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ジーンの戸惑いを察したのだろう、ザックは「元々、ニューヨークに拠点が欲しかったんだ」と弁解するように言った。
「それに資産的価値も高い――……きみが気兼ねなく、僕と過ごせるようにという魂胆はもちろんあるけれど」
ザックは弱り切った顔をして「だから、そんな馬鹿な男を見るような目で見るのはやめてくれ」と訴えた。
「そんな目で見てない」ジーンはすぐに否定した。ただ戸惑っているだけで。
「いいや、見てるね。いいんだ、自分でもわかってる。きみに夢中になりすぎて、馬鹿になってる。正直、自分でも驚いてるし、戸惑ってるんだ。ただ、不思議と悪い気分じゃない。これまでの人生の中で一番幸福で、充実している」
そしてジーンをぎゅっと抱き締めた。
「怖がらないで。受け取って。きみに喜んでほしいんだよ、ジーン」
この見るからに高級なコンドミニアムが一体いくらなのかわからないが(知りたくもないけれど!)簡単に出せる金額ではないことくらいジーンにもわかる。だが、ザックにここまで言わせて喜ばないわけにはいかない。別に、ここを買い与えられたわけではない。そんなに怯える必要はない、とジーンは自分自身に言い聞かせた。部屋の合鍵を渡されて、「いつでも遊びに来てよ」というだけのこと。そう、よくある恋人同士のやり取りだ。ジーンにも昔、同じような経験がある。そのときは1ベッドルームの古くて小さなアパートメントの部屋の鍵だったけれど。
ジーンは何とか「うん」と頷いて微笑んで見せた。
「ありがとう。嬉しいよ」
ザックも安心したように微笑んで、ジーンの柔い唇に口付けた。最初はちゅっ、と触れるだけのキス。次は優しく啄み、離れ、また啄む。
何度も繰り返すうちに、だんだん口付けに熱が籠もっていった。ザックは悩ましい溜め息と共に囁いた。
「まずは部屋の中を案内する予定だったんだが、変更しても?」
「どうするつもりだ?」
「きみを今すぐベッドに連れ込みたい。昨日の続きをしよう」
「それに資産的価値も高い――……きみが気兼ねなく、僕と過ごせるようにという魂胆はもちろんあるけれど」
ザックは弱り切った顔をして「だから、そんな馬鹿な男を見るような目で見るのはやめてくれ」と訴えた。
「そんな目で見てない」ジーンはすぐに否定した。ただ戸惑っているだけで。
「いいや、見てるね。いいんだ、自分でもわかってる。きみに夢中になりすぎて、馬鹿になってる。正直、自分でも驚いてるし、戸惑ってるんだ。ただ、不思議と悪い気分じゃない。これまでの人生の中で一番幸福で、充実している」
そしてジーンをぎゅっと抱き締めた。
「怖がらないで。受け取って。きみに喜んでほしいんだよ、ジーン」
この見るからに高級なコンドミニアムが一体いくらなのかわからないが(知りたくもないけれど!)簡単に出せる金額ではないことくらいジーンにもわかる。だが、ザックにここまで言わせて喜ばないわけにはいかない。別に、ここを買い与えられたわけではない。そんなに怯える必要はない、とジーンは自分自身に言い聞かせた。部屋の合鍵を渡されて、「いつでも遊びに来てよ」というだけのこと。そう、よくある恋人同士のやり取りだ。ジーンにも昔、同じような経験がある。そのときは1ベッドルームの古くて小さなアパートメントの部屋の鍵だったけれど。
ジーンは何とか「うん」と頷いて微笑んで見せた。
「ありがとう。嬉しいよ」
ザックも安心したように微笑んで、ジーンの柔い唇に口付けた。最初はちゅっ、と触れるだけのキス。次は優しく啄み、離れ、また啄む。
何度も繰り返すうちに、だんだん口付けに熱が籠もっていった。ザックは悩ましい溜め息と共に囁いた。
「まずは部屋の中を案内する予定だったんだが、変更しても?」
「どうするつもりだ?」
「きみを今すぐベッドに連れ込みたい。昨日の続きをしよう」
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