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第二章 聖女の危機
第18話 旅は道連れ(共存共栄です) 2
「私は戦うことはないぞ。お前もだ、カトリーナ」
「なら、誰が……」
「いるじゃないか獣人が」
「なっ?」
救いを求めてきた彼らを駒にするのはどうにも納得がいかない。
聖女としての気概が、それを許さないものがあった。
「そんなやり方は魔王の殺戮行為にももとるやり方です!」
「だがそうしなければたどり着けないぞ? 負ければより多い信徒が死ぬ。負ければ王国内の獣人はさらなる迫害を受けるだろうな。弾圧され命を枯らす者たちも多くでるかもしれん。全部、見捨てたお前の責任だ」
「大した毒親ぶりですこと……。その場合の責任はこの一行の統括を聖女たるわたしに任されていながら、きちんと役目を果たせなかったとしてお父様にとって頂きます……」
「それで結構。その程度のことが言えなかったから捨てられたんだ」
やっぱり殴ろう。
そうしよう。
それが正義だ。
どこか論理の破綻した怒りの中で動こうとしたら、それだ、と指さされた。
「民を救いたいなら、聖女を名乗りたいならそれくらいはやれ。生まれつきそう運命められていたとしても、踏み台にして自分の好きなことをこなせるくらいのことはしろ。それが聖人。それが神に選ばれた者の役割だ」
「だって、寝たきりのわたしには聖女の魔法だって効かない……」
「侍女たちは巫女だ。死なない程度に力を借り、それを戻してやれば動くくらいの対価は交換できただろう。しかし、それを私が教えても意味が無いことは分かるな?」
そう言い、したり顔で言われても理解できるはずがない。
分かりませんと答えたら、更に畳みかけてきた。
「教えたら罪悪感に負けてお前の心は籠もってしまっただろう。その内側にな。そして、結界の維持は難しくなる。結局のところ、その程度の悪党になりきれなかったお前には、床に臥せることしかできなかったということだ。人のできることはどれだけの可能性を示してやっても当人ができることしかできない」
それなら教えないまま、破局を待った方が良かっただろうと大神官は言って退けた。
どう動いても過去はそうそう変わらない。
こうなるしかなかったのだと言われ、納得のいかないままカトリーナは肩を落とすしかできなかった。
「では……新しい信徒を救って見せろと? 過去の王国の民を救えていないわたしにはなにもできないと思いますが」
「いや、もう救ったじゃないか」
「はあ? 意味が分かりません!」
「この国にはもう雪国としての側面はほとんど残っていない。北の荒野にあった貧乏なイスタシアはもう、どこにも存在しない。今は富んだ国、イスタシアになったじゃないか。聖女がいなくてもどうにでもできると挑戦状をたたきつけてきたのはあっちだ。我らは別の新天地がある。そうだろ?」
「そして道行く者は同志であり、共に助け合え、と。そういうことですか、呆れた……」
「こっちだけが犠牲を強いられるなんておかしな話だ。互いに共存共栄。それがただしい姿だろう」
「もう……いいです。とにかく、彼らは共に向かうということですね……頭が痛くなってきた。失礼します」
父親の傍若無人な物言いに、カトリーナはめまいを感じて馬車を後にした。
結局、集まってきた彼らは解放奴隷なのか。それだけでないものが混じっているのか。
謎めいた部分を残したまま、聖女たちは次の目的地。
街道の途中に点在する分神殿の一つがある城塞都市ラクールを目指すことになった。
「なら、誰が……」
「いるじゃないか獣人が」
「なっ?」
救いを求めてきた彼らを駒にするのはどうにも納得がいかない。
聖女としての気概が、それを許さないものがあった。
「そんなやり方は魔王の殺戮行為にももとるやり方です!」
「だがそうしなければたどり着けないぞ? 負ければより多い信徒が死ぬ。負ければ王国内の獣人はさらなる迫害を受けるだろうな。弾圧され命を枯らす者たちも多くでるかもしれん。全部、見捨てたお前の責任だ」
「大した毒親ぶりですこと……。その場合の責任はこの一行の統括を聖女たるわたしに任されていながら、きちんと役目を果たせなかったとしてお父様にとって頂きます……」
「それで結構。その程度のことが言えなかったから捨てられたんだ」
やっぱり殴ろう。
そうしよう。
それが正義だ。
どこか論理の破綻した怒りの中で動こうとしたら、それだ、と指さされた。
「民を救いたいなら、聖女を名乗りたいならそれくらいはやれ。生まれつきそう運命められていたとしても、踏み台にして自分の好きなことをこなせるくらいのことはしろ。それが聖人。それが神に選ばれた者の役割だ」
「だって、寝たきりのわたしには聖女の魔法だって効かない……」
「侍女たちは巫女だ。死なない程度に力を借り、それを戻してやれば動くくらいの対価は交換できただろう。しかし、それを私が教えても意味が無いことは分かるな?」
そう言い、したり顔で言われても理解できるはずがない。
分かりませんと答えたら、更に畳みかけてきた。
「教えたら罪悪感に負けてお前の心は籠もってしまっただろう。その内側にな。そして、結界の維持は難しくなる。結局のところ、その程度の悪党になりきれなかったお前には、床に臥せることしかできなかったということだ。人のできることはどれだけの可能性を示してやっても当人ができることしかできない」
それなら教えないまま、破局を待った方が良かっただろうと大神官は言って退けた。
どう動いても過去はそうそう変わらない。
こうなるしかなかったのだと言われ、納得のいかないままカトリーナは肩を落とすしかできなかった。
「では……新しい信徒を救って見せろと? 過去の王国の民を救えていないわたしにはなにもできないと思いますが」
「いや、もう救ったじゃないか」
「はあ? 意味が分かりません!」
「この国にはもう雪国としての側面はほとんど残っていない。北の荒野にあった貧乏なイスタシアはもう、どこにも存在しない。今は富んだ国、イスタシアになったじゃないか。聖女がいなくてもどうにでもできると挑戦状をたたきつけてきたのはあっちだ。我らは別の新天地がある。そうだろ?」
「そして道行く者は同志であり、共に助け合え、と。そういうことですか、呆れた……」
「こっちだけが犠牲を強いられるなんておかしな話だ。互いに共存共栄。それがただしい姿だろう」
「もう……いいです。とにかく、彼らは共に向かうということですね……頭が痛くなってきた。失礼します」
父親の傍若無人な物言いに、カトリーナはめまいを感じて馬車を後にした。
結局、集まってきた彼らは解放奴隷なのか。それだけでないものが混じっているのか。
謎めいた部分を残したまま、聖女たちは次の目的地。
街道の途中に点在する分神殿の一つがある城塞都市ラクールを目指すことになった。
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