の穴の中には、25年にわたって溜め込まれた無数の人骨が投げ捨てられたように散らばっていた。
兵士たちの一部はあまりの光景に吐き気を催して口を押えたという。
このときソニー一家は1人も欠けることなく洞窟に潜んでいた。
はじめソニー一家は逃げる隙をうかがって抵抗していたが、400人の軍隊を相手に敵うはずもなく所詮は素人である彼らは時をおかずに一網打尽に捕えられることとなった。
言い逃れようない長年の罪の証を洞窟に山ほど残していたソニー一家に弁明の機会は残されていなかった。
恐怖と怨差をこめて人々は報復を求めた。
この25年の間に彼らが殺した旅人の数は千人を超えようとしており、残された家族や血族は復讐の憎悪に燃えていたのである。
しかし捕まえられたソニーの子供たちは生まれた時から人肉を食べ、強盗と殺人を生活習慣として暮らしてきたために、彼らがなぜ怒り狂っているのか全く理解できずにいたという。
呪われた人食い一族を弁護しようなどという酔狂なものはなく、正当な裁判にかける必要すらないと判断された彼らは略式の独断的な裁判のすえ死刑を宣告された。
幼児も赤ん坊も死刑の対象からはずされることはなかった。
この呪われた一族の血は一滴も残さずここで根絶やしにしなくてはならなかった。
翌日全員の死刑が執行される。
ソニー一家の男たちは両手両足を切断されたうえ、失血死するまで殺さずに放置された。
女たちは男たちの死ぬ様子を見届けさせられたうえ生きたまま火あぶりにされた。
しかし死の間際になってもソニー一家の人間は死を恐怖することはあっても、罪を犯したことを後悔する様子はなかったという。
彼らは自らが殺した旅人たちと同様、自分たちがなぜ殺されるか理解せぬままに永遠にこの地上から姿を消した。
洞窟の前に立つソニー・ビーン。奥に人間の足を抱えた妻らしき人物が描かれている。
もともと人肉食は古代においては珍しいことではなかったが、メインの食糧として狩りの対象としたのはこのソニー・ビーンが空前にして絶後であろう。
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