6回殺された第二王子がさらにループして報われるための話

さんかく

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1章

28

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「ジル?」
答えられずにいると、フェリクス様はなにも言わない俺に不思議そうに顔を覗き込んでくる。
大した質問ではないのに、一つも答えが見つからない。なにかを答えなければ、と発する言葉も決まらぬまま口を開けて、そのまま閉じて。再び口を開いて視線を彷徨かせて、なにか、と今までを思い起こす。

「あ……」
あった。自分でも驚くくらい美味しくて優しい味がしたもの。
あの時、ノア先生が、アレクサンドルが食べさせてくれた
「りんご……が、すき」
お菓子ではないけれど、今まで食べた中できっと一番美味しかったもの。
「わぁ、一緒だ!ぼくもりんご大好きなんだぁ。今日はアップルパイもあるみたいだから、ジルに一番大きいのあげるね!」
ただ一言を答えただけ。なのにフェリクス様はパッと表情を輝かせて、心底楽しそうに笑いながら言った。
まだ多くは食べられないから、食べられたとしてもタルトかパイかのどちらかになってしまうだろうな、と考えながら頷いてお礼を言う。

「楽しみだねぇ」
フェリクス様は笑いながらそう言っていて、本当に楽しみにしているのが伝わってくる。
「まぁ、フェリクスは甘いものばかり食べたらダメよ?」
「分かってるよ」
アベラ様に呆れたように言われて、フェリクス様は少し不満そうに口を尖らせる。そんな二人を陛下は目を細めて愛おしいと言わんばかりに見守っている。

__美しい家族の姿。綺麗だと思うのに、どうしてだか泣いてしまいたくなった。輝いていて、眩しくて、自分がここにいるのが酷く場違いなように感じる。
ずっと求めていたものが目の前にあるのに、少しも気分が晴れない。それどころか恐ろしく思えてしまう。拒絶も否定もされていないのに、どうして居心地が悪いのか分からない。

陛下とアベラ様に向かって興奮気味に話し続けるフェリクス様を眺めながら、そんなことを考える。間違っても口にしたりなんかはしないけれど、悲観的、というか感傷的、というか。最近はそんな風に考えてばかりだ。
「ジルベール様?」
隣のフェリクス様達を眺めていたら、背後からそっと声を掛けられた。そちらを振り返るとリュカが俺を見下ろしている。
「どうかされましたか?……具合悪くなってしまいましたか?」
「……え」
なんでそんなことを言うのだろうかと首を傾げると、リュカは気まずそうに眉を寄せて少しだけ目を伏せる。
「……いえ、勘違いかも、しれないですけど……なんだか、元気がないように見えて……」
そう言ったリュカの表情は、どこか痛ましげに見えた。
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