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殺人的なまでに美しい
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北に向かって50kmほど行軍した。
幸い、スペリオル レベラー第2段階に至っている事と普段から鍛えている事もあり行軍できない距離ではなかった。
リオは少しきつそうだったがそれでも他のプレイヤーよりも基礎能力が高いので特に遅延する事もなく、目的地周辺についた。
ただ、同時にある事実が発覚した。
「これは……全長50mはありますね」
近付いた事で神力感知の精度が上がった事でその大きさと輪郭がハッキリと分かった。
分かってしまったのだ。
正直、知りたくなかったと言うのが本音だ。
「シュウ、こいつらってもしかしなくても……アレよね?」
マナが同意を求めるように聴いて来た。
それに対してシュウも首肯した。
「間違いなくレッドドラゴンですね……それも2匹」
こんな外観でこの大きさのドラゴンとなれば、この世界にはレッドドラゴン以外にあり得ない。
レッドドラゴン自体は最近、そこまで珍しくなくなってきた。
サービス開始時ならまだ、試運転的な意味で運営が加減していたが運営もプレイヤーの慣れや熟練度を把握してSWNの循環効率を上げている。
その結果、他のクエストを受けている時に乱入する形でレッドドラゴンと遭遇する事がある。
今ではNOを代表するUWEとして認定され、プレイヤーが最も戦い、最も倒し、最も寄り添ったエネミーとしてプレイヤーから愛されている。
尤もその強さも今でも健在であり純粋な攻撃性ならUWEの中で随一と呼び声が高い。
シュウも何度も戦闘になり倒した事がある。
だからこそ、分かるのだ。
この敵は生身で戦って良い敵ではない。
ネクシルを使って倒すならまだ、良いだろう。
だが、生身の人間が挑む相手ではない。
しかも、相手がガン種で凶暴化しているとなれば猶更だ。
騎士団も戦力は多いが正直、勝てる見込みがかなり薄い。
その緊迫感は騎士団全体に波及している。
神力感知が使える騎士がアイカにレッドドラゴンである事を告げた辺りから体は固唾を呑んでいた。
一方のアイカは毅然とした態度で一切表情を崩さず凛々しい佇まいでこのまま前進すると言っている。
アイカは敵の脅威が理解できていない訳ではない。
それでも挑まないとならないから挑むのだ。
正直、シュウでも怖いのに戦闘に立って堂々と進む彼女が勇ましく、そして逞しく見えた。
憧憬の念すら抱くほど彼女の背中が強く、美しいと感じた。
だが、アイカはアイカ、シュウはシュウだ。
アイカにはアイカにしかできない事があるようにシュウにしかできない事もあるとシュウ自身が知っている。
シュウはリリーシャに近づき相談した。
「リリーシャ」
「なんだ?シュウ?」
「今までの話を聴いてどうですか?わたしを守りながら戦えますか?」
そこが重要だった。
現状で言えば、魔王がシュウに反旗を翻す素振りはない。
だが、支配下においてから急に丸くなった魔王が逆に不気味でもあった。
もしかすると、“支配の狩人”の支配効果には人格を変成させる効果でもあるのではないか?と思えるほどだ。
アレほど敵意を持っていた魔王が最近では心の中で「リオが傷を負うかかもしれん!心配じゃぁぁぁ!」等と好々爺みたいな事を言い出したのだ。
自分の能力に人格変成作用があるのではないかと疑うレベルだ。
それ故に不安がある。
仮に自分が死んだ場合、魔王はシュウの支配から脱する。
その支配がプレイ中のシュウに対するキル判定で解ける可能性もある。
月光曰く、『その可能性は限りなく低い。ですが、プレイ中のキルを疑似的な死亡と扱う概念魔術を行使すれば、その限りではないかも知れません』と言っていた。
要するに絶対の保障はできないかつ抜け道は存在すると言う事だ。
況して、相手のガン種は概念魔術と言う未知の術で全長2m以上の敵の攻撃を一切寄せ付けないと言うチートみたいな能力を持っている。
つまり、限定的とは言え、敵は概念魔術を扱えるのだ。
それがどこまで使えるのか分からない。
“使える”だけならまだしも、“使い熟す”だけの知性があった場合、危険な可能性がある。
その場合、シュウはこのレッドドラゴン戦で死ぬ訳には行かない。
撤退する事も念頭に置いて見たがゴスペルで活動する以上、将来的にここでレッドドラゴンを放逐するのはリスクが高すぎる。
今ならまだ、騎士団と協力すれば対応できるレベルだが、時間が経てば更に悪化する。
なら、ここでケリをつけるしかない。
その場合、護衛であるリリーシャがどの程度待ち回り守り切れるかもカギになっている。
なので、リリーシャに直接守り切れるか聴いているのだ。
リリーシャは顎に手を当てた。
「ふん……まぁ、大丈夫だろう」
予想外な程に簡潔な返答が返って来た。
まるでレッドドラゴンが何てことない敵のように見据えているのだ。
リリーシャの実力ならそう名のかも知れない。
彼女はギデオンクラスターの中でも断トツで戦闘力が高い。
その彼女が言うなら案外、悲観する事もないのかも知れないが一応、理由を聴いた。
「何故、そのように断言できるのです?」
「わたしは何度か竜を戦ったからな……この先から伝わる覇気の重さでなんとなく実力が分かる。その感覚から言って対応可能な敵だと判断できる。」
「そ、そうですか……」
これに関しては戦闘民族ではないシュウには分からない感覚だった。
やはり、リリーシャとは隔絶とした差を感じる。
潜った死線も場数も違う。
況して、生身で竜と戦える彼女とシュウでは胆力が違うと思い知らされる。
「それにこちらにはアイカがいるかな。万が一もないだろう」
「言い切るのですね。不測の事態があるかも知れないと言うのに……」
「それはあるかも知れないが、今回は多分、大丈夫だ。何せ、そのレッドドラゴンよりもアイカの方が強いからな」
「……はぁ?」
思わず呆気に取られたような変な声を出してしまった。
(今、なんて言いました?生身のアイカの方がレッドドラゴン2匹よりも強いですと……)
その言葉には流石にシュウも訝しんだ。
いくらなんでも誇張ではないか?と
アイカとリリーシャは人外の域に達している。
それはシュウも認めている。
だが、幾らなんでも生身でレッドドラゴンを倒せるのは誇張ではないかと思う。
アレは人間の常識が通用する相手ではない。
高い知能を持った獣と呼ぶには憚られるほどの知性体だ。
おまけに戦車のような装甲まで持っている。
普通に生身で勝てる要素などない気がした。
「そう不安になるともしもの時はわたしが体を張って守るから安心しろ」
それを言われると何とも不甲斐ない。
年上とは言え、女性に守って貰うと言うのは男として不甲斐ない。
等と考えながら接近していくと遂に目標が見えた。
「いましたね」
森の中でも開けた場所で2匹が悠然とこちらに向かって歩いているのが見えた。
目は虚ろで頭部には蛍の尻のような発光物があった。
アレがガン種本体だ。
ガン種は腫れもののようなモノを宿主に形成して体を乗っ取るので間違いない。
「アイカ、作戦はありますか?」
シュウはそのように尋ねた。
今回に限ってはシュウも作戦が思いつかなかった。
相手が小手先の技が通じる相手ではないからだ。
それほど力に隔絶とした差がある。
「わたしが前に出て竜を狩ります。シュウさん達は援護射撃をお願いします。敵の弱点はあの腫物なのでそこに火力を集中させて下さい。」
アイカは剣を抜刀した。
「では、左の竜はわたしがやろう」
そう言ってリリーシャも剣を抜刀した。
「頼りにしています」
「あぁ、任せておけ」
アイカとリリーシャは互いに見つけ合いながら微笑んだ。
「シュウさん。わたしが前に出たと同時に攻撃をお願いします」
「分かりました」
シュウは不安ではあったがそれに従う事にした。
少なくとも自分が役割に準じないならアイカの死が早まると思ったからだ。
なら、やる事は徹底した方が良いと割り切った。
「行きます!」
アイカとリリーシャは一瞬で飛び出した。
“縮地”と言う高速移動術でドラゴンに一気に間合いを詰める。
レッドドラゴンは神力感知で2人の存在に気付き、咆哮をあげると共に口からブレスを吐こうと炎が灯った。
それと共に騎士団とギデオンクラスター達が火炎や雷鳴、光、鉄の槍等を一斉射撃を行った。
狙うは腫物だ。
狙いが疎らではあったが数を撃てば当たる物なので数発が腫物に直撃した。
「「AAAAAAA!!!」」
ドラゴンは痛みに悶える天高く咆哮を轟かせる。
しかし、今の攻撃で確信があった。
こちらの攻撃が一切通じていない事だ。
腫物に直撃した物は確かに効果があったがそれ以外は効果がなかった。
レッドドラゴンの硬い鱗に阻まれて弾かれていた。
シュウの鉄の槍も普段の戦闘ならレッドドラゴンの肢体を抉るだけの威力がある。
だが、ネクシルの補正のない今の状態では鱗すら貫通できない。
やはりと言うべきか人間業では戦車の装甲を破るのは困難と言えると改めて実感した。
それでも彼女達は臆せず肉迫した。
僅かに怯んだドラゴンの隙を突き彼女達は走りながら上段からドラゴンの頭部に剣を振り下ろした。
刹那だった。
ドラゴンの下部を擦り抜けながら走る彼女達の斬撃が鱗を貫き正中線からドラゴンを真っ二つに両断した。
そして、通り過ぎて剣を血払いしたのがまるで合図だったようにドラゴンから激しい血飛沫が舞い、ドラゴンの体が裂けて臓腑を落としながら地面に倒れた。
その赤い血がアイカの銀髪とリリーシャの緑色の髪を真っ赤に染める。
「任務完了です。ドラゴンの肢体は回収し処分します。」
あまりの出来事に全員がフリーズしていた。
それはシュウも同じだった。
何故なら、ここまで殺人的に美しいと感じた事が無かったからだ。
幸い、スペリオル レベラー第2段階に至っている事と普段から鍛えている事もあり行軍できない距離ではなかった。
リオは少しきつそうだったがそれでも他のプレイヤーよりも基礎能力が高いので特に遅延する事もなく、目的地周辺についた。
ただ、同時にある事実が発覚した。
「これは……全長50mはありますね」
近付いた事で神力感知の精度が上がった事でその大きさと輪郭がハッキリと分かった。
分かってしまったのだ。
正直、知りたくなかったと言うのが本音だ。
「シュウ、こいつらってもしかしなくても……アレよね?」
マナが同意を求めるように聴いて来た。
それに対してシュウも首肯した。
「間違いなくレッドドラゴンですね……それも2匹」
こんな外観でこの大きさのドラゴンとなれば、この世界にはレッドドラゴン以外にあり得ない。
レッドドラゴン自体は最近、そこまで珍しくなくなってきた。
サービス開始時ならまだ、試運転的な意味で運営が加減していたが運営もプレイヤーの慣れや熟練度を把握してSWNの循環効率を上げている。
その結果、他のクエストを受けている時に乱入する形でレッドドラゴンと遭遇する事がある。
今ではNOを代表するUWEとして認定され、プレイヤーが最も戦い、最も倒し、最も寄り添ったエネミーとしてプレイヤーから愛されている。
尤もその強さも今でも健在であり純粋な攻撃性ならUWEの中で随一と呼び声が高い。
シュウも何度も戦闘になり倒した事がある。
だからこそ、分かるのだ。
この敵は生身で戦って良い敵ではない。
ネクシルを使って倒すならまだ、良いだろう。
だが、生身の人間が挑む相手ではない。
しかも、相手がガン種で凶暴化しているとなれば猶更だ。
騎士団も戦力は多いが正直、勝てる見込みがかなり薄い。
その緊迫感は騎士団全体に波及している。
神力感知が使える騎士がアイカにレッドドラゴンである事を告げた辺りから体は固唾を呑んでいた。
一方のアイカは毅然とした態度で一切表情を崩さず凛々しい佇まいでこのまま前進すると言っている。
アイカは敵の脅威が理解できていない訳ではない。
それでも挑まないとならないから挑むのだ。
正直、シュウでも怖いのに戦闘に立って堂々と進む彼女が勇ましく、そして逞しく見えた。
憧憬の念すら抱くほど彼女の背中が強く、美しいと感じた。
だが、アイカはアイカ、シュウはシュウだ。
アイカにはアイカにしかできない事があるようにシュウにしかできない事もあるとシュウ自身が知っている。
シュウはリリーシャに近づき相談した。
「リリーシャ」
「なんだ?シュウ?」
「今までの話を聴いてどうですか?わたしを守りながら戦えますか?」
そこが重要だった。
現状で言えば、魔王がシュウに反旗を翻す素振りはない。
だが、支配下においてから急に丸くなった魔王が逆に不気味でもあった。
もしかすると、“支配の狩人”の支配効果には人格を変成させる効果でもあるのではないか?と思えるほどだ。
アレほど敵意を持っていた魔王が最近では心の中で「リオが傷を負うかかもしれん!心配じゃぁぁぁ!」等と好々爺みたいな事を言い出したのだ。
自分の能力に人格変成作用があるのではないかと疑うレベルだ。
それ故に不安がある。
仮に自分が死んだ場合、魔王はシュウの支配から脱する。
その支配がプレイ中のシュウに対するキル判定で解ける可能性もある。
月光曰く、『その可能性は限りなく低い。ですが、プレイ中のキルを疑似的な死亡と扱う概念魔術を行使すれば、その限りではないかも知れません』と言っていた。
要するに絶対の保障はできないかつ抜け道は存在すると言う事だ。
況して、相手のガン種は概念魔術と言う未知の術で全長2m以上の敵の攻撃を一切寄せ付けないと言うチートみたいな能力を持っている。
つまり、限定的とは言え、敵は概念魔術を扱えるのだ。
それがどこまで使えるのか分からない。
“使える”だけならまだしも、“使い熟す”だけの知性があった場合、危険な可能性がある。
その場合、シュウはこのレッドドラゴン戦で死ぬ訳には行かない。
撤退する事も念頭に置いて見たがゴスペルで活動する以上、将来的にここでレッドドラゴンを放逐するのはリスクが高すぎる。
今ならまだ、騎士団と協力すれば対応できるレベルだが、時間が経てば更に悪化する。
なら、ここでケリをつけるしかない。
その場合、護衛であるリリーシャがどの程度待ち回り守り切れるかもカギになっている。
なので、リリーシャに直接守り切れるか聴いているのだ。
リリーシャは顎に手を当てた。
「ふん……まぁ、大丈夫だろう」
予想外な程に簡潔な返答が返って来た。
まるでレッドドラゴンが何てことない敵のように見据えているのだ。
リリーシャの実力ならそう名のかも知れない。
彼女はギデオンクラスターの中でも断トツで戦闘力が高い。
その彼女が言うなら案外、悲観する事もないのかも知れないが一応、理由を聴いた。
「何故、そのように断言できるのです?」
「わたしは何度か竜を戦ったからな……この先から伝わる覇気の重さでなんとなく実力が分かる。その感覚から言って対応可能な敵だと判断できる。」
「そ、そうですか……」
これに関しては戦闘民族ではないシュウには分からない感覚だった。
やはり、リリーシャとは隔絶とした差を感じる。
潜った死線も場数も違う。
況して、生身で竜と戦える彼女とシュウでは胆力が違うと思い知らされる。
「それにこちらにはアイカがいるかな。万が一もないだろう」
「言い切るのですね。不測の事態があるかも知れないと言うのに……」
「それはあるかも知れないが、今回は多分、大丈夫だ。何せ、そのレッドドラゴンよりもアイカの方が強いからな」
「……はぁ?」
思わず呆気に取られたような変な声を出してしまった。
(今、なんて言いました?生身のアイカの方がレッドドラゴン2匹よりも強いですと……)
その言葉には流石にシュウも訝しんだ。
いくらなんでも誇張ではないか?と
アイカとリリーシャは人外の域に達している。
それはシュウも認めている。
だが、幾らなんでも生身でレッドドラゴンを倒せるのは誇張ではないかと思う。
アレは人間の常識が通用する相手ではない。
高い知能を持った獣と呼ぶには憚られるほどの知性体だ。
おまけに戦車のような装甲まで持っている。
普通に生身で勝てる要素などない気がした。
「そう不安になるともしもの時はわたしが体を張って守るから安心しろ」
それを言われると何とも不甲斐ない。
年上とは言え、女性に守って貰うと言うのは男として不甲斐ない。
等と考えながら接近していくと遂に目標が見えた。
「いましたね」
森の中でも開けた場所で2匹が悠然とこちらに向かって歩いているのが見えた。
目は虚ろで頭部には蛍の尻のような発光物があった。
アレがガン種本体だ。
ガン種は腫れもののようなモノを宿主に形成して体を乗っ取るので間違いない。
「アイカ、作戦はありますか?」
シュウはそのように尋ねた。
今回に限ってはシュウも作戦が思いつかなかった。
相手が小手先の技が通じる相手ではないからだ。
それほど力に隔絶とした差がある。
「わたしが前に出て竜を狩ります。シュウさん達は援護射撃をお願いします。敵の弱点はあの腫物なのでそこに火力を集中させて下さい。」
アイカは剣を抜刀した。
「では、左の竜はわたしがやろう」
そう言ってリリーシャも剣を抜刀した。
「頼りにしています」
「あぁ、任せておけ」
アイカとリリーシャは互いに見つけ合いながら微笑んだ。
「シュウさん。わたしが前に出たと同時に攻撃をお願いします」
「分かりました」
シュウは不安ではあったがそれに従う事にした。
少なくとも自分が役割に準じないならアイカの死が早まると思ったからだ。
なら、やる事は徹底した方が良いと割り切った。
「行きます!」
アイカとリリーシャは一瞬で飛び出した。
“縮地”と言う高速移動術でドラゴンに一気に間合いを詰める。
レッドドラゴンは神力感知で2人の存在に気付き、咆哮をあげると共に口からブレスを吐こうと炎が灯った。
それと共に騎士団とギデオンクラスター達が火炎や雷鳴、光、鉄の槍等を一斉射撃を行った。
狙うは腫物だ。
狙いが疎らではあったが数を撃てば当たる物なので数発が腫物に直撃した。
「「AAAAAAA!!!」」
ドラゴンは痛みに悶える天高く咆哮を轟かせる。
しかし、今の攻撃で確信があった。
こちらの攻撃が一切通じていない事だ。
腫物に直撃した物は確かに効果があったがそれ以外は効果がなかった。
レッドドラゴンの硬い鱗に阻まれて弾かれていた。
シュウの鉄の槍も普段の戦闘ならレッドドラゴンの肢体を抉るだけの威力がある。
だが、ネクシルの補正のない今の状態では鱗すら貫通できない。
やはりと言うべきか人間業では戦車の装甲を破るのは困難と言えると改めて実感した。
それでも彼女達は臆せず肉迫した。
僅かに怯んだドラゴンの隙を突き彼女達は走りながら上段からドラゴンの頭部に剣を振り下ろした。
刹那だった。
ドラゴンの下部を擦り抜けながら走る彼女達の斬撃が鱗を貫き正中線からドラゴンを真っ二つに両断した。
そして、通り過ぎて剣を血払いしたのがまるで合図だったようにドラゴンから激しい血飛沫が舞い、ドラゴンの体が裂けて臓腑を落としながら地面に倒れた。
その赤い血がアイカの銀髪とリリーシャの緑色の髪を真っ赤に染める。
「任務完了です。ドラゴンの肢体は回収し処分します。」
あまりの出来事に全員がフリーズしていた。
それはシュウも同じだった。
何故なら、ここまで殺人的に美しいと感じた事が無かったからだ。
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