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機械の墓場にて
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機械の墓場
古代文明の遺跡とされるその内部はまるでSFで出て来るような巨大な施設だった。
ネクシルが優に通れる広さがあり地下に下降していくような直線的な通路が特徴だった。
シュウ達はその中を順調に進んで行く。
幸い、この施設はかなり頑丈であった事からカナやマナのイグニス系の武装の爆発が効率よく集中して大ダメージを与えておりそこまで苦労はしなかった。
「シュウ。今更だけどさ。本当にそんな都合の良い何かがあると思う?」
本当に今更だったが、マナはその思わざるを得なかった。
シュウがここに来たのは機械種を改造している何者かでありそれが具体的に何なのかまるで分らないのだ。
NPCかもしれない、自動工作マシンかも知れない、そもそも持ち運びができるモノとも限らない。
マナ達が想像するような都合の良い物がそこにあるとは限らないのだ。
「まぁ、そう都合の良い物があるとは思いません。ただ、設計データくらいは盗んで見せないと現状如何ともし難いです」
「つまり、何が何でも成果をあげると?」
「そうなりますね」
「なによ、そのブラック企業みたいなノルマ……」
呆れるマナに対してシュウが補足をする。
「まぁ、結果がでないならそれでも良いです。その場合は別の手段を考えれば良い。ただ、ここが当たりでないと正直、キツイですが……」
シュウとて天才かも知れないが何でもできる天才と言う訳ではない。
あくまで人間でありこの墓場の情報も情報を精査とある程度の期待値と言う希望的な観測を基に来たのであり確かな根拠があった訳ではないのだ。
これで当たりと引くならよほど、運がよくないとならない。
その点はリオがいるので抜かりはないと思っているが実際、因果力に関してはまだ、解明できた事も少なく「何を以て運が良い」とするかによって結果が大きく変わるらしい事が最近、判明した。
仮に現在において不幸であっても将来的な幸福の為に必要となるなら運が良くても不幸に見舞われる事もある。
実際、リオはリアルで地面に埋められている事からもそれは伺える。
その結果、シュウ達に出会えたなら確かに因果力が高いと言えるのだが、その場合、現在と言う状況が一体どんな結果を産むのか定かではない。
「でも、一体ここは何の為の施設なんでしょう?」
カナは視線をあちらこちらに向ける。
リアルの現代よりも遥かに水準の高い機械化された施設に謎の鋼材を使用した外壁、カナもそうだが、マナにとっても目移りしてしまうようなモノが最深部に向かうに連れて散見される。
カナの質問にシュウはギデオンクラスターのデータベースにアクセスして答えた。
「どうやら、この世界を構成していた機械文明の産物らしいですね。この世界がゲーム化する以前には崩壊していたらしいですが、何でもあまりに文明を進み過ぎて最終戦争とやらで世界が崩壊したと記載されています」
これ以上の事はアクセス権限が無かったので調べられなかったがおおよそ、概要は掴める。
技術が発達して一部の人間が権力等に暴走した挙句、ボタン1つで世界を滅ぼしたのだろう。
技術の進歩とは実は良い事ばかりではない。
確かに豊かな生活は送れるかも知れないが技術が進めば兵器の技術も上がる。
だが、人の心を進歩させる技術は誰も編み出さない。
だからこそ、一部に人間のエゴがお手軽に世界を破壊してしまう。
これが第2次大戦までなら良いかも知れないがもし第3次大戦となれば、ただでは済まないだろう。
「ふーん。なんか僕にはわからないけど、技術が進歩するのも良い事ばかりじゃないんだね。考えさせられるなー」
リオは呑気な事を言っているがマナとカナには刺さる言葉だった。
この2人は技術屋の端くれだ。
技術を進歩させる職業を根差していると言える立場だ。
だからこそ、リオの何気ない言葉が少し刺さるのだ。
自分達がこの文明と同じ過ちを繰り返すのではないか?
カナ達に悪意があって技術を進歩させたい訳ではないがいくら進歩させたとしてもそれが人類を殺すなら一体、何の意味があるのか?と少し考えさせられた。
この頃、だったのかも知れない。
2人は技術をただ好きだから探求したいと一概に考えるのではなく、どのように進歩させるのか?を考えるようになったのは……。
◇◇◇
このまま技術を進歩させ、宇宙に出たとしてもきっと、争いを産むだけなのかもしれないなら、そんな技術に意味があるのか?
◇◇◇
姉妹はそのように考えるようになっていた。
◇◇◇
「着きましたか」
通路を真っすぐ進んで地下の最深部と思わしき場所まで到達した。
センサーにはこの扉の向こうに膨大なエネルギー反応を感知しており間違いなく重要な何かがあると分かる。
「3人とも準備は良いですか?」
シュウが確認するとモニター越しに3人は首肯した。
「分かりました。では、入ります」
シュウはグランゲートの右人差し指から赤外線信号を出しドアの開閉装置を起動させドアがスライドした。
そして、そこにはある巨大な異形の怪物がいた。
「なんですか……これは」
「大きい……」
「これは……なんというか……」
「カンガルー?」
そこにはツインアイを持った頭部と植物の蔓のような両腕とカンガルーのような胴体を持った巨体が静かに鎮座している姿だった。
古代文明の遺跡とされるその内部はまるでSFで出て来るような巨大な施設だった。
ネクシルが優に通れる広さがあり地下に下降していくような直線的な通路が特徴だった。
シュウ達はその中を順調に進んで行く。
幸い、この施設はかなり頑丈であった事からカナやマナのイグニス系の武装の爆発が効率よく集中して大ダメージを与えておりそこまで苦労はしなかった。
「シュウ。今更だけどさ。本当にそんな都合の良い何かがあると思う?」
本当に今更だったが、マナはその思わざるを得なかった。
シュウがここに来たのは機械種を改造している何者かでありそれが具体的に何なのかまるで分らないのだ。
NPCかもしれない、自動工作マシンかも知れない、そもそも持ち運びができるモノとも限らない。
マナ達が想像するような都合の良い物がそこにあるとは限らないのだ。
「まぁ、そう都合の良い物があるとは思いません。ただ、設計データくらいは盗んで見せないと現状如何ともし難いです」
「つまり、何が何でも成果をあげると?」
「そうなりますね」
「なによ、そのブラック企業みたいなノルマ……」
呆れるマナに対してシュウが補足をする。
「まぁ、結果がでないならそれでも良いです。その場合は別の手段を考えれば良い。ただ、ここが当たりでないと正直、キツイですが……」
シュウとて天才かも知れないが何でもできる天才と言う訳ではない。
あくまで人間でありこの墓場の情報も情報を精査とある程度の期待値と言う希望的な観測を基に来たのであり確かな根拠があった訳ではないのだ。
これで当たりと引くならよほど、運がよくないとならない。
その点はリオがいるので抜かりはないと思っているが実際、因果力に関してはまだ、解明できた事も少なく「何を以て運が良い」とするかによって結果が大きく変わるらしい事が最近、判明した。
仮に現在において不幸であっても将来的な幸福の為に必要となるなら運が良くても不幸に見舞われる事もある。
実際、リオはリアルで地面に埋められている事からもそれは伺える。
その結果、シュウ達に出会えたなら確かに因果力が高いと言えるのだが、その場合、現在と言う状況が一体どんな結果を産むのか定かではない。
「でも、一体ここは何の為の施設なんでしょう?」
カナは視線をあちらこちらに向ける。
リアルの現代よりも遥かに水準の高い機械化された施設に謎の鋼材を使用した外壁、カナもそうだが、マナにとっても目移りしてしまうようなモノが最深部に向かうに連れて散見される。
カナの質問にシュウはギデオンクラスターのデータベースにアクセスして答えた。
「どうやら、この世界を構成していた機械文明の産物らしいですね。この世界がゲーム化する以前には崩壊していたらしいですが、何でもあまりに文明を進み過ぎて最終戦争とやらで世界が崩壊したと記載されています」
これ以上の事はアクセス権限が無かったので調べられなかったがおおよそ、概要は掴める。
技術が発達して一部の人間が権力等に暴走した挙句、ボタン1つで世界を滅ぼしたのだろう。
技術の進歩とは実は良い事ばかりではない。
確かに豊かな生活は送れるかも知れないが技術が進めば兵器の技術も上がる。
だが、人の心を進歩させる技術は誰も編み出さない。
だからこそ、一部に人間のエゴがお手軽に世界を破壊してしまう。
これが第2次大戦までなら良いかも知れないがもし第3次大戦となれば、ただでは済まないだろう。
「ふーん。なんか僕にはわからないけど、技術が進歩するのも良い事ばかりじゃないんだね。考えさせられるなー」
リオは呑気な事を言っているがマナとカナには刺さる言葉だった。
この2人は技術屋の端くれだ。
技術を進歩させる職業を根差していると言える立場だ。
だからこそ、リオの何気ない言葉が少し刺さるのだ。
自分達がこの文明と同じ過ちを繰り返すのではないか?
カナ達に悪意があって技術を進歩させたい訳ではないがいくら進歩させたとしてもそれが人類を殺すなら一体、何の意味があるのか?と少し考えさせられた。
この頃、だったのかも知れない。
2人は技術をただ好きだから探求したいと一概に考えるのではなく、どのように進歩させるのか?を考えるようになったのは……。
◇◇◇
このまま技術を進歩させ、宇宙に出たとしてもきっと、争いを産むだけなのかもしれないなら、そんな技術に意味があるのか?
◇◇◇
姉妹はそのように考えるようになっていた。
◇◇◇
「着きましたか」
通路を真っすぐ進んで地下の最深部と思わしき場所まで到達した。
センサーにはこの扉の向こうに膨大なエネルギー反応を感知しており間違いなく重要な何かがあると分かる。
「3人とも準備は良いですか?」
シュウが確認するとモニター越しに3人は首肯した。
「分かりました。では、入ります」
シュウはグランゲートの右人差し指から赤外線信号を出しドアの開閉装置を起動させドアがスライドした。
そして、そこにはある巨大な異形の怪物がいた。
「なんですか……これは」
「大きい……」
「これは……なんというか……」
「カンガルー?」
そこにはツインアイを持った頭部と植物の蔓のような両腕とカンガルーのような胴体を持った巨体が静かに鎮座している姿だった。
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