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番外編
ex_fin *
しおりを挟む「ひゃ、ぁん!」
快楽の逃げ場がない。
ギリアロの与える快感が、全部全部、ダイレクトに伝わってくる。
「すげえ……チセ、お前さん、もうどろどろだ」
「ギリ、ぁ……もぅ、あたし……っ」
「ん、一回イこうな?」
ばちゅ、ばちゅっ、て強引に叩きつけられるような抽送が続き、あたしの神経は焼き切れそうになる。
ぱちぱちぱちと目の前が真っ白になって、身体が震えた。
「ぁ……っ、っ、っ!」
びくびくびく、と全身が震え、崩れ落ちる。
ギリアロのは奥にあたったまま。ぎゅってつよく締めつけちゃって、ギリアロが呻いたのがわかる。
でも、彼はまだ。きっと、全然足りてない。
どうして?
今日はまるで、何かに焦っているみたいで――って思って、あたしは理解する。
「は…、はぁ…、はぁ、はぁ……!」
呼吸が苦しい。
でも、もっと。
あたし、ちゃんと、ギリアロを――、
「ギリアロ……」
どうにか身体をひねると、彼もあたしにこたえるように、繋がったままあたしの身体、ぐるんって反転させてくれた。
ようやくベッドに仰向きに寝転がる形になって、あたしははくはくと必死で呼吸する。
「ギリアロ、……いい、よ?」
「……」
「もっと。いっぱい、して……?」
ギリアロの瞳が震え、次の瞬間には彼ががばりと覆いかぶさってくる。
ぎゅうぎゅうにあたしを抱きしめて、安心したかのようにはあああ、とおっきなため息をついた。
「どしたの?」
「俺のマヌケっぷりが、ヤになってるところだよ」
「ふふ。そんなの」
それはもう聞いた。
あたしが居なかったこと、夕方になるまでずーっと気がつかなかったんだって。
でもね。あたし、すごくわかるんだ。
たしかめるのが怖いって気持ち。
億劫になって、見ないふりをして、自分を慰めて。
だって、あたしだって同じだったんだもん。
それくらい、相手に対して怖いって気持ちを持っちゃうのはきっと、すごく――すごく、大切だから。
「好きだよ」
だから。
「たしかめて? もっと、もっと」
いっぱいしていいから。
「激しくして、いいよ」
不安をぶつけてくれていい。
「ちゃんと、あなたのこと。すきでいる」
だから、もっと求めてくれていいの。
意識がまだぱちぱちしてて、どこまでちゃんと言葉にできているのかはわからない。
でも、ギリアロが不安な気持ち、全部ぶつけてくれていい。
そんなことをね? 伝えたら、ギリアロ、表情をぐしゃぐしゃにして、あたしをもっと強く抱きしめてくれた。
いっぱいキスして、抱きあって。
今度は抱きしめあったまま、もっともっと愛しあって――。
ギリアロが満足してくれたときには、もうすっかり、夜も更けていた。
× × × × ×
かぽーん。
ふぁぁぁ。あったかー。いやされるー。
ギリアロとたっぷりえっちしたあのあと、あたしたちはこうして、一緒にお風呂することにした。
おなかもへってると思うんだけど、減りすぎてよくわかんないし。
あたしたちは身体あらいっこして、今日はギリアロがまだ元気みたいだから、お風呂でも……ね? もっかい、して。それから、こうしてふたり、湯船につかってるってわけ。
「ふふふ」
あたしはギリアロに後ろからぎゅーってしてもらって、そのままのんびり。ちょっととろとろした眠気に襲われてて、油断したらこのまま寝ちゃいそう。
「おい、平和に寝てんなよ?」
「んー……寝そう……」
「へいへい。ちゃんとあがってからな?」
「んー」
わかってるけど、今寝たい。ギリアロに優しく抱きしめられてるの心地いいし、このまま――なんて、頭を擦りつける。
仕方ねえなあ、って声が聞こえて、ギリアロがあたしを抱きかかえたまま立ち上がる。
「ほら。とっととあがって寝るぞ?」
って、最後にもっかい身体ながそうって彼がシャワーのスイッチ入れた瞬間。
ザッッッッバアアアアア!!!!!
「……」
「…………」
「…………あー……」
目が覚めたよ。
熱湯じゃなくてよかったね?
勢いよかっただけで……ほんとに。
「晶精さん。これから、長くこのおうちにお世話になりたいので、手加減して頂けますと助かります」
さすがに身の危険を感じたりしたら、このまま住んでいられないしね?
でもたぶん、彼らは戯れているだけなんだろうな。
シャワーがものすごい勢いで出てきた瞬間、浴室に晶精がなだれ込んでくるような感覚があった。
もう、うかうかお風呂もしてられないなあって笑うと、ギリアロがなんともいえない表情をしていた。
「しばらくは、こんな感じかな」
「……」
「心配しないで。ギリアロが一緒にいてくれたら、きっと、笑い話にできるし」
ひとりだと、びっくりしたり、怖くなったりするかもだけどね?
ギリアロと一緒なら、きっと、笑って過ごせると思う。
でもまあ、晶精さん晶精さん。
どうかお手柔らかにお願いします。
ギリアロと一緒に、これからも笑って暮らしていきたいもんね。
――ちなみに、晶精さんの暴走は、だいたい3日くらいで落ち着きましたとさ。
ギリアロもしばらくはずっとそわそわしてたけど、いまはもう、すっごく居心地の良いお家になったんだよ。
幸せだね、ギリアロ?
〈番外編 完〉
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みんなの感想(10件)
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ふたりとも可愛すぎ!その後のふたりのお話希望です!
ありがとうございます!
作者もお気に入りのふたりなので、またふらっと何かを書くこともあるやもしれません(*ノ∀ノ)
のんびりまったり気長にお待ちくださいね…!
最後まで2人を見守ってくださり、ありがとうございました(ノv`*)
「帰るっ」
女子か🤣💕
エピ3-2です💕
改めて読み直しててもうあちこちで笑っちゃうけども、このセリフには吹き出しました
扉の護衛の人に押し返される様子も頭に浮かんでもうなんて可愛いオッサン閣下💕
チセちゃんの明るさに安心して読めてスルスルスルスル頭と胸に入ってきます!
やっぱり作者様のキャラクターは大好きです
世界観も大好き!
大声で言いたい!
あー楽しい!幸せ!
もっともっとたくさんの人に読んでもらってこれもまた紙の世界にも行けばいいですね〜 ( ˃̶᷇ ‧̫ ˂̶᷆ )
ありがとうございます!
こちらでもあらためて読んでいただけてハッピーですヾ(*´▽`*)ノ
序盤のギリアロさんの無駄な抵抗とかわたわたしているところ、作者も楽しく書いておりました(*´艸`)
格好がつかない往生際の悪い男子は微笑ましいですよね笑
実はこのお話は設定から構成から、まず紙のTL小説には向かないだろうなあと開き直ってまして笑
その分いっそう好き勝手してる感じなので(*ノ∀ノ)
楽しんでいただけて何よりです!
せっかくなのでWEBでたくさん読んでいただけたら作者も幸せなのです(*´艸`)
素敵なエールに心ぽかぽか、いつもありがとうございます(≧▽≦)ゞ
完結お疲れ様でしたー!! てかティーガの嫉妬怖っ(ʘᗩʘ’)見向きもされぬ時点で引きゃ良いのに…あわよくばと考えたのか。それで晶精達から嫌われる事位目に見えてたろうに…自業自得だと思う。
チセとギリアロの今後の生活に幸あらんことを😊
ありがとうございます!
連載中にコメントくださったの、とても励みになっておりましたヾ(*´▽`*)ノ
ティーガ氏の執着は本当になかなかなものでしたね…!
相手が超絶マイペースなチセだったのもあって、余計に空回りっぷりがひどいことになっておりましたが…ひとまず、彼の処遇はあんな感じに落ち着きました…!
チセとギリアロは今後も仲良しで楽しい毎日を過ごしそうです(*ノωノ)
あと少し、後日談も書いておりますので、お楽しみいただけますと幸いですヾ(*´▽`*)ノ