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74 冒険者は、帰宅する。
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「ごちそうさまでした」
「またおいで」
「はい。また来ます」
カランとお店のドアを開けて店を出る。
今日はタットさんの奢りだった。
タットさんの仕事がトラブった時に、俺がサポートした事へのお礼だそうな。
俺は気にしてないって言ったのだが、
「でもね、凄く嬉しかったんだ。だからね、嬉しいのお返しがしたいんだよ。あとは、ゆん君最近いっぱい頑張ってるでしょ?それも労いたかったんだ」
と、言われてしまえば断るにも断れず、素直に甘える事にした。感謝されたり、自分の頑張りを認めてくれるのは、素直に嬉しい。
「ありがとうございます」
お礼を言うと、タットさんは満足そうに笑ってくれた。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
帰り道、のんびりと徒歩で帰る。
手は恋人繋ぎで肩も腕も密着している。まだあまり遅い時間では無いので、たまにすれ違う人に二度見される事もあったが、兄ちゃんと手を繋いでても、それは一緒なので俺は特に気にする事は無かった。
タットさんは、少し視線がうろついていたけど、手を離した方が良いか聞いたら、首を振ったので、そのまま繋いでいる。
「しばらくは、のんびり出来そう?」
「そうですね、イロトリも毎月恒例の縮小営業モードに入りましたし、大学の後期の時間割も固まりましたし」
「そっかー」
「タットさんもお仕事トラブル、落ち着いて良かったです」
「うん、切実にね!」
その言葉があまりにも力強かったので、思わず笑ってしまった。
「また、一緒に遊んだり、今日みたいにご飯食べたり、……その……お泊まりとかも……したいです」
「うん、しようね」
「あと……は……」
「うん、いっぱいしようね」
「まだ何も言ってません」
「違った?」
ニコっと笑って俺の顔を覗き込んでくる。
「違いません」
「ふふっ、顔が真っ赤のゆん君可愛い」
恥ずかしさでフイっと顔を逸らすと、タットさんが素早く頬にキスをしてきた。
「あっ!」
「キスして欲しいのかな?って」
俺の顔が更に熱くなった。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
「じゃぁね」
お互いの家の分かれ道。
そのまま泊まっても良かったのだけど、タットさんが疲れてるだろうからと言って今日は帰ることになった。
俺は他に人が周りに居ない事を確認した後、タットさんに近づいてチュと軽く唇にキスをする。
「お仕事、頑張ってくださいね」
タットさんは頬に手を当てて、ウンウン!と嬉しそうに頷いてくれた。
最後にキュッと抱き締め合って、お互いの帰路に向かう。
この道が、いつも寂しく思うのだが、タットさんがくれる愛情を思うと、心の中がポカポカしてきて、足取りが何となく軽く感じた。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
「え?泊まらなかったの?」
家に帰って母さんの第一声がソレだった。
「うん?だって明日月曜だし」
詳しく話そうとすると、恥ずかしいので適当な理由で返す。
「愛し合う2人に曜日なんて関係ないでしょ」
「愛し合ってても曜日は関係あるよ」
「愛し合ってるのね……」
「あう……」
母さんの言葉に釣られて思わず出てしまったセリフだが、突っ込まれると恥ずかしい。
言葉を詰まらせていると、
「仲良しで何よりだわぁ!お母さんお風呂入ってくるわね!おとーさぁぁぁん!!お風呂入るわよー!!!」
トテトテと小走りで母さんは父さんにお風呂を誘いに行った。
母さんも父さんも仲良しで何より。
2人は今でもお互い好き合ってるし、デートだなんだって浮かれて出かけてるもんな。
方や、姉ちゃんは結婚後数年で離婚をしている。でも、今や数組に1組は離婚すると言われている時代だ。もはや珍しくも何ともない。
だからこそ、何十年と一緒に居るのに仲良くいられるのって凄いと、両親を改めて尊敬した。
俺も両親みたいな関係をタットさんと築けたらいいな……
「またおいで」
「はい。また来ます」
カランとお店のドアを開けて店を出る。
今日はタットさんの奢りだった。
タットさんの仕事がトラブった時に、俺がサポートした事へのお礼だそうな。
俺は気にしてないって言ったのだが、
「でもね、凄く嬉しかったんだ。だからね、嬉しいのお返しがしたいんだよ。あとは、ゆん君最近いっぱい頑張ってるでしょ?それも労いたかったんだ」
と、言われてしまえば断るにも断れず、素直に甘える事にした。感謝されたり、自分の頑張りを認めてくれるのは、素直に嬉しい。
「ありがとうございます」
お礼を言うと、タットさんは満足そうに笑ってくれた。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
帰り道、のんびりと徒歩で帰る。
手は恋人繋ぎで肩も腕も密着している。まだあまり遅い時間では無いので、たまにすれ違う人に二度見される事もあったが、兄ちゃんと手を繋いでても、それは一緒なので俺は特に気にする事は無かった。
タットさんは、少し視線がうろついていたけど、手を離した方が良いか聞いたら、首を振ったので、そのまま繋いでいる。
「しばらくは、のんびり出来そう?」
「そうですね、イロトリも毎月恒例の縮小営業モードに入りましたし、大学の後期の時間割も固まりましたし」
「そっかー」
「タットさんもお仕事トラブル、落ち着いて良かったです」
「うん、切実にね!」
その言葉があまりにも力強かったので、思わず笑ってしまった。
「また、一緒に遊んだり、今日みたいにご飯食べたり、……その……お泊まりとかも……したいです」
「うん、しようね」
「あと……は……」
「うん、いっぱいしようね」
「まだ何も言ってません」
「違った?」
ニコっと笑って俺の顔を覗き込んでくる。
「違いません」
「ふふっ、顔が真っ赤のゆん君可愛い」
恥ずかしさでフイっと顔を逸らすと、タットさんが素早く頬にキスをしてきた。
「あっ!」
「キスして欲しいのかな?って」
俺の顔が更に熱くなった。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
「じゃぁね」
お互いの家の分かれ道。
そのまま泊まっても良かったのだけど、タットさんが疲れてるだろうからと言って今日は帰ることになった。
俺は他に人が周りに居ない事を確認した後、タットさんに近づいてチュと軽く唇にキスをする。
「お仕事、頑張ってくださいね」
タットさんは頬に手を当てて、ウンウン!と嬉しそうに頷いてくれた。
最後にキュッと抱き締め合って、お互いの帰路に向かう。
この道が、いつも寂しく思うのだが、タットさんがくれる愛情を思うと、心の中がポカポカしてきて、足取りが何となく軽く感じた。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
「え?泊まらなかったの?」
家に帰って母さんの第一声がソレだった。
「うん?だって明日月曜だし」
詳しく話そうとすると、恥ずかしいので適当な理由で返す。
「愛し合う2人に曜日なんて関係ないでしょ」
「愛し合ってても曜日は関係あるよ」
「愛し合ってるのね……」
「あう……」
母さんの言葉に釣られて思わず出てしまったセリフだが、突っ込まれると恥ずかしい。
言葉を詰まらせていると、
「仲良しで何よりだわぁ!お母さんお風呂入ってくるわね!おとーさぁぁぁん!!お風呂入るわよー!!!」
トテトテと小走りで母さんは父さんにお風呂を誘いに行った。
母さんも父さんも仲良しで何より。
2人は今でもお互い好き合ってるし、デートだなんだって浮かれて出かけてるもんな。
方や、姉ちゃんは結婚後数年で離婚をしている。でも、今や数組に1組は離婚すると言われている時代だ。もはや珍しくも何ともない。
だからこそ、何十年と一緒に居るのに仲良くいられるのって凄いと、両親を改めて尊敬した。
俺も両親みたいな関係をタットさんと築けたらいいな……
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