彼氏が親友と浮気して結婚したいというので、得意の氷魔法で冷徹な復讐をすることにした。

和泉鷹央

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第十章 教会と婚約破棄

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 伝えるべきこと。

1.ドラゴンたちが地下水道最下層の空洞に繁殖していること。
2.ラルクとエリダの浮気を告発すること。
3.……とても不名誉だけど、女のわたしから――婚約破棄を申し出ること。

 やるべきことはだいたい上の三つに集約される。
 というか、それだけしかない。
 まずは一番目。

「地下水道の最下層にある巨大な空洞をご存知ですか?」
「空洞? いいえ、まったく。そんなものがあるということ自体、聞いたこともありません。どれくらいの大きさなんですか?」

 思ってもみなかった質問が戻ってきて、わたしはうーん……と眉根を寄せた。
 いつもの癖なのだけど考え事をする時は必ず眉間にシワが寄る。
 神父様はそれを見て、人差し指で自分の眉間を指して小さく笑っていた。

「あーこれですかあ。分かってはいるんですけどね、いえそうじゃなくて。そう、空洞の話です」

 早く話が道を逸れるところだった。
 わたしは左腕に幾つか付けているアクセサリー代わりの腕輪の形状をした魔導具の一つを、右手のひらで軽くさすってやる。

 そして、えいっ、と両手の平を小さく打ち付けた。
 パンっと、乾いた音が夜の室内に響き渡る。
 そのままくっつけた両手をゆっくりと左右開閉する。

 なるべく均等になるように、それの形が崩れないように気をながら両肩あたりまでそれを引き伸ばして固定した。
 そこには空間に作られた四角い金色の枠。
 そんなものが浮かんでいた。

「ほう……何ですかなそれは?」
「まあ、何と言いますか。記憶を魔力によって再現する。再現したものを、魔導具に入力し魔素を特定の空間に固定して絵のようにしてあるというか。まあ、この四角い枠のなかに、過去にわたしが目にした光景が映し出される。そんな感じ、ですかね」
「それはすごい。なんという魔法ですか」
「魔術で補正をしているので魔法ではないんですけど。過去の魔法使い達は『投影魔法』、なんて呼んでこれを再現していたらしいです。でもね問題もあるんですよ」
「問題?」
「今から始めるので見ていただけばわかります。そうですねー、この枠の中だけに始まる舞台劇みたいな、そんな感じだと思ってもらえばいいと思います」
「それでは、拝見することにしましょう」
「わたしの記憶ですから、恥ずかしくて見て欲しくないんですけどね」

 なんてことをぼやきながら、あの光景を再現する。
 色々と聞かれたくないこともあるので、音声だけはカットした。
 長身で大柄な地下水道の案内人がまず出てくる。
 イデアだ。

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