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6巻
6-2
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2 姫の元へ
あっという間に時は過ぎ、長期休暇も残り一週間を残すのみとなった。
ここ最近はキールとアリスも、私が王様に作ってもらった研究所内の実験場でみんなと簡単な体術の訓練に交じったり勉強したりしている。
もうすっかり仲良しだ。
「ここはこういう意味で……」
「あ、そっかぁ」
ミシャちゃんが教科書を指差しながら言うと、アリスは嬉しそうにはにかんだ。
その横では、キールがオージェに勉強を教わっている。
「オージェ兄、ここはどういう意味なんだ?」
「こ、ここはっすねぇ」
私やアニエちゃんやフランとも仲がいいけど、貴族だからか、少しまだ気後れしているみたい。
その点、平民のオージェとミシャちゃんの方が親しみやすいようだ。
ミシャちゃんはともかく、オージェが勉強を教えている様子はなんだか面白い。
キールとオージェが一緒にうーんって唸りながら悩む姿は、ちょっと兄弟みたいで微笑ましいし。
そんな風に考えていると、ちょうど今日やる分の課題が終わったらしく、キールとアリスが教科書を閉じた。
ミシャちゃんとオージェは、二人に教えるために資料室の書棚から取った本を戻しにいく。
私はそれを見つつ、キールとアリスに言う。
「さてと、次は魔法の練習だよ」
「「はーい」」
二人は声を揃えて返事をしてから、私の前に並んだ。
実は、今日から二人にも魔法を覚えてもらうことになったのだ。
ネル曰く、『魔石工学の特訓は魔法を練習するのが一番効率がいい』のだそう。
魔石工学とは、魔法陣などを使って魔石のいろんな使い方を研究する学問のこと。
これから作るお店の商品の開発には魔石工学の知識を使うから、勉強しておいてもらわないとね。
「そういえば二人の魔力って、なんの属性なの?」
横に立っているアニエちゃんに聞かれて、私はハッとする。
そういえばまだ二人の魔力属性、知らないじゃん。
私は収納空間からある道具を取り出した。
「それは?」
少しだけ胸を張って、アニエちゃんの質問に答える。
「これは私が作った魔力判別水晶だよ。これに魔力を込めると、色が変わるの。その色によってなんの属性を持っているかわかるんだよ。炎なら赤、水なら青みたいに」
この世界には炎、水、風、雷、土、草、光、闇、空間、治癒、特殊っていう十一種類の魔法属性がある。しかも魔法は、繰り返し使用して経験を積むことでスキル化させたり、発動過程を簡略化させたり、オリジナルの魔法を生み出したりと、応用も利く。
スキル化した魔法は、強さや難しさによって第一から第十まであるナンバーズに分類され、どのランクの魔法も一度発動できればその後はずっと使えるのだ。
それだけでなく、魔法の飛距離を伸ばす【ア】、速度を速くする【ベ】、効果時間を延ばす【セ】、操作性を高める【デ】といったワーズや、魔法に複数の属性を付与するエンチャントなどと組み合わせてさらに強化できるの。
とはいえ属性ごとに向き不向きがあるから、一般的には生まれつき魔法が得意だと言われている貴族ですら、多くて五、六種類の属性しか使えないんだけどね。もっとも、私はナーティ様の計らいで生まれつき全ての属性への適性があるわけだけど。
そしてこの道具は、どの属性の魔法に向いているのかがわかっちゃう優れモノ。
「へぇ、試しにやってみていいですか?」
アニエちゃんの後ろからひょこっと顔を出しつつ、ミシャちゃんが言った。
本は返し終えたらしく、その後ろにはオージェもいる。
「うん、いいよ」
私の返事を聞いて、ミシャちゃんは水晶に手を置いた。
「これでいいですか?」
「うん、その状態で魔力を注いで」
ミシャちゃんが魔力を込めると、透明だった水晶の中に青色と淡い黄色の光が浮かび上がった。
「私は水と光属性を持っているから、青色と淡い黄色に光ったんですね」
そう言いながらミシャちゃんが水晶から手を離すと、光が消えた。
「さ、二人とも」
私が水晶をキールとアリスに差し出すと、二人とも困ったように首を捻る。
「魔力って、どうやって流すんだ?」
キールに言われて「あっ」と声を上げてしまった。
そうだ、二人とも魔法について何も知らないのだ。
「それじゃあ、魔力の注ぎ方から教えてあげる」
私はミシャちゃんに水晶を預けて、二人の手を握る。
初めてネルに魔力の流し方を教えてもらった時のように……優しく……。
二人にその流れを感じてもらえるように、ゆっくりと魔力を込めた。
すると、キールとアリスが驚いたように言う。
「あ、なんかあったかくなってきたぞ」
「うん、お姉ちゃんの手からあったかいのが流れてきてる……?」
私は微笑んだ。
「このあったかいのが魔力だよ。二人の中にも流れてるから意識してみて」
「本当に俺の中を流れてるんだな……」
「うん……今まで苦しくて怖かったけど、今は違う。これが私の魔力……」
アリスは自分の中を流れる膨大な魔力を制御できずによく体調を崩していたけど、怯えがなくなっているようでよかった。
安心しながら、私はさらに教える。
「そう。それを、手に集めて……この水晶に触るんだよ。それじゃあ、キールから」
「お、おう」
キールは緊張した面持ちで、ミシャちゃんの持つ水晶に手を当てた。
すると、水晶の中には茶色と濃い緑色の光が浮かぶ。
「キールの属性は土と草だね」
私がそう伝えると、キールは渋面を作る。
「んー、土と草かぁ……」
「どうかしたの?」
アニエちゃんが尋ねると、キールは少し悔しそうに答える。
「いや、なんか土と草って地味じゃないか? 俺もオージェ兄みたいに電気をバリバリって出したかったぜ……」
「へへっ」
鼻を高くするオージェを横目に見ながら、アニエちゃんは言う。
「あら、そんなことないわよ。土と草の魔法も力強くていいじゃない。あとオージェ、何照れてんのよ。ムカつくわね」
「ひでーっす!?」
オージェはしょぼんと肩を落としたけど、まぁいつものことだし、すぐ復活するだろう。
それより次は――
「さ、アリスもやってみよっか」
「う、うん!」
アリスは緊張半分、期待半分といった様子で水晶に触れる。
「こ、これで魔力を集中……集中……」
「ア、アリス……?」
私が声をかけても、相当集中しているらしく、アリスは呟き続ける。
「これを全部……注ぐ!」
アリスが魔力を注ぐと赤、青、緑、淡い黄色――四色の光が溢れ、やがて水晶にヒビが入った。
四種類の属性を持っているなんてすごい! けど、それより――
「アリス! 魔力を止めて!」
「え?」
言うのが少し遅かったらしく、水晶はパキン! という音を立てて砕けた。
しばらくの間、みんなが沈黙する。
平民なのに四つもの属性を持っていること、そして何より水晶が壊れるほどの魔力量を持っていることに絶句してしまったのだ。
そんな中、アリスの顔だけがどんどん青ざめていく。
「ご、ごめんなさいぃ……」
それからは泣きそうなアリスを宥めて、今日は魔力コントロールの練習だけにしようってことになった。
まぁ、魔法の練習はゆっくりやっていけばいいよね。
そんなこんなでそれからは、勉強やら魔法の練習やらお店の準備やらで瞬く間に時が過ぎていった。
そして気付けば、新学期開始まであと三日。
今日は学園が始まる前に新しい服を何着か作っておきたいということで、ママとフランとアネットと共にドルテオの洋服屋さん巡りをした。
採寸は事前に済ませていたので、サイズが合っているのかを確認するだけだったけど。
最近、スカートが少し短くなったかな? とは思っていたので、新しい服が増えるのはありがたい。
でも、いろんな服を試着しまくるのはやっぱり疲れる。
「ふぅ……やっと終わったね」
「そうだねぇ……」
思わずそう漏らすフランと私に、アネットが声をかけてくれる。
「お兄さまもお姉さまも、お疲れですわね」
「何着も洋服を着たり脱いだりするのは大変だよ……」
「うん、本当にね……」
疲れの一番の原因――試着の回数が増えた原因は、ママだった。
私たちが新しい服を見るたびに褒めてくれるのはいいんだけど、ママはここをもっとこうしてほしいなどお店に要望を出すのだ。
それによって何度も何度も試着するハメになってしまった。
当の本人は「それじゃあ私はお洋服を持って先に帰るわ! フランたちはお友達と約束があるんでしょ?」と残して、もう帰ってしまったけれど。
気遣い自体はありがたいし、本当にいいママなんだけど、それとこの疲れとは別の話だ。
そう思っていると、アネットは楽しそうにその場でくるりと回る。
「アネットは好きですわ。新しい服をたくさん着られるのは、とても楽しいですもの」
服が好きなアネットは、むしろママと一緒に服に対する要望を出していたもんね……すごいよ。
アネットが私に言う。
「お姉さまはもっと服に関心を持ってくださいまし。お姉さまがオシャレに目覚めれば、レオン様でもオージェさんでも、世の男性はイチコロですわ!」
イチコロって……どこでそんな言葉を覚えてくるんだか……。
「そうかなー」なんて言いながら適当に流していると、フランが伸びをする。
「さてと、サキ。それじゃあ行こうか」
「うん」
「今日も研究所ですの? アネットも行っていいですか?」
首を傾げるアネット。
私は顎に手を当てて考える。
「うーん……いいけど、私は別の用事があるから一緒にいられないよ?」
「お姉さまはどこに行かれるのですか?」
「うん。アリスと一緒に行かなきゃいけないところがあって」
アネットは少し残念そうな顔をしたが、すぐにニコッと笑った。
「そうなんですの……では、皆さまに鍛えていただきます!」
アネットももう三学年だもんね……成長したなぁ。
昔は私が向かう先に、絶対ついてきたがっていたのに。
そんなことを思いながら、私たち三人は止めてあった馬車に乗る。
馬車が走り出したタイミングで、アネットは先ほどの話の続きをする。
「アネットはもっともっと強くならなくてはいけないな、と常々感じているのです! だって今年を逃してしまうと、お姉さまと一緒に代表戦に出られるのは来年になってしまいますの!」
そう言ってふんっ! と気合を入れるアネット。
私はそれを微笑ましく見ながら言う。
「アネットは同学年の中じゃ十分強いんじゃないの?」
「いいえ、まだまだですわ。まだリックと模擬戦をすると十回中三回は負けてしまいますの。お姉さまとレガールさまに教えていただいているのに……」
そう言ってしゅん……とするアネット。
レガール様は、レオン先輩のお兄さんだ。剣術の指南を求める生徒が殺到するほど剣の扱いに長けている彼に教わっているのは確かに贅沢だけれど、それにしたって意識が高い。
同い年とはいえ、公爵家の子息のリック様相手に勝率七割あってもまだ満足しないなんて末恐ろしいよ……。
「でも、十回中七回は勝っているんでしょ?」
「いけませんわ! 常に勝てなければ! そうでなければ学園最強のお姉さまとレガール様の顔に泥を塗ることになってしまいますの!」
「そ、そんな大袈裟な……」
「アニエさまとお兄さまはお姉さまのご指導を受けてから、自分のチームの方以外には負けてないと聞いておりますから」
まぁそれはそうだけど、二人ともが公爵家の血を引いている上に元々成績優秀だったこともあると思う。
ともかく、アネットにはプレッシャーを感じずに強くなってほしいんだけどな……。
私はそういう思いを伝えるべく、アネットを抱き寄せて頭を撫でた。
「アネット、あんまり思い詰めちゃダメだよ。アネットは十分強くなってるし、まだ卒業まで時間はたっぷりあるんだからね」
アネットは聞いているのかいないのか、私の胸に顔を埋めて抱きついてくる。
成長したとはいっても、まだまだ甘えたい盛りなんだなと思うと、とても可愛らしい。
前を見ると、向かいに座るフランがふふっと笑った。
「フラン、私、変なことした……?」
私が聞くと、フランは首を横に振る。
「いや、サキも姉らしくなってきたなって思っただけだよ」
お姉ちゃんらしい、かぁ……ちょっと照れくさいけど、嬉しいかも。
そう思っていると、フランは続ける。
「ついでにもう少し妹らしくしてくれたら、僕も嬉しいんだけどな」
フランは私と同い年だけど誕生日が早いから、一応私のお兄ちゃんではある。
だけど……。
私はそっぽを向いた。
「知らない。いつも意地悪なお兄ちゃんに出す妹感はないんだよ~」
「お姉さまの言う通りです!」
アネットまで賛同するのを見て、フランは後頭部を掻く。
「それはひどいなぁ」
私たち三人は、顔を見合わせて笑った。
数分後、馬車は研究所に到着した。
私たちが研究所内の実験場に着くと、入口の近くに立っていたアニエちゃんがこちらに気付いて声をかけてくる。
「あら、やっと来た。洋服選び、今年も時間かかったわね」
フランはその言葉に、やはりげんなりした感じで答える。
「本当に。年々長くなっているように感じるよ」
「お疲れ様。そして今日はアネットちゃんも一緒なのね」
「はい! 皆さまにいろいろ教えていただきたいのですわ!」
「ええ、大歓迎よ! でも、サキはこれから王城へ行くのよね?」
「うん。だからアネットの訓練はみんなにお願いしちゃってもいい? ……ところであの二人は何をやっているの?」
私が指差した先では、オージェとキールが体術戦を行っている。
しかもオージェが明らかに防戦一方だ。
アニエちゃんが呆れたように言う。
「あぁ、あれね。オージェが『キール! 男なら魔法だけじゃなくて体術も強くないとダメっすよ!』とかなんとか言い出して、模擬試合を始めたのよ。そしたら、キールってば意外といい動きするのね。あ、今の動きなんてサキそっくりじゃない?」
そういうことだったのね。
あぁ……あれは、キールが武術でも真似が得意なのか試したくて、私が教えたネル流武術だ……。
ごめん、オージェ。たぶんその子、通常技より一段上の技である結や奥義は習得していないけど、ほとんどの技を使えるようになってるんだ。
「キールの体術があんなに優れているなんて知りませんでしたわ! ぜひ私とも特訓を!」
そう言ってアネットはキールとオージェのところに走っていった。
私はその小さな背中を見送りながら、アニエちゃんに聞く。
「そうだ、アリスは?」
「あぁ、アリスならたぶんミシャと一緒に被服室にいると思うわよ」
「ありがとう! 行ってみるね!」
実験場を出て被服室へ。
中に入ってみると、まず近くの机の上に並んだたくさんの服が目に入る。
これ、もしかして全部着せたの……?
奥へ視線を向けると、おそらくミシャちゃんが作ったであろう服を着たアリスと、息を荒くしてアリスにカメラを向けているミシャちゃんがいた。
「これもいいですね! あぁ、でもこっちも捨てがたいです!」
「ミ、ミシャお姉ちゃん……私、疲れたよぉ……」
あぁ……アリスの気持ち、痛いほどわかるよ。
以前ミシャちゃんと協力して作ったうさ耳パーカーを着た時も、こんな風に撮影大会が始まったから。
しみじみしていると、私に気付いたアリスがこちらに走ってきた。
「サキお姉ちゃん、お帰りなさい!」
「うん、ただいま。アリス、可愛い服着てるね」
アリスが着ているのは青色の生地に白のレースをあしらったドレス。
不思議の国のアリスのドレスを、もっと洗練させたような服だ。
最近王都へやってきたばかりだし、まさしく『不思議の国から来た女の子』って感じだなって思って噴き出しそうになる。
「ミシャお姉ちゃんが作ってくれたの! でも、たくさん服を着たら疲れちゃった」
私は眉根を寄せるアリスの頭を撫でる。
「あぁ……私も気持ちはわかるよ……」
そんなタイミングで、机の上を片付けたミシャちゃんもこちらへやってくる。
「サキちゃん! ちょうどよかったです! サキちゃんにも着てほしい服が――」
「今日は疲れちゃったから……また今度ね!」
「えぇ~」
さすがにここでも服を何度も着替えるのは嫌だ……。
それにこの後に約束もあるし。
あ、そうだ。服と言えば……。
「ミシャちゃん、前に頼んでた服ってできてる?」
「あ、はい。それならここに」
そう言って、ミシャちゃんは机の横に置いてある鞄から白い服を取り出した。
すると、真っ先にアリスが声を上げる。
「これ! サキお姉ちゃんと同じ服! うさ耳天使!」
実はミシャちゃんに、アリス用のうさ耳パーカーを作ってもらっていたのだ。
別にうさ耳はいらなかったんだけど……。
アリスはミシャちゃんから受け取ったうさ耳パーカーを嬉しそうに抱きしめている。
「アリス、着てみて」
私の言葉に、アリスは勢いよく頷く。
「うん!」
そうしてパーカーを着たアリスはなんというか……不思議の国感がより増した気がする。
今度、時計の飾りも作ってみよ。
そんな話は置いておいて……実はこのパーカーには、私のものとは違うある仕掛けが施されている。
アリスはどうやらそれに気付いたようで、声を上げる。
「これ……」
「気付いた?」
私はこのパーカーの仕掛けについてアリスに説明する。
このパーカーには、私のものとは違い魔石が付いていない。
その代わり、袖を通すと着用者の魔力を少しずつ吸い、自動バリアを発動するようになっている。
つまりこれを着ている限りは、アリスの魔力が許容量を超えることはないし、その上で身を守ることもできるのだ。
そんな私の説明を聞いて、アリスはパッと笑顔になった。
「それじゃあこれを着ていたら――」
「うん。体質を気にせず、アリスもみんなと同じように過ごせるはずだよ」
「……!」
アリスの目にじわりと涙が浮かぶ。
「ありがとう……サキお姉ちゃん……ミシャお姉ちゃん」
すごく喜んでくれているみたいでよかった。
私とミシャちゃんは顔を見合わせて、笑った。
さて、洋服も無事渡せたことだし――
「それじゃあ、そろそろ行こうか!」
私がアリスの手を握って部屋を出ていこうとすると、私の肩をミシャちゃんがガシッと掴んだ。
「待ってください! サキちゃんもうさ耳パーカーをぜひ着ていってください!」
「え? いやいや、自動バリアは別にいらないんだけど……」
「アリスちゃんも、どうせならサキちゃんとお揃いの服を着たいですよね?」
「う、うん! 私、サキお姉ちゃんと一緒がいい!」
アリスが満面の笑みをこちらに向けてくるものだから、断るに断れなくなってしまう。
私は口を尖らせて「わ、わかったよ……もう」と言うしかなかった。
あっという間に時は過ぎ、長期休暇も残り一週間を残すのみとなった。
ここ最近はキールとアリスも、私が王様に作ってもらった研究所内の実験場でみんなと簡単な体術の訓練に交じったり勉強したりしている。
もうすっかり仲良しだ。
「ここはこういう意味で……」
「あ、そっかぁ」
ミシャちゃんが教科書を指差しながら言うと、アリスは嬉しそうにはにかんだ。
その横では、キールがオージェに勉強を教わっている。
「オージェ兄、ここはどういう意味なんだ?」
「こ、ここはっすねぇ」
私やアニエちゃんやフランとも仲がいいけど、貴族だからか、少しまだ気後れしているみたい。
その点、平民のオージェとミシャちゃんの方が親しみやすいようだ。
ミシャちゃんはともかく、オージェが勉強を教えている様子はなんだか面白い。
キールとオージェが一緒にうーんって唸りながら悩む姿は、ちょっと兄弟みたいで微笑ましいし。
そんな風に考えていると、ちょうど今日やる分の課題が終わったらしく、キールとアリスが教科書を閉じた。
ミシャちゃんとオージェは、二人に教えるために資料室の書棚から取った本を戻しにいく。
私はそれを見つつ、キールとアリスに言う。
「さてと、次は魔法の練習だよ」
「「はーい」」
二人は声を揃えて返事をしてから、私の前に並んだ。
実は、今日から二人にも魔法を覚えてもらうことになったのだ。
ネル曰く、『魔石工学の特訓は魔法を練習するのが一番効率がいい』のだそう。
魔石工学とは、魔法陣などを使って魔石のいろんな使い方を研究する学問のこと。
これから作るお店の商品の開発には魔石工学の知識を使うから、勉強しておいてもらわないとね。
「そういえば二人の魔力って、なんの属性なの?」
横に立っているアニエちゃんに聞かれて、私はハッとする。
そういえばまだ二人の魔力属性、知らないじゃん。
私は収納空間からある道具を取り出した。
「それは?」
少しだけ胸を張って、アニエちゃんの質問に答える。
「これは私が作った魔力判別水晶だよ。これに魔力を込めると、色が変わるの。その色によってなんの属性を持っているかわかるんだよ。炎なら赤、水なら青みたいに」
この世界には炎、水、風、雷、土、草、光、闇、空間、治癒、特殊っていう十一種類の魔法属性がある。しかも魔法は、繰り返し使用して経験を積むことでスキル化させたり、発動過程を簡略化させたり、オリジナルの魔法を生み出したりと、応用も利く。
スキル化した魔法は、強さや難しさによって第一から第十まであるナンバーズに分類され、どのランクの魔法も一度発動できればその後はずっと使えるのだ。
それだけでなく、魔法の飛距離を伸ばす【ア】、速度を速くする【ベ】、効果時間を延ばす【セ】、操作性を高める【デ】といったワーズや、魔法に複数の属性を付与するエンチャントなどと組み合わせてさらに強化できるの。
とはいえ属性ごとに向き不向きがあるから、一般的には生まれつき魔法が得意だと言われている貴族ですら、多くて五、六種類の属性しか使えないんだけどね。もっとも、私はナーティ様の計らいで生まれつき全ての属性への適性があるわけだけど。
そしてこの道具は、どの属性の魔法に向いているのかがわかっちゃう優れモノ。
「へぇ、試しにやってみていいですか?」
アニエちゃんの後ろからひょこっと顔を出しつつ、ミシャちゃんが言った。
本は返し終えたらしく、その後ろにはオージェもいる。
「うん、いいよ」
私の返事を聞いて、ミシャちゃんは水晶に手を置いた。
「これでいいですか?」
「うん、その状態で魔力を注いで」
ミシャちゃんが魔力を込めると、透明だった水晶の中に青色と淡い黄色の光が浮かび上がった。
「私は水と光属性を持っているから、青色と淡い黄色に光ったんですね」
そう言いながらミシャちゃんが水晶から手を離すと、光が消えた。
「さ、二人とも」
私が水晶をキールとアリスに差し出すと、二人とも困ったように首を捻る。
「魔力って、どうやって流すんだ?」
キールに言われて「あっ」と声を上げてしまった。
そうだ、二人とも魔法について何も知らないのだ。
「それじゃあ、魔力の注ぎ方から教えてあげる」
私はミシャちゃんに水晶を預けて、二人の手を握る。
初めてネルに魔力の流し方を教えてもらった時のように……優しく……。
二人にその流れを感じてもらえるように、ゆっくりと魔力を込めた。
すると、キールとアリスが驚いたように言う。
「あ、なんかあったかくなってきたぞ」
「うん、お姉ちゃんの手からあったかいのが流れてきてる……?」
私は微笑んだ。
「このあったかいのが魔力だよ。二人の中にも流れてるから意識してみて」
「本当に俺の中を流れてるんだな……」
「うん……今まで苦しくて怖かったけど、今は違う。これが私の魔力……」
アリスは自分の中を流れる膨大な魔力を制御できずによく体調を崩していたけど、怯えがなくなっているようでよかった。
安心しながら、私はさらに教える。
「そう。それを、手に集めて……この水晶に触るんだよ。それじゃあ、キールから」
「お、おう」
キールは緊張した面持ちで、ミシャちゃんの持つ水晶に手を当てた。
すると、水晶の中には茶色と濃い緑色の光が浮かぶ。
「キールの属性は土と草だね」
私がそう伝えると、キールは渋面を作る。
「んー、土と草かぁ……」
「どうかしたの?」
アニエちゃんが尋ねると、キールは少し悔しそうに答える。
「いや、なんか土と草って地味じゃないか? 俺もオージェ兄みたいに電気をバリバリって出したかったぜ……」
「へへっ」
鼻を高くするオージェを横目に見ながら、アニエちゃんは言う。
「あら、そんなことないわよ。土と草の魔法も力強くていいじゃない。あとオージェ、何照れてんのよ。ムカつくわね」
「ひでーっす!?」
オージェはしょぼんと肩を落としたけど、まぁいつものことだし、すぐ復活するだろう。
それより次は――
「さ、アリスもやってみよっか」
「う、うん!」
アリスは緊張半分、期待半分といった様子で水晶に触れる。
「こ、これで魔力を集中……集中……」
「ア、アリス……?」
私が声をかけても、相当集中しているらしく、アリスは呟き続ける。
「これを全部……注ぐ!」
アリスが魔力を注ぐと赤、青、緑、淡い黄色――四色の光が溢れ、やがて水晶にヒビが入った。
四種類の属性を持っているなんてすごい! けど、それより――
「アリス! 魔力を止めて!」
「え?」
言うのが少し遅かったらしく、水晶はパキン! という音を立てて砕けた。
しばらくの間、みんなが沈黙する。
平民なのに四つもの属性を持っていること、そして何より水晶が壊れるほどの魔力量を持っていることに絶句してしまったのだ。
そんな中、アリスの顔だけがどんどん青ざめていく。
「ご、ごめんなさいぃ……」
それからは泣きそうなアリスを宥めて、今日は魔力コントロールの練習だけにしようってことになった。
まぁ、魔法の練習はゆっくりやっていけばいいよね。
そんなこんなでそれからは、勉強やら魔法の練習やらお店の準備やらで瞬く間に時が過ぎていった。
そして気付けば、新学期開始まであと三日。
今日は学園が始まる前に新しい服を何着か作っておきたいということで、ママとフランとアネットと共にドルテオの洋服屋さん巡りをした。
採寸は事前に済ませていたので、サイズが合っているのかを確認するだけだったけど。
最近、スカートが少し短くなったかな? とは思っていたので、新しい服が増えるのはありがたい。
でも、いろんな服を試着しまくるのはやっぱり疲れる。
「ふぅ……やっと終わったね」
「そうだねぇ……」
思わずそう漏らすフランと私に、アネットが声をかけてくれる。
「お兄さまもお姉さまも、お疲れですわね」
「何着も洋服を着たり脱いだりするのは大変だよ……」
「うん、本当にね……」
疲れの一番の原因――試着の回数が増えた原因は、ママだった。
私たちが新しい服を見るたびに褒めてくれるのはいいんだけど、ママはここをもっとこうしてほしいなどお店に要望を出すのだ。
それによって何度も何度も試着するハメになってしまった。
当の本人は「それじゃあ私はお洋服を持って先に帰るわ! フランたちはお友達と約束があるんでしょ?」と残して、もう帰ってしまったけれど。
気遣い自体はありがたいし、本当にいいママなんだけど、それとこの疲れとは別の話だ。
そう思っていると、アネットは楽しそうにその場でくるりと回る。
「アネットは好きですわ。新しい服をたくさん着られるのは、とても楽しいですもの」
服が好きなアネットは、むしろママと一緒に服に対する要望を出していたもんね……すごいよ。
アネットが私に言う。
「お姉さまはもっと服に関心を持ってくださいまし。お姉さまがオシャレに目覚めれば、レオン様でもオージェさんでも、世の男性はイチコロですわ!」
イチコロって……どこでそんな言葉を覚えてくるんだか……。
「そうかなー」なんて言いながら適当に流していると、フランが伸びをする。
「さてと、サキ。それじゃあ行こうか」
「うん」
「今日も研究所ですの? アネットも行っていいですか?」
首を傾げるアネット。
私は顎に手を当てて考える。
「うーん……いいけど、私は別の用事があるから一緒にいられないよ?」
「お姉さまはどこに行かれるのですか?」
「うん。アリスと一緒に行かなきゃいけないところがあって」
アネットは少し残念そうな顔をしたが、すぐにニコッと笑った。
「そうなんですの……では、皆さまに鍛えていただきます!」
アネットももう三学年だもんね……成長したなぁ。
昔は私が向かう先に、絶対ついてきたがっていたのに。
そんなことを思いながら、私たち三人は止めてあった馬車に乗る。
馬車が走り出したタイミングで、アネットは先ほどの話の続きをする。
「アネットはもっともっと強くならなくてはいけないな、と常々感じているのです! だって今年を逃してしまうと、お姉さまと一緒に代表戦に出られるのは来年になってしまいますの!」
そう言ってふんっ! と気合を入れるアネット。
私はそれを微笑ましく見ながら言う。
「アネットは同学年の中じゃ十分強いんじゃないの?」
「いいえ、まだまだですわ。まだリックと模擬戦をすると十回中三回は負けてしまいますの。お姉さまとレガールさまに教えていただいているのに……」
そう言ってしゅん……とするアネット。
レガール様は、レオン先輩のお兄さんだ。剣術の指南を求める生徒が殺到するほど剣の扱いに長けている彼に教わっているのは確かに贅沢だけれど、それにしたって意識が高い。
同い年とはいえ、公爵家の子息のリック様相手に勝率七割あってもまだ満足しないなんて末恐ろしいよ……。
「でも、十回中七回は勝っているんでしょ?」
「いけませんわ! 常に勝てなければ! そうでなければ学園最強のお姉さまとレガール様の顔に泥を塗ることになってしまいますの!」
「そ、そんな大袈裟な……」
「アニエさまとお兄さまはお姉さまのご指導を受けてから、自分のチームの方以外には負けてないと聞いておりますから」
まぁそれはそうだけど、二人ともが公爵家の血を引いている上に元々成績優秀だったこともあると思う。
ともかく、アネットにはプレッシャーを感じずに強くなってほしいんだけどな……。
私はそういう思いを伝えるべく、アネットを抱き寄せて頭を撫でた。
「アネット、あんまり思い詰めちゃダメだよ。アネットは十分強くなってるし、まだ卒業まで時間はたっぷりあるんだからね」
アネットは聞いているのかいないのか、私の胸に顔を埋めて抱きついてくる。
成長したとはいっても、まだまだ甘えたい盛りなんだなと思うと、とても可愛らしい。
前を見ると、向かいに座るフランがふふっと笑った。
「フラン、私、変なことした……?」
私が聞くと、フランは首を横に振る。
「いや、サキも姉らしくなってきたなって思っただけだよ」
お姉ちゃんらしい、かぁ……ちょっと照れくさいけど、嬉しいかも。
そう思っていると、フランは続ける。
「ついでにもう少し妹らしくしてくれたら、僕も嬉しいんだけどな」
フランは私と同い年だけど誕生日が早いから、一応私のお兄ちゃんではある。
だけど……。
私はそっぽを向いた。
「知らない。いつも意地悪なお兄ちゃんに出す妹感はないんだよ~」
「お姉さまの言う通りです!」
アネットまで賛同するのを見て、フランは後頭部を掻く。
「それはひどいなぁ」
私たち三人は、顔を見合わせて笑った。
数分後、馬車は研究所に到着した。
私たちが研究所内の実験場に着くと、入口の近くに立っていたアニエちゃんがこちらに気付いて声をかけてくる。
「あら、やっと来た。洋服選び、今年も時間かかったわね」
フランはその言葉に、やはりげんなりした感じで答える。
「本当に。年々長くなっているように感じるよ」
「お疲れ様。そして今日はアネットちゃんも一緒なのね」
「はい! 皆さまにいろいろ教えていただきたいのですわ!」
「ええ、大歓迎よ! でも、サキはこれから王城へ行くのよね?」
「うん。だからアネットの訓練はみんなにお願いしちゃってもいい? ……ところであの二人は何をやっているの?」
私が指差した先では、オージェとキールが体術戦を行っている。
しかもオージェが明らかに防戦一方だ。
アニエちゃんが呆れたように言う。
「あぁ、あれね。オージェが『キール! 男なら魔法だけじゃなくて体術も強くないとダメっすよ!』とかなんとか言い出して、模擬試合を始めたのよ。そしたら、キールってば意外といい動きするのね。あ、今の動きなんてサキそっくりじゃない?」
そういうことだったのね。
あぁ……あれは、キールが武術でも真似が得意なのか試したくて、私が教えたネル流武術だ……。
ごめん、オージェ。たぶんその子、通常技より一段上の技である結や奥義は習得していないけど、ほとんどの技を使えるようになってるんだ。
「キールの体術があんなに優れているなんて知りませんでしたわ! ぜひ私とも特訓を!」
そう言ってアネットはキールとオージェのところに走っていった。
私はその小さな背中を見送りながら、アニエちゃんに聞く。
「そうだ、アリスは?」
「あぁ、アリスならたぶんミシャと一緒に被服室にいると思うわよ」
「ありがとう! 行ってみるね!」
実験場を出て被服室へ。
中に入ってみると、まず近くの机の上に並んだたくさんの服が目に入る。
これ、もしかして全部着せたの……?
奥へ視線を向けると、おそらくミシャちゃんが作ったであろう服を着たアリスと、息を荒くしてアリスにカメラを向けているミシャちゃんがいた。
「これもいいですね! あぁ、でもこっちも捨てがたいです!」
「ミ、ミシャお姉ちゃん……私、疲れたよぉ……」
あぁ……アリスの気持ち、痛いほどわかるよ。
以前ミシャちゃんと協力して作ったうさ耳パーカーを着た時も、こんな風に撮影大会が始まったから。
しみじみしていると、私に気付いたアリスがこちらに走ってきた。
「サキお姉ちゃん、お帰りなさい!」
「うん、ただいま。アリス、可愛い服着てるね」
アリスが着ているのは青色の生地に白のレースをあしらったドレス。
不思議の国のアリスのドレスを、もっと洗練させたような服だ。
最近王都へやってきたばかりだし、まさしく『不思議の国から来た女の子』って感じだなって思って噴き出しそうになる。
「ミシャお姉ちゃんが作ってくれたの! でも、たくさん服を着たら疲れちゃった」
私は眉根を寄せるアリスの頭を撫でる。
「あぁ……私も気持ちはわかるよ……」
そんなタイミングで、机の上を片付けたミシャちゃんもこちらへやってくる。
「サキちゃん! ちょうどよかったです! サキちゃんにも着てほしい服が――」
「今日は疲れちゃったから……また今度ね!」
「えぇ~」
さすがにここでも服を何度も着替えるのは嫌だ……。
それにこの後に約束もあるし。
あ、そうだ。服と言えば……。
「ミシャちゃん、前に頼んでた服ってできてる?」
「あ、はい。それならここに」
そう言って、ミシャちゃんは机の横に置いてある鞄から白い服を取り出した。
すると、真っ先にアリスが声を上げる。
「これ! サキお姉ちゃんと同じ服! うさ耳天使!」
実はミシャちゃんに、アリス用のうさ耳パーカーを作ってもらっていたのだ。
別にうさ耳はいらなかったんだけど……。
アリスはミシャちゃんから受け取ったうさ耳パーカーを嬉しそうに抱きしめている。
「アリス、着てみて」
私の言葉に、アリスは勢いよく頷く。
「うん!」
そうしてパーカーを着たアリスはなんというか……不思議の国感がより増した気がする。
今度、時計の飾りも作ってみよ。
そんな話は置いておいて……実はこのパーカーには、私のものとは違うある仕掛けが施されている。
アリスはどうやらそれに気付いたようで、声を上げる。
「これ……」
「気付いた?」
私はこのパーカーの仕掛けについてアリスに説明する。
このパーカーには、私のものとは違い魔石が付いていない。
その代わり、袖を通すと着用者の魔力を少しずつ吸い、自動バリアを発動するようになっている。
つまりこれを着ている限りは、アリスの魔力が許容量を超えることはないし、その上で身を守ることもできるのだ。
そんな私の説明を聞いて、アリスはパッと笑顔になった。
「それじゃあこれを着ていたら――」
「うん。体質を気にせず、アリスもみんなと同じように過ごせるはずだよ」
「……!」
アリスの目にじわりと涙が浮かぶ。
「ありがとう……サキお姉ちゃん……ミシャお姉ちゃん」
すごく喜んでくれているみたいでよかった。
私とミシャちゃんは顔を見合わせて、笑った。
さて、洋服も無事渡せたことだし――
「それじゃあ、そろそろ行こうか!」
私がアリスの手を握って部屋を出ていこうとすると、私の肩をミシャちゃんがガシッと掴んだ。
「待ってください! サキちゃんもうさ耳パーカーをぜひ着ていってください!」
「え? いやいや、自動バリアは別にいらないんだけど……」
「アリスちゃんも、どうせならサキちゃんとお揃いの服を着たいですよね?」
「う、うん! 私、サキお姉ちゃんと一緒がいい!」
アリスが満面の笑みをこちらに向けてくるものだから、断るに断れなくなってしまう。
私は口を尖らせて「わ、わかったよ……もう」と言うしかなかった。
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