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2章:学園生活
壁、乗り越える
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ヴェルくんの付加の刻印の練習から、3週間が過ぎていた。
「なかなか…難しいね…」
ヴェルくんの魔力量では、なかなか難しいのか剣に式という細かいものの刻印ができなかった。
正確には、できてはきているが、魔法が発動するほどしっかりとした式になっていないのだ。
「できては…きてる…よ?」
「うん…ありがとうリンさん…」
お礼を言って笑ってはいるものの、うまくできていないことに落ち込んでいるのがよくわかった。
「ヴェルくん…ちょっと…休憩」
「そうだね…」
私達は訓練室の椅子に座って私が持ってきたお茶を飲んでいた。
「やっぱり…僕じゃ難しかったのかな…」
「大丈夫だよ…できないこと…できないのは…当たり前…だから……」
「わかってるんだけどね…何か違うなって…自分の中でわかってるんだけど、もう少しなんだけど、できないんだよ…」
なんとなく…その気持ちはわかる…。
私も、パパから教えてもらった魔法を全てあっさりできたわけじゃない…。
うまくいく気がしない、何かが足りない感覚、何か壁に阻まれているような感覚があるけど、その何かがわからない。
私はただパパから教わっていただけだから焦りはなかったけど、ヴェルくんは昇組試験まであと1ヵ月と少ししかないから…よけいに焦りがつのってるんだと思う。
こうなったら…ちょっと荒っぽいけど…これもヴェルくんのため…。
「ヴェルくん…あのね…」
私はそう言ってヴェルくんに抱きつき、一気に押し倒した。
「リ、リンさん!?」
「ヴェルくん…」
私の顔がだんだんヴェルくんに近くにつれて、ヴェルくんの顔は真っ赤になっていく。
「ちょっと待ったぁ!!」
「い、今すぐリン様から離れなさーい!!」
訓練室の入り口が勢いよく開くと、ハナちゃんとレインが入ってきて、レインはヴェルくんに向かって水魔法で津波を発生させた。
「ちょっ…これはさすがに…!?」
「まか…せて」
そう言って、私はヴェルくんから離れて前に立って、魔筆を取り出して式を書こうとした。
「あっ…」
しかし、式の途中で私は、魔筆を滑らせて地面に落とした。
「リンさん!?」
「ヴェルくん…逃げて…私は…大丈夫…」
嘘だ…魔法の防御なしで魔法に耐えられるほど私は鍛えていないし、魔法の強さで言えば1組の中でも一二を争うレインの感情に任せた魔法を生身で受けて、無事でいられるわけがない。
それでも、私はヴェルくんの前で両手を広げて受け止める構えをした。
(ぼ、僕が…僕がなんとかしないと…リンさんが…僕のせいでリンさんが怪我をする…?なんとか…なんとかしないと…)
ヴェルくんは、私の後ろで立ち上がって魔筆を取り出して、ここまで練習してきた式を立てた。
(頼む…成功してくれ…!!今だけでいいから…僕に…目の前にいる人を守れるだけでいいから…力を少しだけくれ!)
津波はもう私達に8mほどまでに迫っていた。
「成功しろおぉぉぉ!!」
ヴェルくんは錬成した剣を構えると、私の目の前に立って、津波に剣を振り下ろした。
そして、剣からは風の刃が放たれ、津波は私達のところだけキレイに切れて、後ろにすぎていった。
「はぁ…はぁ…」
「ヴェルくん…頑張った…ね」
「はぁ……え…?」
私は、目の前の津波が通った跡を指さした。
「これを……僕が…?」
「ん…頑張った…」
「や、やったぁ……」
そう言ってヴェルくんは、バタンと魔力切れで地面に倒れた。
私はヴェルくんに近づいて頭を撫でた。
「よく…できました…」
「リン!」
「リン様!」
ハナちゃんとレインが私に近いてきた。
「お、お怪我はありませんか?」
「ん…大丈夫…」
「ちょっとレイン!もう少し強さ考えなさいよね!リンまで怪我しちゃうじゃない!」
「ううん…あれで…よかった……レイン…よくやった…」
「あ、ありがとうございます…?」
私達はとりあえず、ヴェルくんを保健室へ連れていき、ここまでの説明を2人にした。
「なるほどね…それで、そのヴェルくんっていうのは、リンにとってそこまでして上げるほどの存在なのかしらぁ…?」
ハナちゃんは目の前で横になっているヴェルくんを今にも何かで刺さんとしそうな顔をしていた。
「なんか…もったいないって…思った…」
「もったいない…ですか?」
「だって…話…したら…すごく…いい人だった…」
「い、いい人!?いい人というのはどういう!?」
私の言葉に焦り始めるハナちゃんとレイン。
「いい人は…いい人…。優しくて…正義感がある…人…」
「そ、そ、それは…リンはこのヴェルくんのことが…す、好きなの…?」
「好き…?うん…大切な…友達…」
「あ、あぁ…友達かぁ~」
「それならいいんです…しかし、さっきリン様は、ヴェルさんを倒して…」
「あぁしたら…ハナちゃんかレインが…襲ってくると思ったから…」
「え!?リン知ってたの!?」
私達が特訓を始めて、2週間後くらいからハナちゃんとレインが訓練室の隙間から覗いているのがわかっていた。だから、私がヴェルくんに何かしらすれば魔法を撃ってきてくれると予想していたのだ。
だから、ヴェルくんを守るフリをしてわざと魔筆を落とした。
「おかげで…ヴェルくんの特訓…最終段階…できる」
「最終段階?何をするんです?」
「2人とも…協力して…くれる…?」
私は、これからのヴェルくんの特訓の最終段階を2人に説明して、今日は解散となった。
「なかなか…難しいね…」
ヴェルくんの魔力量では、なかなか難しいのか剣に式という細かいものの刻印ができなかった。
正確には、できてはきているが、魔法が発動するほどしっかりとした式になっていないのだ。
「できては…きてる…よ?」
「うん…ありがとうリンさん…」
お礼を言って笑ってはいるものの、うまくできていないことに落ち込んでいるのがよくわかった。
「ヴェルくん…ちょっと…休憩」
「そうだね…」
私達は訓練室の椅子に座って私が持ってきたお茶を飲んでいた。
「やっぱり…僕じゃ難しかったのかな…」
「大丈夫だよ…できないこと…できないのは…当たり前…だから……」
「わかってるんだけどね…何か違うなって…自分の中でわかってるんだけど、もう少しなんだけど、できないんだよ…」
なんとなく…その気持ちはわかる…。
私も、パパから教えてもらった魔法を全てあっさりできたわけじゃない…。
うまくいく気がしない、何かが足りない感覚、何か壁に阻まれているような感覚があるけど、その何かがわからない。
私はただパパから教わっていただけだから焦りはなかったけど、ヴェルくんは昇組試験まであと1ヵ月と少ししかないから…よけいに焦りがつのってるんだと思う。
こうなったら…ちょっと荒っぽいけど…これもヴェルくんのため…。
「ヴェルくん…あのね…」
私はそう言ってヴェルくんに抱きつき、一気に押し倒した。
「リ、リンさん!?」
「ヴェルくん…」
私の顔がだんだんヴェルくんに近くにつれて、ヴェルくんの顔は真っ赤になっていく。
「ちょっと待ったぁ!!」
「い、今すぐリン様から離れなさーい!!」
訓練室の入り口が勢いよく開くと、ハナちゃんとレインが入ってきて、レインはヴェルくんに向かって水魔法で津波を発生させた。
「ちょっ…これはさすがに…!?」
「まか…せて」
そう言って、私はヴェルくんから離れて前に立って、魔筆を取り出して式を書こうとした。
「あっ…」
しかし、式の途中で私は、魔筆を滑らせて地面に落とした。
「リンさん!?」
「ヴェルくん…逃げて…私は…大丈夫…」
嘘だ…魔法の防御なしで魔法に耐えられるほど私は鍛えていないし、魔法の強さで言えば1組の中でも一二を争うレインの感情に任せた魔法を生身で受けて、無事でいられるわけがない。
それでも、私はヴェルくんの前で両手を広げて受け止める構えをした。
(ぼ、僕が…僕がなんとかしないと…リンさんが…僕のせいでリンさんが怪我をする…?なんとか…なんとかしないと…)
ヴェルくんは、私の後ろで立ち上がって魔筆を取り出して、ここまで練習してきた式を立てた。
(頼む…成功してくれ…!!今だけでいいから…僕に…目の前にいる人を守れるだけでいいから…力を少しだけくれ!)
津波はもう私達に8mほどまでに迫っていた。
「成功しろおぉぉぉ!!」
ヴェルくんは錬成した剣を構えると、私の目の前に立って、津波に剣を振り下ろした。
そして、剣からは風の刃が放たれ、津波は私達のところだけキレイに切れて、後ろにすぎていった。
「はぁ…はぁ…」
「ヴェルくん…頑張った…ね」
「はぁ……え…?」
私は、目の前の津波が通った跡を指さした。
「これを……僕が…?」
「ん…頑張った…」
「や、やったぁ……」
そう言ってヴェルくんは、バタンと魔力切れで地面に倒れた。
私はヴェルくんに近づいて頭を撫でた。
「よく…できました…」
「リン!」
「リン様!」
ハナちゃんとレインが私に近いてきた。
「お、お怪我はありませんか?」
「ん…大丈夫…」
「ちょっとレイン!もう少し強さ考えなさいよね!リンまで怪我しちゃうじゃない!」
「ううん…あれで…よかった……レイン…よくやった…」
「あ、ありがとうございます…?」
私達はとりあえず、ヴェルくんを保健室へ連れていき、ここまでの説明を2人にした。
「なるほどね…それで、そのヴェルくんっていうのは、リンにとってそこまでして上げるほどの存在なのかしらぁ…?」
ハナちゃんは目の前で横になっているヴェルくんを今にも何かで刺さんとしそうな顔をしていた。
「なんか…もったいないって…思った…」
「もったいない…ですか?」
「だって…話…したら…すごく…いい人だった…」
「い、いい人!?いい人というのはどういう!?」
私の言葉に焦り始めるハナちゃんとレイン。
「いい人は…いい人…。優しくて…正義感がある…人…」
「そ、そ、それは…リンはこのヴェルくんのことが…す、好きなの…?」
「好き…?うん…大切な…友達…」
「あ、あぁ…友達かぁ~」
「それならいいんです…しかし、さっきリン様は、ヴェルさんを倒して…」
「あぁしたら…ハナちゃんかレインが…襲ってくると思ったから…」
「え!?リン知ってたの!?」
私達が特訓を始めて、2週間後くらいからハナちゃんとレインが訓練室の隙間から覗いているのがわかっていた。だから、私がヴェルくんに何かしらすれば魔法を撃ってきてくれると予想していたのだ。
だから、ヴェルくんを守るフリをしてわざと魔筆を落とした。
「おかげで…ヴェルくんの特訓…最終段階…できる」
「最終段階?何をするんです?」
「2人とも…協力して…くれる…?」
私は、これからのヴェルくんの特訓の最終段階を2人に説明して、今日は解散となった。
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