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10章

あの二人の引取先

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 レオンさんとの素敵なお話もひと段落ついたところで、私たちは研究所に着いて穏やかな時間を破るように大きな怒鳴り声が聞こえてきた。
 
「だから、ここはこうじゃないって言ってんだろ!」

「っせーなぁ! 今直してんだろーがよ!」

 庭の方を見てみるとキールとグレゴワルが作りかけの洗濯機を見てお互いに思うところを言い合っているようだ。
 何事かと私とレオンさんも庭の方へ向かってみることに。

「ここ! ここのボタンの部分の作りがめっちゃ雑っ! これじゃあしばらく押してたら壊れちゃうだろ!」

「はっ! んなもんわなぁ! 壊れた時にそいつらのせいにしたらいいんだよ!」

「そんな販売者ファーストな言い分が通るわけないでしょうが」

「いでっ!」

 あまりにも聞き捨てならない発言をしたので私がグレゴワルの脇腹へ魔力増し増しゆるめパンチをお見舞いしたら彼は殴られたところを押さえてしゃがみ込んだ。

「まーたバカやってるわ。あいつに製造なんて細やかな作業ができるわけなんんてないと思ってたけどね」

「あ、あはは……でも、あの洗濯機はうちの看板商品だから、作れるようになってもらわないと」

 私たちがバタバタとしている中、ミシュリーヌとアリスが洗濯籠を持って歩いてきた。リーデルさんの一件からグレゴワルとミシュリーヌは王族へ……というよりも王様が他の貴族家の意見とか罰則とか一切考えずに私の研究所に身柄を押し付けたんだよねぇ……。
『お前らが見つけてきた奴らなんだからお前らで管理しやがれ』という野良犬拾ってきたみたいな感覚で言われても困るんだけど……。
 でもまぁ、人手が足りないのは事実だし王様がいいって言ってんだからいいよね!
 それにしても……。
 私が洗濯物を干すミシュリーヌをまじまじと見ていると、視線に気づいたミシュリーヌと目が合った。

「……何よ」

「ううん、エプロン姿があんまり似合わないなぁって思って」

「失礼ね! ほんとそういうところキャロルそっくりよ!」

 ミシュリーヌは怒りの言葉と共にバスタオルをパンっと音を立て叩いた。 
 私とレオンさんとは以前まで王国側とリベリオン側としてバチバチに戦っていたけど、他のアメミヤ工房のメンバー……アリスやキール、ティルナさんのほんわか雰囲気の前では変な気を起こす気にもならないだろう。

「みんなぁ、ハーブティを入れたから休憩しない? 今日のは自信作なんだぁ」

 ちょうど洗濯物を全て干し終えたところでティルナさんが研究所の方から歩いてきた。
 みんながそんなティルナさんの様子を見てほっこりして研究所の中に入った。
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