完結 吾輩は捨て子猫である ~動画投稿でご主人を救う恩返しにゃん物語~

吾輩は捨て子猫である。名前は、まだなかった——
いや、正確には、死にかけていたところを“ご主人様”に拾われ、動物病院で一命を取りとめ、
その日の夜、彼女のボロアパートのちゃぶ台の上で「もち」と名づけられた。
理由は、白くてやわらかくて、目がまんまるだったかららしい。単純である。

ご主人様は、ひとことで言えば「社畜OL」。
京都市内の中小企業でこき使われ、上司に怒られ、低賃金で家賃ギリギリ、毎日コンビニ飯。
趣味もなければ恋人もいない、喜びすら失いかけていた日々の中——
「猫拾ったら人生詰んだかもしれない」と絶望しかけたくせに、
病院代を払ってくれて、ミルクも買ってくれて、夜中に吾輩のくしゃみで起きて、うちわで仰いでくれた。

そんな彼女を、吾輩は見てしまったのだ。
夜、机に突っ伏して泣いていた姿を。
「もう疲れた……何のために生きてるんだろ」
そう呟いた声が、あまりにも弱くて、あまりにも寂しかった。

だから、決めた。

この命は、ご主人様のものだ。
恩返しして、笑顔を取り戻してもらうのが吾輩の使命にゃ!

……とはいえ、猫ができることには限界がある。
しかし!
人間には「動画投稿」なる魔法の文化があるらしい!
ペットが変顔するだけでバズるらしい!
……って、つまり、吾輩が主役の動画でご主人をスターにすればよいのでは!?

こうして始まった、
【もちのもちもち日記】なる動画チャンネル。
カメラに突進、変顔、くしゃみ、鳴き声実況、箱への華麗なIN、そして謎の“深夜の哲学タイム”……
なぜかご主人の黒歴史までも暴かれ始め、登録者数はうなぎのぼり!?

でも、バズればバズるほど、日常はちょっとずつ騒がしくなる。
身バレ、過去のトラウマ、職場での嫌がらせ、動画投稿に対する葛藤、などなど、
平穏なスローライフにはちょっとした波風も——。

それでも、もちの願いはひとつ。
「ご主人様、笑ってにゃ」

やがて動画を通じてつながる“もちファン”たちの絆、
ご主人様の夢、そして吾輩の正体にまつわるちょっと不思議な秘密まで巻き込んで、
この物語は、やさしく、じんわりと、笑えて泣けるスローライフ成長劇へと進んでいく。

捨てられたはずの命が、誰かを救い、世界を変えていく。
これは、小さな白猫が奏でる、奇跡の恩返しにゃん物語——にゃ!

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