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第六章
グレイズ・トーク・ステーション
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「何これ?」
広い。何より豪華だ。
王宮の広間にも勝とも劣らない。
「え??」
思わず後ろを振り返ると、来た入り口はそこにある。
向こう側には灼熱の世界と化した地上に砂嵐が吹き荒れているのが目に入った。
「死んだ? 二度目……? どこ、ここ」
グレイズ・トーク・ステーション。
そんな名前の天国にはとんと縁がないとアイリスは思いつつ、数メートルはある真紅の壁紙で覆われた天井から壁紙やらをぐるりと見渡し、王宮で案内用のポールとそれを繋ぐための金糸で彩られたロープを思い起こさせるそれに挟まれた青い床のカーペッドの上をペタペタと裸足で……。
「歩いていいの?」
ふんわり。
踵まで包み込むような高級すぎる絨毯がそこには敷き詰められている。
しかし、案内人もおらず、城塞都市のどこかの店でみたようなお酒や飲み物を棚に控えたカウンター・バーのようなものが左手奥にあった。
右手には額縁――ガラスがはめ込まれたその向こうに絵画よりも鮮明で写実的な様々な絵が飾られている。
神話の時代の物、青い月の女神だと思われるもの、赤い月と青い月の女神様同士の不仲を表現したもの、あの世界樹の根元に寄り添って、蒼い髪の女性が黒々とした翼を持つ蛇の背に乗り飛んでいたり、とまあ絵柄は様々だ。
「動いて……?」
数分、同じ絵を映すと、そのガラス向こうの絵は別の物に切り替わることにアイリスは気づいた。
一メートル間隔で壁に掲示されているそれは、三枚同時に別物へと切り替わる。
一番手前は全身を水晶に変えた乙女たちと、その向こうには――。
「あ、これ熊さんじゃない?」
そう、アイリスがサティナをけしかけて消し炭にしたあの魔獣がいた。戦っている一部を再現したのだろう。
二枚目は黒龍と赤龍が緑の惑星を背にして、二人の男性と戦っていた。雷の槍と水を背にまとう彼らは、伝説にある古代神だろう。そうなると、黒龍が魔王フェイブスタークで、赤龍が竜王アールディア? かな、と当たりを付けてみる。
じゃあ、三枚目は――?
「……見るんじゃなかった」
そこには間抜けにも、湖に沈められて死にそうになりかかっている……我が主がいた。
妹と間違われて、神封じの結界によって力を失い、人間の女性に湖の底へと拷問のように沈められた時の物だろう。
その光景は可哀想とも思えなかったが、アイリスはあることに気づいた。
「この子―ー私と目の色、髪色が同じ……」
見ると絵の下の方に、「女神の磊落」と題名がある。
聖騎士フェドと、弁務官アンナローズ、とも。多分、この女性がアンナローズだ。
同じ目に同じ髪色なんて、因縁を感じるわねー。
そうぼやき、四枚目に行こうとアイリスは顔をあげた。
すると廊下の右手、カウンター・バーの上にいつの間にか置かれている何かが目に入る。
「こんなのあったかしら?」
そこには目隠しというか、仮面舞踏会でよくやるような布に穴を開け、両耳にかける眼鏡のようなタイプの黒い仮面と、料金が10セダ、と書かれた紙の隣に、オペラのチケットのようなものが一枚入っていた。
「何で私が理解できる貨幣の単位が……?」
10セダ。ポケットに入っている銀貨の半分の価値だが、いまはそれしかない。
いつかお釣りをもらおうと思いつつ、仮面をつけるべき?
アイリスは迷い、いいわっとその瞳の周りだけ繰り抜いたような黒い仮面――蝶々の飾りが美しいそれを装着して銀貨をチケットの入っている小箱に投げ入れた。
チケットを手に取り、これから? と周りを見渡すとずっと奥まで続く廊下にいくつもある扉の一つの上にチカチカと灯火があるのを見つけた。
「まあ、何かあるんでしょうね……」
ここまで来たら驚くこともないでしょ?
そう思い、彼女は扉目指して歩き出した。
広い。何より豪華だ。
王宮の広間にも勝とも劣らない。
「え??」
思わず後ろを振り返ると、来た入り口はそこにある。
向こう側には灼熱の世界と化した地上に砂嵐が吹き荒れているのが目に入った。
「死んだ? 二度目……? どこ、ここ」
グレイズ・トーク・ステーション。
そんな名前の天国にはとんと縁がないとアイリスは思いつつ、数メートルはある真紅の壁紙で覆われた天井から壁紙やらをぐるりと見渡し、王宮で案内用のポールとそれを繋ぐための金糸で彩られたロープを思い起こさせるそれに挟まれた青い床のカーペッドの上をペタペタと裸足で……。
「歩いていいの?」
ふんわり。
踵まで包み込むような高級すぎる絨毯がそこには敷き詰められている。
しかし、案内人もおらず、城塞都市のどこかの店でみたようなお酒や飲み物を棚に控えたカウンター・バーのようなものが左手奥にあった。
右手には額縁――ガラスがはめ込まれたその向こうに絵画よりも鮮明で写実的な様々な絵が飾られている。
神話の時代の物、青い月の女神だと思われるもの、赤い月と青い月の女神様同士の不仲を表現したもの、あの世界樹の根元に寄り添って、蒼い髪の女性が黒々とした翼を持つ蛇の背に乗り飛んでいたり、とまあ絵柄は様々だ。
「動いて……?」
数分、同じ絵を映すと、そのガラス向こうの絵は別の物に切り替わることにアイリスは気づいた。
一メートル間隔で壁に掲示されているそれは、三枚同時に別物へと切り替わる。
一番手前は全身を水晶に変えた乙女たちと、その向こうには――。
「あ、これ熊さんじゃない?」
そう、アイリスがサティナをけしかけて消し炭にしたあの魔獣がいた。戦っている一部を再現したのだろう。
二枚目は黒龍と赤龍が緑の惑星を背にして、二人の男性と戦っていた。雷の槍と水を背にまとう彼らは、伝説にある古代神だろう。そうなると、黒龍が魔王フェイブスタークで、赤龍が竜王アールディア? かな、と当たりを付けてみる。
じゃあ、三枚目は――?
「……見るんじゃなかった」
そこには間抜けにも、湖に沈められて死にそうになりかかっている……我が主がいた。
妹と間違われて、神封じの結界によって力を失い、人間の女性に湖の底へと拷問のように沈められた時の物だろう。
その光景は可哀想とも思えなかったが、アイリスはあることに気づいた。
「この子―ー私と目の色、髪色が同じ……」
見ると絵の下の方に、「女神の磊落」と題名がある。
聖騎士フェドと、弁務官アンナローズ、とも。多分、この女性がアンナローズだ。
同じ目に同じ髪色なんて、因縁を感じるわねー。
そうぼやき、四枚目に行こうとアイリスは顔をあげた。
すると廊下の右手、カウンター・バーの上にいつの間にか置かれている何かが目に入る。
「こんなのあったかしら?」
そこには目隠しというか、仮面舞踏会でよくやるような布に穴を開け、両耳にかける眼鏡のようなタイプの黒い仮面と、料金が10セダ、と書かれた紙の隣に、オペラのチケットのようなものが一枚入っていた。
「何で私が理解できる貨幣の単位が……?」
10セダ。ポケットに入っている銀貨の半分の価値だが、いまはそれしかない。
いつかお釣りをもらおうと思いつつ、仮面をつけるべき?
アイリスは迷い、いいわっとその瞳の周りだけ繰り抜いたような黒い仮面――蝶々の飾りが美しいそれを装着して銀貨をチケットの入っている小箱に投げ入れた。
チケットを手に取り、これから? と周りを見渡すとずっと奥まで続く廊下にいくつもある扉の一つの上にチカチカと灯火があるのを見つけた。
「まあ、何かあるんでしょうね……」
ここまで来たら驚くこともないでしょ?
そう思い、彼女は扉目指して歩き出した。
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