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その4
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「マリア……申し訳ないのだが、私は君との婚約を破棄しようと思っているんだ……」
本当に申し訳ないと思っている人間がニコニコと笑うはずはないのです。まあ、どのみち愛想は尽きているので、そんなことを一々言うつもりもありませんでしたが。
「分かりました。王子様がそうおっしゃるのでしたら、私も潔く、婚約破棄には賛成しようと思います……」
私がこう言いますと、王子様は、
「それは本当か???」
と言いました。いまさら、ウソを言う必要なんてないのですが……。
「はい」
私はそう答えました。
「ああ、そうなのか……。いやあ、すまないな。君にも色々苦労を掛けたな。ご苦労さん!!!」
王子様の言葉尻は一々軽くて、余計に腹が立ちました。王子様を一発でもいいから、ぶん殴ってやりたい、とも思いました。
「さて、王子様。いきましょうか????」
ローズと王子様は歩きだしました。明るい未来に向かって……。
「ああ、そうでした」
そして、ローズは一度、私の方に振り返りました。
「言い忘れていることがありました。えっと、私の婚約者だった貴族なんですけど……お姉様に紹介しますわ!」
これが姉妹の繋がり……とかなんとか、かっこのいいことを言おうとしているのでしょう。その魂胆は見え見えでした。
私にいちいち嘘をつく必要なんてないのです……。私は全て、真実を知っているのですから……。
本当に申し訳ないと思っている人間がニコニコと笑うはずはないのです。まあ、どのみち愛想は尽きているので、そんなことを一々言うつもりもありませんでしたが。
「分かりました。王子様がそうおっしゃるのでしたら、私も潔く、婚約破棄には賛成しようと思います……」
私がこう言いますと、王子様は、
「それは本当か???」
と言いました。いまさら、ウソを言う必要なんてないのですが……。
「はい」
私はそう答えました。
「ああ、そうなのか……。いやあ、すまないな。君にも色々苦労を掛けたな。ご苦労さん!!!」
王子様の言葉尻は一々軽くて、余計に腹が立ちました。王子様を一発でもいいから、ぶん殴ってやりたい、とも思いました。
「さて、王子様。いきましょうか????」
ローズと王子様は歩きだしました。明るい未来に向かって……。
「ああ、そうでした」
そして、ローズは一度、私の方に振り返りました。
「言い忘れていることがありました。えっと、私の婚約者だった貴族なんですけど……お姉様に紹介しますわ!」
これが姉妹の繋がり……とかなんとか、かっこのいいことを言おうとしているのでしょう。その魂胆は見え見えでした。
私にいちいち嘘をつく必要なんてないのです……。私は全て、真実を知っているのですから……。
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