黒虎の番

月夜の庭

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プロローグ

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あたしの目の前には地獄の炎も思わせる黒炎に身にまとった虎に見下ろされていた。


記憶の中の年老いた優しい面影のベンガルトラとは違い、靱やかで若々しい風貌に憂いと冷たさを湛えた瞳で静かに見下ろす彼に、自分の短い腕を精一杯伸ばす。


『会いたかった。ずっと探していたの』


グルルと唸り声あげながら、後退ろうとする彼の首に迷わず腕を絡めた。


炎がまとわりついても気にならなかった。


『愛しています………昔も今も』


貴方を繋ぎ止める腕が欲しい。


貴方を受け止められる大きな体が欲しい。


貴方の苦しみを分けて欲しい。


貴方への想いを伝える言葉が欲しい。


あたしの白い毛を黒い炎に焼かれているけど、彼から腕を離すなんてできない。


今なら分かる。


心が………体が…………彼を求めている。


貴方は あちしの番。
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