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本編

ep03_2

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 で、部屋に到着。
 先導してくれたひとは帰っちゃって、部屋にふたりきり。
 あ、外にはちゃんと警備のひとがつくみたい。……なんか、どっちかっていうと、オッサンが逃げないようにするためのひとっぽいけど……。

「すごーい! 豪華じゃん!」

 なかに入るなり、とりあえず探索するよね。
 旅行のパンフレットとかで見る、ちょっとお高いホテルの部屋みたいだ!

「お、おい……」
「ほら、オッサ……ちが、えーっと、ノウトさん? うーん、ギリアロさんも、探険しましょうよ」

 名前はギリアロのほうだよね?
 ギリアロさんでいっか。

「元気だなオイ」
「まあね。ワインはいってるおかげで、ちょっとハイかも」
「マジかよ……」

 オッサンってば、お部屋に入ったところにあるソファーに早速座って、早々にくたびれてる。うーん、もしかして体力も結構オッサン?
 じゃ、オッサンの代わりにあたしがひととおり探険しちゃおっかな。

 このおっきな部屋以外にも、いくつか部屋がくっついてるっぽい。
 えーと、まずは書斎でしょ。……これはオッサン用の部屋になるのかな。
 それから、クローゼット? ……うん、広めのウォークインクローゼットだね。
 いまはまだ空っぽなんだけど、お買い物については、またエドアルド殿下に相談しなきゃだよね。
 元の世界の鞄持ってきたけど、お金ぜったい役に立たないし。……あたし、この国で自由に使えるお金もらえるよね?

 あとは小さなキッチンもついてた! やったー!
 そうだよね。そうだよねっ! おつまみくらいは作りたいもんね。
 タイル張りで、他の部屋とちがってシンプルな誂えがカワイイ。
 本格的なキッチンではないんだけど、いろいろ機材みたいなのがそろっていてさ。たぶんお湯湧かしたりとか、フライパンとかで簡単に炒めるとかならできそう。
 これ、自分で料理していい感じ? うーん、これからのご飯のこともまた聞かなきゃ。

 それから、部屋とは別に、お風呂とトイレもちゃんとついてて、お風呂はなんと猫足! すっごい可愛いの。晶精機器をつかったシャワーもあるみたいだし、カンペキだね。


 で、改めてここ――入り口はいったとこの大きな部屋に戻ってくる。
 うーん、オッサンはあいかわらずソファーでくたびれてるなー。

 かなり広くて、大きなストーブみたいなのがついてる。あ、でも、火をくべるんじゃなくて、ここにも晶精エネルギーってのをつかうのかも。
 装飾とかはお城の鉄っぽいのとは全然ちがって、しゃれてるの。家具は意外と木製のものも多い。
 外は鉄と鋼で近未来的だけど、部屋の中はアンティークっぽい家具も置いてあるかんじ。
 今オッサンが寝てるソファーがある他に、丸いテーブルなんかもあって、くつろぐにはいい部屋だよね。ちょっと家具が豪華すぎる気がするけど。

 ……でね?
 さいごにね? その部屋のなかで――めちゃくちゃ存在感あるし、気になってたものに目をむける。

 だっだっだって早足であるものの方へ歩いていって――ダイヴッ!
 ああ、やっぱり。見た目通り、そこそこ弾力あった、よかったー!

「うわ……」

 後ろでオッサンにひかれちゃったけど気にしないよー。
 だって、おっきな――どこをどう見てもキングサイズのベッドだもん。飛び込みたくなるよね。
 ベッド一個しかないあたり、思うところはあるけどね。うーん、ふたり共用かあ。ちゃんとした個人の部屋とか、ないよねここ。

「広いし、半分こでいいかな」
「はあ?」
「旦那さま? 右と左、どっちにしますー?」
「はあああ?」

 いやいや、そんなわけのわからないものを見る目で見ないでほしいな。

「いやいや。正気か? いいよ、お前さんそれ使え。俺はソファーでいい」
「えっ。だめですよー。これからしばらくここに住むんでしょう? 寝る場所って大事だから、体壊しちゃう。せめて一日交代が妥当じゃ?」
「できるか」
「うーん。じゃ、やっぱり半分こ。大丈夫ですよ、けっこう広いし」
「……マジかよ」
「別にそんな気にしないですよ。じゃ、あたし、こっち。ギリアロさん反対側ね? 蹴り落としたらごめんなさい」
「……」

 あれれ、ヤバ。完全にひかれちゃってる。

「あはは。まあ、長いつきあいになるみたいだし、早く慣れましょ。うん!」
「おいおい、マジかよ」
「マジです。とりあえず、お風呂。ね? お風呂しましょ? 先入ります?」

 なんて言いながら、ベッドの上に畳んで置いてあったパジャマっぽい服に手をかける。
 ええと? レースがひらひらの方があたしのだよね。――って、両手にとってばさーってひらいて、即後悔した。

「……」
「……ええと」

 ……すごーい、すけすけだー。
 …………うん。
 ひらっひらで、多分丈もぎりぎり隠れるか隠れないかくらいなんだけど、そもそもこれだけすけすけじゃ隠れるモノも隠れないよね?

「…………なんていうか、この国、押せ押せがすごいですね?」
「~~~~っ」

 この結婚、書類上だけじゃだめっぽいの?
 うーん。エドアルド殿下が単に楽しんでるだけっぽいってのもあるけど……。

 って、オッサン、動揺しすぎっ。
 オッサンてば額押さえて立ち上がって、入り口の方へ歩いていっちゃって。

「帰るっ」

 って言いながら出てったら、そっこー外の見張りの人たちに押し戻されてるんだけど。

 うーん……なんか、ご、ごめんね?
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