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CHAPTER (1):

Ⅲ.ここどこや

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「……知らない天井だ……………っやなくて!!」


ガバッと慌てて身体を起こした私は目眩を覚えて、頭を抱えた。


(うわぁ……目覚め悪っ…)


正直、思い出したくもない前世だった。
10人に聞いたら10人は悲惨だというような最期だった。

それでも、今の私の性格ががここまで人並みに矯正されてるのは、一重にやはり、あの優しい今世の母親のおかげだと言えるだろう。
前世今世と貧しかったせいで、守銭奴にはなってしまっているけども。


頭を抱えたことで、自分の視界に明らかに日本人とはかけ離れた色の、自身の髪が映る。

(私、ほんとにヒロインの、リベラ・シュトラインになっちゃっとるなぁ…)


いや、まだ平民だから、『ただのリベラ』だろう。

前世を思い出す前のこれまでの記憶を辿ってみても、私がとある乙女ゲームのヒロインであるリベラに転生したことは確実だ。


正直、ゲームのタイトルすら覚えていない。
なぜなら、前世、プレイしていたのは、私ではなく、高校時代の友人だからだ。
友人は、私にもプレイして欲しそうだったが、我が家は貧乏だったので、ゲームをするための携帯電話を所持することが出来なかったのである。
しかし、ハマりにハマった友人に常々語りに語られていたので、ある程度、ぼんやりと、内容を記憶している。


(ゲームの、母親を失ったリベラは、光の魔法を使えるから、10歳でシュトライン子爵家に引き取られるんよね……)

そこまで考えて、待てよ、と我に返る。


(ゲームでは、10歳で母親を亡くして、子爵家に引き取られてる……あれ?、私、今まだ5歳やん!?)


どういうわけか、母さんは、本来よりも5年も早死していたことに気づき、頭を殴られたかのようなショックを受ける。


(えっ、えっ、どういうこと!?私のせい!?私が何らかの形で母さんに5年分も負担かけてたってわけ!?)


母さんの死がもしかしたら私自身に原因があったのではないかという考えに至った途端、散々泣いたのに、悔しいやら悲しいやらで再び目に涙が浮かんできた。


(散々泣いて、もう涙も枯れたと思ったのに、、
って、え? 散々泣いた??)


そう、私は家で母さんの遺体を抱えて泣き喚いていたはずである。

今、私は、他にはシンプルな机と箪笥タンスがある部屋の、質素ながらも清潔なベッドの上に居た。






「…ここ、どこ!?」




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