9 / 61
本編
ep05_2
しおりを挟むうん。肩書きが長いよ?
大隊長。それがどれくらいすごいのかはまだわからないんだけど、エラいひとには間違いがない気がする。
「円居千瀬です。どうも」
……それにしても、すっごい目で見られてるなー。
相変わらずギラギラしてるよね。
あたし、元の世界でもこんな毛色のせいで、珍しがった男子にけっこう声かけられたけどさ。このひと、そんな男子よりも怖い目をしてるっていうか。興味を通り越してるって感じ。
「召喚早々大変でしたね」
「はい?」
なにがだろう。目が全然笑ってないし、感情よめないけど。ヤなかんじはするね。
「相手があのどこから来たかも知れない愚鈍な男だなんて、おかわいそうに」
んんん?
愚鈍??
それってギリアロさんのこと?
いやいや、ギリアロさんたしかに見た目はだらしないとこあるし、シャキってしてないし、だるだるーってした雰囲気だけど、悪いひとじゃないし。
大臣だよ? エラいひとじゃないの?
「えっと、それは……?」
「ノウトのことさ」
おーっと、呼び捨て。
「あなたはまだ知らないのでしょう? あの男のことを」
そりゃあね。昨日寝る前にちょちょっと話しただけだし。知りあうにはまだ時間少ないけどさあ。
わー……ギリアロさんのこと超見下してるって感じ。
書面上だけど、あたしの旦那さんだからね? わかってる? 超失礼だよ???
「あんな肩書きだけの男から、私なら救って差し上げられます」
ああ……なるほどなー。そういうこと。読めたよ?
ここが女が少ない世界って認識はあったけど、どうも、このひとあたしをお嫁さんにしたいっぽい?
そうだよね。お婿さん候補だったひとっぽいし。あたしもそれなりに貴重な存在っぽいし?
つまりギリアロさんから乗り換えろ、てきな? オレの方がいいぜ、てきな???
いやいやいや、ないから。このひと相当自信家だね。ごめんね、そういうひとに興味持てないんです、あたし。
「あの……」
うーん、今後、声かけられないためにはどうしよっかな。
早々に諦めてほしい一択だし、でも角は立てたくないよね? このひとがギリアロさんにとってどういう立ち位置のひとかもわかんないし。……ってあたしは考える。
まあ、あたしを女として見てるんだったら、プライドへし折るのに、手っ取り早い手段があるか。
昨日の今日で、この世界の男のひとって、未婚イコール童貞、みたいな勝手なイメージできたし。
……って考えると、ちょっと気が楽になるね。めちゃくちゃオレ様顔で、このひとも童貞とか、ぷぷぷ。
「ごめんなさい、あたし……」
両手を頬に当てて、上目遣い。
視線を彷徨わせて、ちょっと体くねらせて。
…………名前忘れちゃった。なんだっけ、このひと。とりあえず、赤髪のひと、あたしの表情見て固まっちゃったけど。
「ギリアロさんに……あの……」
あなたの出る幕なんてぜんっぜんないんですよ。
ギリアロさんは素敵な男のひとなんですよーって主張するには、コレが一番だよね。
「昨日の夜……」
「な……っ!!」
恥ずかしそうに、ぽっ、ってして見せたら、もう、多くは語らなくていいじゃない?
あはは、昨日の夜ね。ほんとは作戦会議しただけなんだけどねー! ギリアロさんパンいちまではいったんだけどなーんもなかった!
「とても…………その、えへへ」
もじ。もじ。もじ。
ふふふ、内容は個人の妄想に委ねまーす!
まあ、まず間違いなくえっちな方向で想像してもらえたんじゃないかな。で、あたしもその気になってます、てきな?
うふふ、ギリアロさんテクニシャン設定でいいでしょ。うん。
「なので、ごめんなさいっ」
赤毛のひとってば、口をあんぐり開けたままつったってるけど、これもう無視してバイバイしていいよね?
よし、早足で立ち去ろーっと。
じゃ、さよならー。
応援ありがとうございます!
23
お気に入りに追加
1,137
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる